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2019.02.01

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犬のお悩みよろず相談室「そうだ、かえさんに聞いてみよう!」 vol.7

「手作り食とドライフードのミックスごはんって大丈夫?」

docdogメディアのリニューアルで連載休止となるので、ひとまず最終回となった犬生相談は、犬ごはんについて。これまた多くの飼い主さんが日々気にしている案件だと思います。可愛い我が犬のために、最良のごはんにしてあげたい......そう思うのは、愛ある正しい飼い主の親心。みんなで一緒に考えてみましょう。

#Lifestyle

Author :写真=飯岡澄子、白石かえ 文=白石かえ

ドライフードのせいで早死にしたのかと後悔

【ご相談】

はじめまして。
我が家の1歳半になるわんこのご飯をどうしようかと悩んでいて、ネット検索していてdocdogにたどり着きました。

白石さんのご飯の記事、若干ざっくりした感じもありますが(笑)、とても愛情たっぷりのごはんで、しっかり研究されていて、大変勉強になりました。

天国へ旅立った2匹のわんこには若い頃はカリカリ(ドライフード)のみで、シニアになってからは手作り食で火を通したお肉や魚と野菜などを与えていたのですが、最近亡くなったわんこには手作り食だと栄養不足かもと思って、亡くなる1年前から半分カリカリにしたのですが、それが果たして良かったのか、そのせいで病気になったのか、まったく分からなくて後悔もありとても悩んでいます。

今のところは朝昼晩に(万が一の災害時などの際に同意見で)カリカリ半分に、生の馬肉と茹でたカボチャやゴボウ、甘酒などを加えて与え始めましたが、この先どうしようと悩んでいたところ、友人からこんなサイトが送られて来て、ちょっと心配になりました。

『カリカリと生肉を一緒に与えることに関する危険性』

お時間のある時に、お手数ですがサイトでご紹介またはご意見が伺えると助かります。

「カリカリと生肉を一緒に与えてよいものなんでしょうか?」

(N美さん)

どんなに素晴らしいごはんを与えていても

誰もが愛犬のために、試行錯誤の繰り返し

 N美さん、ラストを飾るお便り、ありがとうございます。「若干ざっくりした感じの~」というのは、本連載vol.2「犬に生肉をあげてもいいのですか?」のことかな?

 でも、まず本題の前に、お伝えしたいことがあります。

 愛犬を亡くしたとき、自分が与えていたごはんが正しかったのか、そのせいで死期を早めてしまったのではないか、と後悔されているとのことですが、それは違うと思いますよ。

 そう思ってしまう親心もわかります。家庭犬は、自分の食べるものを選べません。野生動物だったらそれもできますが、家庭犬の場合、飼い主が与える栄養がすべて。よって飼い主の責任は重大です。だからこそ自分の選んだものが愛犬にとって適切だったのか、自責の念にかられてしまうのはわかります。

 でも、そんな風に後悔しないで。N美さんは勉強する意欲があり、試行錯誤を繰り返し、愛犬のためにいろいろ努力をされている。愛のある、いい飼い主さんです。愛犬の晩年、ちゃんと獣医さんにも診てもらっていたとも思います。

 それでも、愛犬の死は避けられません。いつかは必ずその日がやってきます。たとえ、どんなフードを食べていたとしても。どんな高価なお肉を与えていたとしても。最高の愛情を与えていても。飼い主さんのせいじゃないんです。天命です。だから、自分を責めないでね。

すべてのドライフードが「悪」ではない

 とはいえ犬ごはんは、悩みますよねー。私もシニア期に片足つっこんでいる我が愛犬2頭の栄養管理について悩みっぱなしです。

 でも基本、自分の犬には腐らないごはん(防腐剤や酸化防止剤がてんこ盛り?)は与えたくありません。腐らない、って不自然。味や風味、栄養も劣化すると思うし。また、たとえば商品名が「チキン」なのに、原材料に「鶏肉」と書いていなくて、「鳥副産物」とか「チキンミール」が先に書いてあるドライフードは選びません。端肉が全部いけないとは思いませんが、もしもトサカや、ヒト用の食材には適さない病死した動物の肉などが使用されているのはイヤ。その点、手作りごはんだと生食派でも加熱派でも、自分の目で見てお肉を買っているから安心です。

 でも、すべてのドライフードが「NG」とも思っていません。前回の記事にも書きましたが、日本の犬がドライフードを食べ始めたのは戦後60年足らずのことですが、犬の寿命が延びた理由のひとつなのは事実(そのほか、フィラリアの薬ができた、獣医療が発達した、室内飼育が増えたなどのおかげもあります)。さらに近年では、ヒューマングレードの材料を使ったプレミアムフードもたくさん市場に出ています。もしや私が食べるスーパーで買うお肉よりもオーガニックでいい食材を使っているのではないかと思うくらいです(笑)。

 だから、N美さんの「亡くなる1年前から半分カリカリにした」せいで、亡くなったわけではないと思うんです。ドライフードの療法食を与えることが、適切な治療なこともありますしね。「カリカリ=悪」「手作り=善」のような風潮に惑わされることはないと思います。

その犬ごとの個体差、体質差を見極める

 愛犬にとって何がベストかは、個体で変わります。体質(アレルギーの有無、栄養として取り込みやすいなど)、胃腸の強さ、消化酵素、食べ方(丸呑み早食いタイプと、わりと小さく噛みちぎるタイプとか)などによりみんな違う。犬ごはんの選択は「愛犬をよく観察し、そのコに合ったものを選ぶ」という、このひと言に尽きると思うのです。ニンゲンでも、青魚はお腹を下しやすいとか、甲殻類にはアレルギーが出るとか、年を取ると脂身の強い焼き肉はたくさん食べられなくなるとか、ありますよね。

 犬にも個性がそれぞれあって、生肉メインの生食が体に合っているコもいるし、そうでないコもいます。同じ食材を与えるにしても加熱調理した方がいいウンチがでるのなら、そうすればいい。ドライフードでも、下痢せず、毛艶もよく、皮膚も湿疹やフケもでず、目も輝き、涙やけもせず、耳の中もいつもきれいで、適正体重を維持でき、元気よく駆け回っているなら、それでよいと思うんですよ。

 手作り食で栄養不足や栄養バランスが心配になるのもわかります(私もそうでした)。でも犬の状態を見れば、たいてい見抜けるし、心配なら元気なうちから獣医さんに定期的に健康診断してもらえば大丈夫だと思うんです。最近では手作り食に理解のある獣医さんも増えていますから、そういう先生に相談してみるとよいアドバイスがもらえると思います。

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犬友達のワイマラナーのジョジョのごはんは、愛情たっぷりの手作りごはん。私のごはんよりはるかに手間がかかっています。愛だね〜愛♪ ちなみに、たまたま別件で久しぶりにうちのクーパーの血液検査したら、腎機能、肝機能などすべて異常なし! 手作り食でも、大丈夫だったもよう。だから自分の愛犬の栄養状態、健康管理が心配ならば、動物病院でチェックするといいと思います

ドライフードと手作り食を混ぜるのは危険?

答えは「その犬しだい」。消化能力は個体によって違う

 さて今回の『カリカリと生肉を一緒に与えることに関する危険性』の記事についてですが、英語の達者なdocdog編集部の協力も得てざっくり理解したところ、まず基本は加工食品(ドライフード)よりも生食を推奨しているようですね(ただし危険な骨が交じってないことや菌が少ない安全な肉であるなど正しい方法での生食)。そのうえで骨入り生肉や、生食と加工食品をミックスすることを危惧しているようです。要約すると、

・10%くらいの骨が含まれている生肉の場合、健康な消化機能を持つ犬であれば消化できるが、消化能力が低い犬の場合は、骨の破片が大腸や直腸を傷つけることがある。
・骨入り生肉は、消化器官の丈夫なコだからこそ消化できる。
・加工食品は消化機能を弱めてしまう。だから朝、加工食品を与えて、消化機能が落ちた状態で、生食をあげると消化しきれず、犬の体を弱めることにつながりかねない。

 など。それでN美さんは、災害時に備えてドライフードも食べられるようにしたいけれど、シライシ家がやっているような「加熱した手作り食+骨付き生肉+ドライフードのトッピング」のような、ごちゃまぜミックスごはんは犬の消化によくないのではないか?と質問してくれたのだと思います。

 お答え。記事に書いてあることは理解できます。でも「健康な消化機能を持つ犬であれば消化できるが」と書いてあるとおり、すべては犬の個体差によるということ。骨を与えても下痢や血便でなければ腸を傷つけずに無事に消化できているのでしょう。ドライフードを混ぜても快便なら、犬の体は弱まっていないでしょう。反対に下痢するなら、ミックスごはんはやめるとか、ドライフードの量を減らすとか銘柄を変えるとか、骨も含めて細かくミンチ状になっている犬用食材を試してみるなどの工夫をしてみる。愛犬の「ウンチ」と相談しつつ、決めればいいと思います。

強靱な胃腸の持ち主と、軟弱な下痢っコがいる

 うちの場合は、メル(ボクサー)の胃腸はものすごく強靱で、8年半生きていて下痢したことは数回しかありません。骨を食べても、生で牛レバーを食べても、大丈夫。先の記事にある「消化器官の丈夫なコ」に属するタイプなのでしょう。ついでに言うと先代の故コーギー2頭もこのタイプでした。

 しかしクーパー(ジャーマン・ショートヘアード・ポインター)は顔に似合わず、胃腸が非常に軟弱。少量の骨、サイコロ1つ分ほどの茹でたレバーならセーフですが、許容量を超えると、夜中にピーピー言い出して、水下痢になる。ひどいときは血便になります(←ダメ飼い主)。また生よりも、加熱食の方が消化しやすいらしい。ちなみに先代の故ワイマラナーもクーパーと似たタイプでした。ドイツのポインターの消化酵素などがそういう傾向にあるのかも? 個体差だけでなく犬種差もあると獣医の友人に聞いたことがあります。

 メルなら平気なのに、メルより10kg以上も体格の大きなクーパーが、同じ物を食べているのに見事に下痢をする。犬によっていろいろですねー。だけど、本人(本犬)は骨もレバーも大喜びするし、カルシウムや鉄分も取らせたいと思い、ついあげたくなっちゃう(←バカ飼い主)。

 さじ加減がすごく難しい。でも、結局のところ個体差を見極め、無茶をさせないことが、飼い主の腕の見せどころ、というか、重大な任務なのだと思います。たとえば小型犬に大きな骨を与えて丸呑みしたら、腸を傷つけるどころか腸閉塞になり、開腹手術が必要になるかもしれません。消化能力以外の要因も加味する必要があります。

 しかし多頭飼育だとそれぞれ違うメニューにするのは正直面倒くさい(笑)。そこでうちではクーパーとメルの消化能力の折衷案をとり「肉と野菜の加熱ごはん+新鮮な肉が入手できたとき少量の生肉、生骨プラス(クパは少なめに)+ドライフードのトッピング」にしています。お肉を多めに解凍したときはドライフードはなしの日もあります。反対に忙しくて作れない夜は、ドライフードや缶詰だけの日もあります。新鮮なレバーが買えたときは、サイコロサイズにカットして加熱し、ごはんに入れてやったり(クパには1つ。メルには多め)、ごほうびおやつに利用したりします。

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ジョジョのおうちでは、仕事で遅くなる日もあるので、約1週間ほどを1度に作り、3日分ほどを冷蔵庫へ、残りは冷凍庫にストック。小分けにすることすら面倒くさいシライシ家では、毎晩作り、今夜の夜ごはんと翌朝の朝ごはんにしています

幅広い視野を持ち、ベストなごはんを導き出す

 ただしやっぱり私は大ざっぱなので、私見だけでは信憑性がない(笑)。そこでこの春で11歳になるワイマラナーを大変可愛がり、全力で(いい意味で)溺愛している犬友達の意見も聞いてみました。

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ママがいろいろ試行錯誤してたどり着いた、専用レシピのごはんをウマウマするワイマラナーのジョジョ。体格のわりに意外と少量。消化吸収効率がよいんだろうね

 彼女は「生食は体にいい」と聞いて、愛犬が2歳~6歳の間は100%生食を与えていたそうです。しかし彼女の愛犬も下痢しやすかった。そしてワイマラナーは(致死率が高い)胃捻転になりやすい犬種なので、おなかの中で膨らむドライフードは避けたいし、お水のがぶ飲みもさせたくない(栄養の交じった吸収のいい水分を与えたい)。ホリスティックなよい獣医さんがいると聞けば診察に行き、書物も読み、栄養不足にならないようしっかり計算し、最終的に加熱手作りごはんに落ち着いたとのこと。トライ&エラーを繰り返しながら、それが愛犬の体質にいちばん合っている、と導き出したのです。

 ただ停電や災害時のことを考慮し、月に数回、お湯でふやかすタイプの加工フードを与えているそう(むしろそのフードを犬がワクワクする感じなんだって。ママが手間暇かけた愛情たっぷりの手作り食も大好きだけど、たまには外食のラーメンが食べたくなるニンゲンと同じ!?)。

 彼女が何より偉いなぁと思うのは、完全愛犬専用オリジナルレシピにたどり着くまでに、多くの本を読み、複数の獣医師のアドバイスを聞き、東洋医学的な判断も仰ぎ、できうるかぎりの情報収集をしていること。ひとつの意見に固執することなく、柔軟に多くの情報を取り入れて、愛犬の体質に合ったものを取捨選択しています。すごく大事ですね。と、言いますのも、これは極端な例ですが、だいぶ前に取材でお会いしたある飼い主さんは「うちの犬にはササミしか与えません。生水も飲ませません。メロンの汁だけです」と、大真面目な顔をして言っていました(今思えば、虐待だー)。いくら飼い主が「愛情」と思っていても、盲目的、非科学的なのは、犬の体を壊します。

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ワイマラナー・ジョジョのママは大変、勉強熱心。この本はすべてジョジョママ所蔵のものです。すごいね! 1冊だけでなく、多面的に学ぶ姿勢が大事だと思います。私も見習おうと、とりあえず2冊注文しました!

さまざまな意見や学説はあれど、愛犬の体質にマッチするかは別の話

 広い視野を持ち、獣医師の意見も聞き、愛犬の状態を観察する力を身につけることが重要です。また年齢を重ねるうちに、体質や消化能力も変化します。何かの病気になったときには必要な(あるいは不必要な)栄養というのもでてくるかもしれません。マシンのように、いつもガソリンを入れておけばいいわけじゃない。生き物だから、ベストな調理法や食材や量は、ライフステージや体調、季節(冬は痩せやすいとか、季節の変わり目に胃液を吐きやすいとか)などでも変わっていくと思います。

 万人(万犬)にとってベストな食事はありません。よその犬にはよくても、うちの犬の体質には合わないこともある。また、誰かの意見は正論かもしれないけれど、自分の愛犬にはマッチしない話かもしれない。それを見極められるのは、飼い主だけです。

 私も、友人のように情報収集を頑張り、体調とウンチをよく観察し、クーパーとメルにとって最良のごはんをあげたいと思います。取り急ぎ、友達所蔵の本のうち気になるのを2冊、早速注文しました(笑)。N美さんの愛犬にとっても、体質に合ったベストなごはんが見つかりますように!

◎お知らせ

【犬のお悩みよろず相談室「そうだ、かえさんに聞いてみよう!」】は、docdogメディア自体のリニューアルを控えていることもあり、いったん休止とさせていただきます。
毎回の配信を楽しみに長らくご愛読いただいた皆様、ありがとうございました。
コーナー再開時期については未定ではありますが、決まり次第サイト上にてお知らせいたします。

◎プロフィール

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白石かえ
犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパン。犬猫と暮らして30数年。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせる、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

●執筆サイト: dogplus.me 犬種図鑑 ほか多数
●ブログ: バドバドサーカス
●主な著書:
『東京犬散歩ガイド』、『東京犬散歩ガイド武蔵野編』、『うちの犬 あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』、『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』(構成・文)

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