人間と同じように犬も寝ている時には、筋肉が弛緩し気道の周辺が狭くなります。口や鼻から吸った空気が狭くなった気道を通過すると、のどの粘膜が振動して音が出ます。この音がいびきです。犬のいびきのタイプは治療が必要のないものから突然死を起こす可能性がある重度のものまで5段階あります。タイプによっていびきの原因が異なるので、まずはいびきの原因を突き止めることが大切です。
犬のいびきは、カラダの構造から発生するいびきと気をつけなくてはいけない「いびき」の4つのタイプに分けられます。ここでは、いびきの原因についてご紹介します。
パグ、ペキニーズ、ボストンテリア、ブルドッグなど、鼻ぺちゃが特徴の短頭種はいびきをかきやすい犬種です。短頭種は、鼻腔が狭く、空気の通りが悪いというカラダの構造をしています。空気の通りが悪いため、普段からグーグーと鼻を鳴らすこともあり、軽いいびきをたまにかく程度であれば心配はいりません。
人間と同じように肥満の犬は、喉の内側に脂肪がつくため、気道部分が狭くなりいびきをかきやすくなります。また、このいびきが重症化すると睡眠時無呼吸症候群を発症する場合もあります。肥満が原因でいびきをかいている場合には、ダイエットが有効です。肥満は、いびきだけではなく万病の元となるので、まずは適正体重を目指してダイエットをしましょう。
もっとも気をつけなくてはいけないのが、病気の影響でかくいびきです。特に、気管が押しつぶされ、正常に空気が流れなくなることから呼吸困難を発症する気管虚脱によっていびきをかく場合は注意が必要です。いびきがひどくなるとチアノーゼを起こしたり呼吸停止となる可能性があります。ポメラニアン、ヨークシャテリア、マルチーズ、チワワ、トイプードルなどの小型犬種が好発犬種だと言われています。
また、鼻腔や喉に腫瘍ができていたり、心臓に疾患がある場合もいびきをかくことがあります。急に大きないびきをかくようになった、息苦しそうなど寝ている時の様子に不安がある場合は、動物病院を受診しましょう。
短頭種の中でも、特に鼻ぺちゃが際立っている場合は、生まれつき短頭種気道症候群を抱えていることがあります。短頭種気道症候群とは、鼻や喉、気管が通常より狭い外鼻孔狭窄、軟口蓋過長などを総称した病名です。この短頭種気道症候群の場合は、特にいびきをかきやすく、重度の場合は呼吸困難を引き起こす可能性があります。
犬がいびきをかいていたら、何らかの対処をしてあげたいもの。対象方は、いびきのレベルによって変わります。ここでは、いびきのレベル別に対処法をご紹介します。
犬のいびきのレベルは、スコア0~4の5段階あります。
スコア0:症状なし
スコア1:軽度のいびき・たまにみられる軽度の吸気音
スコア2:中程度のいびき、息が苦しそう、運動・暑さなどに対して症状がみられるようになります
スコア3:絶え間ないいびき、呼吸が苦しそう、運動が嫌いな症状も
スコア4:チアノーゼ(舌や歯ぐきの色が紫色になる)・呼吸停止
中程度のいびきであるスコア2までであれば、ダイエットをする、寝ている体勢を変えるなどの対処法で様子を見ることができます。特に、肥満の犬の場合、体重を20%減らしたことで、呼吸状態が改善したと報告されています。
スコア3では、寝ている間ずっといびきをかいている、息が苦しそうである症状が特徴です。さらに苦しそうな呼吸、舌や歯ぐきの色が紫色になるチアノーゼなどを起こしているスコア4では呼吸停止のリスクがあります。スコア3・スコア4の症状が認められる場合には、獣医師に相談をすることがおすすめです。
いびきは、何らかの病気のサインである可能性があります。特に、鼻ぺちゃ犬種を買っている場合は、いびきの大きさや音、いびきをかいている時の様子をよく観察することが大切です。また、若い頃からリードを引っ張る癖のある大型犬や強く吠える犬がいびきをかく場合は、気管虚脱の可能性があります。あまりに大きないびきや長い時間いびきをかいているようでしたら、迷わず獣医師に相談しましょう。