老犬の息が荒くなる原因として、主なものを3つ紹介します。
犬も人と同様、年齢を重ねることで体の中の様々な機能が衰えてきます。 筋力が低下したり心肺機能が衰えることにより、若いころは何ともなかった散歩や階段の上り下りなどの運動も疲れやすく、息切れを起こしてしまうようになります。
犬は舌を出してハッハッと呼吸をすることで体温調整を行います。特に夏場などは素早く呼吸をして体温を下げようとしますので、通常息が多少荒くても問題はありません。
ただし、息が荒いだけでなくよだれを垂らして元気のない様子の場合には、暑さで熱中症になっている可能性があります。加えて、体がいつもより熱を帯びているようであれば、かなりの確率で熱中症が疑われます。
老犬は体力や抵抗力が落ちてきているので、熱中症になると状態が悪くなってしまうことがありますので、すぐに動物病院に連れていくようにしてください。
病気や痛みが原因となって息が荒くなることもあります。
老犬になり体の様々な箇所に衰えがみられるようになってくると、心疾患などの病気が進行することによって引き起こされることがあります。
また、病気だけでなく体のどこかに痛みがある場合でも息が荒くなってくることがあります。
老犬の息がいつもより荒い時には、まずはしっかりと様子を確認してあげるようにしてください。
息が荒いという他に、何か症状がないのかをチェックするようにしましょう。
例えば、体は熱くないか、どこか痛がっているような様子はないか、怪我をしている様子はないかなど、体全体をチェックしてみてください。
怪我をしている様子もなく運動をした後でもないのに、肩で息をしているような様子や口を少し開けて舌を出しながら息をしているような様子が見られましたら、自己判断はせずに動物病院にて原因が何なのかをきちんと調べてもらうのがおすすめです。
老犬の息が荒い時には、舌の色をチェックするのも一つの方法です。
息が荒いだけでなく、舌の色が紫色になっている場合には呼吸困難を引き起こしている可能性があります。この場合には、すぐに動物病院にて診察をしてもらってください。
ただし、犬種によっては青黒いような舌を持つ場合もありますし、老犬になるに連れて舌の色が変色する場合もありますので、普段の舌の様子を確認しておくのがいいでしょう。
老犬になると、代謝機能が衰えやすく、粘膜部分の潤いを維持する力も弱まります。特に空気が乾燥している冬場には、犬の口の中も乾燥して咳き込むことが増え、それに伴って息が荒くなってしまうことがあります。
そういった場合には、室内では加湿器などを利用して適度な湿度を保つことで、犬の喉を潤わせてあげるようにしましょう。
気温の変化が大きい季節の変わり目は、老犬にとっては体力的にも厳しい時期です。気温の変化に体が付いていかず、その負担によって息が荒くなって苦しそうな仕草を見せることもあります。 散歩の後や遊んだ後でもないのに息が荒いような様子が頻繁に見られるようであれば、一度念のため動物病院にて診察をしてもらうのがおすすめです。 老犬になると、気が付かないうちに体に不具合が出てきます。早めに確認をしておくことで、早めの対処も可能になります。
阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師
茨城県出身。日本獣医生命科学大学を卒業し、認定動物看護師の資格を取得。千葉県の動物病院に勤務後、動物用医薬品販売代理店にて動物病院への営業を経験。犬とのより良い暮らしをサポートできるよう、飼い主の方の気持ちに寄り添いながら、安心して正しい情報をお伝えできるよう心がけています。