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犬種図鑑

2020.04.16

犬と過ごす幸せな時間

【柴犬】一時は絶滅が危惧されていた?知られざる柴犬の歴史や性格、お手入れ方法、かかりやすい病気まで

素朴な雰囲気を持つ柴犬は、古くから日本人と生活をともにしてきた土着の犬種で、時代を超えて不動の人気を持ち続けています。(2019年のジャパンケネルクラブ(JKC)登録頭数は10,307件で堂々の第7位!)
そのキリっとした顔つきとは相反するほんわかした佇まいに、柴犬ファンシャー(愛好家)たちの心はわしづかみにされてしまうのです。
今回は、そんな柴犬の知られざる歴史と性格、健康管理やお手入れ方法などをご紹介します。

#柴犬

Author :中野 由美子/docdog プロデューサー 兼 日本犬担当編集者

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柴犬と日本人の長い歴史

柴犬

日本犬保存会によると、国内で飼育されている日本犬のうちおよそ8割を柴犬が占めるということです。海外ではショードッグや家庭犬として柴犬の人気が高まってきており、アメリカやロシアでは秋田犬に迫るほどの勢いがあります。
今や世界中で大人気の柴犬ですが、その歴史とは一体どんなものなのでしょうか。

柴犬の先祖は大陸からやってきた

柴犬の元となる犬は、まだ日本列島がユーラシア大陸とつながっていた時代に大陸から歩いてやって来たと考えられています。その後、温暖化した地球の気候により日本列島はユーラシア大陸から切り離され、残された柴犬の元となる犬は独自に繁殖することとなります。
紀元前500年(縄文時代)の遺跡からは柴犬の先祖犬の骨が発見されており、このことからこの頃にはすでに人間と一緒に狩りをして生活していたのではないかと考えられます。

農耕民族が連れてきた犬との交配が進む

弥生時代に入ると、中国大陸や朝鮮半島から海を渡って農耕民族がやって来ます。その時一緒に連れてこられたスピッツ系の犬と、もともと日本列島にいた柴犬の先祖犬との交配が進んだ結果、現在の立ち耳で巻き尾の柴犬の姿になっていったとされています。

長く小動物や鳥の猟犬として活躍

以降は、小動物や鳥の狩りで活躍する猟犬として長く人間と一緒に暮らしてきました。地域ごとに独自の呼び名で発展してきた時代もあり、長野の「信州柴犬」、岐阜の「美濃柴犬」、山陰地方の「山陰柴犬」などが有名です。

輸入犬種との交雑が加速し絶滅の危機に

明治時代に入って以降、西洋の猟犬が海外から多く輸入されるようになり柴との交雑が進んだ結果、大正時代になるころには純血種の絶滅が危惧されるほどにまで数が減ってしまったとされています。
そこで、日本犬の保存を目的に昭和3年に設立された公益社団法人 日本犬保存会により、昭和9年には柴犬の基準が制定され血統書が発行されるようになりました。その後、秋田犬(昭和6年)や甲斐犬、紀州犬(昭和9年)に続いて、昭和11年には柴犬が国の天然記念物に指定されることになります。

柴犬の身体(からだ)の特徴

柴犬

柴犬は日本犬の中では唯一の小型犬種に分類され、コンパクトな体格と均等の取れたプロポーションを持っています。
そんな柴犬の身体のサイズや被毛の特徴を見ていきましょう。

日本犬で唯一の小型犬種、その大きさや容姿は?

ジャパンケネルクラブ(JKC)と日本犬保存会による体高基準は以下の通りです。
体高:オス39.5cm、メス36.5cm(それぞれ上下1.5cm以内を許容)

また、日本犬保存会では体重の記載もあります。
体重:オス9kg~11kgくらい、メス7~9kgくらい

ピンと上を向いた立ち耳と、上向きに巻かれたボリュームある「巻き尾」が特徴です。この巻き尾には、並巻き尾・二重巻き尾・太鼓巻き尾・半巻き尾と4種類のタイプがあります。一般的には、適度な隙間が出来る並巻き尾が好ましいとされています。また、コンパクトな体格ながら骨格はしっかりとしており筋肉もよく発達していて強健な体質です。

毛色は全部で5種類、抜け毛はいっぱい

ジャパンケネルクラブ(JKC)のスタンダードでは、柴犬の毛色は【赤】【黒褐色】【胡麻】【黒胡麻】【赤胡麻】の計5種類が認められており、これらは全て裏白とされています。毛色による性格の違いはありません。

被毛は短毛のダブルコートで、上毛は硬い直毛、下毛は柔らかく密集しています。寒さには比較的強く、少しの雨なら弾いてしまうことも出来るため、日本では昔から外飼いもされてきました。

抜け毛は多く、特に換毛期の抜け毛は柔らかい下毛がごっそりと抜けるので、こまめなブラッシングで下毛を取り除いてあげましょう。室内で暮らす場合は、洋服を着せてあげると部屋に舞う抜け毛を減らすことが出来るのでおすすめです。

柴犬の平均寿命とかかりやすい病気

柴犬

柴犬の平均寿命は、12~15才と言われています。しかしこれは、生活環境や習慣によって大きく変わりますので個体差があることを理解しておきましょう。
柴犬は強健な体質をしていますが、かかりやすい病気として「アトピー性皮膚炎」などの皮膚疾患が挙げられます。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、ダニやカビ、ハウスダストなどが原因で発症する病気です。強く体を痒がる仕草が見られたり、目をこする回数が増えたりします。予防方法として生活環境を清潔にすることはもちろんのこと、1~2ヵ月に1回のシャンプーで皮膚の状態を清潔に保ってあげましょう。

食物アレルギー

食物アレルギーは、ドッグフードに含まれる特定の原材料に反応して起こります。症状は、体を痒がるほか、食後に顔が腫れることもあります。アレルギー検査をしても何がアレルゲンかが分からないことも多いので、ドッグフードを変えたタイミングで体を痒がるような仕草が見られたらフードを変えて様子を見てみましょう。

柴犬の性格の特徴

柴犬

日本犬の中でもっとも小さい柴犬ですが、日本犬の特徴をぎゅっと凝縮したような性格をしています。はっきりとした意志を持ち、誰にでも愛想よく振る舞うことは少ないと考えましょう。また、非常に繊細で真面目な柴犬は、一度許したことは覚えているので家族全員で一貫したしつけを心がけてくださいね。

大胆で独立心が強く、頑固

柴犬は猟犬として活躍してきた歴史のなかで、一緒に猟をする人間が近くにいない時や判断に迷っている時には自ら考えて行動する独立心を培ってきました。その独立心は人間に依存しすぎないという性格的特徴でもあり、もっとも野生動物に近い犬種とも言われています。
また、自分の欲求を貫き通す頑固さも持ち合わせ、他人にむやみに迎合しない性格なので、気に入らないことをされた時は噛みつく子もよく見かけます。柴犬が猟犬や番犬として長きにわたり活躍してきた理由は、この独立心と頑固さがあってこそとも言えるでしょう。

主人と認めた人間には忠実で従順

独立心が強い柴犬ですが、古くから人間社会で暮らしてきただけあり、主人と認めた人間には忠実で従順な一面を持っています。お散歩パトロール中や他所のひとの前では警戒心を発動する柴犬も、飼い主さんとふたりの時間には気持ちよさそうにお腹を撫でられることもあります。
強い自立心を持っていることからひとりでのお留守番も苦手ではない柴犬ですが、飼い主さんが帰宅すると嬉しさを全力で表現した「飛行機耳」で尻尾をブンブン降ってお出迎えしてくれます。

柴犬を迎える心構え|適切な環境としつけとは?

柴犬

柴犬を家庭に迎え入れることが決まったら、柴犬に合った環境やしつけの方法を知って準備しておきましょう。

環境|ひとりで安心して休める寝床

柴犬はとても繊細で独立心の強い性格をしているので、愛玩犬に属する犬種のように常に飼い主のそばに寄ってくるというよりは、家族が見える場所に居ながらもひとりでゆったりと休んだり遊んだりすることが得意です。室内で暮らす場合は、柴犬が安心して休めるスペースやケージを用意して、リビングなど人の集まる場所に設置してあげてください。
また、非常にきれい好きな性格なので室内トイレを嫌がる子も多いです。室内のトイレトレーニングを行う場合は、寝床のケージとトイレケージを分けてあげるのがおすすめです。

しつけ|家族全員で一貫したトレーニングを

柴犬はとても賢く、優柔不断な状態を見抜く繊細さを持っています。一貫したトレーニングを家族全員がおこなえることを目指しましょう。
また、他の犬種と比べて社会化期が終わるのが早いとも言われています。子犬を迎える場合は、早めにトレーニングを始めるのが吉です。初めてで不安な場合はパピー教室を頼るのも賢明です。

柴犬を迎える心構え|必要な運動量とお手入れ方法とは?

柴犬

では、日ごろの運動量とお手入れについてはどうでしょうか。

運動量|お散歩は1日2回30分ずつ、たまにうんと走らせて

柴犬は小型犬ながらしっかりと体力があるので、1日2回、各30分ほどの散歩が必要です。元気なあいだは、可能であればたまにドッグランへ連れて行き、十分な運動をさせてあげましょう。
日々の運動量が足りていれば家の中でも穏やかに過ごすことができ、夜もぐっすりと眠ることができ無駄吠えなどをすることも少なくなります。

お手入れ方法|こまめなブラッシングで異変がないかをチェック

柴犬は皮膚疾患を起こしやすい犬種なので、被毛や皮膚のケアはこまめに行いましょう。抜け毛も多いため、ブラッシングを毎日してあげることで体の状態をチェックすることができます。ノミ・ダニによりアトピーを発症することもあるので、自然の多い環境で生活する場合は春先から秋口までの投薬を検討すると良いでしょう。
中にはシャンプーや爪切りを嫌がる子もいます。子犬から迎える場合は、早いうちに慣れさせておくと成犬になった時にケアがしやすくなります。

柴犬と過ごす幸せな時間

柴犬

柴犬は、古くから日本人の生活に深く関わってきた犬種です。流行りの影響を受けずにずっと人気が高いのには、犬種独自の魅力もさることながら日本の生活環境で一緒に暮らしやすい体質をしていることも関係しているかもしれませんね。
日本犬の魅力をぎゅっと凝縮した柴犬を愛情いっぱいに育て、生涯の最良パートナーとして共に生きていく生き方、素敵ですね。

◎ライタープロフィール
docdog 中野由美子

中野 由美子/docdog プロデューサー 兼 日本犬担当編集者

幼少期に出会った犬種図鑑をきっかけに「犬と人間の共存」に興味を持つ。化粧品会社に就職後「本当の美しさとは何か」を考える中で、「異なる種類のいきものが共存する姿」がいきものの美しさの根源だと考えるように。現在はdocdogで活動しながら、ながく歴史を分かつ犬と人間の双方にとって幸せな共存の在り方を模索中です。

  • 公開日:

    2019.06.18

  • 更新日:

    2020.04.16

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