犬の身体にできるいぼの多くは「パピローマウイルス」が関与していると言われています。
このウイルスは一般的に見られるもので、免疫力があればウイルスによる影響を受けないこともありますが、子犬や高齢犬など免疫力が低下した犬では、ウイルスが原因となるいぼができやすい傾向にあります。
原因がウイルスによるいぼは、接触などにより伝播することがありす。
犬のいぼを触った手で他の部位を触ることでいぼが増えたり、ウイルスの種類によっては人に移るケースもあります。
いぼは触ると大きくなることもあるので、気になるかもしれませんが極力触らないようにした方が良いでしょう。
いぼができても、痛みや痒みを感じることはあまりないため、大抵は無症状です。
ただし、いぼは盛り上がっているのでブラッシングで引っかけたり、首にできると首輪と擦れることがあります。
傷つくと痛みや痒みを伴い、更に犬が気にしていじることで症状が悪化する可能性があります。
舐めたり傷つけてしまうようであれば、動物病院を受診することはもちろん、エリザベスカラーを着用し触らせないなどの工夫も必要です。
いぼの多くは良性ですが、中には悪性のものもあります。
また、良性であっても時間の経過と共に悪性に変わる場合もあります。
確実に判断するには動物病院で検査してもらうことがベストですが、いぼの特徴からある程度目安をつけることができます。
良性の可能性が高いいぼはサイズが小さく1cm未満で、白や肌色、ピンクなど比較的明るい色をしているものが多いです。
触ってみると柔らかい感触があります。
いぼのサイズに関わらず、黒や紫、赤黒いものは悪性の可能性が高くなります。
触れると硬く、良性のいぼと違い時間の経過と共に徐々に大きくなることがあります。悪性のいぼの例には次のようなものがあります。
扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)は、皮膚だけでなく口腔の粘膜や膀胱にも発生する腫瘍です。リンパ節や肺に転移することがあります。
悪性黒色腫はメラノーマとも呼ばれる腫瘍で、高齢犬に多く発生する傾向があります。進行が早いため、発生が確認された時点で転移している可能性があります。
いぼの多くは良性のため、治療をせずに経過観察になる場合が多いです。
ウイルスが原因のいぼであれば、治療せずに数週間から数ヶ月で自然に消えることもありますが、犬が気にして触ったり、出血するようなケースでは外科的に切除した方が良い場合もあります。
切除の方法は様々で、全身麻酔下でメスや医療用の穴開けパンチを使い根元から取ったり、無麻酔で糸で結び、血行を遮断していぼを壊死させる方法などがあります。
次第に大きくなる、色が黒っぽいなど悪性のいぼの疑いがある場合には、早めに切除した方が良いとされています。
取り残しが無いよう根元から切除し、採取したいぼは病理検査をしていぼの種類を判別します。
悪性腫瘍との診断であれば、抗癌剤治療や放射線治療が選択されることがあります。
犬にできるいぼの多くは良性であり、自然に消えてしまうこともあります。
白っぽく小さいままであれば様子を見ても良いかもしれませんが、もし悪性だった場合には急に大きくなり切除する範囲が広くなったり、リンパ節や肺に転移してしまう可能性があります。
先述したいぼの判別方法はあくまで判断材料ですので、万全を期すならば早めに動物病院を受診することをお勧めします。