まずは、ラフ・コリーについてご紹介します。
ラフ・コリーは、スコットランド地方で牧羊犬として活躍していました。
ジャパンケンネルクラブの登録件数を見ると、2000年では179頭だったのに対し、2018年には92頭に半減してしまっています。
住宅事情の変化や小型犬人気の流れなどから、残念ながら日本では減少傾向にあるようです。
ラフ・コリーはとても賢く温和な性格で、攻撃性などもない愛情深い犬種です。
自分で状況を判断し行動することもできるほど頭がいいので、しつけもしやすく、さらに飼い主さんに喜んでもらうためなら多少の苦労もへっちゃら、というかわいい従順さも備えています。
ラフ・コリーの美しい毛並みは、優雅さの象徴といっても過言ではありませんよね。
もともとの毛色は、大理石の模様のようなブルー・マールや、写真のような白・黒・茶のトライカラーが主流だったようですが、1872年に白と薄いブラウン(セーブル&ホワイト)が記録されると、その色が大衆に好まれ、コリー人気に火が付いたと言われています。
体が大きく体力も筋力もあるラフ・コリーには、とても多くの運動量が必要です。
1日2回、それぞれ1時間以上のお散歩が理想的です。また、自由に思い切り走り回れるドッグランなどへも定期的に連れていってあげましょう。
「シェルティー」の愛称でも親しまれているシェットランド・シープドッグの原産は、イギリスの最北端に位置するシェットランド諸島という島です。
さらに、シェットランド・シープドッグも、ラフ・コリーと同じく牧羊犬として活躍していました。
シェットランド地方のシープドッグ(牧羊犬)という、とてもわかりやすい名前ですよね。
ラフ・コリーをそのまま小さくしたようなかわいらしい見た目で、2匹が並ぶとまるで親子のよう。
2018年の日本での登録件数は、1902頭と多く、その人気ぶりがうかがえます。
シェットランド・シープドッグも、賢く従順な性格で、攻撃性も少ないため、犬を飼うのが初めての方でも飼いやすい犬種です。
ただ、繊細で警戒心が強い部分があるので、吠えてしまうコが多いという特徴もあります。
吠えられると困る住宅環境の方は、要求吠えには応えず、吠えないようなしつけをしっかりとしておきましょう。
逆に、その警戒心の強さから、頼れる番犬にもなってくれるはずです。
体重が6~7kgほどということもあり、お散歩でもそれほど引っ張られてしまうことはありません。 運動は好きですが、ラフ・コリーほどの運動量は必要ないので、女性やご年配の方にも飼いやすい犬種と言えます。
ラフ・コリーとシェットランド・シープドッグの違いは、大きさだけではありません。
性格や毛色、日本での飼育頭数など相違点は多くあります。
一方、共通点としては、どちらも牧羊犬として活躍していたという点です。そのため、どちらも運動が得意で賢く、しつけもしやすい犬種です。
その他の共通点も詳しく見ていきましょう。
どちらの犬種も、フサフサで豊かな毛並みが魅力的ですが、その毛並みの維持が共通して大変なところです。
換毛期の抜け毛には、どの飼い主さんも手を焼いていることでしょう。
ボリュームのある被毛は手入れをしないとすぐにからまってしまいます。愛犬とのスキンシップも兼ねて、換毛期だけでなく、できるだけ毎日ブラッシングをしてあげるようにしましょう。
ラフ・コリーとシェットランド・シープドッグ共通の注意点として、フィラリアの薬などの副作用が挙げられます。
症状としては、よだれや嘔吐などの軽いものから、最悪の場合は亡くなってしまうこともあります。
この副作用は、「MDR-1」という遺伝子の欠如から起こるものなので、子犬を迎え入れたら、動物病院で「MDR-1遺伝子検査」を受けるようにしましょう。
写真だけで見ると、あまり見た目に違いのない2犬種ですが、性格や大きさ、必要な運動量などはまったく違います。
飼いやすさで選ぶなら、シェットランドシープドッグがおすすめ。毎日、長いお散歩ができて、さらに一緒にアジリティやドッグスポーツも楽しみたいという方は、ラフ・コリーを選んでみてはいかがでしょうか。
どちらの犬種も、愛情深く優しい性格なので、どちらを迎えたとしても素晴らしい家族になってくれるはずです。
▼下記の資料を参考に執筆しました。
(1)PURINA
(2)ジャパンケネルクラブ
(3)ハーツアニマルクリニック