愛犬が飼い主さんに叱られているとき、病院に行ったとき、知らない人や犬がたくさんいる場所に行ったときなどに、あくびをしているのを見たことはありませんか?「こんな時にあくび?眠くなっちゃったかな?」と不思議に思ったことがあるかもしれません。犬のあくびと人のあくびでは、少し違う意味合いがあるようです。
人は眠くなるとあくびをしますが、犬は眠いとき以外にも、様々な理由で緊張が高まったときにあくびをします。あくびは犬が気持ちを落ち着かせるための行動と言えます。
もし飼い主さんが愛犬を叱っているときにあくびをしだしたら、かなり緊張を感じている証拠です。
長い時間叱っていませんか?
過度なストレスをかけないためにも、お小言は短い言葉と短い時間で終わらせるようにしましょう。
また、犬は病院の待合室や慣れない場所では緊張からよくあくびをします。
緊張や不安を取り除いてあげるめにも、抱っこしてあげて、「大丈夫だよ」と優しく声をかけて安心させてあげてくださいね。
愛犬が目線をそらして、横を向いてしまうことはありませんか?
普段、愛犬が飼い主さんの目を見るのは、飼い主さんの様子を伺っているためです。
そんな愛犬が自ら飼い主さんから目をそらすのは、叱っている飼い主さんの緊張感が伝わり、困っているからかもしれません。目をそらす行為は「あなたに敵意はないですよ」「だからこっちに注目しないでね」という気持ちで相手を落ち着かせようとするときの仕草です。
犬は無駄な争いを避けるために目をそらして敵意がないことを示しています。そのようなときに無理やり目を合わせて怖い顔をして叱っては犬を追いこんでしまいます。そのため、目を背けている場合には決して叱らず、優しく声をかけてあげましょう。
他にも犬が困った時にする仕草や行動はあります。いろいろな仕草の意味を知っていれば、愛犬の気持ちを理解してあげることができるかもしれません。
・ぶるぶるっと何度も身震いをする
しつけの時間が長くなると、同じことの繰り返しに飽きてきたり、ストレスを感じている証拠です。
・ゆっくりゆっくり近づいてくる
飼い主さんに叱られたり、怖がっているときにする行動です。
飼い主さんのところに行きたいのですが、雰囲気を察して様子を見ています。
愛犬が身震いしたり、ゆっくり近づこうとするときは、どうすればよいのか困っていたり、ストレスがかかっているということを覚えておいてくださいね。
今回は日常生活の中でよく目にする「愛犬の困っている仕草」をご紹介しました。愛犬が困っているのは、飼い主さんのいつもと違う様子や雰囲気に戸惑っていることが多いと言えます。犬はその場の空気を敏感に察する生き物です。愛犬に困っているような仕草が見られた時は、優しく声を掛けて撫でてあげてください。きっと、それだけで愛犬の心は穏やかになれるはずです。
阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師
茨城県出身。日本獣医生命科学大学を卒業し、認定動物看護師の資格を取得。
千葉県の動物病院に勤務後、動物用医薬品販売代理店にて動物病院への営業を経験。
犬とのより良い暮らしをサポートできるよう、飼い主の方の気持ちに寄り添いながら、安心して正しい情報をお伝えできるよう心がけています。