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犬にまつわる雑学

2020.01.31

【専門家が解説】もしも野良犬を見かけたら|日本の野良犬事情・出会ったときの対処法

最近では、あまり見かけることがなくなった野良犬ですが、少し前までは日本でも街中に野良犬が徘徊している時代がありました。 現在日本で「野良犬」と呼ばれている犬は、家庭で育てられていた犬が脱走してしまったり、悲しいことに捨てられてしまったりして、飼い主がいない犬のことを指します。 今回は、万が一、野良犬に出会ってしまった場合の対処法や、保護された野良犬のその後など、昨今の野良犬事情についてご紹介します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士(監修:阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師)

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野良犬と野犬の違いは?

野良犬

一般的に日本で野良犬と言うと、飼い主がいない犬のことを指します。 野犬と混同されがちですが、野犬は野山に生息する野生化した犬を指し、人間に飼育された経験を持たない場合が多く、人間に対して強い警戒感を示すことがあります。 もともとは野犬も人間に飼われていた犬になりますが、山や廃墟に集団で暮らし、繁殖していくうちに人間の手を知らない犬が多く存在するようになっていきました。

一方、野良犬は家庭犬として飼われていた犬が、何らかの事情で捨てられる、災害などで飼い主と離れ離れになってしまう、脱走によって迷子になってしまうなど、飼い犬として人間と暮らしていた経験を持つ犬のことを指します。

野良犬を日本で見かけない理由

野良犬

海外では、まだ野良犬が街中を徘徊している国も多くあります。

日本でも、数十年ほど前までは繁華街や住宅街を徘徊する野良犬が多く、大きな社会問題となっていました。 しかし、昭和から平成へと時代が移り、犬の飼い方も番犬から家族の一員、パートナーへと認識が変わったことにより、外飼いから室内飼いへと生活スタイルが変化しました。

昭和の時代は、敷地内での放し飼いも当たり前のように行われていたため、犬は自由に街を徘徊することができました。雄犬は雌犬を見つけると子犬を作るなど、繁殖に関しても管理されていないことが多く、野良犬化した犬が多かったのではないかと推測されます。

飼い主の意識変化

野良犬を見かけなくなった理由の一つとして、外国産の純血種が人気となったことも挙げられます。

それまで、繁殖に対してあまり関心のなかった人たちもブリーダーという存在を知ることで、犬に対する考え方が大きく変化したのではないでしょうか。

また、昭和25年に狂犬病の発生・蔓延を予防するための法律『狂犬病予防法』が制定されたことにより、飼い犬の登録が徹底されたことも野良犬が減少した要因と言えます。

動物愛護法の成果

1973年に成立した「動物の保護及び管理に関する法律」を原型として、終生飼養、適正飼育、迷子・逸走防止、所有者の明示などを盛り込んだ「動物の愛護及び管理に関する法律」(通称動物愛護法)が2000年に施行されました。

この動物愛護法が施行されたことによって、飼育不能となった犬を行政が引き取ることが義務付けられ、捨て犬という存在が減ったことも事実です。

また、2019年6月には、飼い犬にマイクロチップ装着を義務付けることが盛り込まれた「改正動物愛護法」が成立したことから、野良犬はさらに減少することが期待できます。

野良犬を見つけた時の対処法とは

野良犬

野良犬を見かけなくなったとはいえ、ゼロになったわけではありません。
ある日、何かのきっかけで野良犬に遭遇してしまったら、あなたならどうしますか?
ここでは、野良犬に遭遇した時の適切な対処法をご紹介します。

野良犬に遭遇したらまず犬の状態をチェック

犬が放浪しているのを見つけたら、むやみに保護しようとせず、まずはどんな犬かをよく観察することが大切です。 近づくことが難しい場合は、犬の大きさや色、特徴、分かれば犬種をチェックします。 スマートフォンがあれば、写真を撮影することも有効な手段となります。

さらに、見かけた場所や日時を詳しく伝えることも大切です。 もし、至近距離まで近づくことができた場合には、首輪やリードの有無、色、ネームプレート、犬鑑札などが付いていないかなどもチェックしましょう。 また、怪我をしていないかどうかも見える範囲でチェックします。

公的機関へ電話をしましょう

野良犬の状態がわかったら、地域の警察、保健所、動物愛護センターなどの公的機関へ連絡をしましょう。 その際に、なるべく詳しくその犬の状況を伝えることが大切です。

飼い主が探している場合には、市役所、町役場や警察、保健所などに連絡が入っている可能性があります。 もし犬が移動している場合は、どちらの方面へどのように移動していたかを伝えることがとても大切です。 野良犬の場合、怪我をしていない限り、一か所にとどまっている可能性は少ないため、逃げていった方面を詳細に伝えることで、捜索の範囲を特定しやすくなり、早期に保護することが可能となります。

SNSを利用するのも一つの方法

公的機関へ連絡した後に、こんな犬が放浪していたとSNSに投稿することも有効な手段です。 SNSには迷い犬専門のサイトがいくつかあるので、そういったサイトに投稿することで飼い主に情報が伝わる可能性もあります。

その際には写真が大きな手がかりとなるので、必ず見つけた野良犬の写真を撮影するようにしましょう。

野良犬が保護された後は

野良犬

野良犬が保護されると、飼い主が探している犬かどうか公的機関から飼い主の照会が行われます。 飼い主が探している場合には、無事飼い主に返還されることになります。

しかし、残念ながら飼い主が探していない場合は、保健所または愛護センターへと移送されることになります。

飼い主が見つからなかった野良犬は

飼い主が見つからなかった場合は、その地域の保健所や動物愛護センターの規則に基づいて一定期間収容されることになります。 収容されている犬は里親探しの対象となり、保健所や動物愛護センターが開催する譲渡会や保護団体などの協力を得て、新しい飼い主さんを探すことになります。

野良犬には安易に近づかないことが鉄則

野良犬

見知らぬ犬が放浪している場面に遭遇したら、犬好きとしてはついつい保護してあげようかな?などと考えてしまいがちです。 しかし、近辺を探している飼い主さんがいる可能性も考えられますし、その犬が病気を持っていたり攻撃的な性格である可能性もあります。 どんなに可愛くても、やはりまずは公的機関に届けることが先決と言えるでしょう。 野良犬はとても悩ましい問題ですが、改正動物愛護法によって一頭でも不幸な犬が減ることを願ってやみません。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

◎監修者プロフィール
阿片 俊介

阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師

茨城県出身。日本獣医生命科学大学を卒業し、認定動物看護師の資格を取得。 千葉県の動物病院に勤務後、動物用医薬品販売代理店にて動物病院への営業を経験。 犬とのより良い暮らしをサポートできるよう、飼い主の方の気持ちに寄り添いながら、安心して正しい情報をお伝えできるよう心がけています。

  • 公開日:

    2019.10.27

  • 更新日:

    2020.01.31

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