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健康管理 / 病気

2019.10.23

犬に「東洋医学」は有効?注目の東洋医学について知っておこう

「未病」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。未病とは、簡単に言うと病気になる前に異常を見つけ、病気を予防することです。 そして、この未病にアプローチできるのが「東洋医学」であると言われています。今回は、ツボ押し・漢方薬や鍼灸など、近年取り入れている動物病院も増え、注目度の高まる「東洋医学」と犬の関係性について解説していきます。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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そもそも東洋医学とは?歴史から探る

犬 東洋医学

中国数千年の歴史を持つ等と記載されることも多い「東洋医学」ですが、実は中国には東洋医学という医療は存在しません。東洋医学の基本を理解していけるよう、まずは東洋医学の歴史について簡単にご紹介します。

中国から伝来した中国伝統医学

東洋医学は6世紀ごろ、中国から伝来した伝統医学であると言われています。この東洋医学という名称は、明治時代に西洋医学に対して中国(東洋)から伝来した医学ということから付けられた通称です。
ですから、中国では東洋医学という医療は存在しないのです。東洋医学は日本ならではのもので、中国では中国伝統医学(中医学)と呼ばれています。

漢方医学とも呼ばれている

東洋医学が、西洋医学に対して付けられた名称であるのと同じように、江戸時代にオランダから伝来した医学を「蘭方」と呼んでいた日本では、それまで日本で普及していた伝統医学を韓の国から伝来した医学=「漢方」と名付けたのです。
どちらの名称も、日本ならではのもので、医学自体も中医学を元に日本で独自に発展したものです。

東洋医学は日本独自で発達した伝統医学

東洋医学は紆余曲折の末、日本独自の発展を遂げてきたことをご存知の方も少ないと思います。
ネットなどでは、中国数千年の歴史を持つ東洋医学と記載され混乱しがちですが、中国で発展した伝統医療である中医学と東洋医学は別のものなのです。
東洋医学は、中医学をベースに日本の気候風土や日本人の体質に合わせて独自に発展した日本の伝統医療と言えます。

東洋医学と中医学の元になっている考え方とは

中医学と東洋医学は別の医学ですが、根本にある考え方は同じです。
西洋医学ではさまざまな検査の結果を元に病気を特定し治療を行いますが、東洋医学では病気を予防することに重点を置いた予防医学が特徴です。
病気と健康の間、ちょっと体調が悪い、なんとなく体が重いなどの症状に注目します。つまり、病気の発症を予測して予防する「未病」を重点を置いているのが東洋医学の大きな特徴なのです。

東洋医学のベースは「陰陽」

陰陽とは、自然界のものすべては陰と陽に分類できるという考え方です。人間の体内での陰陽は、体を冷やすエネルギーが陰、体を温めるエネルギーが陽という気に分類できます。
陰と陽のバランスがとれた状態を中庸と言います。また、さらに細かく分類した「五行」では、自然界にある物質である木、火、土、金、水と5種類に分類します。
これを総称して「陰陽五行」といい、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。また、人体は「気・血・津液」によって構成されていると考えてられいます。

犬にもツボはある?東洋医学を活用してみよう

犬 東洋医学

押すことで疲れが取れる、不調が解消されるなどと言われるツボ。東洋医学ではツボのことを経穴と呼び、「気・血・津液」が滞る場所とされています。
気と血の通り道である経絡上にあるツボを刺激することによって、気と血の流れを良くし不調を解消するというのが東洋医学の考えです。

犬もツボを押すと気持ちいい

WHOによると人間のツボは、361種類、約670か所あるそうです。犬にも、人間と同じように14の経脈がありそれぞれにツボがあります。
ちなみに、犬が押されて気持ちいいツボの位置は、眉間、耳の後ろにあるくぼみ、あごの下、尻尾の付け根、耳の付け根、お腹などです。

犬に鍼は効果がある?

犬 東洋医学

中国から伝わった鍼ですが、日本では独自の鍼治療として発展しています。中医学は、鍼灸、漢方薬、気功、薬膳、手技療法の5つが柱となり、それぞれ専門の師がいます。
鍼を行う鍼師には国家資格が必要です。鍼治療は、原因不明の痛み、レントゲンに現れない痛みなど、西洋医学では診断がつかない症状の時などに効果があると言われています。

犬が鍼治療を受ける場合は慎重に

犬にも人間と同じように鍼治療を行う動物病院が増えてきています。最近では、保険も適用されるようになり、以前に比べ認知度が上がってきています。 特に椎間板ヘルニアには効果があると言われていますが、実際にどの程度の効果があるかどうかは、現在のところははっきりとは分かっていません。 もし、愛犬に何らかの異常が見られ、鍼治療を受けさせたいと思っている場合は、信頼できる医師に相談してみてくださいね。

また、鍼治療は、ある程度の期間継続的に受ける必要があるため、治療費が高額になる可能性があります。事前にどの程度の治療費が必要なのか検討しておくと良いでしょう。

漢方薬って?犬にも効果はある?

犬 東洋医学

西洋医学で使用する薬は科学的に合成されたものですが、東洋医学では生薬を使用します。生薬とは、植物、動物、鉱物などから作られています。 漢方薬では、これらの天然の原料を2つ以上組み合わせて作られます。西洋の薬は特定の症状や病気に対して効果があり、同じ病気の場合はどの患者にも同じ薬が処方されます。

一方、漢方薬の場合は、その人それぞれの体質や症状に合わせて生薬を配合するいわばカスタムメイドの薬です。 最近では、保険が適用される漢方薬も増えてきているため、一般の人にも浸透してきていますが、日本には漢方専門の漢方医という国家資格がありません。 そのため、現在日本で処方されている漢方薬の多くは、あらかじめ生薬を調合した医療用漢方製剤となっています。

人間用の漢方薬は犬が飲んでも大丈夫?

最近では、動物用の漢方薬も見かけるようになりました。 しかし、漢方薬はまだまだ犬に対しての効果が解明されていない部分も多く、 人間と違い言葉を話せない犬の場合、飼い主からの聞き取りだけで果たしてその犬に合っている漢方薬かどうかを判断するのが難しいという難点が挙げられます。 さらに、人間用に調剤された漢方薬がその犬の体質に合うか、量が適当なのかなどの検証法も残念ながら確立されていません。

漢方薬は、自然の動植物から作られる生薬ですが、犬にとって作用が強すぎる場合や体質に合わないこともあります。 人間用に限らず、犬に漢方薬を飲ませる場合は、東洋医学に精通した獣医師に相談するようにしましょう。

犬にもお灸はできる?

犬 東洋医学

鍼治療と同じようにツボを刺激する治療法が灸治療です。 灸は、もぐさなどを使用し、熱による刺激をツボに与えて行います。日本でも古くから行われている治療法ですが、人間の場合は、鍼治療を行う鍼師と同様に灸で治療を行う場合はきゅう師と言う国家資格が必要となります。 一部の動物病院では、鍼治療と並行して灸治療を行っているところがありますが、効果については見解が分かれているようです。

また、人間の灸治療は皮膚に直接もぐさなどを置いて熱刺激を与える方法が多く取られていますが、犬の場合は被毛があるため、間接的に熱刺激を与える温灸を使用する場合が多いようです。

鍼治療と同じく、国家資格を必要としていないのでどんな獣医師でも行えるため、慎重に病院を選ぶ必要があります。

上手に付き合えば犬にも効果が期待できる東洋医学

犬 東洋医学

カラダに優しい、自然治癒力を高めるなどの言葉で紹介される東洋医学ですが、犬に対する東洋医学はまだまだ発展途上であると言えます。

東洋医学の診療は、四診と言って望診、聞診、切診、問診と4種類の診察によって患者の状態を細かく把握します。 中でも問診は、言葉を話せない犬の場合、飼い主の観察力が重要となります。飼い主が獣医師に日常の様子やいつもとどこが違うかなどの変化を伝えなくてはなりません。 そのためには、飼い主として常に犬の健康状態を細かく観察している必要があります。 いつも一緒にいるからこそわかること、気がつけること、愛犬に健康で長生きしてもらうためにも、まずは飼い主として常に細かく観察してあげることから始めてみましょう。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

  • 公開日:

    2019.09.26

  • 更新日:

    2019.10.23

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