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健康管理 / 病気

2019.11.22

【獣医師監修】犬の股関節形成不全症ってどんな病気?症状と診断方法

犬の股関節形成不全という病気をご存じですか?あなたの愛犬が股関節形成不全と診断されたらどのように対処したら良いでしょうか?本記事では犬の股関節形成不全症についてご紹介したいと思います。

#Lifestyle

Author :docdog編集部(監修:相澤 啓介/あさか台動物病院 獣医師)

犬の股関節形成不全は、どんな病気?

犬 股関節形成不全

股関節形成不全は股関節の異常な発育状態で、通常両側に生じることが多いです。様々な程度で股関節の周りの靱帯が緩むことで関節が不安定になり、関節を構成する骨の形成異常や関節炎を生じます。

大型犬に多い病気

動物整形外科財団(OFA)というアメリカの団体がX線画像評価を行なったところ、発生率はボルゾイで0.9%からセント・バーナードで47.4%であり、大型の労働犬や猟犬で多く見つかったということが報告されています。

股関節形成不全は超小型犬種や猫にも確認されていますが、これらの動物における不安定な股関節が、一般的に体重が重い犬に認められるような骨の変化を引き起こすことは稀です。

しかし小型犬や猫では軽度の外傷後に起きる股関節脱臼が生じることがあります。

遺伝子性素因と環境的要因

犬の股関節形成不全の発症は複数の遺伝子性素因と環境的要因に影響されます。股関節形成不全の病態の一つとして筋肉と骨格の成長のバランスが悪いことがあげられています。

股関節は出生時には正常ですが、骨格の発達に筋肉の発達が追いつかないと関節が不安定になります。こうして股関節のかみ合わせを維持する靱帯などが破損した結果、股関節の骨の形成異常や変形性関節症を生じます。

犬の股関節形成不全|症状をチェック

犬 股関節形成不全

股関節形成不全の症状は、犬の年齢等によって様々です。

若い犬の場合

若齢犬は突然片側の肢に発症することが多く、後肢の明らかな疼痛のために急に活動性が低下するのが特徴です。起立が困難になり、歩いたり、走ったり、跳んだり、階段を上ったりすることを嫌うようになります。

短く細かい歩幅やウサギ跳びのような走り方が見られることも多いです。この状況は骨格が成熟することで股関節が安定化し、疼痛も大幅に減少することが一般的です。

シニア犬の場合

老齢犬は慢性の変形性関節症とそれに伴う疼痛のため、若齢犬とは違った症状が出ます。後肢を引きずる状態である跛行は通常は両側性です。

症状は時間の経過とともに徐々に悪化するか、または活発な運動の後に突然発症することが多いです。患者は持続的あるいは激しい運動後の跛行、あひる様歩行、股関節の捻髪音、関節可動域の制限などを示します。立つよりも座る方を好み、非常に辛そうにゆっくりと立ち上がることが多いです。

太ももの筋肉が重度に痩せると同時に、重心が頭側に移動して前肢の使用量が増えるため、前肢の筋肉量が増加します。

犬の股関節形成不全の治療法とは

犬 股関節形成不全

罹っていると痛みにより生活の質が下がる股関節形成不全症ですが、どのように対処したら良いでしょうか?まずは診断方法からご紹介します。

診断方法

レントゲン検査で股関節形成不全は診断することが出来ます。先に述べたOFAでは股関節形成不全の登録機関を設立し、2歳齢以上の犬で股関節のかみ合わせに関する重症度分類を決定しています。

治療法①:保存的療法

犬の股関節形成不全の多くは症状が軽度で、無症状の場合もあります。これらの犬の大半には保存的療法を行います。保存的療法には痛み止めの使用、運動制限、体重のコントロールが含まれます。これらにより他の治療を行わなくても徴候が解消することが多いです。

ただし、痛み止めとしてのコルチコステロイドは関節の変性性変化を促進するため、ほとんどの犬における長期的な使用は避けるべきです。

治療法②:予防的処置・救済的処置

外科手術は疼痛を軽減する処置と、将来的に起こる変形性関節症(DJD)を予防または軽減する処置の2つのグループに分けることができます。

予防的な処置は若齢犬、大型犬、股関節形成不全が生じ始めている犬に行われます。三点骨盤骨切り術や恥骨結合融合術、転子間骨切り術という手術が予防的処置に当たります。

大腿骨頭骨頸切除術、股関節全置換術などは疼痛の軽減が目的とした救済的処置となります。

病気と向き合うために

通常は6ヵ月齢までに股関節の靱帯などの強度や骨化は、股関節形成不全を予防出来る程度に成長します。股関節形成不全の発症、重症度、発生率は、子犬の成長を制限することによって、ある程度減らすことができます。また食事の摂取量と成犬時の体重を制限することによって、股関節に負担がかかりにくくなるため、股関節形成不全を伴う犬における変形性関節症の頻度や重症度を減らすことが可能です。さらにレントゲン検査で股関節が正常な犬のみを繁殖させることによって、股関節形成不全の発生率を減らすことができますが、完全になくすことはできません。

股関節形成不全は治療次第で元気に生活できる

犬 股関節形成不全

今回は犬の「股関節形成不全症」についてご紹介しました。愛犬の病気について正しく知ることで、できるだけ愛犬が健康で元気に生活できるようにサポートしてあげてください。

(参考文献)小動物の整形外科・骨折治療ハンドブック第4版, インターズー刊

◎監修者プロフィール

相澤 啓介/あさか台動物病院 獣医師

1988年生まれ。日本大学/生物資源科学部獣医学科公衆衛生学研究室を卒業し、その後、あさか台動物病院で勤務。一般外来のほか、循環器の分野に専門的に携わっています。獣医師という立場から、大切なワンちゃんの健康をサポートするために、正しく分かりやすい情報を伝えたいと思っています。

【 主な所属学会・研究会・団体 】
埼玉県獣医師会、日本動物病院協会、日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会

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