イビザン・ハウンドは、古代にエジプトの王様が狩に用いた狩猟犬であると言われています。極めて優れた嗅覚能力と聴覚により、銃を使用しない穴兎猟で活躍をしてきたとされており、エジプトの墓碑や博物館などで、イビザン・ハウンドの絵(彫刻)が発見されていることから、紀元前3,000~3,400年頃には存在していたと考えられています。
本犬種は起源が古く、現存する犬種の中では、典型的な原始的外貌を有し、強健な犬種の代表である。この犬種の絵は、ファラオの墓碑や博物館の置物に見られるので、紀元前3,400年には存在していたことになる。
イビザン・ハウンドは、英語でIbizan Houndと書きます。紀元前8世紀頃に、当時スペイン領であったイビザ島で『イビザ』と呼ばれるようになったことが名前の由来とされています。島の人々によって厳正に管理されてきたことから、純血種として守られてきました。
イビザン・ハウンドは、一部の地域では「カ・エイビセック」という犬種名で知られています。また、別の地域では、マジョルキー、サルネロ、マジョルカイス、シャルネグ、シャルネギー、バレアリック・ドッグといった名称で呼ばれることも。祖先はファラオ・ハウンドと言われています。
イビザン・ハウンドはスペイン原産の犬です。かつては鋭い嗅覚を使ってウサギの狩りをする猟犬として活躍していました。今では家庭犬として飼われていることが多いですが、嗅覚ハウンドならではの特徴が見られます。まずは体格や体質、被毛の特徴などからご紹介していきます。
イビザン・ハウンドのオスとメスの標準体高・体重は以下の通りです。ただし、骨格による個体差があるため、あくまでも目安となります。
・標準体高:オス66~72cm / メス60~67cm
・標準体重:オス23kg前後 / メス19~22kg
筋肉質でお腹がキュッと引き締まっているスリムな体型をしています。また、アンバーやキャラメル色をした神秘的な瞳も特徴です。
そして、嗅覚を活かした狩りをしていただけのことはあり、他の犬種と比べて嗅覚が優れているほか、機敏に動くこともできます。走るスピードや跳躍力も長けており、抜群の運動能力を誇ります。
イビザン・ハウンドの被毛は、スムースコートとワイヤーコート(上毛が硬く針金状の毛質のもの)があります。抜け毛は少ないため、週に1回ピンブラシでブラッシングをする程度で十分です。毛色はレッド(赤みがかった茶色)やホワイト、ホワイト&レッドなどがあります。
イビザン・ハウンドは飼い主への服従心が強く、愛情深く接してくれます。また、友好的な性格なため、飼い主や家族だけでなく他の犬とも仲良くなれます。
加えて、知的で環境への適応力が高いのも特徴です。全体的にみて、よき家庭犬となれる性格を持っていると言えるでしょう。
イビザン・ハウンドを育てる際は、猟犬の気質を理解してあげることがポイントです。
イビザン・ハウンドは寒さに弱いため、冬場は寒さ対策が欠かせません。体を丸めて横になりブルブルと震えているときは寒いと感じています。室温が20~24度くらいになるよう、部屋を暖かく保ってあげましょう。
また、エアコンを使用する場合は、サーキュレーターも一緒に活用するとよいでしょう。エアコンを稼働していても、暖かい空気は部屋の上に、冷たい空気は下に溜まりがちなので、サーキュレーターがあると空気を循環させることができ、部屋が均一に暖まります。
猟犬の気質があるイビザン・ハウンドは、ボール遊びやロープの引っ張りっこなど、狩猟本能を満たす遊びをしてあげると運動をしながらストレス発散ができます。
また、エネルギッシュでスタミナがあるため、1時間程度の散歩を1日2回は必要です。なお、散歩といってもジョギングも取り入れたりなど、運動量の高い散歩が望ましいです。運動量が足りないと体力が有り余り、ストレスを感じるようになってしまいます。
さらに、走ることやジャンプなども得意なので、ドッグランでたくさん走らせてあげるなどもしてあげたいところです。
このように多くの運動量が必要なため、イビザン・ハウンドを飼う場合は、それ相当の体力が求められます。
イビザン・ハウンドは、猫や鳥などの小動物を見つけると猟犬の本能が働き、追いかけようとすることがあるので、「オスワリ」や「マテ」のしつけは特に徹底しておく必要があります。
制止のトレーニングは家の中でだけでなく、散歩の途中や公園、街中などさまざまな場所で行い、どんな状況でも従えるようにすることが大切です。
イビザン・ハウンドは服従心が強く、優しく穏やかな性格なので比較的飼いやすい犬種です。ただし、毎日長時間の散歩が欠かせないため、体力に自信がある人に向いています。しつけはしやすいほうなので、子犬の頃からトレーニングをすれば、よき家庭犬になってくれるでしょう。