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犬の生態 / 気持ち

2019.10.23

犬の聴覚は謎に包まれている?犬が聞き取れる音域や周波数を解説

犬の器官の中で、嗅覚の次に発達しているのが「聴覚」であると言われています。例えば、雷鳴をいち早く聞き取りそわそわする、自家用車と宅配便の車の音を聞き分けるなど、私たちが聞こえていない音も犬は敏感にキャッチしているように感じます。今回は、実は解明されていないことが多い犬の聴覚について深掘りしていきます。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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犬は人間の何倍までの音域が聞き取れる?

犬 聴覚

風の音、鳥の鳴き声、車の騒音など、私たちはさまざまな周波数の音の中で生活をしています。音の高低は全て周波数で表され、周波数が低いと低音、周波数が高い音は高音として聞こえています。
では、人間と犬を比べて聞き取れる周波数の範囲はどのぐらい違うのでしょうか?

私たち人間が聞き取れる周波数は?

人間が聞き取れる周波数はおよそ20~20,000ヘルツと言われています。日常会話での周波数は250~4000ヘルツで、これを可聴域と呼びます。一般的な聴力検査では、1,000ヘルツが低音域、4,000ヘルツが高音域とされていて、どちらの音域も聞こえているか?ということを確認します。

人間の場合、加齢によりこの可聴域が縮小していき、高音域から徐々に聞こえなくなってくる傾向が見られます。この現象を利用し、近年では「モスキート音」という音も開発されていますよね。

犬が聞き取れる周波数

一方、犬が聞き取れる周波数はおよそ65~50,000ヘルツで、犬が最も聞こえやすい周波数は8,000ヘルツ付近と言われています。
人間の日常会話での高音域が4,000ヘルツですから、犬はかなりの高音域が聞き取りやすいということが分かります。犬の場合、犬種やカラダの大小に関係なく、どの犬も同じような可聴域であるとされています。

犬にはモスキート音が聞こえる?

モスキート音とは、17,000ヘルツ前後の超高周波数の音で、20代以下の若い年齢層には不快な高音として聞き取れることが出来ますが、中高年になると聞き取れない傾向が見られることで知られています。

犬の呼び戻し訓練などで使われる犬笛は、16,000ヘルツから人間には聞き取ることができない超高周波30,000ヘルツまで出すことができます。このように犬笛が聞こえる犬には、モスキート音も聞き取れることになります。犬の可聴域が発達しているのは、野生動物の高い鳴き声をいち早く聞き取り、獲物を居場所を発見するためではないかと言われています。

犬の聴力は耳の形と関係ある?

犬 聴覚

犬の耳の形は、大きく分けると、垂れ耳・立ち耳の2タイプですが、耳の大きさや形状によって12種類にも分別されています。 セントハウンドとして活躍しているブラッドハウンドやバセットハウンドは、嗅覚を優先させるため、余計な音を遮断する耳の形状となっていますが、これは特殊な例と言えます。

垂れ耳・立ち耳、聴力がいいのはどっち?

結論から言うと、垂れ耳・立ち耳どちらの形状の耳であっても聴力には関係ないとされています。どちらのタイプの耳でも、犬の集音能力(音のする位置をどれだけ正確に聞き分けられるかという能力)は優れていて、人間は16方向の音源しか判別できなかったことに対し、犬はその2倍の32方向の音源を聞き分けることができたという実験結果があります。これは「耳介」と呼ばれる器官を、あらゆる方向に片耳ずつ自由自在に動かせる点が影響していると考えられています。

ちなみに、犬が小首をかしげる姿が可愛いとSNSなどに写真が投稿されていますが、これは、右耳と左耳の位置を変えることで、より正確に音を聞き取ろうとしている犬にとっては自然な行動なのです。

犬は、音の強弱や音量・音色は分かる?

犬は、人間よりも高周波数を聴く力に優れていますが、音の強弱や音量・音色を聞き分けるのはあまり得意としていません。 もしかすると人間が心地良く聴いている音楽も、犬にとっては単なる雑音に聞こえているかもしれません。

犬の聴力を他の動物と比べると?

犬 聴覚

人間に比べるとはるかに可聴域が広い犬ですが、他の動物と比べるとどうなのでしょうか?

犬と同じようにペットとして人気が高い猫は、野生としての能力を残しているようです。猫の可聴域は45~64,000ヘルツ。耳の方向を自由自在に変えることができる猫は、360度全方向からの音に反応できます。また、猫はネズミの鳴き声と同じ50,000ヘルツによく反応すると言われています。

犬と暮らす上で「聴覚」に関しての注意点とは

犬 聴覚

人間の約4倍の聴力を持つと言われている犬。これは、人間が1メートル離れたところで聞き取れる音を、犬は4メートルの位置からでも聞き取れるということになるのです。人間に比べ、たくさんの音を聴くことができる犬ですが、加齢以外に聴力が低下する要因があるため生活環境には注意するようにしましょう。

先天的に耳に障害を持ちやすい犬種

犬種の中には、先天的に聴覚障害を持ちやすい犬種がいます。耳に障害が出やすいことで有名な犬種として挙げられるのがダルメシアン。また、白いブルテリアも聴覚障害を持って生まれる可能性があることで知られています。

感染症で聴力が低下することも

犬は、耳の病気を発症しやすい動物です。特に感染症は外耳炎から中耳炎、内耳炎に発展してしまうこともあり、聴力に影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。

大きな音の中で生活していると聴力が低下する恐れも

音に敏感な犬は、大きな音を聞き続けることによって、内耳の中にある音の伝達に関わる細胞が損傷を受ける場合があります。 生活の中で、大きなテレビの音・大音量の音楽・工事現場の近くなど、常に大きな音がしている環境では、聴力が低下する可能性がありますので、注意してあげましょう。

小まめに愛犬に話しかけて!

犬 聴覚

人間よりはるかにいろいろな音が聞こえている犬。人間は主に視力に頼って生活をしていますが、犬は嗅覚の次に「聴力」に頼って生活をしています。残念ながら、犬の聴力に関して詳しいことは解明されていません。これは、犬の解剖学的実験が禁止されたためです。

犬は、人間の言葉は一部しか理解できませんが、声のトーンによってさまざまなことを想像し、理解しようとしています。なるべくたくさん愛犬に話しかけてあげれば、愛犬とのコミュニケーションが図れるだけでなく、愛犬の耳の調子も確認することができますね。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

  • 公開日:

    2019.09.16

  • 更新日:

    2019.10.23

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