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健康管理 / 病気

2019.11.21

【獣医師監修】犬に下痢や血便の症状が見られたら。原因や治療方法とは


動物病院には、犬の便に関する症状にお悩みの方が多くいらっしゃいます。特に下痢は来院される理由として非常に多いと言えます。また、下痢とは別あるいは同時に血便が生じることがあります。本記事では犬の下痢や血便について、その原因や診断法、治療法について紹介していきます。

#Healthcare

Author :docdog編集部(監修:相澤 啓介/あさか台動物病院 獣医師)

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下痢や血便が見られたら、犬はどんな状態になる?

犬 下痢 血便

下痢や血便が生じたとき、愛犬はどういった状態なのでしょうか?症状や原因について紹介します。

下痢のとき、犬の体には何が起きているの?

下痢というのは水分含有量が増加し、通常よりも柔らかい便や液体状の便を排泄することを指します。

また水分含量により、軟便、泥状便、水様便に分けることが出来ます。下痢を起こす多くの病気では、腸の分泌過剰、透過性の亢進(こうしん)、腸の蠕動(ぜんどう)運動の変化など様々な原因により糞便中の水分が増量します。

腸の分泌過剰は、小腸の細菌疾患で多く見られ、その結果、腸粘膜の水分分泌と吸収のバランスが崩れ、水分を吸収する能力を持つ大腸の吸収能力を上回る過剰分泌により下痢になってしまいます。

透過性の亢進は、腸の中に非吸収性の物質が増加することにより、腸管内の浸透圧が上昇して起こります。

運動性の変化は、亢進であれば、水分の吸収が妨げられ、十分な消化が受けられないために、細菌の発酵産物により腸管内容物の浸透圧の上昇や腸管の刺激を招き、糞便の水分含有量が上昇します。逆に低下すると、消化管内細菌の変化が生じ、異常発酵となり粘膜刺激を惹起されます。

血便とは?

血便は赤い色調の「鮮血便」、真っ黒い「タール状便」に分けることが出来ます。一般に上部消化管(胃や小腸など)での出血は、黒色便(タール状便)、下部消化管(大腸や肛門付近)での出血は鮮血便となります。

犬の下痢・血便の原因、検査法は?

犬 下痢 血便

診断の流れ

動物病院の獣医師が下痢の動物を診るときにまずは問題の部位が小腸なのか大腸なのかをまず分別します。小腸性下痢の場合、糞便量が著しく多く、排便回数も多く見られます。未消化物が見られることもあります。また、それに伴って嘔吐や体重減少、脱水も認められることが多いです。

それに対して大腸性下痢は、いわゆる我々が想像する「下痢」のことで、糞便量は正常かやや増加する程度で、排便回数が著しく増加し、排便の姿勢を何度も取る「しぶり」と呼ばれる症状が認められます。嘔吐や体重減少は少なく、ゼリー状の粘液が付着していることも多いです。また診断する際は、症状が出たばかりの「急性」なのか、長期間症状が出ている「慢性」なのかも同時に判断します。これらは飼い主さんの話から判断をしていきますので、普段から愛犬の様子をしっかり観察しておくことがポイントとなります。

原因となるのは?

多くの急性小腸性下痢は、『感染症』『中毒』『膵炎』が疑われます。また、急性小腸性下痢では『食べ過ぎ』『早食い』『ゴミあさり』などが原因で一時的に消化不良を起こした場合にも認められます。

動物病院に来院される患者犬の多くが、体調の悪い様子はなく、下痢のみの症状が見られるため、慢性小腸性下痢であれば消化液を分泌する膵臓が上手く働かない膵外分泌不全・寄生虫症・甲状腺機能亢進症・腫瘍性疾患・炎症性腸疾患などの免疫介在性疾患、食物に含まれるアレルゲンが原因の食物アレルギーを疑われます。

急性大腸性下痢も感染症が疑われ、慢性大腸性下痢症は寄生虫性・腫瘍性疾患・免疫介在性疾患が疑われます。

検査法は?

疑われる病気によっても違いますが、まずは糞便を一部顕微鏡で観察し、細菌の状態や寄生虫感染の有無を確認する糞便検査を行います。上述の飼い主さんの話や糞便検査の結果を受けて、必要に応じて膵炎や膵外分泌不全などを診断するための血液検査、腫瘍性疾患などを見つける目的の単純X線検査や腹部超音波検査を行います。また消化不良などを疑い、一時的に症状に対する治療を行い、反応を見る「診断的治療」を行うこともあります。

犬が下痢・血便になったら。その治療法は?

犬 下痢 血便

上述したとおり、下痢や血便には様々な原因があり、その治療法は多岐にわたります。それぞれの原因に対する治療は、ここでは割愛し、一般的な治療のみご紹介します。

実際の治療方法について

下痢は体液の漏出なので点滴がメインになります。また小腸性下痢の多くは細菌性が多いので抗生物質も併用して二次感染を防ぎます。消化管の運動機能の亢進があるようであれば、ベルベリンなどの消化管の動きを押さえる薬を使用します。腸粘膜の保護と修復を目的に整腸剤や消化器疾患用の処方薬を使用することもあります。

愛犬の下痢・血便に遭遇したら。

犬 下痢 血便

ご紹介したように下痢や血便の原因は非常に様々なものがあります。飼い主さんの自己判断で治療を行うことは、的外れな治療だったり、あるいは逆に悪化を招いたり、重篤な病気を見落とし手遅れになるような可能性は否定できません。愛犬に下痢や血便が認められたら、早めに近くの動物病院を受診するようにしましょう。

  • 公開日:

    2019.10.14

  • 更新日:

    2019.11.21

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