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2018.11.01

読みもの        

犬のお悩みよろず相談室「そうだ、かえさんに聞いてみよう!」 vol.4

「クルマの後部座席に、フセて乗せる方法を教えてください」

庶民派犬オタク・ライターによるよろず相談コーナー、久々の登場です(まだお便り募集中だよ。早く早く!)。今回は、自動車に乗せるときのお悩み。中型・大型犬はもちろん小型犬も安全に最善の注意をして乗せることが基本中の基本。ただ、犬の気持ちはどうなのかな?ってのも、ちょっと想像してほしい。そこをふまえて、改善策を考えてあげることが大切ではないかと思います。

#Lifestyle

Author :写真=リキママ 文=白石かえ

【ご相談】

  • 犬種:ボクサー
  • 性別:オス
  • 年齢:8歳
  • ボクサーのオス「リキ」8歳です。
    後部座席に伏せて、乗せる方法を教えてください。

    クルマに乗るとき、後部座席に座ってくれません。立って、背もたれに体重を掛けて、乗ることが多いです。「座れ」と言えば、座りますが、しばらくすると立ってしまいます。
    飼い主の願いとしては、伏せて、寝ながら乗って欲しいのです。どうやったら、伏せて、後部座席に乗ってくれるでしょうか?

    また、助手席に乗りたがって仕方ありません。助手席だとちゃんと座っています。

    「クルマに乗るとき、後部座席に座ってくれません。どうすればいい?」

    (リキママさん・埼玉県川口市)

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    とにかく運転席はもちろん、助手席もNG!

    まだまだ「運転手のお膝に抱っこ」乗車がいる日本

     ボクサーさんちからのお便り、嬉しいでーす(うちのメルと同じ犬種♥)。今回のお悩みは、同じボクサー飼い主として、ニヤニヤしながら読みました。ああ、やっぱり犬種のキャラクターが滲み出ているなぁと。

     まずボクサーに限らずどの犬でも、クルマに乗せるときは、犬の身の安全および運転者の安全、そして、自動車社会全体の安全を守り、交通ルールを遵守することが重要です。でも残念ながら、まだ日本は、ダメ飼い主が多いと認めざるをえません。

     というのも、先日、駒沢公園(東京都世田谷区)でのドッグイベントに行ったときのことです。駐車場を並ぶ大渋滞ができていて、その列の右側のレーンを通り過ぎながら見ていたのですが(私は助手席だったから観察できたんだけどね)、やはり、運転手のお膝に抱っこしている小型犬のクルマが何台もいて、ガックリしました。

     そのうちの1台は、小型犬が2頭いて、運転席のお父さんのお膝に乗り、しかも窓が半分以上開いていて、犬の頭はおろか前半身が出るほどで、我も我もと2頭が"おしくらまんじゅう"するように身を乗り出していました。危ないじゃんっ!! いくら自分のクルマは駐車場待ち渋滞でほぼ停止状態とはいえ、その右側の車線は(うちのクルマのように)普通のスピードで走っているんだよっ。あのマルチーズちゃんたちが、窓から落ちたら、うちのクルマが轢いちゃうじゃないか! もちろん犬も悲惨な目に合いますが、走行している一般ピープルとしても、犬を轢きたくなんかありませんっ。絶対にイヤッ。よその犬だって自分のクルマで轢いたら、可哀想でいたたまれない。

     だいたい、自分のささいな不注意で、愛犬が窓から飛び降り、死なせたり、ケガさせたりしたら、飼い主だって泣きたくなるでしょう。だから、本当にみんな、お膝抱っこはやめてほしい。犬、飼い主、そして周囲のドライバー、あるいは歩行者、みんなにとって迷惑行為なのです。

    助手席も、犬がいると前方不注意になるのでダメ

     助手席でもそれは同じです。まずフロントシート(運転席と助手席)は、犬は乗せてはいけません。何かの際に、犬が動き、ハンドル操作を誤ると大事故を誘発させるからです。そういえば、昔はよくクルマのカセット(古い! いまはCDか、スマホか、えっともはや最新のカーナビやカーオーディオなどはBluetoothに対応しているのか!? えへへ、うちは今でもMDで聞いています。チョーアナログ)を交換しようとして、一瞬、前方不注意になり、死亡事故を起こしてしまうという痛ましい事件をよく聞きましたが、犬の存在もある意味同じです。前方不注意を起こさせる存在になってしまうのです(だって可愛いもん。見たくなるもん)。赤ちゃんのベビーシートも後部座席に設置するのと理論は同じ(よそみ運転しない方がいいし、なにしろ後部座席の方が死亡率が低い)。たとえ小型犬だから「助手席の人がしっかり抱っこする」と言っても、つねにギューッと抱きしめる(=拘束する)わけにはいかないから、やっぱり危険です。

     だからリキちゃん。まずは、助手席に乗せるのは禁止です(キッパリ)。8歳のボクサーならまったりしていて、おそらく静かに助手席で座ってくれるタイプだと想像できますが、それでもダメです。まぁ、実を言うと、うちのボクサーも、クルマで待たせているときは、すぐ運転席や助手席に移動して、まるでニンゲンが乗っているかのように、スッと前を向いていることはあります(大型犬は、座高がニンゲンと同じくらいだから、クルマ泥棒が座っているのかとびっくりする)。しかし、駐車中ならともかく、走行中は一切ダメです。犬ですから、どんな行動をとるかわかりません。犬に「100%大丈夫」はないのです。

    なぜ犬は外を見たがるのか。そこも想像してみる

    基本はケージ。または頑丈なシートベルトハーネス

     では、ベストな犬の乗車方法は何か、と言いますと、夏にdocdogで書いたばかりので、基本はこちらをお読みください。
    ↓↓↓
    [Driving with Dogs]犬連れドライブの基礎知識<前編>
    愛犬とクルマでドライブ。もっと広がるお出かけの世界

     やっぱり基本は、ラゲッジスペースにケージで乗せる、というのが王道です。安全です。

     ただし、犬によって、アドリブを利かせる必要もあると、内心思っています。たとえば、骨関節が痛くて足を折り曲げるのがしんどい犬なら、狭く固いケージに入れられないこともあります。体調の悪い犬や心臓などが悪い犬なら、急変したときにすぐに察知し、速攻クルマを停車し、対処してあげたいので、後部座席に休ませたいとも考えるでしょう。そして、ある意味ボクサーも特殊な犬です。ボクサーやフレンチ・ブルドッグなどの短頭種は、非常に暑さに弱い犬。だから夏場は飛行機にも乗せてもらえないルールになるほどです。つまり、ケージ内に入れると、冷房の風が入りにくく、また自分の体温でケージ内の温度が急上昇し、熱中症になる危険が高まります。だからケージに入れるのを躊躇したくなる気持ちもわかるのです。短頭種だけでなく、老犬や肥満犬、循環器に持病のある犬なども同じく熱中症になりやすいです。一方、めっぽう寒さに弱い犬種や血行不良の老犬は、冬場は暖房の効いたクッション性のいい後部座席に乗せてあげたいと思うのも親心です。

     このように何らかの事情があって、ケージには入れづらいという犬もいると思います。しかし、だからといって、自由勝手にさせるのも安全配慮に欠けます。なので、私はやっぱりそういう場合は、後部座席で、犬用の頑丈なシートベルトハーネスの着用を強くオススメします。結局、私もそこに行き着きました。グッズのオススメの記事は以下を参考にしてみてください。
    ↓↓↓
    [Driving with Dogs]犬連れドライブの基礎知識<後編>
    犬連れドライブ安心グッズ ~愛犬に優しく、安全に~

    「外の世界を見るのが好き」というのなら見せてあげればいい

     前段が長くなりましたが、リキママのお悩みである、「座ってないで、シートに伏せて乗ってほしい」という核心の部分に参ります。

     ここはズバリ、私は、頑丈なシートベルトハーネスを着用しているのなら、何もシートに丸まって休まなくてもいいと思うのですよ。

     とくに私も、ボクサーと暮らしてみて、初めて気がついたことがあります。ボクサーは実に興味深い犬です。ほかの今まで飼育したことのある犬(大きなビーグル、ワイマラナー、コーギー×2 、ジャーマン・ショートヘアード・ポインター×2)と比較しても、とても特殊な気がします。ボクサーはとても変わっています(笑)。好奇心が強いのか、風景を眺めながら何か考えているのか、なんだかわかりませんが、うちのメルも、ほとんどシートに丸まって寝ません。ずっと座ったまま、窓ガラスの外を眺め、物思いにふけるような顔をしています。ときには、シートから身を乗り出して、真後ろの窓から興味津々で後方を観察していることもあります。

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    リキちゃんも後方が気になり、真後ろ向いて、外を眺めることがあるんですね。うちのメル(ボクサー)も同じ行動をよくします。ボクサーって、ほかの犬とはちょっと違う感性を持っているように思います。おもしろいです

     あれだけ山で自由運動させたり、旅行でくたびれたりしていても、寝ません。意地でも車窓を眺めています。つまり「外の世界」が気になる、見ていたい、関心がある、ということなのではないかと思っています。ちなみに、同じだけ遊んだクーパー(ジャーポ)は、クルマに乗ると「本日の勤務終了!」と言わんばかりに、サッサと丸まって寝ます。ワイマラナーもそうでした。これは犬種差もあるのではないかと思います。すなわち猟犬種は、山を走ってナンボ。狩りが終わったら、勤務時間終了なので、よけいな体力は使わずにすぐ休憩時間となります。残業はしません。しかしボクサーは、今ではコンパニオン(大型愛玩犬)ではありますが、使役犬種として番犬の能力も高い犬です。ジャーポと違い、24時間ガードマン勤務態勢なのかもしれないなぁと思ったりします。だから疲れていようがなんだろうが、外の監視を怠らないのかなぁと。まあ、それとうちのメルの場合は、ミーハーな性格も加わっていると思います。「外の世界を見ることが趣味」かのようです。どんなに疲れていても、アンニュイな目をして、窓の外を眺めています。目を開けたまま寝ているのではないか、と思うときもあるくらいです(笑)。これは個体差でしょう。

     たしかにものすごーーーく遊んだ日は、帰り道についに丸まって寝ることはたまにあります。あと、大好きなうちの娘も一緒に旅行に行ったときだけはくっついて丸まって寝ています。あれは何なんだろうねって、家族とも話していますが、もしかすると、最も安心する人のそばや場所(自宅)なら、やっと勤務時間終了で休めることができるのかもしれません。

     リキちゃんももしかすると、ただ単にメルのように「外の世界を見るのが好き」なのかもしれません。助手席が好きなのも、フロントガラスの方が視界が広いからかなと想像します(だけどそうは言っても助手席はNGね)。個体差、血統差、性差もあるでしょうが、犬種的にはありえます。決して反抗心などでフセをしないのではく(コマンドをだせば、とりあえずはフセをするというのはそういうことだと思う)、外を見ていたいのではないでしょうか。ならば、道中、外の景色をたっぷり見せてあげたらいいと思うのです。外の世界を知ることは、大事な刺激であり、社会化トレーニングの一環ともいえますし。そのかわり、ただ座らせるのでは、万が一衝突事故が起きた場合に、リキちゃんがフロントガラスに叩きつけられて危険な目に遭うので、安全試験をパスした頑丈なシートベルトハーネスを付け、安全を確保したうえで、車窓を眺めさせてあげればいいと思います。

     また、ボクサーの体力と信念の強さ(寝ないで外を見るんだ〜という頑固さんのところ)を考えると敵は手強いですが(笑)、どうしても1度は後部座席に伏せて休ませてみたい、というのなら、1日中登山とかマラソンとかさせて、ものすごくリキちゃんを心身ともに疲れさせてみたら、ついにくたびれて、帰りの車中に伏せて寝てくれる可能性はあります。「疲れた犬はいいコ」がシライシ家の家訓ですが、MAXまで疲れたらリキちゃんも、メルと同様に寝てくれるかもしれません。が、あくまでもリキちゃんの体調を見て実験してくださいね。8歳のボクサーですから、今さらあんまり無理はさせてほしくないなぁとも思います。

     いいではないですか、伏せて寝なくても。リキちゃんにとっては、クルマの移動時間が、私たちがネットサーフィンやテレビを見るように、外の世界の情報を吸収する時間なのかもしれません。「礼儀正しく、後部座席で伏せて待つ」というのはニンゲンから見た理想の姿なのかもしれませんが、リキちゃん目線で1度考えてみてください。リキちゃんが走行中、ワサワサとあちこち動くのなら問題ですが、それもシートベルトハーネスをすれば解決できますし、リキちゃんがフセをしないだけでおとなしく車窓を眺めているのなら問題はありません。大いに外の世界を見せてあげてください。ただし、窓は閉め、飛び出さないようにすること、そして万が一の衝撃に備えてシートベルトハーネスをすること。この安全確保さえ守ればよいと思います。

     ついでに言うと、後部座席のシートが硬いとか、肌触りが気に入らないとか、安定が悪いという言い分で、オスワリすら拒んでいるのかもしれません(助手席だと座るのなら、フロントシートの方がホールド感があるとか、頭を乗せるところがあるなど、お好みポイントがある場合も)。リキちゃんの好きなフワフワな毛布や犬ベッドを後部座席にセットしてあげるとオスワリやフセをしてくれる可能性はあります。

     正しい、真面目な飼い主さんは「礼儀正しく、ルールどおりにしなくちゃ」と思う人も多いです。それはとてもモラルのある素敵な飼い主さんだと思います。ただ、犬の行動が誰にも迷惑をかけていないのなら、なぜそんな行動をしたがるのかな?と、ちょっと犬の気持ちを想像し、犬目線に立ってみてください。ニンゲンにもいろいろな性格、趣味、興味があるように、犬にもいろいろな個性があります。リキちゃんの個性を見極め、理解してあげることで、一層リキちゃんが愛しくなると思います。

     こんな解答で大丈夫かな? もし間違っていたら、またお返事くださいね!


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    ◎プロフィール

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    白石かえ
    犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパン。犬猫と暮らして30数年。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせる、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

    ●執筆サイト: dogplus.me 犬種図鑑 ほか多数
    ●ブログ: バドバドサーカス
    ●主な著書:
    『東京犬散歩ガイド』、『東京犬散歩ガイド武蔵野編』、『うちの犬 あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』、『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』(構成・文)

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