犬が爪切りを嫌がる理由には、いくつかの原因があると考えられます。原因を解消しなければ爪切りのハードルが上がってしまいますので、対策と合わせて確認していきましょう。
、足先やしっぽ、顔周りなどを触られることがそもそも苦手なコもいます。人間も同様ですが、突然触ったり、強く掴まれたりすることは犬にとっても不快なことですので、注意しましょう。
過去に爪切りや足先を触られることで、痛い経験をした場合に、そのことがトラウマとなってしまい、爪切りを嫌がることがあります。
爪切りをされるときの体勢や周りの環境に不快を感じている場合にも、犬は爪切りを嫌がる素ぶりを見せることがあります。後述の下準備と注意点を確認しながら伸長に爪切りを進めていきましょう。
愛犬が爪切りを嫌がる場合には、下準備として次の2点を試してみてください。
爪切りを嫌がる場合、まずは爪切りの道具に慣れさせることから始めていきます。
実際に爪切りの道具を犬に見せ、臭いを嗅いだりして確認する時間を与えてみましょう。
道具に少しずつ慣れてきたら、今度は足先や体に触れさせたりすることで、爪切りの道具は怖いものではないということを教えていきます。
爪切りを嫌がるコの場合には、足先を触られるだけで嫌がってしまうことがあります。
これでは爪を切るどころではありませんので、足先に触られること自体に慣らす為に日頃から十分にスキンシップを取るようにしましょう。
特に意識的に足先に触るようにして警戒心を持たせないようにしておきます。なかなか慣れてくれない場合は、愛犬が触らせてくれる部位から始めて、少しずつ範囲を広げてみましょう。
次に、爪切りを嫌がる犬への対処法を3つ紹介します。
犬の爪切りは1回に全ての爪を切ろうとせずに、極端に言えば1日に1本ずつ切るくらいの気持ちで取り組みます。
1本だけであれば短時間で終わりますので、犬も長時間嫌な思いをせずストレスも少なく済みます。
また、特に爪切りがトラウマとなってしまっている場合、徐々に「爪切り=いいこと」という構図を作る必要があるため、例えば、爪切りを少し頑張れたらたくさん褒めてあげたり、足元を触らせてあげたらオヤツがもらえた!等と愛犬にとっての“いいこと”と関連付けてみてください。こうすることで、爪切りの後には何か良いことがあると愛犬に学習してもらいます。
爪切りを嫌がる愛犬を前にすると飼い主さんも自然と力が入ってしまい、気付かぬうちに愛犬に負担がかかるような姿勢になってしまっていることがあります。小型犬であれば仰向けに抱っこをして包み込むような体勢で切ってもいいですし、中型犬以上であれば足先だけを持って切るのではなく、なるべく体を密着させて安心感を与えながら切るのがおすすめです。
犬の爪切りをする時には、犬に合った大きさや形の爪切りを用意するようにしましょう。
中型犬の爪を切るのに小型犬用の爪切りを使っていては、切る時に余計な力や時間が必要となり、その分犬にも負担がかかってしまいます。
また、爪切りの音を嫌がる犬もいますので、犬の様子を見ながら爪切りを音が鳴らないタイプにしてみるのもいいでしょう。
爪を切ろうとすると、とにかく逃げたり暴れたりする犬を無理矢理抑え付けて切るようなことは絶対にやめるようにしてください。そうすると犬はさらに爪切りを嫌がるようになってしまいますし、切るときに嫌がって動いてしまうと血管を傷付けてしまうこともあるかもしれませんので無理は禁物です。
ただし、伸びた爪をそのままにはしておけませんので、どうしても難しい場合にはペットサロンや動物病院などに出向いて、プロの方にお願いするのもいいでしょう。
自宅で爪切りができるようになるまでの間は、プロの方に手早く爪切りをしてもらうなど犬に怖い思いを極力させないようにし、少しずつ練習していきましょう。
犬の爪切りは大切なケアではありますが、嫌がる犬に対して無理に行うと思わぬ怪我をさせてしまう恐れもあります。既に苦手意識を持っている爪切りに対して、本気で拒絶してしまわないように、無理をせずゆっくりと対処していってあげてください。
阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師
茨城県出身。日本獣医生命科学大学を卒業し、認定動物看護師の資格を取得。千葉県の動物病院に勤務後、動物用医薬品販売代理店にて動物病院への営業を経験。犬とのより良い暮らしをサポートできるよう、飼い主の方の気持ちに寄り添いながら、安心して正しい情報をお伝えできるよう心がけています。