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2021.04.12

【獣医師監修】犬が1日に必要な水分量とは?たくさん飲む・飲まない理由を知って健康管理

犬にとって、そして私たちやその他の動物・植物が生きるためには、水分の摂取がとても大切です。気温が暑い時期になると、犬もたくさん水を飲むもの。では、犬は1日どれくらいの水分を摂取する必要があるのかご存知でしょうか?愛犬が水を飲まない場合または大量に飲んでしまう場合、実はどちらも病気の可能性があるため注意が必要です。犬は肉球にしか汗をかかないぶん、舌を出して水分を蒸発させるか、老廃物とともにオシッコとして水分を排出するしかありません。今回は犬の水分補給について解説したいと思います。ぜひ参考にしてみてくださいね。

監修:加藤 みゆき/獣医師(文:ドックドッグ編集部)

犬が1日に必要な水分量はどれくらい?

公園で水を飲む2頭の犬

人間の成人男性の体重のうち約60%が水分で構成されていると言われていますが、犬の場合は体重の約70%が水分で出来ていると言われています。また子犬の場合は、約80%が水分で占められていると言われており、子犬であっても成犬であっても体内の水分を失うと身体の働きに支障が生じ、最悪の場合死に至ることもあります。

犬に必要な1日の水分量

犬にとって1日に必要となる水分量は、フードと同じように体重毎に大まかな目安量が発表されています。日本獣医師会が発表している以下の①計算式に当てはめて成犬の1日の水分量を計算することができます。また次の計算式で簡単な目安として、②「1日に必要なカロリー(kcal)=1日の必要な水分量(ml)」と算出されることもあります。②は犬のライフステージ毎に係数をかけて計算します。

以下に計算を行なう手順と、当てはめた場合の体重毎の1日分の水分量目安の早見表をご用意しました。あくまで目安であって気温・運動量・ライフステージによって異なることをご留意いただいた上で、いつでも新鮮な水が飲める状態を作ることが大切です。

1日の水分量(目安)

体重(kg) ①の計算方法 ②の計算方法
2kg 222ml 188~236ml
3kg 301ml 255~319ml
4kg 373ml 317~396ml
5kg 441ml 374~468ml
6kg 506ml 429~537ml
7kg 568ml 482~602ml
8kg 628ml 533~666ml
9kg 686ml 582~728ml
10kg 742ml 630~787ml
12kg 851ml 722~903ml
14kg 955ml 811~1,103ml
16kg 1,056ml 979~1,120ml
18kg 1,154ml 979~1,223ml
20kg 1,249ml 1,059~1,324ml
22kg 1,341ml 1,138~1,422ml
24kg 1,431ml 1,214~1,518ml
26kg 1,520ml 1,289~1,612ml
28kg 1,607ml 1,363~1,704ml
30kg 1,692ml 1,436~1,795ml
32kg 1,776ml 1,506~1,884ml
34kg 1,859ml 1,577~1,971ml
36kg 1,940ml 1,646~2,058ml
38kg 2,021ml 1,714~2,143ml
40kg 2,100ml 1,781~2,227ml
42kg 2,178ml 1,848~2,310ml
44kg 2,255ml 1,913~2,392ml
46kg 2,332ml 1,978~2,473ml
48kg 2,408ml 2,042~2,553ml
50kg 2,482ml 2,106~2,632ml

犬に必要な1日の水分量の計算式(フードから摂る水分も含む)

  • 計算方法① 体重(kg)×0.75乗×132(ml)
  • 計算方法② 体重×0.75乗×70×1.2~2.0(ライフステージ等に応じた係数1.6~2.0)

計算方法①の手順|体重5.5kgの場合

0.75乗は3/4乗を意味するため、体重×体重×体重 = √√×132で計算することが可能です。iphoneの場合は横向きにすると2√xという表示が出てくるため、それが√となります。

  1. 体重5.5kg×5.5×5.5 = 166.375(3回かけたら = を挟んで一旦計算式を終わらせます)
  2. √√ボタンを2回押す = 3.5914…
  3. 132をかける = 474.07…
  4. 体重5.5kgのコの場合は1日474mlの水分量が目安になる

計算方法②の手順|体重5.5kgの成犬の場合

同じく0.75乗は3/4乗を意味するため、途中まで計算式は同じです。その後、犬のライフステージに合わせて計数をかけることで1日の必要カロリー量=水分量を算出します。

  1. 体重5.5kg×5.5×5.5 = 166.375(3回かけたら = を挟んで一旦計算式を終わらせます)
  2. √√ボタンを2回押す = 3.5914…
  3. 70をかける = 251.40…
  4. 係数をかける = 402.24…
  5. 体重5.5kgの成犬の場合は1日402mlの水分量が目安になる

ライフステージ毎の係数

  • 子犬・成長期(月齢4か月~1歳頃):2.0
  • 成犬(未避妊・未去勢):1.8
  • 成犬(避妊・去勢済):1.6
  • (※そり引き等の運動を行う犬の場合:4.8)

犬が1日に必要な飲水量は?

ご飯を食べる子犬

上記に記載の水分量は、1日に必要な水分量であって実際に飲む水の量(飲水量)の目安ではありません。実際には普段食べているフードの水分量にも大きく左右され、ウェットフードの量が多ければ、そのぶん飲水量も減ります。また、季節によっても飲む水の量は当然変わってきます。体温が上がりにくく代謝の少ない冬場は摂取量は若干少なくなりますし、夏場の場合はその逆となります。

1日に必要な飲水量の計算式

  • 犬の体重1kg当たり20〜90ml(※フードの種類による)

フードの種類による水分量の差

たとえば、一般的なドライフードには約7~10%の水分が含まれていますが、缶詰等のウェットフードには約70~80%の水分が含まれているため、ウェットフードを食べさせているときは、飲水量が減っても問題ありません。なお、セミモイストタイプ・ソフトドライタイプ等と呼ばれる少し水分が含まれたフードは25~35%程度の水分量となります。

以下に100g当たり392kcalで水分量7%以下のドライフードを与えているとき、100g当たり120kcalで水分量70%のウェットフードを与えているときを想定して、計算方法①を基に、1日の飲水量目安を算出しました。

体重毎の1日に必要な水を飲む量(目安)

体重(kg) 飲水量(ml)ドライフード/ウェットフード
2kg 218ml/112ml
3kg 296ml/152ml
4kg 368ml/189ml
5kg 435ml/223ml
6kg 498ml/256ml
7kg 560ml/287ml
8kg 618ml/317ml
9kg 676ml/346ml
10kg 731ml/375ml
12kg 838ml/430ml
14kg 941ml/483ml
16kg 1,040ml/533ml
18kg 1,136ml/583ml
20kg 1,230ml/631ml
22kg 1,321ml/677ml
24kg 1,410ml/723ml
26kg 1,497ml/768ml
28kg 1,582ml/812ml
30kg 1,666ml/855ml
32kg 1,749ml/897ml
34kg 1,830ml/939ml
36kg 1,911ml/980ml
38kg 1,990ml/1,020ml
40kg 2,068ml/1,060ml
42kg 2,145ml/1,100ml
44kg 2,221ml/1,139ml
46kg 2,296ml/1,178ml
48kg 2,371ml/1,216ml
50kg 2,444ml/1,254ml

犬にとって体内の水分の役割とは?

子犬がミルクを飲んでいる

犬の体は、全体重の約70%が水分で占められており、身体の水分には主に3つの役割があります。もし何らかの理由で水分が失われると、これらの働きに支障が生じることになります。

体内の水分の役割

  • 汗や呼気で水分を蒸散したり、暑い時には水を飲んで血液を循環させ、おしっこをすることで体温調節を行う役割
  • 体の成長や維持に必要なホルモン、酵素、酸素、電解質などを全身に運ぶ役割
  • その代わりに体にとって毒となる老廃物を尿として体外に排泄するための役割

飲水量の変化に注目しよう

上記で紹介した1日に必要な水分量・飲水量は目安で、実際には絶対量を把握することよりも日々の変化を把握することが大切です。急に水を飲む量が増えた場合は、慢性腎臓病・糖尿病など重大な病気の兆候の可能性も考えられます。また急に水を飲まなくなった場合にも病気が潜んでいる可能性があります。以下の章で具体的な原因を見ていきます。

犬が水を飲まないときに考えられる理由とは?

用意された水を飲まない犬

犬があまり水を飲まないなと感じたとき、その原因として考えられる理由は大きく5点あります。

1.加齢によるもの

水を飲む量には、犬の年齢が関係する場合があります。6~10歳を越えたシニアの場合だと、代謝そのものが低いことや、喉の渇きに鈍感になってしまったり、水を飲む機会が減ることがあります。

2.気温・気候変化によるもの、夏バテ・熱中症など

冬場は体温も上がりにくく代謝も上がらないもの。当然、水の摂取量も減ります。一方、夏季には、夏バテや熱中症などで体内の水分が不足しがちです。体調不良で吐き気などの不快感がある場合なども水を飲まなくなりますので注意が必要です。

この場合、最も簡単な対策方法は、食事をドライからウェットフードに切り替えたり、ドライフードにスープをかけたりして食べ物として水分を摂らせるようにする方法です。

3.食事で摂取できている

食事がウェットフードや手作りご飯だった場合、そもそも食事の水分含有量が多いので、さほど水を飲まないというパターンがあります。

4.水の容器が合わない

特に外出時・ドッグランへ行った時など、水容器を貸し出してくれるところもありますが、他の犬が使ったものですし、素材も普段使っているものと違っている場合などは、あまり水を飲んでくれないときがあります。自宅の水飲み場の高さを変えたり、外出中でも飲んでくれる持ち運びしやすい容器を見つけておくといいですね。

5.いずれにも該当しない場合

もし、いずれにも該当しない場合には体の不調を疑った方が良いかもしれません。歯周病や口内炎などで口の中に疾患があり痛みを生じているため、またはヘルニアの症状が出て水を飲む体勢が取れないなど、様々な理由が考えられます。そういったことが考えられる場合には動物病院で診察を受けてみることも手段の一つです。

犬の飲水量をチェックする方法は?

水を手ですくって犬に飲ませる飼い主

愛犬の飲水量をチェックする方法としては、以下3点が挙げられます。

1.あげる量を測定する

フードを与えるときと同様に、水をあげるときにも量を測定して、大まかな飲水量を測ることが可能です。ただし、こぼしてしまったり、蒸発してしまって正しく計測することは難しいため、あくまで目安と捉えましょう。

2.おしっこの回数を見る

犬の水分量・飲水量が十分ではないとき、当然おしっこの回数・量が減ってしまいます。トイレや散歩に行っておしっこのポーズをしているのに出ていなかったり、回数が減っているようであれば、きちんと水が飲めているかチェックしてあげてください。

3.ウンチがいつもより固い

ウンチの固さも重要なバロメーターとなります。水分量が十分でないとウンチが固くなってしまい、便秘になってしまうこともあります。腸内環境を整えることに加え、水分量が十分に担保できているかチェックしてみましょう。

これって脱水症状?こんなときは要注意!

病気を抱えている犬のイメージ

愛犬の水を飲む量が減り、ぐったりしている等の症状が見られたら、脱水症状かもしれません。動物病院であれば、血液検査を行うことで、血液中の水分量を測ることが可能です。自宅で簡単にできるチェック方法もありますので、いざというときに冷静な行動ができるよう普段から愛犬の正常な状態を確認しておきましょう。

脱水症状をチェックする方法

愛犬の背中の皮膚をつまんでみましょう。 つまんだ形が元に戻るのに何秒もかかるようであれば、脱水症状を起こしている可能性が高いと考えられます。

また、脱水を起こしているときは、血行が悪くなり粘膜が乾いたようになります。そのため、唇やまぶたをめくって歯ぐきや結膜の粘膜をみたときに、いつもより白っぽく乾いた感じに見えます。

愛犬が水を飲まないときの賢い対策とは?

公園の水を飲む犬

愛犬に水を飲んでもらうために自宅で出来る工夫がいくつかあります。ここでは、簡単に出来る方法をご紹介します。

1.フードを工夫

最も簡単な方法は、普段の食事をドライからウェットフードに切り替えるという方法です。また、ドライフードに少し味付けをしたスープをかけたりすると愛犬の食欲もアップして、食べ物から水分を摂ってもらうことが可能です。

2.水飲み場を増やす

常に愛犬が水が自由に飲めるようにしておくことが大切です。自宅内には数か所水飲み場を用意し、常に新鮮でキレイな水を入れるようにして、愛犬にとって水分をとりやすい環境を用意しましょう。

3.食塩を少し添加する方法

もともと水をあまり飲まない愛犬の食事に全体の3~5%の食塩を添加する方法があります。これによって飲水量を増やすことが出来ますが、他の病気との兼ね合いもあるため、試す場合には必ずかかりつけの獣医師と相談してから行うようにしましょう。

逆に愛犬がたくさん水を飲むのは大丈夫?

ペットボトルから水をもらう犬

続いて、逆に犬が水を大量にガブガブ飲み過ぎてしまう場合の理由を見ていきましょう。

食事内容の変化

まず、食事の内容がウェットフードからドライフードに急に変わると水をたくさん飲む可能性があります。

運動・スポーツ後

運動によって体温が上がり、「ハアハア」と舌を出して体温を下げようとすると、体の水分はどんどん減っていきますから、余計に水を飲むようになります。夏場の暑い時期なども同様に、身体が欲する水分量を摂取するために、犬はたくさんの水を飲みます。

病気の可能性

愛犬が水を飲み過ぎる場合もまた何らかの疾患を疑うべき点はあります。一般に、犬は体重1㎏につき100mlを越す飲水量は過剰であり、何らかの病気を示唆している可能性があると言われています。

例えば、人間と同じく糖尿病になれば多飲多尿になりますし、メスの場合は子宮蓄膿症になると水を多く飲んでしまいます。また腎不全などによっても水分を多く摂る傾向があります。いずれにしても、あまりにもおかしいな?と感じたら動物病院等で診察を受けるようにしましょう。

愛犬の水分摂取量は健康のバロメーター

水を眺める犬

犬をはじめ動物も植物も、水がなければ生きてはいけません。水を適量飲んでいるかどうかで健康の度合いを測ることができます。だからこそ、水は何よりも大切なものであると考え、ぜひ注意深く見守ってあげてください。そして、できたら新鮮な水を絶やさぬようにしてくださいね。きっと愛犬だって美味しい水が飲みたい!と思っているはずです。

参考文献
  • 公開日:

    2019.07.23

  • 更新日:

    2021.04.12

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ライター・専門家プロフィール
  • 加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。