にんにくはヒガンバナ科ネギ属の多年草で、強壮・スタミナ増進作用などの働きが期待されており、人用のサプリメントで多く使用されています。犬にも同じ効果が期待できるかもしれませんが、ヒガンバナ科ネギ属は犬が食べると危険な食べ物として有名な玉ねぎと同じ仲間ですので与えるのは大変危険です。
ネギ属には「アリルプロピルジスルファイド」という成分が含まれており、この成分が血液を破壊し貧血などを引き起こすと言われています。そして、玉ねぎより量は少ないですが、にんにくにも「アリルプロピルジスルファイドが含まれていますので注意が必要となります。
「アリルプロピルジスルファイド」を摂取すると血液中の赤血球が壊されてしまうため「たまねぎ中毒」と呼ばれる症状があらわれます。たまねぎ中毒の症状には、貧血のほかに下痢や嘔吐、黄疸、胃痛、腹痛、頻脈、血尿、血便、食欲減退、衰弱、痙攣などがあげられます。
にんにくを食べることで、アレルギー反応があらわれる場合もあります。症状としては下痢や嘔吐、皮膚炎などがあげられます。皮膚炎であれば、特に目や口の周り、背中に炎症があらわれる場合が多いのが特徴です。
愛犬がにんにくを誤って食べてしまった場合、たまねぎ中毒などの症状があらわれた場合には、早急に動物病院へ受診するようにしてください。
病院での処置としては、摂取後1時間以内であれば吐かせる処置を、2~4時間であれば胃洗浄が行われます。また症状に関わらず抗酸化剤(ビタミンE,C)の投与が行われる場合もあります。
原因となる物質を取り除くため「吐かせる」という対処法があります。口の中に残っていれば、手を入れて吐かせても問題ありませんが、既に飲み込んでしまっている場合、飼い主さんが独学で吐かせようとするのはリスクを伴いますので、獣医師や看護師さんに任せるようにしましょう。
動物病院では、接種後短時間であれば、まず「吐かせる」努力がされます。ただし、意識がない場合や痙攣している場合は嘔吐物が喉につまる場合がありますので他の方法が行われます。
吐かせる方法としては、体重1kgあたり1mlのオキシドールを飲ませ、腹部を圧迫するようにマッサージします。およそ10分程度で嘔吐が起こります。
胃洗浄では胃の中に生理食塩水を流し込み、洗浄液が透明になるまで15~20回ほど洗浄します。吐かせる方法もそうですが、犬の体力を多く消費してしまうため治療は慎重に行われます。
にんにくは少量であれば、犬に害がなく滋養強壮の働きが期待できます。そのためドッグフードにも配合されていることがあります。量に関しては個体差によって差があるため、安全を考慮するのであれば、手作りご飯などでは食べさせないようにするのが一番です。
にんにくを投与できる量は個体差による違いが大きく、少量で重症化する場合もありますし、多く食べても平気な子もいます。
基準としては、大型犬や中型犬で1欠片、小型犬1/3欠片を目安にしてください。
日本犬は洋犬に比べて「たまねぎ中毒」を起こしやすいと言われています。
にんにくは滋養強壮作用を期待して、ドッグフードに配合されている場合があります。安全性に配慮され配合されてはいますが、許容量は個体差によって違いますので、投与には十分注意が必要です。
にんにくは犬にとって与えるのに注意が必要な食べ物となります。どうしても与えたい場合を除いて、与えないのが最適です。ドッグフードなどに配合されている場合がありますので、にんにくアレルギーなどが心配な方は注意して表記を確認するようにしてください。
「犬と食べもの」記事一覧