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2021.03.15

【獣医師監修】犬の膀胱炎はどんな病気?原因や治療法・予防法まとめ

人の膀胱炎についてはご自身の体験や周囲から見聞きしてご存知の方も多いと思いますが、犬の膀胱炎についてはあまり聞いたことが無いかもしれません。実は、犬も人と同じように膀胱炎になります。では、犬はどのような理由で膀胱炎になり、どのような症状が現われるのでしょうか?この記事では、犬の膀胱炎の原因や治療方法、予防法などについて詳しく解説していきます。

監修:加藤 みゆき/獣医師(文:江野 友紀/認定動物看護士)

犬の膀胱炎ってどんな病気?

犬 膀胱炎

膀胱炎は、その名のとおり膀胱に炎症が起きる病気です。犬の膀胱炎では排尿時に異常が見られます。

散歩中、犬が知らない間に尿をしていたり、自由に庭などでさせているといった飼育方法の場合、犬の膀胱炎にはなかなか気づけず、発見が遅れてしまうことがあります。普段から尿の回数や尿の色などをチェックしておくことが大切です。

初期症状とチェック項目

飼い主さんが気づきやすい症状は、血尿や頻尿です。散歩の時におしっこをするポーズは取るものの少ししか尿が出なかったり、何回も排尿したがるといった症状が見られ、動物病院で検査をしたところ病気が判明した、といったケースが多いようです。また、ペットシーツで排尿したときに血がついているといった症状で気付くことがあります。

犬の膀胱炎の主な症状

  • 痛みを伴う排尿困難:排尿する時に痛みを感じ、痛みのために犬が鳴くこともあります。一度に少量の尿しか出ません。
  • 排尿障害:尿が排出できなくなってしまう症状です。
  • 尿が濁っている:膀胱内に炎症が起こっているため、排尿された尿は濁っていることがよくあります。
  • 血尿:排尿されたときに血液が混じっていたり、排尿後に陰部に血液が付着していることがあります。

他の犬や人にうつる?

膀胱炎の主な原因は、尿道から細菌(主に大腸菌)が侵入することによる細菌感染や結石によるものです。膀胱炎を発症した犬から他の犬や人にうつる心配はありません。

犬が膀胱炎になる原因とは?

犬 膀胱炎

犬が膀胱炎になる原因には、細菌感染や膀胱結石、膀胱腫瘍、ストレスなどがあります。

原因|1.細菌感染

犬が膀胱炎を発症する原因の多くは、細菌感染によるものです。この細菌感染による膀胱炎はオスよりもメスにおこりやすくなります。その理由は尿道の作りの違いにあり、メスはオスよりも尿道と肛門の間の距離が短く細菌などの病原菌が外から入りやすいつくりなっています。
通常であれば身体の防御反応により感染を防ぐことができますが、免疫力の低下など様々な理由により細菌の侵入を塞ぎきれなくなったときに感染を起こし、膀胱炎を発症します。

水分摂取量が少ないと細菌感染を起こしやすい

水分を摂取する量が少ないと、必然的に尿の量が少なくなります。そのため、尿が濃くなって排尿回数も減り、膀胱内に尿が溜まっている時間が増えてしまいます。
尿は濃くなればなるほど、膀胱内に留まる時間が長くなればなるほど、膀胱内で細菌が繁殖してしまい膀胱炎の原因となります。

原因|2.膀胱結石

膀胱内に結石ができると膀胱が傷付き、そこから細菌感染することで膀胱炎が引き起こされることがよくあります。この場合、原因となる結石を排除できない限り、何度も膀胱炎を繰り返すことになってしまいます。
また、結石が尿道に詰まってしまうと体外に排出されるはずの老廃物が体内に蓄積されてしまい、尿毒症を引き起こしたり、膀胱破裂を起こす危険性があります。

結石には種類がある

結石にはその成分によって様々な種類がありますが、犬にできる代表的な尿路結石にはストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結石とシュウ酸カルシウム結石があります。この2種類の結石が犬の尿路結石の80%以上を占めています。
ストルバイト結石は食餌療法のより尿のpHを整えることで、尿の中の結石を溶かす効果が期待できます。

原因|3.膀胱腫瘍

膀胱に腫瘍ができると、排尿の際、尿を全て出し切ることができずに尿が残ってしまうことがあります。この残った尿から菌が繁殖し膀胱炎になってしまうことがあります。

原因|4.ストレス

人もそうですが、ストレスは免疫力を低下させることがあります。犬のストレスの原因には引っ越しなどによる環境の変化、ペットホテルに預けられる、長時間の留守番や運動不足などがあります。

かかりやすい犬種や年齢は?

膀胱炎は若い年齢~高齢犬までかかる可能性のある病気ですが、高齢犬や病気などで免疫力が低下していて細菌感染を起こしやすい犬は膀胱炎にかかりやすい傾向があります。
また、犬種を問わず発症しますが、膀胱結石ができやすいミニチュア・シュナウザーやシー・ズー、トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ダルメシアンなどの犬種は、比較的膀胱炎になるリスクが高いと言われています。

犬の膀胱炎の治療法とは?

犬 膀胱炎

細菌性の膀胱炎の場合は、細菌の種類に合わせた抗生物質を投与します。
結石が原因の場合は、結石を除去するため結石を溶かす種類のドッグフードを与えたり、抗生物質などを投与します。
飲水量を増やしたり、ストレスをためないような生活環境を整えることも大切です。

膀胱炎の検査

犬の膀胱炎が疑われた場合、基本的には尿検査が必要になります。飼い主さんが採尿することはなかなか難しいのですが、排尿しそうな時にペットシーツを裏返しておくと尿が吸収されず、尿を採取することができます。そして、尿をビニール袋に入れて動物病院に持っていくと尿検査をしてもらえます。

尿検査をすることで、血尿は出ていないか、結石がないか、腫瘍細胞がでていないかなどを調べます。また、超音波検査で結石や腫瘍ができていないか等を調べることもあります。

治療にかかる費用

診察料や尿検査、超音波検査、内用薬など、一回の治療で5,000~8,000円くらいのケースが多くなります。
膀胱結石が原因の場合は、結石を溶かすための療法食を与えたり、場合によっては外科的な摘出が必要になるケースもあり、単純な細菌性膀胱炎よりも高額になりがちです。

犬の膀胱炎の予防法は?

犬 膀胱炎

犬の膀胱炎の予防法には次のようなものがあります。

予防法|1.水分摂取量を増やす

摂取する水分が少ないと膀胱に尿を溜めている時間が長くなり、細菌が増殖する時間を与えてしまいます。水飲み場の数を増やすなどして、水分補給を促しましょう。
ただし、カルシウムやマグネシウムの含有度が高い「硬水」のミネラルウォーターは、結石の原因物質の過剰摂取につながるため、決して犬に与えないようにしましょう。

予防法|2.排尿を我慢させない

先述したとおり、排尿を我慢する時間が長くなれば長くなるほど、膀胱内で細菌が増殖してしまいます。
外でしか排泄をしない習慣がついている犬は、散歩の間隔が長くなると排尿を我慢してしまいます。ペットシーツでも排泄できるようにしつけておくと、膀胱炎の予防につながるでしょう。

予防法|3.排便後は清潔に

犬の膀胱炎は、糞便に含まれる大腸菌が尿道口から侵入して膀胱で炎症を起こすケースが大半になります。
排便後、特にメス犬で下痢をした後などは汚れを拭き取るなどして清潔に保ちましょう。長毛種の犬は陰部の毛を短く刈っておくとお手入れしやすくなります。

予防法|4.肥満に注意

肥満になると動きたがらなくなるため、水を飲みに行くことや排泄しに行くことが億劫になります。すると、ぎりぎりまで飲水や排尿を我慢してしまい、膀胱炎を発症することがあります。
おやつの与えすぎや食事の量には注意し、毎日適度に運動させて体重を管理しましょう。

再発する可能性

膀胱炎は再発しやすい病気です。症状が見られなくなったからと獣医師に処方された抗生物質を自己判断でやめてしまうと、膀胱に残っていた細菌により再発することがあります。処方された薬は指示通りに投薬し、完治するまできちんと通院することが大切です。

結石を溶かしたり、結石の再形成を防ぐための療法食を与える指示が出ている場合はその食事だけを与え、その間ほかの食べ物を与えないよう注意しましょう。ただし、突然フード切り替えると警戒したり、消化不良を起こすことがあるので、初めは1週間程度かけて徐々に「療法食」の割合を増やしていくと良いでしょう。

犬の膀胱炎との向き合い方

犬 膀胱炎

膀胱炎はどの犬でもかかる可能性のある一般的な病気です。適切な処置を行うことで治る病気ではありますが、愛犬の快適な暮らしのためにもならないに越したことはありません。

膀胱炎を予防するには、排尿回数を増やすことが大切です。たくさん水を飲むことで膀胱の中の尿は長期間溜まることなく外に出されます。冬場は特に飲水量が減ってしまう傾向があるため、積極的にお水を飲ませるようにして愛犬の膀胱炎を防ぎましょう。

また、普段から尿の量や回数、匂いなどに気を付け、膀胱炎になってしまった時には早期に発見できるようにしましょう。

  • 公開日:

    2019.08.13

  • 更新日:

    2021.03.15

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ライター・専門家プロフィール
  • 加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。