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白と黒の毛のアラスカンマラミュートが遠くを見つめている
犬種図鑑
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2021.10.01

犬と過ごす幸せな時間

アラスカンマラミュートの特徴や性格!飼い方やルーツまで|犬種図鑑

歌舞伎役者のような独特の顔のマーキングと、オオカミのようなクールな表情が魅力のアラスカンマラミュート。
地球上で最も過酷と言われる極北の地で、イヌイットのそり犬として暮らしていたアラスカンマラミュートは、そっくりなシベリアンハスキーと同じ最も古い犬種のひとつです。
今回は、そんなアラスカンマラミュートの特徴・性格から飼育方法の注意点、かかりやすい病気、誕生の歴史についてご紹介します。

#アラスカンマラミュート

文:西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

アラスカンマラミュートの外見の特徴

グレーと白の毛のアラスカンマラミュートが地面の上で丸くなって眠っている

アラスカンマラミュートはシベリアンハスキーに似ていますが、ハスキーより一回り大きく、立ち上がると人間の肩くらいの高さにまでなります。
また、ハスキーがまっすぐな垂れ尾であるのに対し、アラスカンマラミュートは巻尾であるところが特徴です。
ぶ厚い毛並みにがっちりとした体、とがった耳、長めのマズルと、オオカミに似た外見で、肩や四肢も太くしっかりとしています。

適正体重・標準体高

アラスカンマラミュートのジャパンケネルクラブでの標準体高は、オスで63.5cm、メスで58.5cm標準体重はオスで38kg、メスで34kgです。がっちりとした体型で、しっぽはゆるく巻かれて背中に背負っています。

ココがチャームポイント!

アラスカンマラミュートの魅力はなんといってもクールな目。ハスキーはブルーやバイカラーなどのコもいますが、アラスカンマラミュートの目はアーモンド型で茶色のみです。

被毛の特徴

極寒の地で使役犬として働いていたアラスカンマラミュートの被毛は、防水性が高い厚く粗いトップコート羊毛に似た脂分を含んだアンダーコートが特徴です。トップコートは、体の側面に沿って比較的短く、肩や首回りは中程度の長さとなっています。また、トップコートとアンダーコートの長さが異なることもアラスカンマラミュートの特徴です。

コートタイプ

極北の地で暮らしてきたアラスカンマラミュート。被毛は粗いトップコートと密で厚いアンダーコートのダブルコートで、雪の中や水の中での体温の低下を防いでいます。換毛期は夏には、アンダーコートが抜け落ちる換毛期があります。そのため夏の数ヶ月間は、短く密度の低いアンダーコートとなります。

標準の毛色

アラスカンマラミュートのカラーは黒系のブラック、グレー、ライトグレーと茶色系のセーブル、レッドなど多くの種類があります。

お手入れ方法と注意点

ダブルコートのアラスカンマラミュートはブラッシングはとても大切です。特に換毛期には多くの毛が抜けるため、こまめにブラッシングを行う必要があります。手入れを怠ってしまうと毛がフェルト化してしまい、皮膚病を発症してしまう可能性が高くなります。

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アラスカンマラミュートの性格の特徴

茶色と白の毛とグレーと白の毛のアラスカンマラミュートの仔犬4匹が暖炉の前で並んで伏せをしている

精悍の顔立ちと美しい毛並みのアラスカンマラミュートは、古代より人間と共にそり犬としてまた時には狩猟犬として働いてきたスピッツ系の犬種です。飼い主に忠実な性格であることが大きな特徴です。

性格の特徴【1】人懐っこくてとっても勇敢!

アラスカンマラミュートはオオカミのような見た目とは裏腹に、人懐っこく勇敢な性格をしています。非常に穏やかで愛情深く、飼い主に献身的な子が多いようです。そり犬として活躍していたため、協調性も高く多頭飼育にも向いています。

性格の特徴【2】感情表現が豊かで、いたずら好きなところも

アラスカンマラミュートは表情が豊かで、笑顔が魅力的です。スピッツ系の犬種の特徴でもあるいたずら好きな面や頑固な面もあるため、子犬の頃から十分に社会化を行うようにしてください。

こんなしつけが必要

そり犬として活躍していたアラスカンマラミュートは大型犬の中でも、力が強いことで知られています。そのため、引っ張られてケガをしたり、他の犬と喧嘩したりしないようにしっかりしつけを行う必要があります。

しつけのコツ・注意点【1】しっかりとしたリーダーシップが必要

愛情深く、友好的で、飼い主に忠実なコンパニオンドッグですが、飼い主とともに働くことが大好きな性格です。そり犬や狩猟犬として活躍していた歴史を持つことから、はっきりと指示を出してくれることを好みます。一人の人間にしか懐かないタイプではありませんが、家族の中でリーダーを決めることが大切です。

しつけのコツ・注意点【2】基本的なしつけは子犬のうちに

子犬の頃のアラスカンマラミュートは、ぬいぐるみのような可愛さがありますが、成犬になると体重30kg以上の大型犬になります。そのため、子犬期にマテ、呼び戻しといった基本のしつけはもちろん、社会化をしっかりとしておくことが大切です。

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アラスカンマラミュートの平均寿命と気をつけたい病気

黒と白の毛のアラスカンマラミュートが雪道の上に立っていて舌を出している

アラスカンマラミュートは、地球上で最も過酷な極寒地域で暮らしていた犬のため寒さには強いですが、湿度・気温ともに高い日本の夏には不向きな犬種です。そんなアラスカンマラミュートには、気をつけたい病気があります。

平均寿命

アラスカンマラミュートの平均寿命は、その他の大型犬と同じく11歳前後といわれています。ただし、生活環境によっても左右されるため、アラスカンマラミュートに適した生活環境を整えてあげることが大切です。

気をつけたい病気

アラスカンマラミュートは、基本的には健康な犬種ですが、大型犬特有の骨に関する遺伝疾患やアラスカンマラミュート独特の神経障害を発症しやすいとされています。

病気【1】遺伝疾患・股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)

大型犬に多く発症する股関節形成不全は、正しい位置に股関節がはまっていないことから、歩くことに痛みを感じる遺伝疾患で、重度の関節炎を引き起こします。ブリーディングの前に、親犬の股関節を検査することで、遺伝を避けられる疾患です。また、近年では股関節全置換手術、大腿骨頭・骨頸(こつけい)切除手術などで股関節の機能を回復することが可能です。

病気【2】遺伝疾患・軟骨異形成

「小人症」とも呼ばれる骨軟骨異形成とは、骨が十分に成長しない遺伝疾患です。これは犬の外観を優先にしたブリーダーが生んだ疾患であるとも言われていますが、根本的な治療法はなく、対症療法での治療が行われます。

病気【3】遺伝疾患・多発性神経障害

この疾患は、この病気の遺伝子を持った親犬からの遺伝によって発症します。病気の程度は、軽度から重度までさまざまな形で現れます。
代表的な症状は、協調性の欠如、精神的不安定などの神経障害と後ろ足の障害です。
発症は、主に6ヶ月から2歳までで、活発な犬種であるのに走らない、散歩を嫌がる、横になってご飯を食べるなどの症状が現れます。
確立された治療法はなく、症状が重篤の場合は安楽死が選択されることもあります。

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アラスカンマラミュート誕生の歴史・ルーツ

黒と白のアラスカンマラミュートが雪道を走っている

アラスカンマラミュートはコッツブエサウンドと呼ばれるアラスカ北西部の海岸地方で、原住民のマラミュート族と共に生活していた犬であり、そり引きや狩猟、漁業の仕事を行っていました。

祖先は、マレムッツと呼ばれている先住民族に同行して、シベリアからアメリカに渡ってきたオオカミ犬の子孫であると推測されています。
シベリアンハスキー」「サモエド」などと同じ、スピッツ系の犬であるとされていますが、詳しくは解明はされていません。

北極のそり犬としては最古の犬種と言われており、近年の研究ではオオカミとアラスカンマラミュートのDNAが極めて近いことも分かっています。

名前のルーツ

アラスカンマラミュートの名前は、アラスカ北西部にあり、北極の中心に位置する地球上で最も過酷な地域とも言われるコッツブエサウンドに住んでいたイヌイット(極北地域で生活する人々)のマラミュート族と共に暮らしていたことに由来します。

名前にあるマラは町の名前を示すとされ、ミューレはイヌイット後で人々を指すと言われていることから、「アラスカのマラの人々」という意味となります。

活躍の歴史

アラスカンマラミュートは、20kgの重さのある荷物を数十キロの雪道を運ぶ「力持ちの犬」として古代から活躍していました。
そっくりなシベリアンハスキーは、その速い走りから「レーサー」、アラスカンマラミュートは「貨物船」と呼ばれていたのです。

18世紀にはアラスカでゴールドラッシュ(金脈を求めて採掘者が殺到する現象)が起こり、多くの人がアラスカにやってきました。そこでアラスカンマラミュートは犬ぞりレースなどに出場するようになりました。やがて、レースやその他の使役を目的として異種交配が盛んになり、純粋なアラスカンマラミュートは一時絶滅の危機に陥りました。

その後、1920年頃にはニューイングランド・ドッグレースの愛好家たちにより、純粋なアラスカンマラミュートが見つけ出され伝統的なマラミュートの繁殖が行われました。
第二次世界大戦では寒さに強いアラスカンマラミュートは重宝され、軍用犬としても活躍したのです。
1933年にはリチャード・バード提督による南極探検の旅でそり犬として活躍したことでも知られています。

分類される犬種グループ

19世紀に入ると、純粋なアラスカンマラミュートは絶滅の危機に瀕しましたが、アメリカでそり犬レースが開催されたことから、純血種保存運動が起こったのです。やがて、熱心な愛好者によってコッツブエサウンド出身のアラスカンマラミュートをもとに品種基準が作られ、1935年、アメリカンケネルクラブにワーキンググループの犬種として登録されたのです。

しかし、第二次世界大戦後、このコッツブエサウンド出身のアラスカンマラミュートが激減し、現在ではその他の地域で繁殖されていたアラスカンマラミュートも同じ犬種として登録されています。

アラスカンマラミュートはクールな家庭犬向きの犬種!

ベージュと白の毛のアラスカンマラミュートが雪道の上でソリを引いている

オオカミのように精悍でクールな外観を持つアラスカンマラミュートですが、特徴のある顔立ちと表情豊かで穏やかな性格のため人気のある大型犬です。
最近では、ワーキングドッグよりもコンパニオンドッグとしての立ち位置を確立し、家庭犬に向く犬種として評価されています。
しかし、運動欲求が高く、ボリュームのある被毛のケアも大変なことも事実です。

  • 公開日:

    2019.07.08

  • 更新日:

    2021.10.01

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ライター・専門家プロフィール
  • 西村 百合子
  • ホリスティックケアカウンセラー、愛玩動物救命士
  • ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。 現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。