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健康管理 / 病気

2020.01.20

【獣医師監修】犬に出来る脂肪腫とは?代表的な症状や診断方法・治療法を解説

愛犬の身体を触っているとき、「しこり」のような「デキモノ」のようなものを見つけたことはないですか?愛犬の身体に「しこり」や「デキモノ」を発見したときに、考えられるもののうちに脂肪腫が挙げられます。今回は、犬にできる脂肪腫について解説していきます。

Author :docdog編集部(監修:相澤 啓介/あさか台動物病院 獣医師)

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犬の脂肪腫ってどんな病気?発生部位や症状について

犬 脂肪腫

犬の脂肪腫は、シニア犬でしばしば見られる脂肪組織由来の良性腫瘍です。できやすい場所や症状について解説します。良性腫瘍と言うくらいのなので、それ自体は身体に害がなくとも、発生部位によっては症状や対処に注意が必要です。

犬の脂肪種|種類と発生部位はさまざま

犬の脂肪腫は、皮膚のすぐ下、皮下組織で発生することが多くなっています。まれに肺や心臓など胸部の内臓が位置する胸腔(きょうこう)内や、胃や腸など腹部の内臓が位置する腹腔(ふくこう)内、脊髄が走っている背面の細い空間、脊柱管(せきちゅうかん)内でも発生することがあります。

また、太もも部分である大腿(だいたい)部に発生する筋肉内脂肪腫が見られることもあります。

他にも、湿潤性脂肪腫といって、同様に悪性腫瘍の特徴がない脂肪細胞から構成されているものの、局所に入り込んでいく浸潤性と呼ばれる性質がきわめて強く、時には骨にまで達することもある怖い脂肪腫があります。湿潤性脂肪腫は、身体の別の部位に遠隔転移することはないと考えられていますが、その強い浸潤性から脚の切断などの外科手術が必要となる場合があります。

脂肪腫とは異なりますが、脂肪肉腫という珍しい悪性腫瘍もあります。多くの場合は体幹や四肢の皮下に形成されますが、骨や腹腔内に発生した例もあり、局所的な浸潤性が強いことから、肺、肝臓、脾臓および骨などへの転移も報告されています。

犬の脂肪種|症状はあるの?

体の表面にできる皮下脂肪腫は、痛みなどが起こらず無症状であることが多いです。また、極端に大きさや見た目が変わることは少なく、気づいたときから大きくなったり小さくなったりすることは珍しいです。

一方で、大腿部(太もも部分)に筋肉内脂肪腫ができると、跛行(はこう:足を引きずる症状)が見られることもあり、発生部位によっては臓器の働きを邪魔して、その場所に応じた症状が出ることがあります。

犬の脂肪腫|自宅で診断する方法はあるの?

犬 脂肪腫

愛犬の身体にできた「しこり」。それが脂肪腫かどうかを自宅で判断することは難しいでしょう。異変を感じたら、かかりつけの獣医師に診察してもらうことがおすすめです。

脂肪腫の診断方法は?

脂肪腫が疑われる場合、実際の診察ではどんなふうに診断が下りるのでしょうか?

基本的に脂肪腫の診断は、腫瘤(しゅよう:しこりのようなもの)に針を刺して組織を採取する針生検(はりせいけん)によって、細胞診を実施することで診断されます。
しかしながら、浸潤性脂肪腫の場合は、細胞診だけでは細胞の形態は通常の脂肪腫と区別できません。より確かな診断のために周囲の組織を含めた組織を手術で切除し、切除した組織を病理組織検査でより詳細に検査する必要があります。

また、細胞診で脂肪腫と判断される場合でも、急激に大きくなったり見た目が変わるようであれば浸潤性脂肪腫が疑われることから、手術による検査を行うことがあります。

脂肪肉腫の場合は、細胞のかたちが明らかに異なることから、脂肪腫との区別はしやすくなっています。とは言え、細胞診のみで脂肪肉腫を確定診断することは危険なので、病理組織検査を行う必要があるでしょう。

犬の脂肪腫|治療方法や病気との向き合い方は?

犬 脂肪腫

愛犬に脂肪腫という診断が下りた場合、どういった治療を行うことになるのでしょうか?病気との向き合い方も併せて解説します。

愛犬が脂肪腫と診断された。その治療法とは?

犬の脂肪腫は、無症状で見た目の大きさが極端に変化がなければ、無治療でも良いことが多いです。
しかし、腫瘤(しゅよう:しこりのこと)が周辺を圧迫して、身体の一部に機能障害が見られる場合は外科手術をおこなうこともあります。

浸潤性脂肪腫で手術するときは、切除が不十分だとすぐに再発する可能性が高いので、できる限り大きく切除するか、四肢に発生した場合には足を切断してしまうなどと大がかりな外科手術になることも考えられます。外科手術での切除が不十分であった場合は、放射線療法や化学療法が選択されることもあります。化学療法として、ドキソルビシンという抗がん剤が有効であったとも報告されています。

脂肪肉腫の場合の治療は、基本的に浸潤性脂肪腫と同様の対応となります。

愛犬が脂肪腫になったら、どのように向き合えばよいの?

良性腫瘍である脂肪腫が心配される場合は、一度かかりつけの獣医師に相談するのが良いでしょう。
そこで浸潤性脂肪腫や脂肪肉腫と診断された場合でも、外科的に完全切除されれば予後は概ね良好とされています。
自己判断で放置せず、まずは動物病院で早期に診察してもらうことをおすすめします。

犬の脂肪腫はあまり悪さをしないことが多いけれど

犬 脂肪腫

犬の脂肪腫は、通常であれば問題になることはありません。
しかしながら、脂肪腫に似た浸潤性脂肪腫や脂肪肉腫は治療が必要な病気です。愛犬の身体に「しこり」や「デキモノ」を見つけた場合は、その他の病気である可能性も考慮して、早めに動物病院で相談するようにしてくださいね。

『犬と猫の治療ガイド 2015 私はこうしている』インターズー刊

◎監修者プロフィール

相澤 啓介/あさか台動物病院 獣医師

1988年生まれ。日本大学/生物資源科学部獣医学科公衆衛生学研究室を卒業し、その後、あさか台動物病院で勤務。一般外来のほか、循環器の分野に専門的に携わっています。獣医師という立場から、大切なワンちゃんの健康をサポートするために、正しく分かりやすい情報を伝えたいと思っています。

【 主な所属学会・研究会・団体 】
埼玉県獣医師会、日本動物病院協会、日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会

  • 公開日:

    2019.10.16

  • 更新日:

    2020.01.20

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