にんじんは、緑黄色野菜の王様と呼ばれるほど豊富な栄養が詰まっている野菜です。βカロチン(ビタミンA)のほかに、ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンKが豊富に含まれています。また、カリウム、カルシウム、食物繊維、ルテイン、葉酸、鉄分、マグネシウム、リン、亜鉛とたくさんの栄養素が詰まっています。中でも、体内でビタミンAに変化するβカロチンは、にんじんの代名詞とも言えます。
βカロチンとは、緑黄色野菜に含まれるカロテノイドの一種で、天然の動植物に存在する色素のことを言います。にんじんのβカロチン含有量は、かぼちゃやほうれん草の2倍以上と野菜の中ではダントツ。βカロチンは、抗酸化作用に富み、活性酸素の働きを防ぐ役割を果たしてくれます。このβカロチンは、体内でビタミンAに変換され粘膜を正常に保ち、免疫力を向上してくれる効果が期待できます。また、にんじんに含まれている豊富なビタミン類が、ビタミンAとの相乗効果で抵抗力を高めてくれるのです。
ミネラルの一種であるカリウムは、犬の健康を維持するために必要な栄養素です。カリウムには、ナトリウムや老廃物を排泄する働きがあります。カリウムが不足すると、筋肉の収縮、不整脈、エネルギーの生産が阻害されることから起こる栄養失調などの他に、極端な場合は突然死が起こることもあります。逆に、過剰摂取すると歩行困難や血圧が下がりやすくなったり、腎臓疾患を招くこともあるので、腎臓の悪い犬には注意が必要です。
にんじんには、ペクチンと呼ばれる水溶性の食物繊維が豊富に含まれています。このペクチンは、整腸作用などに効果のある働きをするため第6の栄養素と呼ばれることもあります。食物繊維は便秘を防ぐ上で必要不可欠な成分です。食物繊維は、脂質、糖、ナトリウムなどを吸着して体外に排出する働きがあります。
にんじんは、皮と実の間に栄養が詰まっているので犬に食べさせる場合にはぜひ皮付きのままあげましょう。βカロチンは加熱することで、吸収率がアップします。茹でることによってカリウムの量を減らすこともできます。油との相性が良い栄養素でもあるので、茹でたにんじんをココナツオイルやオリーブオイルでソテーしたり、柔らかく茹でたものを油と一緒にミキサーにかけてピューレ状にしてあげましょう。
また、葉付きのにんじんが手に入った時には、栄養価の高い葉も一緒に油で炒めてトッピングしてあげてください。
にんじんは、身近にある栄養価の高い野菜ですが、犬は生の野菜を消化することが苦手です。中には、消化不良を起こす犬もいるので、初めてあげるときには柔らかく煮るなど加熱調理することがおすすめです。また、βカロチンやカリウムは摂りすぎると病気の引き金になる可能性もあります。豊富な栄養素や食物繊維が犬のカラダに負担をかけてしまうこともあります。特に腎臓疾患や肝臓の数値が高い犬には注意が必要です。
にんじんには、βカロチンが多く含まれている野菜です。βカロチンは犬の体内で必要量だけビタミンAに変換されるプロビタミンAとも呼ばれる栄養素です。ビタミンAは脂溶性ビタミンのため、過剰に摂取すると体内に蓄積され、ビタミンA中毒を起こす可能性がありますが、βカロチンは水溶性のため過剰に摂取しても体外へ排泄されるため、中毒症状を引き起こすことはありません。
にんじんに含まれているβカロチン当量は、100gあたり8600μgとされています。犬にとってβカロチンの必要量は、代謝エネルギー1000kcalあたり1250IU(AAFCO2016の基準値)とされていますので下記の量を目安に考えると良いでしょう。
犬ににんじんを与える際の1日分の目安量
にんじんを使った手作りご飯・トッピングのレシピを3つご紹介します。
にんじんに含まれているβカロチンは、油と一緒に摂取することで吸収率がアップします。また、ボーンブロスとも呼ばれ栄養価の高い鶏ガラスープを使用することで、食欲のない病中・病後やシニアなどの栄養補給としてもおすすめできるレシピです。なお、このレシピは、かぼちゃでも応用ができます。
冷蔵庫で冷やすと、鶏ガラスープのコラーゲンがプルプルに固まりゼリー状になるため、暑い夏のトッピングにも最適です。
材料
作り方
手軽に作れて栄養価の高いにんじんゼリーは、暑い日のおやつにもピッタリ。すりおろしにんじんは加熱しないので、野菜の持つ酵素が損なわれません。
材料
作り方
愛犬の誕生日ケーキに手作りのケーキを作りたいという時におすすめしたいのがキャロットケーキです。人間用には、スパイスやナッツをふんだんに入れ、フロスティングでデコレーションして作りますが、犬用の場合はジンジャーパウダーだけでフロスティングはせずに作りましょう。シナモンにアレルギーがない場合は、シナモンを入れればさらに美味しさがアップします。
材料
作り方
犬にとって、生で食べても甘くて美味しいにんじん。丸のままの生野菜の消化が苦手な犬には、すりおろしやスムージーも有効です。また、手作りのにんじんクッキーやにんじんケーキの材料としても活躍してくれます。ただし、食べ過ぎると腎臓や肝臓に負担をかける場合があるので注意が必要です。何事も適量が良いと言われていますので、カラダに良いからといって毎日大量にあげるのではなく、ウンチの様子を見ながら最適と思われる量をあげてくださいね。