昨今、飼育環境の向上などにより犬は長寿化傾向にあり、それに伴って年老いた犬の介護という問題がメディアでも取り上げられるようになりました。 そこで耳にするようになったのが「老犬ホーム」という存在です。この老犬ホームについて紹介をしていきます。
老犬ホームとは、様々な事情で高齢の愛犬のお世話ができなくなった方から犬を預かり、飼い主さんに変わってお世話をしてくれる施設です。有料老人ホームの犬バージョンと言えば想像しやすいかもしれません。
施設によってサービス内容は異なりますが、短期間のお預かりから長期まで様々なプランがあります。
すべての飼い主さんは、ずっと一緒に暮らしてきた愛犬のお世話は、最期まで自分の手で責任を持ってしたいと願っているはず。ですが、様々な事情でその願いが叶わなくなってしまうこともあります。
例えば、愛犬と同じように飼い主さんも高齢になり、入院やリハビリなどが必要で愛犬のお世話が困難になってしまうケースや、家族の介護が必要になり、愛犬のお世話にまで手が回らなくなってしまうケースなど、誰の身にも起こりうることなので、決して他人事ではありません。
老犬ホームに愛犬を預ける場合には、施設のプランにもよりますが、主に2つのプランから選ぶことになります。
1つめは、短期(1日、1週間、1ヶ月など)の利用を想定したお預かりプランです。愛犬の介護疲れの一時的なリセットや、投薬などが必要でペットホテルに預けるのは心配な場合などに利用するのが便利です。
もう1つは、長期(終身)プランで、こちらを利用する際には基本的に、犬の登録名義自体を施設側に変更し、その先はずっと老犬ホームでお世話をしてもらうというプランになります。
老犬ホームでは、犬の体調を一番に考えながら、規則正しい生活が送れるようなスケジュールを組んでいます。施設によって異なりますが、一日のスケジュールの流れ(例)は次の通りです。
1日のスケジュール(例)
施設やプランによっても料金体系・設備は変わるため、一概には言えませんが、今回調査した中での標準的な老犬ホームの利用料金や設備等をご紹介します。
老犬ホームに預ける際の利用料金は以下の通りです。預ける年数に応じて割引が適用される施設等もあります。
利用料金(目安)
施設によって設備は様々ですが、主な老犬ホームの設備は以下の通りです。
主な設備(例)
老犬ホームには愛犬が生活するための基本的な設備は整っていますが、預ける際に飼い主さん自身が用意すべきものもあります。概ね下記の通りです。
老犬ホームに預ける際に必要なもの
老犬ホームはここ数年で施設が増えてきています。大切な愛犬のお世話をお願いするわけですから、信頼できる老犬ホームへお願いしたいですよね。ここからは、老犬ホームを選ぶ際に気にしておきたいポイントをご紹介します。
老犬ホームは、なるべく自宅や職場から近い場所、またはアクセスのしやすい場所であることが望ましいです。愛犬をホームに預けても、大切な家族であることには変わりありません。面会には頻繁に行ってあげたいですよね。手厚く世話をしてくれるホームはたくさんありますが、犬は飼い主さんに会いたいもの。
家や職場から近ければ面会にも行きやすいですし、少し距離があったとしてもアクセスしやすい場所であれば出向きやすくなります。また、老犬はいつ体調に異変が起こるかも分かりません。そのようなときでも、すぐに駆けつけることのできる場所にお願いするのがおすすめです。
面会時間はなるべく長く、相談次第では融通をきかせてくれる老犬ホームだと便利です。飼い主さんにも生活がありますので、なかなか決められた面会時間に会いに行けないこともあると思います。そんなときに、できるだけ自身のスケジュールに合う面会時間を設けていて、事前の相談次第では時間の融通をきかせてくれるような老犬ホームだと良いでしょう。
老犬ホームによっては、リハビリ施設・トレーニングルーム・医療設備などを完備している所もあります。また、スタッフも資格や知識を持っている方がいることはもちろんですが、日中の勤務人数や夜間の人数なども事前に確認しておくと安心です。
LINEやYouTubeなどを使い、愛犬の一日の様子を報告してくれる老犬ホームもあります。愛犬の様子をその都度報告してくれれば、頻繁に会いに行けない時でも安心ですよね。
気になる老犬ホームを見付けたら、まずは必ず見学に行くようにしましょう。安心できる老犬ホームは、見学を申し出るといつでも受け入れてくれるところが多いです。いつどんな時に人が来ても、問題がない証拠です。その逆に、見学時間や日時の指定をやたらにしてくるようなホームは、あまりおすすめできません。
見学に行った時には、ホーム内はくまなく見学させてもらい、スタッフの様子やホーム内の清掃具合なども確認するようにしましょう。 また、老犬は独特な体臭を発することが多いのですが、常に清潔な状態を保っているホームは匂いが気になりません。その点もチェックするポイントとなります。
ここからは、関東エリアと関西エリアにわけて各地の老犬ホームをご紹介します。
まずは関東エリアの老犬ホームを4つご紹介します。
老犬ホームだけでなく、ペットホテルやデイサービスなどおこなっている「THE KENNELS TOKYO」は、『もうひとつの我が家』と思えるような環境で愛犬を預かってくれる施設です。関節への負担が少なくリハビリができる水中トレッドミルや、炭酸泉温浴施設など老犬には至れり尽くせり。ワンランク上のサービスが受けられます。
なお、入所前にはしっかりとカウンセリングを行い、犬それぞれに合ったオーダーメイドプランを作成してくれます。季節ごとの行事やお誕生日祝い、遠足などのイベントを実施して日常生活を楽しく過ごせる工夫をしてくれる老犬ホームです。
「東京ペットホーム」では『ホリスティック介護』という自然治癒力を高めて病気を予防するという考え方の下、アニマル・マッサージをおこない、血行促進や免疫力アップを促してくれます。複数メディアから取材を受けた経歴もある老犬ホームです。
近くに海や川もあり、自然豊かな好立地にある「九十九里パーク」。海岸のお散歩は、みんな気持ちよさそうです。また、天然芝の広大なドッグランもあり、ここで飼い主さんと面会もできます。料金も明朗会計なので、安心ですね。
「WANCOTT」は、全天候型の広々としたドッグランを有し、ペットホテルやトレーニングなど様々なニーズに応えてくれる複合しせうつです。老犬ケアにも力を入れており、手作り食やカテーテル食などにも対応してくれるなど、愛犬に合わせたオーダーメイドの介護が受けられます。またスクール、介護・老犬ケアをご利用の方には送迎サービスも兼ね備えています。
つづいて、関西エリアの老犬ホームをご紹介します。
京都にある「老犬ホームあん」は、非営利の一般社団法人に認定されており、利用料金もわかりやすくリーズナブルに設定されています。行政との連携もあり、災害が起こった時などには犬の避難所として多くの被災犬を受け入れた実績も。
福岡にある「Azul」は、古民家を再利用したアットホームな老犬介護ホームです。我が家のように過ごせるので、愛犬たちのストレスも少なく、24時間体制で介護が受けられます。2020年8月にオープンしたキレイな施設も魅力のひとつですね。
預かりサービスだけでなく、訪問介護やペットシッターなどのサービスも充実している「ペットケアステーション大阪」。老犬だけでなく、子犬からずっとサポートする終生サポーターとして、できるだけ愛犬に負担のかからないようなケアに定評があります。
老犬ホームに対する考え方は人によって様々だと思いますが、老犬ホームに預ける=愛犬との別れというわけではありません。専門家が常駐する設備の整った施設で、旅立ちの時まできちんとお世話をしてもらえる環境は、持病を抱える愛犬や寝たきりになってしまった愛犬にとっては自宅で過ごすよりも快適に過ごせることもあります。また、愛犬は大切な家族の一員ではありますが、飼い主さんの無理は長続きしないものです。愛犬の快適性と幸せを最優先に考え、また家族みんなが納得できるような選択をすることができるといいですよね。