ウルフドッグは、名前のとおり狼と犬の交配により誕生した犬種です。日本には500頭ほどしか飼育されておらず、街中で見かけるようなことはほとんど無いと言えるでしょう。日本国内の犬の品種や犬種標準を指定しているジャパンケネルクラブ(JKC)では、「サールロース・ウルフドッグ」と「チェコスロバキアン・ウルフドッグ」の2種類のみ認定しています。
ただし、現在国内で飼育されているウルフドッグはカナダなどから輸入されたものが大半で交雑種であるため、非公認の犬種となります。公認されている2種類のウルフドッグの特徴は次のようになります。
オランダでサールロース氏が作り出したこの犬種は、オスの体長は65~75cm、メスは60~70cmで頑丈な身体つきであり、かなり長い四肢をもちます。毛色はウルフグレーと呼ばれる特徴的な獣色やホワイト、クリーミーホワイトがあります。
旧チェコスロバキアで、人間のお手伝いをすることを目的として誕生した犬種です。しっかりとした身体つきで、体長は60~65cmくらいで長方形に見えます。特徴的な明るい色のマスクで、身体はグレーからシルバー・グレーです。体型や歩き方、毛色などが狼に似ています。
他の犬種と同じように、ウルフドッグの性格にも個体差があることが前提にはなりますが、用心深い子が多いようです。
飼い主には非常に忠誠心があり、愛情深い性格で信頼度も高いと言えますが、一般的に他人とは接触したがらず、控えめな態度を取ります。慎重で用心深い性格のため、周りの環境の変化に対し敏感に反応します。
狼の血を引いているため咬む力が強く、攻撃的になった場合の危険度は高く、過去には飼い主が咬まれて亡くなる事故も起きています。
そのため、飼い主さんが厳重にしつけを行い、リーダーシップを取る必要があり、散歩中に他の犬や人に近付けないなどの配慮も必要になります。しつけに関する知識が豊富な経験者でないと、適切な管理は難しいと考えられます。
ウルフドッグは野生的で運動量が多いため、生活するための広い敷地や1日に2~3時間以上の散歩が必要です。運動量が十分でないとストレスが溜まり、攻撃的になって飼い主さんとの信頼関係が崩れてしまうこともあります。
また、運動することで消費するエネルギー量も多いため、同じ体格の他の犬種と比べても食餌の量が多く必要になることが考えられます。ウルフドッグの家に迎えることを検討するには、ウルフドッグを運動させるための時間が確保できるか、経済的に余裕があるかなどを十分考える必要があります。
近年はフードの改良などに伴い、全体的な犬の寿命が伸びる傾向にあります。ウルフドッグは比較的短命とされる大型犬ではありますが、平均寿命はおよそ10~12年とされています。 ただし、この年齢は日本国内のウルフドッグであり、前述したような正式に犬種として認められているウルフドッグの平均寿命は、8年ほどと言われています。
ウルフドッグの凛とした佇まいやキリッとした目、飼い主さんに従順な姿は、非常に魅力的です。しかし、珍しい犬種だから、かっこいいからと安易に入手すると、後々しつけに困ったり、経済的に行き詰まったり、十分に管理が行き届かず事故に繋がってしまう可能性もあります。飼育を検討する場合には、前述したことを踏まえウルフドッグについてしっかり勉強するようにしましょう。