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犬の生態 / 気持ち

2020.08.24

犬の性格は飼い主に似る?最新研究で分かった犬の性格が決まる要因とは

愛犬とふらっと街中に散歩に行くと「うちのコ、臆病なんです」や「このコ、強気で」など、“うちのコ”の性格を話す飼い主さんによく出会います。人間と同じように犬にもそれぞれ性格があります。犬種の違いによる性格の傾向の差はありますが、育った環境によっても犬の性格は異なってきます。そして、注目すべきは『犬の性格は飼い主に似る』という最新の研究成果が発表されたこと。あなたの大切な愛犬は、どんな性格をしていますか?

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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犬種が同じでも犬の性格は十人十色

犬 性格

飼いやすい犬種や人気犬種ランキングでは「優しい」「おとなしい」「従順」などの性格面が強調された紹介文が並びます。果たして、飼いやすいとされる犬種全てが同じような性格を持っているのでしょうか?犬が持って生まれる先天的な性格と環境によって育まれる後天的な性格についてご紹介します。

兄弟犬でも性格は違う

全く同じ母犬、父犬から生まれた子犬でも、一頭として同じ性格を持つ犬はいません。つまり、10頭生まれれば10頭それぞれ異なる性格と個性を持って生まれてくるのです。兄弟犬と親犬が集まる親戚会などに参加したことがある方ならご存知だと思いますが、同じ兄弟でも性格が全く違うことに気がつきませんか?同じ兄弟でも、臆病な子もいれば積極的な子もいるはずです。これは生まれ持った性格で、その犬が持つ先天的な性格と言えます。この先天的な性格は、遺伝的な性格でもあることから犬種特性として紹介されていることが多くあります。

仔犬期の生活環境によって形成される後天的性格

犬の性格形成にとって大切な時期は、生まれてから3ヶ月(4~12週)の社会化期であることはご存知だと思います。この社会化期に、どのような飼育環境にいたかによってその後の性格形成に大きな影響を及ぼすのです。犬は、4~12週の間に、適切な外部の刺激をうけ、人間社会で暮らしていくためのマナーやルールを学びます。具体的には、たくさんの人に会う、両親、兄弟犬以外の犬に会う、生活の音や刺激に慣れさせるなどがあります。犬が暮らしていく上で必要となる日常的な刺激に慣らしておくことが、成犬になった時の性格に現れるのです。これが、後天的な性格です。

犬の性格は1歳までに形成される

1歳までの間に外へ出てさまざまな刺激を受けた犬と刺激の少ない環境で過ごした犬とでは、将来の性格が大きく変わると言われています。刺激の少ない環境で過ごした犬は、臆病、怖がりな性格になり、過剰に吠えたり、攻撃性を持ったりする問題犬となってしまう可能性があるのです。1歳までの時期は、犬の性格を形成する上で、とても大切な時期であると言えます。

犬種グループごとの性格の傾向

犬 性格

麻布大学の獣医学部は、アメリカ・ペンシルベニア大学で開発された犬の行動解析方法を基礎とした犬の性格を客観的に診断できる「C-BARQ」を開発し、多くの犬の解析を行っています。この調査はアンケート方式で行われ、飼い主が約100項目の質問に対して自分の犬を5段階で評価するものです。この結果を13の行動特性に分類することで、その犬種がどのような性格を持っているのかが分かります。麻布大学では、日本とアメリカの59の人気犬種を8つのグループに分けて調査しました。

遺伝的に分けられた8つの犬種グループとは

この調査では、遺伝的に近いと思われる犬種を8つのグループに分けています。なんとなく性格の傾向が掴めるのではないでしょうか?

トイグループ

・チワワ
・パグ
・ポメラニアン
・シーズー
・パピヨン
・ペキニーズ 等

スモールテリアグループ

・ヨークシャーテリア
・ジャックラッセルテリア 等

サイトハウンド・ハーディンググループ

・ウィペット
・ボルゾイ
・コーギー
・ボーダーコリー
・シェットランドシープドッグ 等

スパニエル・セントハウンド・プードルグループ

・コッカースパニエル
・キャバリア
・トイプードル
・マルチーズ
・スタンダートプードル 等

スピッツ、古代犬種グループ

・柴犬
・秋田犬
・シベリアンハスキー
・サモエド
・バセンジー 等

レトリバーグループ

・ラブラドールレトリバー
・ゴールデンレトリバー
・フラットコーテッドレトリバー
・グレートデン
・バーニーズマウンテンドッグ 等

マスティフグループ

・ボストンテリア
・ボクサー
・フレンチブルドッグ
・ブルドッグ 等

行動特性別の結果はちょっと意外な傾向も

この調査では、見知らぬ人への攻撃性、見知らぬ犬への攻撃性、飼い主に対する攻撃性、同居犬に対する攻撃性、見知らぬ人への恐怖、非社会的恐怖、接触過敏性、分離不安、訓練性、愛着行動、興奮性、運動活性、追跡能力の13項目で分析が行われました。

結果を見ると、トイグループは攻撃性や恐怖心が強く、人に触られることが苦手であることが分かりました。また、飼い主に対して愛着する傾向が強く、訓練性が高いのはワーキンググループでした。抱っこされていることが多いミニチュアダックスフンドやチワワ、トイプードルですが、実はあまり抱っこが好きではないのかもしれません。

犬の性格は年齢、ライフステージによって変化する?

犬 性格

アメリカ・ミシガン州立大学の社会心理学者が発表した最新の論文によると、犬の性格は人間と同じように年齢によって変化することが分かりました。調査は、年齢がバラバラな50犬種1681頭とその飼い主たちに、犬の性格と自分自身の性格についてアンケート形式で実施されました。その結果、飼っている犬と飼い主とでは、性格的特徴が似ていることが分かりました。

犬は年齢とともに飼い主の性格に似てくる?

人間と暮らす犬たちは、野生の犬と違い、ある一定の環境で暮らすことが普通です。その暮らしは、飼い主の性格や趣味が強く反映されたものであると考えられることから、犬の性格も飼い主と暮らすうちに変化することがわかりました。

この調査では、犬が高齢になればなるほど訓練が難しくなるといった年齢と性格、また外交的な飼い主が飼っている犬は、元気で活発であること、神経質な飼い主に飼われている犬は怖がりであることなど飼い主と犬の性格が似ていることが分かっています。

最新の研究でわかったしつけの適齢期

この研究では、犬が最も飼い主の言うことを聞き、しつけがしやすい年齢は6歳ごろとしています。その理由として、仔犬期は興奮しやすく、また歳を重ね、落ち着きが出てくるシニアになる前が最適であると発表しています。6歳からのしつけでは遅きに失する気もしますが、犬と一緒に新しい競技やアクティビティを始めるにはちょうどいい年齢かもしれません。

先進国スウェーデンでは犬の気質テストが行われている

犬 性格

動物を最も大切にする国スウェーデンでは、ケネルクラブによって誰でも受けることができる犬の気質テストが行われています。元は、健全な犬の繁殖のために生み出されたテストですが、ケネルクラブに登録されている1歳以上の犬の飼い主なら誰もが受けることができます。テストの結果は、学術研究のためのデータとしても利用されています。

気質テストとは?

この気質テストは、飼い主がアンケートに記入するものではなく、テスト会場に犬とともに訪れて行われます。さまざまな仕掛けをクリアしていく過程で、飼い主にどのようなコンタクトを犬が取るのかを審査員が観察し、評価するものです。このテストによって、飼い主は自分の飼っている犬の性格を客観的に見ることができ、これからの暮らしに役立てることができるのです。

犬を見れば飼い主の性格がわかる

犬 性格

犬の性格は、遺伝的なものとその後の生活環境、飼い主の性格が相まって形成されていくことが研究成果として解明されました。臆病な犬の飼い主は神経質、攻撃的な犬の飼い主はアグレッシブと、飼い主と犬の性格が似ている研究成果はとても納得がいきます。太っている飼い主が連れている犬が肥満傾向にあるのも、この研究によって立証されたのではないでしょうか。犬は自分を映す鏡だと思うと、しつけをする前に自分の性格を見直すべきなのではないかと大きな課題を与えられた気がします。今回の研究を行ったミシガン大学のチームでは、周囲の環境が犬の行動にどう影響するかを研究する予定だそうです。どのような研究成果が発表されるか楽しみですね。

▼参考文献▼
産学連携プロジェクト
ナショナルジオグラフィック
The Japanese Journal of Animal Psychology,
麻布大学学術情報リポジトリ

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

  • 公開日:

    2019.11.10

  • 更新日:

    2020.08.24

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