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予防接種を受けている犬
健康管理 / 病気
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2021.04.09

【獣医師監修】犬の予防接種は毎年必要?いまさら聞けない予防接種の基礎知識まとめ

毎年みなさんのおうちにも、動物病院や市町区村から、犬の予防接種についてのお知らせが届きませんか?忙しい日常のなかで忘れてしまうこともあるので、こういったお知らせのハガキなどは助かりますよね!
ですが、もし予防接種についてよく知らないと「どんなものか分からないものを、愛する犬の体内に注入させている」ことに不安になってしまいます。ここでは、犬の予防接種の必要性や受けさせ方・費用・受けるときの注意点などをまとめて解説していきます。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:ドックドッグ編集部)

犬の予防接種は義務?予防接種の必要性とは

予防接種をされる犬

予防接種はどんな犬にも必要なものでしょうか?ここでは法律で定められている予防接種の義務と、任意で受けることができる予防接種について解説をします。

【義務】狂犬病予防接種

狂犬病は哺乳類すべてに感染し、有効な治療法がないため、発症すると100%死亡するというとても恐い病気です。アジアではほとんどが狂犬病を発症した犬に噛まれることでヒトへ感染しています。

日本でも多くの犬やヒトが感染し死亡したため、1950年に狂犬病予防法が制定されました。そして制定からわずか7年で狂犬病を撲滅し、日本は現在も世界で7地域しかない「狂犬病清浄国」で在り続けています。このような背景から、犬の飼い主には狂犬病予防法という法律に基づき、毎年必ず狂犬病の予防注射を受けさせることが義務づけられています。

なお、やむを得ない理由もなく以下の義務を行わない場合には、20万円以下の罰金の対象となります。

狂犬病予防法による飼い主の義務

  • 市町村に犬を登録すること
  • 犬に毎年、狂犬病の予防注射を受けさせること
  • 犬に鑑札と注射済票を付けること

【任意】感染症予防接種~混合ワクチン~

飼い主が任意で愛犬に受けさせるか判断することができるのが感染症の予防接種です。混合ワクチンは、任意とは言え、致死率の高い複数の感染症から犬を守ることができるため、必要性は高いと言えます。混合ワクチンの場合も、概ね年1回のワクチン接種が必要です。

犬の予防接種の受けさせ方・費用って?

予防接種用のキット

それでは、犬の予防接種はどこで受けることが出来るのでしょうか?狂犬病予防注射と混合ワクチン注射について、費用も含めてそれぞれ解説します。

狂犬病予防注射は動物病院で6,550円~

市町村指定の集団接種、またはかかりつけの動物病院で個別接種します。集団接種の場合、費用は3,000円程度です。動物病院で個別接種する場合の費用は、それぞれの病院で異なります。

また、市町村への登録費用は3,000円程度、注射済票の発行手数料は550円程度別途でかかります。

混合ワクチンの種類は選択できる

感染症を予防する混合ワクチンは2種~10種まで種類があります。数字が大きくなるにつれて、予防できる病気が増えていきます。
実は、動物病院によって取り扱っているワクチンの種類は異なりますので、かかりつけの動物病院では何種のワクチンが選択できるのかを、先生に尋ねてみると良いでしょう。そうすることで、獣医師に相談し、愛犬の生活環境等に合わせた最適な種類のワクチンを選ぶことができます。

それぞれの混合ワクチンで予防できる病気

  • 2種=「「犬パルボウイルス感染症」「犬ジステンパー」
  • 5種=2種+「犬伝染性肝炎」「犬アデノウィルス2型感染症」「犬パラインフルエンザウィルス」
  • 6種=5種+「犬コロナウィルス感染症」
  • 7~10種=5種または6種+「犬レプトスピラ症」

犬レプトスピラ症は多数種類があり、数字が大きくなるごとに予防できる種類が増えます。レプトスピラ症はネズミを媒介して感染する感染症です。アウトドアなど自然の多い場所へ行くことが多い場合には予防しておいたほうが安心です。

命の危険にかかわる怖い病気はパルボウイルス感染症ジステンパーです。最低でもこの2つの病気への予防は必要です。

混合ワクチンの費用

混合ワクチンの費用は接種する種類が多くなるにつれ高くなります。また動物病院によって料金は異なります。接種前に事前に確認しておくと安心ですね。

犬の予防接種を受けるときの注意点はある?

抱きかかえられた3頭の犬

では、実際に犬の予防接種を受けるとき、どのようなことに注意が必要なのでしょうか?大切な注意点を見ていきましょう。

接種前|午前中・愛犬が元気なとき

犬の予防接種は、できる限り午前中に受けましょう。万が一体調に異変が起こった場合、その日のうちに動物病院へ駆け込めるようにするためです。

犬がいつも通り元気な日を選びましょう。体調や行動に変わったところはないか、飼い主にしか分からないことはたくさんあります。

接種後|動物病院で様子を見る

犬が予防接種を受けたあとは、しばらく動物病院で様子をみましょう。最も危ない副作用である「アナフィラキシーショック」は注射後数分で症状が現れます。命を落とす可能性も考えられる副作用ですので、一刻も早い処置が必要となります。

帰宅したあとに顔が腫れる、異常に痒がる、斑点が現れるなどの「遅延型アレルギー」にも注意が必要です。これらの症状が見られた場合は自己判断で様子を見たりせず、動物病院で診察を受けましょう。

翌日まで激しい運動は避け、身体を休ませてあげてください。シャンプーやトリミングも数日間は避けるようにしましょう。

犬の予防接種は信頼できるかかりつけの病院で

ぬいぐるみを抱いている犬

犬の予防接種、特に混合ワクチンについては、飼い主と先生が相談し合うことが大切です。どこの病院でも同じではなく、やはり日頃から犬の身体や体調を診てくれている先生に予防注射もお願いするのが一番かと思います。

最近では高齢や持病によって、ワクチンの負担をあまり体にかけられない子には抗体検査と呼ばれる病気に対する免疫の力を数値で判断する検査をし、ワクチンの接種を打たなくても充分に防御できるかを判断することもあります。信頼できるかかりつけの先生と相談しながら、種数や方法を含めどのような形で行うのがおうちの子にとって最善か決めていただけたらよいと思います。

  • 公開日:

    2019.10.24

  • 更新日:

    2021.04.09

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。