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犬種 / イヌ図鑑

2020.01.15

使役犬とは?人のために働く犬たちの活躍の歴史・仕事内容・代表犬種を解説

今でこそほとんどの犬が家族として家に迎え入れられていますが、犬は古来から人との関わりが深い動物でした。日本では縄文時代から犬と人間が暮らしを共にし、犬は獣猟の面で活躍していたと考えられています。そんな古くから人間のパートナーとして存在していた犬。もちろん現在も様々な形で人間の暮らしに貢献してくれています。今回は、人間にはない優れた嗅覚や洞察力を使って、私たち人間を救ってくれる犬たち「使役犬」の活躍の歴史・仕事の内容などに迫ります。

Author :docdog編集部

使役犬とは?

使役犬

優れた能力によって、人間のために働いてくれる犬たちのことを総称して「使役犬」と呼びます。英語では「Working dog(ワーキング・ドッグ)」と呼ばれるため、最近では「職業犬」「働く犬」と表現されることもあります。日本で有名な「使役犬」は、目の不自由な方をサポートする『盲導犬(Guide dog / ガイド・ドッグ)』『警察犬(Police dog / ポリス・ドッグ)』です。日本ではなかなか見かける機会が少ないかもしれませんが、実は世界には『盲導犬』『警察犬』以外にも、さまざまな場面で活躍をしている犬たちがいます。

犬と人間の共生は使役犬から

古来、人間は狩猟をすることで食料を得て生活をしてきましたが、それは祖先がオオカミである犬も同様です。そのため、犬と人間の生活圏が近くなり、人間が狩った獲物から残飯を得ることを目的として犬の祖先たちが人間に近づいたと考えられています。

このようにして犬と人間の距離は徐々に縮まっていき、徐々に人間が犬を手懐けるようになっていきました。犬は、他の動物に比べて人間に対して友好的で、嗅覚や聴覚などの優れた能力を持ち、高度なトレーニングができるという特性を持っています。この特性を活かし、人間が道具を使って獲物を狩る際に、獲物を追う&回収するという役割を担える犬たちは、大変重宝されるようになり、人間と犬との共生の歴史が始まっていきました。

犬種グループの「使役犬」とは?

ジャパンケネルクラブが公表している犬種グループは、生存目的・形態・用途によって10個のグループに分類されています。その第2グループに「使役犬」“番犬・警護・作業をする犬たち”があります。

古くから狩猟で活躍し、人間と共に暮らしてきた犬たちは、さまざまな犬種に進化を遂げ、所属する犬種グループは「使役犬」ではなく、狩猟時に活躍する犬たちとして「嗅覚ハウンド」「視覚ハウンド」「ポインター・セター」等のグループにそれぞれ分類されています。

犬種グループ「使役犬」に分類される代表犬種

現代の犬種グループ「使役犬」に分類される代表的な犬種としては、大型でやさしい性格のコが多く分類されています。

【使役犬グループに属する代表犬種】

・ロットワイラー
・レオンベルガー
・マスティフ
・ミニチュアシュナウザー
・ブルドッグ
・バーニーズマウンテンドッグ
・セントバーナード
・グレートピレニーズ
・ミニチュアピンシャー

使役犬の代表的な仕事・活躍する犬種とは?

使役犬

家族として家に迎えられている多くの犬・犬種たちも、元来は獣猟犬や牧羊犬などで活躍をしてきた犬種は多くいます。犬が昔から人間の暮らしと密接に繋がっていたことが分かりますね。

では、現在の人間の暮らしに貢献してくれている犬たちには、どのような種類があるのでしょうか?街中で身近にいる犬はもちろん、普段は目にする機会が少ない犬たちまで、さまざまな場面で活躍している犬たちをご紹介しましょう。

人の歩行をサポートしてくれる盲導犬

使役犬として、日本で最も見かける機会が多いのが「盲導犬」です。目の不自由な方の行動をサポートし、行きたい場所へ安全に導いてくれる存在ですよね。

ラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーといった大型犬種が大半で、穏やかで起伏の少ない性格が求められます。体格が大きい理由としては、人間を安全に導くために一定の体力やパワーが必要であることに加え、人間と少しくらいならぶつかっても動じないため、という点が挙げられます。

とはいっても、いくら適性のある犬種といえども個体差がありますから、全ての犬が盲導犬になれるとは限りません。厳しい共同訓練を経て、卒業できた選ばれし犬だけが「盲導犬」になることができます。

獲物を追い込むハンター|獣猟犬

獲物を追い込んで猟師に居場所を知らせる獣猟犬。現代の犬種グループに照らし合わせてみると「嗅覚ハウンド」や「視覚ハウンド」「ポインター・セター」等に分類されることになりますが、これらの犬たちも古来から存在している「使役犬」の一種となります。

猟銃犬として活躍する犬種は、洋犬の場合、イングリッシュポインター、イングリッシュセター、スパニエルなどが有名です。

和犬の場合は、紀州犬や甲斐犬などが知られており、イノシシの寝場所を突き止めて、吠えることで起きて逃げ出したイノシシを追いかけます。遠く追いかけても、長くて数時間程度で戻ってくることが多いため、和犬を好む猟師さんも多いと言われています。

緊迫した現場で働く災害救助犬・探知犬

優れた嗅覚を生かした犬たちのお仕事が災害救助犬や各種探知犬になります。

自然災害などが起こった時、人間よりも迅速に要救助者の居場所を探知して知らせるという大切な役目を持っているのが災害救助犬です。元保護犬が災害救助犬となって活躍している場面が、メディアで紹介されたのも記憶に新しいところですよね。

探知犬には、麻薬探知犬・銃器探知犬などの種類があり、犯罪や災害を未然に防ぐ役目を持っています。優れた能力を持った犬であれば、犬種を問わないところが特徴で、最近ではチワワが警察犬として登録されてた事例もあります。

使役犬(獣猟犬)の訓練方法とは?

使役犬

使役犬にはさまざまな場面で活躍する犬たちがいることが分かりましたが、ここでは、普段あまり見かけることのない銃猟犬の訓練方法をご紹介します。

温暖化や山の切り崩し等による影響で、最近は人里にも頻繁にイノシシやシカなどの野生動物が現れるようになり、農作物・林業の被害が増えてきています。害獣駆除のためには獣猟がどうしても欠かせませんが、そこで活躍するのが獣猟犬です。

呼び戻しの訓練をしている

日本では甲斐犬や四国犬といった和犬が活躍していることが多いのですが、銃猟犬として活躍するためには飼い主に従順であることが絶対条件になります。かといって彼らには「オテ」や「オカワリ」といった躾は一切不要で、とにかく他の犬とケンカしない、養豚場や養鶏場などに近づかないことが求められます。

そして呼べば必ず戻ってくること。あまりに好奇心が旺盛すぎると戻ってこない場合があるため、とにかく何度でも何か月でも呼び戻しの訓練を繰り返す必要があります。

実際に獲物と対決させる訓練方法

イノシシ猟が盛んな兵庫県丹波地方では、訓練の一環としてイノシシと直接対決させるそうです。

イノシシに吠え掛かったり、逃げ出したり、犬の反応は様々ですが、「飼い主から80メートル以上離れない」「イノシシをしつこく追うこと」「適度な距離を保ったまま、飼い主のもとに帰って来るくらい鹿に執着しない」ということが適性のある獣猟犬だと言われています。

使役犬はかわいそうな存在?

使役犬

使役犬の存在については、使役犬として認められる上での厳しい訓練や、災害現場などの過酷な場面で働く姿に「かわいそう」「寿命が短くなりそう」と思う方も少なくありません。

使役犬として活躍する犬たちの寿命については、実はハッキリとしたデータは公表されていません。人も犬も互いが幸せと思えるならいいのでは?と思いますが、犬は言葉を話せませんし、盲導犬の虐待に関する報道などが出るたびに、その犬たちが置かれている環境に疑問を抱いてしまう方も少なくないと思います。

働くことで命を落とす犬もいる現実

人間のために働く使役犬たちは、危険な現場で働くこともあります。警察犬・爆弾探知犬・災害救助犬などの勤務地は、犬にとっても人間にとっても危険な場所です。特に、カンボジアなどの海外で活躍する「地雷探知犬」は、土壌中の重金属にも鋭敏な反応が可能で、体重が軽いため、万が一地雷を踏んだとしても爆発させる危険性が小さいとのことで、人間と一緒に歩いて地雷の探索を行なっています。

もちろんそれらの現場で犬を働かせる場合には十分な注意が払われているはずですが、爆発の危険性が少ないとは言え、ゼロとは言い切れない現状で、本当に犬たちを同行させて良いのでしょうか?

そもそも戦争がない世界に変わっていく必要がありますが、地雷を発見・取り除くような危険な仕事はロボットが対応する等、早々に解決策を導いてほしいと願わずにはいられません。

捨てられた元獣猟犬たちの現実

獣猟犬は狩猟に特化した犬であるために、人間から可愛がられるということに慣れていません。また、飼い主と強烈な主従関係で結ばれているために、他人が世話をしようとしても、なかなかうまくいかないことも多いようです。

そういったこともあって、非常に残念なことに、外国だけでなく日本でも役に立たなくなった獣猟犬を捨てる人が後を絶たないそうです。ケガをしたり、病気になったり、または歳が行き過ぎたなど、人間側の理不尽な理由のために捨てられた犬たちは、いったいどうすれば良いのでしょうか。それでも誰かが助けてやらなければ消えてしまう命。懸命に保護している方が多いことも忘れてはいけないことです。

家庭犬として迎えるためには、粘り強く

元獣猟犬の特徴として、飼い主以外の人になかなか心を開いてくれないという現実があります。 自分の居場所(ケージやクレートなど)に籠ってしまって出てこなかったり、散歩をさせようとしても力いっぱい引いてみたり。

しかし根気強く、粘り強く付き合っていくことが大事です。犬は本来、甘えん坊な性格の持ち主。獣猟犬になれるくらい頭の良い犬が、心を開くときがきっと来るはずです。

働くことに「喜び」を感じる犬たち

家庭で育てられている犬たちもそうですが、犬がしつけ・トレーニングをこなし、人間の指示通りに、仕事をするのはご褒美がもらえて、飼い主さんが喜んでくれるからです。使役犬たちもこういった課程を通じ、働くことに喜びを感じていると考えられています。

実際に使役犬を先導・指導するハンドラーと犬たちとの間には確固たる信頼関係があるように思えます。 そして、喜びと自信に満ち溢れた姿で仕事に取り組む犬たちの姿にはとても感動するものがあります。

使役犬の働きに敬意を。「幸福な関係性」を考えてみよう

使役犬

人間のために働いてくれている犬たちの姿には毎回感動させられます。しかしその一方で、捨てられる犬や危ない現場に足を運んでいる犬たちがおり、犬たちの安心・安全への配慮や、犬たちの幸せが考えられているのか?は気になるところです。 私たち人間は、犬と言葉を交わすことはできませんが、犬にも感情があり、私たちと同じように痛みを感じる動物であるということを忘れずに、犬たちの優れたサポートに感謝と敬意をもって接する必要があると言えます。そして、社会全体で、犬と人との幸福な関係とは何か?をいまいちど考えていく必要があるのかもしれません。

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