
犬は体温調節を行う汗腺が肉球と鼻先にしかないため、呼吸(パンティング)で行います。そのため、人間よりも暑さに弱く熱中症にも罹患しやすいため注意が必要になります。人間よりも地面に近い分、地面の熱気の影響も受けやすいので、散歩の時間にも気を配ってあげる必要があります。
パンティングは犬が行うハァハァという浅い呼吸で、1分間に200~400回の頻度で呼吸します。通常の呼吸が1分間に20~30回程度ですので、10倍の速さで呼吸していることとなります。口を開けて呼吸し、唾液を蒸発させえて体の熱を外に出して体温調節を行います。パンティングを行うと体内の水分量が減りますので、十分な飲み水を用意してあげることが大切です。パンティングは体温調整の他にも、ストレスを感じているときにもよく見られます。
夏は気温が高い時間帯の散歩を避け、早朝や気温が下がった深夜などに散歩を行ってあげる必要があります。単純に気温だけの問題でなく、犬は地面に近いため地面から伝わる輻射熱とよばれる熱の影響もあります。日差しの強い25度程度の気温で、室外に出ると犬にとっては35度近い体感温度となります。特にアスファルトは地面が熱を持ち、肉球の火傷の危険性もあるため散歩には不向きとなります。
熱中症予防としては、直接体を冷やすことのできる保冷剤が便利です。マットタイプや洋服タイプ、バンダナタイプなどたくさんの種類がありますので、用途にあわせて活用してみてください。
家でくつろぐ時などに活用しやすいのがマットタイプです。寝床として活用することもでき、快適な睡眠を提供することができます。エアコンが効きすぎて寒いときは、別の場所で寝ることを犬自身が選ぶことで調整できるのもポイントです。散歩時には使用できませんが、車内やアウトドア時のベッドとしてもおすすめです。
冷感タイプの洋服も多く販売されていますが、保冷剤を入れるポケットがついた洋服も販売されています。犬の体にぴったりと保冷剤があたり涼しさを提供してくれます。気温がまだ暑い時間帯にどうしても外出しなければならない場合など、体温があがらないために効果的です。
洋服を着るのが苦手な子にはバンダナタイプもあります。人と同じで大きな血管の通る場所を冷やすだけでも体感温度は変わります。首はその一つですので、バンダナを巻くことで血管を冷やすことができます。直射日光から皮膚や被毛を守る効果もあるので、洋服が苦手な子はバンダナを活用してみてください。
暑さ対策としては水遊びも効果的です。冷たい水で体を冷やすことで熱中症が予防できます。ペット用プールなどを活用したり、ホースなどで水をかけてあげるのもおすすめです。また、自宅や庭周辺の打ち水効果で室外の気温も多少下がり、過ごしやすくなります。
犬は暑さに弱い生き物ですので、夏場は体調管理に十分に気を配ってあげてください。暑さ対策には冷感グッズが効果的で、エアコンなどと併用することで夏でも快適に生活することができます。外出するときにも活用できるグッズもありますので、室内に閉じこもらず適度な散歩など運動も心がけるようにしましょう。
みなみ 愼子/名古屋ECO動物海洋専門学校非常勤講師 動物福祉・倫理学、ホリスティックケア・インストラクター
非常勤講師のほか、ペットマッサージやアロマテラピーの教室を開講しており、犬の保護施設でもペットマッサージのボランティア活動を実施中。一緒に暮らしている犬はロットワイラー、フレンチブルドッグ、MIX犬の3頭で、犬との伸びやかな暮らしを楽しみたいと思っています。