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2018.10.05

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順風満帆?!あおとの暮らし【柴犬生活航海記 vol.23】

白柴・あお「マンネリ注意報?」

2015年・秋から「あお」と名付けた柴の仔犬と暮らし始めた「犬の新人飼育員」の「僕」と「もうひとり」。最近、あおの気持ちがずいぶんわかるようになってきたとはいえ、全く理解できないことがひとつ。それは......。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=舘川範雄 協力=(株)浅井企画

あおの目

 朝、目を覚ましクレートから出てくるあお。まず伸びをし、それから僕の方へと近寄ってくる。

「あお、おはよう!」
 さわやかに声をかけるとあおは......一瞥もくれずに僕の横を通り過ぎていく。え?僕に近づいて来たんじゃないの?
 あおは、朝起きてまずはベランダに出たい。その通り道にたまたま僕がいた、ただそれだけ......。

 僕の横を通り過ぎ、ベランダ前までくる。そこではじめてあおは僕の方を振り返る。その目は「なにやってんの?早く開けてよ」
 慌てて引き戸を開けると、あおは感謝の気持ちなど表すことなく、最初から開いていたかのように、ベランダへと出ていく......。その後姿を見ながら毎朝思う。お前は何様なんだよ!!と。

 1歳になる前のあおは、朝、どんなに熟睡していても、僕がクレートの前を通っただけで、まるで消防士のようにいきなりガバっと飛び出してきて、
「隊長!出動(散歩)ですか!?」と僕をまっすぐな目で見つめてきた。
 犬ってこんなに人に従順なのか~と感動していたのに、今では隊長ではなく、専属のドアマンである。

 とはいえ、目を見ただけで、あおが言おうとしていることを理解できてきたのが面白い。

 ドッグランでしばらく遊んだところで、僕の顔を見上げてくる時は
「もうココわかった。出たい」
 そうかな?と思ってリードを出すと「早くつけて」と、近寄ってくる。つけ終わるとさらに見上げて「はい、出よ」スタスタ出口に向かう。

 初めて通りかかるカフェの前。立ち止まってこちらを見上げる時。

「ねえ、ここ入れそうだから入ろうよ」
 今日はいいよ、入らないよと言うと、「わかった」という顔をしながら、一気に店の方へダーっ!こちらは虚をつかれアー......
 店員さんがドアを開け「いらっしゃいませ」
......こうして店に入らされることも多い......。

あお流・公園での過ごし方

 目を見ただけでわかるようになってきたあおの気持ち。でも未だにその目を見てもよくわからないのが、近所の公園にいる時のあおの気持ちだ。

 よく行く近所の公園。着くとしばらく匂いを嗅いだり、寝ているネコを眺めたりしたあと、地べたに寝そべりはじめる。ここからがわからない。あおはそのまま何もせず、ただじーっと、いやぼーっとし続ける。
"公園に立ち寄る"ではなく、"公園に滞在"である。
 こちらとしては散歩なので一緒に歩きたい。しかしあおはゆったりと、流れる時間を楽しんでいるよう......。まるでリゾート地で森を眺めているような顔で。

何が見えるわけでもないのにじーっとしている

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 あお、行こう!と促しても「まだ」と、頑として動かない。
 無理に連れ出してもいいのだが、ここで僕の"ホテルマン的おもてなしの精神"が邪魔をする。
「散歩以外の時間はずっと家の中。あおにとって唯一の楽しみは今なんだし、こちらの都合で切り上げるのはかわいそうかな......」
 ああ、我ながらなんて甘い......。

 10分、20分......あおはずっと寝そべっている。
 その横で特にすることもなく、ただ立っているのがつらい......。だんだん足が疲れてくるので時々しゃがむ......。しゃがみながら、折りたたみ椅子持ってくればよかったな~と思う......。
 でも持ってくるのは重いから、公園のどこかに置かせてもらいたいな~と思う......。そんな、どうでもいいことを思うぐらいしかすることがない!

 あおのくつろぎタイムにひたすら付き合っている間、知り合い犬が入れ代わり立ち代わり公園にやってくる。
「あ!やっぱりあおちゃんいた」
「あおちゃん、今日は何時間いるの?」

 ちっとも大げさではない。本当にずっといる。なにもしないでただずっと。

 ほとんどの犬と人はグルっと一周して、すぐに公園から出ていく。
 その去っていく後ろ姿に向かって、「犬の散歩ってそういうものですよね?公園って散歩の中では通過点ですよね?」と、心の中で叫ぶ。

 目の前に絶景が広がるわけでもなく、夏涼しく、冬暖かいわけでもない。ただの、住宅地にある小さな公園。我々には理解できない居心地の良さがあるというのか?
 この時あおの目を見ても、よくわからない......。

こういう場所なら遠くを眺めてボーッとするのも理解できる

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同じような目で住宅をただ眺めている。意味がわからない

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 もう限界!早く出たい!帰りたい!
「あお、そろそろ別の場所に移動しよう」と、無理やり立ち上がらせると、あおは数歩歩き、また寝そべる。確かに移動したかもしれないけど、そういうことじゃないんだよ!あおは聞こえないふり。

家のように公園の片隅でくつろぐあお

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家よりくつろいでいることも......

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寝転ぶではなく、ただ転がっている

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「行こう!」
 強く声をかける。するとつぶらな瞳でこちらを見上げてくる。その意味はわかる。
「まだいきたくないよ」

こういう目

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 むしろ牙をむいて「ウゥ......」と唸って欲しい。それならこちらも容赦なく、強制退場させられる。しかし劇団いぬの女優・あおは、悲しげな顔で見つめてくる。
「ずっと家の中にいたんだよ。だからお願い、もう少しだけ、もう少しだけでいいからここにいさせて。お願い......」  そんな意訳たっぷりの字幕があおの顔の下に見えてくる。

「わかったよ!じゃああと10分だけね」
甘い!我ながら甘いと思う!でも断れない。だってあおがそこまで言うのだから!(完全にバカ)

 暑さに耐え、蚊と戦いながら、あおがボーッとするだけの時間に付き合う。

 朝ならまだいい。でも夜は困る。あおは寝そべっているので遠くから見ると僕だけがひとり、立っているように見えるからだ。

夜の公園でもボーッとして過ごす

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 暗闇の中、ずっと立っている男がいる......。しかもかれこれ1時間以上もいる......誰が見ても怪しい。そう思われているかもしれない!と感じたところで......もう限界。
「あお、もう帰ろう!」
 強制終了。あおを抱き上げて公園を出る。

 犬に合わせすぎ!!その通り!!人間の都合で切り上げてなにが悪い?悪くない!わかっているならそうすればいい!
 ......わかっているのに、なかなかその域に達しない......。

初めての散歩拒否!?

 この間も、目を見てもあおの気持ちが理解できないことがあった。
 なんとあおが、生まれて初めて散歩を拒否したのだ。

 夜の7時少し前。「さあ行こうか!」と、家を出たとたん、あおは一瞬何かを考え、そしてクルッと振り向いて家に帰ると言い出した。
「うそ?!もう?」
 思わず声が出た。
「なんで?仕事(「小」または「大」)しに行かなきゃ」
 そんな声など完全無視。あおが目で「玄関開けて!」と訴えているのはわかるが、その理由がわからない。
 何度か歩かせようとしたが、頑なに帰りたがるので、仕方なく家に戻った。雨でも降っているなら理解できるが、その日は快晴。おまけに暑くもなく寒くもない、散歩するのにぴったりの気温......。
 30分後、もう一度外に出すと、今度は家の周りを2分ほど歩いただけで
「やっぱり帰る!」またも家へ引き返した。

 散歩に出ると「まだ家に帰りたくない!」と主張するあおが、なぜ自ら家に帰るのか?
「うちは散歩嫌いで、すぐ帰るって言うんですよ」という人が羨ましかったがいざ、あおがそうなってみたら、少し心配になった。体調が悪いわけでもない。理由はなんだろう?

 2週間近く、もうひとりの飼育員は舞台の稽古と本番で、朝の散歩は僕とあお、夜の散歩も僕とあお。家でもずっとふたりきり。さらに散歩は、毎日近所の公園ばかり......。散歩を拒否して部屋で寝そべるあおの目を見ながら、その気持ちを推測した。

「またあんたとふたりでただ近所歩くの?!だったらうちにいる!」
 つまり「マンネリ」って言いたいわけ? そう考えると、いつもの公園で寝そべっているのも、
「あんたといてもやることないから寝る」ということだったのか? ドカーン!ショックーーーー。

 その日、23時頃に帰宅したもうひとりの飼育員に事情を説明し、試しにふたりで行こうと言ったらどうなるか試した。あおはすんなり公園に向かって歩き出した。
「小」の限界が来ていたから歩いていたのかもしれないが、二人体制の散歩が楽しそうなのは、あおの目を見てわかった。「小」をすませたあとも、「ねえ、こっちに行こうよ」とさらに遠くに行こうとしていたのがその証拠。

マンネリからの脱出

 それからもしばらく僕とあおのふたりきりの日が続いた。

 もしあおが「マンネリ」を感じているのならば、それを打破せねばならない。それにここまでふたりきりの時間が長いのは、あおがまだ小さくて散歩に出られなかった頃以来かもしれない。あの頃はこちらに余裕がなかったが、今は飼育員としてまあまあ慣れてきた。あおとの時間の過ごし方を改善してみようと考えた。

 日中、家で仕事をしていると、あおはよく、机のそばや、足元にやってきて寝転んでいる。

仕事中、いつの間にか足元にいた あお

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 それがかまって欲しいからなのか、ただ眠いだけなのかイマイチわからなかったが、退屈していることだけは確か。今までは仕事が終わるまで無視していたのだが、ふたりの生活のマンネリ化が叫ばれる今、変えていかねばならない。
 最後まで仕事を仕上げたい気持ちをぐっと抑えて、あおの退屈が限界に来る前に声をかけるようにした。
「あお、オヤツ遊びする?」

 おもちゃを隠して、それを見つけて持って来れたらオヤツゲット!の遊び。この提案に、あおの目はキラキラ!
「やる!」スクッと立ち上がりついてくる。

 しばらくやって「おしまい」。あおもある程度は満足。そのあと、あおは昼寝、僕は仕事を再開。
 夜になってあおと散歩。近所の公園で相変わらずじっとしようとしているあおに、ルネくん(トイプードル・いつもの公園メンバー)の飼い主さんがあおにやってくれるのを真似て、脇腹やおしりをちょっとつついてちょっかい遊び。
 いつもならただじっとしているあおも、いつもと違うこちらの様子に、最初は「は?」でもそのあとはなんだか盛り上がってきて動き出し、さらに珍しく歩きだした。

 その後、帰宅し食事をしていると、いつものようにあおが足元に近寄ってきて僕をじっと見上げてきた。さらに口を小さくパクパクっとやってなにかをアピール。それを僕はずっと「わたしもなにか食べたい~」というアピールだと思って無視していた。
(と言いつつ、ついオヤツを食べさせてしまうことの方が多いのは秘密)
「あお、ごはん食べたじゃん」
 そう言いながら、はたと思った。もしかしてこれ、「なにか食べたい」じゃなくて「いっしょに遊びたい!」なのでは?試してみよう。箸を置き、足元で僕を見上げているあおに言った。
「あお、遊ぶか?」
 僕が立ち上がるとあおはしっぽをフリはじめた。これはやっぱりそうなのか? 食事の途中だったが、確かめることにした。
「あお~」!と言いながらカラダをちょん!とつつくと、あおは嬉しそうに逃げながらも僕に反撃。そんな遊びを繰り返しているうちに、いつしかあおは満面の笑み。しばらく遊んで満足したように、水をごくごく飲みに行き、そのまま疲れたーという感じでカーペットに、ズテっと寝そべった。

 あおはごはんを食べてエネルギーが充填され、元気倍増、うずうずしていたのだろう。こちらも軽く疲れるぐらいけっこう遊んだ。あおは、うちの中でも毎日これぐらい遊びたかったのかも......。
 今頃ようやく気がついた。
 家の中で遊ぶ時間、これからもう少し増やしていこう......。
(でも、こちらの食事が終わるまでちょっと待ってください)

 あおとの生活、マンネリ解消がこの秋からの新課題である。

(つづく)

◎プロフィール

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舘川範雄 (たてかわ のりお)
1966年9月19日生まれ。1987年4月から作家活動に入る。
「コサキン」「SMAPxSMAP」「ポンキッキーズ」「スクール革命!」「THEカラオケ☆バトル」などテレビ、ラジオで多数の番組構成を担当。また関根勤主宰「カンコンキンシアター」の他、オリジナルコメディーやミュージカルの作・演出など、活動は多岐にわたる。
*本連載の1stシーズン【柴犬生活漂流記】は、こちら
*インスタグラム(ao20150721)で白柴「あお」が毎日、犬の目線で日々の出来事を投稿中! 

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