聴導犬は、まず候補犬の中から聴導犬に向いている性格の犬を選び、それから訓練をしていき、認定試験に合格した犬だけが聴導犬になれます。
聴導犬の候補犬は、一般家庭で飼っている犬から選ばれることはほとんどありません。動物福祉の観点から、動物愛護センターや動物保護団体に収容されている犬をはじめ、聴導犬に向く犬として自家繁殖した犬、ユーザーである聴覚障害者自身がすでに飼っている犬などの中から適性を評価して選びます。
聴導犬の候補犬として選ばれた犬は、以下のように段階的に訓練をしていきます。
まず「座れ」「待て」「伏せ」などの基本訓練や歩行訓練、スーパーマーケットなどの公共の場や、バスや電車などの交通機関に慣らす社会化訓練、そしてそれらの場所で的確にサポートが行えるための訓練をしていきます。
聴導犬のユーザーが必要とする音を覚える訓練もしていきます。覚える音の1例としては、インターフォンや目覚まし時計の音、タイマー音やメールの着信音、自転車のベルや非常ベルの警報音などです。
これらの他にもさまざまな音を覚え、その音源に誘導できるように訓練します。基礎訓練からこの聴導動作訓練までは約1年行います。
聴導動作訓練まで終わったらユーザーと対面し、ユーザーの自宅で実際の生活環境に合わせて、ユーザーとのコミュニケーションの取り方や音を知らせる訓練などをしていきます。 合同訓練終了後、厚生労働大臣指定法人で認定試験を受け、合格したら聴導犬として認定されます。
しかし、認定後も聴導犬の育成団体により訓練は継続されます。ユーザーが何らかの理由により生活環境が変わった際に、必要となる音も変わることが考えられるため、そのような状況になっても音を伝えられるようにしておく必要があるからです。
なお、聴導犬として活動する期間は2歳~10歳まで、人間の年齢に換算すると60歳ぐらいまでです。
聴導犬に向いているのは、以下のような性格を持つコとなります。
ユーザーと生活を共にする聴導犬は、人が苦手な性格では当然ながら務まりません。また、ユーザーと交流関係のある人や公共機関の人など、さまざまな人と接する場面も多々あるため、友好的な性格の犬が向いています。
必要な音を伝えられないと、ユーザーを危険にさらすこともあり得るため、どんな環境にも順応し、平常心を保って行動ができる性格の犬が求められます。
加えて、初めての出来事や環境に左右されてしまう性格だと仕事に集中できず、ユーザーに知らせなければならない音を察知することはできません。
耳の不自由な人をサポートしている聴導犬は、集中力を保って仕事をしているので、街で聴導犬を見かけたら、むやみに触ったり見つめたりせず、温かく見守ってあげるようにしましょうね。