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2018.09.26

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犬のお悩みよろず相談室「そうだ、かえさんに聞いてみよう!」 vol.3

「分離不安かも!? 外出すると30分間吠えっぱなし......」

庶民派犬オタク・ライターによる、犬との暮らしの中での困っていることや素朴な疑問にお答えするよろず相談コーナー。今回のご相談は「分離不安」。この症状が出てしまうと、犬の心もすり切れますが、飼い主の心も疲弊します。わかります、経験者ですもの! 改善の道を一緒に考えていきましょう。

#Lifestyle

Author :写真=匿名希望さん 文=白石かえ

【ご相談】

  • 犬種:フラットコーテッド・レトリーバー
  • 性別:オス
  • 年齢:6カ月
  • 生後6カ月のフラットコーテッド・レトリーバー(オス)と暮らしています。

    5カ月くらいまでは何の問題もなく留守番できていましたが、最近は私が部屋から出るだけで、ピーピーと鼻鳴きをしたり、サークルの破壊、そしてバリケンまでも齧ってしまっています。先日留守中の様子を動画撮影してみたところ、30分間ほとんどずっと吠えていたんです。
    何だか切なくなってしまいました。

    私は犬を飼うのは3頭目で、今までのコたち(犬種は違いますが)は何の問題もありませんでした。が、今の子に分離不安の症状が出ているということは、私の接し方に問題があったのかなぁと落ち込んでしまいます。

    「犬の分離不安のこと、どのように克服させていったらいいのか教えてください」

    (匿名希望さん・新潟県新潟市)

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    分離不安に悩む、飼い主さんはたくさんいる

    完全な分離不安犬になる前に軌道修正を

     こんにちは。写真付きのお便り、嬉しいです。可愛いコだね。でも、どんなに可愛いコでも、天使と悪魔両方の側面を持っています(特に子犬は)。天使の部分を可愛がり、悪魔の部分も愛して修正するよう導いていく、それが飼い主の愛情。めげないでいきましょう。とくに分離不安に関しては、同じ悩みをお持ちの方は、全国にけっこういます。このコだけではありません。勇気を出して相談してくれてありがとうございます。みんなで悩みと解決法をシェアするきっかけにしていきましょう。

     留守中にずっと吠える、破壊する、飼い主がいればトイレの失敗はしないのに留守中になると粗相する、足先を舐め壊したり、しっぽを齧ったりといった自傷行為に走る......などの、分離不安症状と思われる問題行動は、本当に切ないものです。その気持ち、めちゃくちゃよくわかります。なにしろ私の先代の犬であるワイマラナーが「日本最強の分離不安」(自称)だったからです。

     散々複数のトレーナーに相談して、「あのトレーニング法は今だったら育犬放棄の虐待だなぁ」と思う過酷な「無視月間」(飼い主も身を切られる想いがしました。辛かった)を実行したこともあります。でも、学説もトレーニング法も時代と共に変わっていくので、どれが正解かは私にもよく判断できません。それに犬の個体差もあるし、飼い主との関係性もあるから、改善策はひとつではないと思います。

     しかし、相談者さんのフラットコーテッド・レトリーバー(以下、フラット)はまだ生後半年ちょっと。早めに相談してくれてよかった。何事も「鉄は熱いうちに打て」でございます。悪癖が身につき、体に染み込む前に、改善するよう導いてあげましょう。若い方が軌道修正も早くできます。

    まず本物のプロの意見を聞き、分離不安について正しく理解

     さて、すでにdocdogでは、獣医行動診療科認定医の荒田明香先生が監修された記事があります。これを読んでいただければ、犬オタクの意見よりよほど科学的かと思います。

    「分離不安」を正しく理解しよう(前編)
    飼い主と離れるとソワソワ......これって分離不安?

    「分離不安」を正しく理解しよう(後編)
    分離不安を克服するための練習法とは?

     とてもためになる記事で、何回読み返しても「ほーぅ」と勉強になります。だって、今後も分離不安の犬を養成したくないからねー。当時は自分が「分離不安犬養成メーカー」ではないかと思っていました。それは内心、今もあります(苦笑)。

     荒田先生のご意見に、ほとんど私も賛同します。唯一「吠える、咬む、常同行動などの問題行動には、犬種による偏りが見られることが多いが、分離不安の場合は犬種差が少なく、どの犬種にも起こり得るのが特徴の一つ」のところが、僭越ながら、ちょいどうかなーと思っています。もちろん先生の仰るとおり分離不安は、育て方、扱い方で、どの犬でもなります。いつだってベタベタと接していて、飼い主が犬と共依存の関係だと、「わざと」分離不安犬をつくることだってできる気がします(あ、いや、養成しちゃダメだってば!笑)。ただ、分離不安になりやすい犬種、血統というのはあるように実体験で感じています。

    「永遠のピーターパン」は甘えん坊

     フラットは「永遠のピーターパン」と呼ばれたりします。何歳になっても、子どものように無垢で甘えん坊で純粋で可愛い。でも裏を返せば、いつまでたっても落ち着かない、ヤンチャ坊主。それはフラット・ファンシャー(愛好家)から見れば最高の魅力で、たまらないキャラクターです。しかし、「いつになったらおまえは落ち着くんだ!?」と辟易とする人には向いていない犬種とも言えます。

     ついでではありますが、私の故ワイマラナーもあんなクールな顔をして、中味はベタベタの甘ったれの金魚のフン。ワイマラナーも、フラットと同様に、分離不安は多いです。近年ではトイ・プードルもよく聞きます。もちろんほかの犬種でもいますけど、特にワイマ、フラット、トイプーは割合が多いという印象です。

     だから内心、私は、フラットが分離不安、と聞くと「ブルータス、おまえもか」と思っちゃいます(ごめんね、悩んでいるのに)。でもそれくらい私の知人や取材先の間では、ポピュラーな話題。だから、今回の一件はすべてが飼い主さんのせいではないですよ。そもそも今まで飼っていた犬が全員、分離不安症状を起こしていたわけではないでしょう? ライフスタイルに起因するものがあったとしても、育て方を"間違えた"せいではない、フラットだからです(あっさり。笑)。なので、落ち込まないでください。

     フラットという犬種、そしてそのコの個性のキャラが素因にあると思います。それに飼い主と犬との関係性(信頼度、安心度、依存度、距離感など)、運動量や知的作業量の満足度、ライフスタイル(留守番の頻度、長さ、タイミングほか)などが複雑に絡み合っているので、想像力を働かせて犬の気持ちを理解し、ストレスになっていることはないか、何がご不満なのか、などをよく観察し、それに応じた対策を考えることが不可欠です。

    薬で黙らせるのはNG。飼い主も犬も行動を見直すことが大事

     それでは具体的な方法についてですが、分離不安の心労は身に染みているし、方法論も1コじゃないから......ここで短く書くことは無理!!という結論に至りました。なので、別の記事にて全力で紹介しますので(編集Mさんの寛大な配慮あり。笑)、こちらをお読みくださいませ。
    ↓↓↓
    ●犬と暮らして30余年。白石家の知恵袋<vol.3>
    分離不安は、犬も飼い主も辛い。回避するための5つの予防線

     ともあれ、匿名希望さんちのコは子どもから大人になりかけの、大事なタイミングです。全然間に合います。そもそも今の問題行動が、本当に分離不安症状なのかもわかりません。手遅れになる前に、トレーナーや行動治療の専門家の獣医さんにサッサと相談するのが早いかも。分離不安症状が固定する前に、対応するのがいちばんです。獣医さんから抗不安剤などを処方してもらい、トレーニングや飼い主の接し方改善と同時進行で行うと早く改善することもあります。

     ただし、安易に薬で解決しようとは思わないでください。動物行動学を熟知された獣医さんが処方されるのなら大丈夫だと思いますが、トレーニングもさせず、飼い主の生活や行動の見直しのアドバイスもなく、薬を処方されてしまうケースが最近増えていると聞きます。そりゃ睡眠薬、抗不安剤などの向精神薬や、「脳の病気」だと言われて抗てんかん薬を飲まされて、どんよりと虚ろになれば、吠える気力もなくなります。でもそれは本物の解決策ではありません。犬を生きた屍にするようなものです。

    犬の心に平穏をもたらすのが、解決への近道

     分離不安は、恥でもワガママでもバカでもありません。飼い主さんがベタベタしているのが原因のこともありますが、そうでないのなら、飼い主さんのせいでもありません。恥ずかしいなどと思わず、正しい犬との関係づくり、適正なトレーニング、犬種に見合ったライススタイルの見直し、適確な治療を、しっかり見極めてゆっくり行ってください。焦るのはよくないです。分離不安になるようなタイプの犬は感受性が強く、賢く、飼い主を観察する天才ですから、飼い主の心の焦りや不安に同調し、よけい症状が悪化するかもしれません。飼い主はどっしり構えて、肝っ玉母ちゃんでいてください。

     でも先ほど簡単に薬には頼るなと書きましたが、ひどくなると、神経症や不安障害、パニック障害などに似た(投薬治療も必要な)深刻な状況にまで進行することもあります。本当に分離不安だったときは、薬物依存やアルコール依存と同様の「ママ(パパ)依存症」に近いのかも。禁断症状で、留守番中ずっと、不安で潰されそうになって、もがいているような心理状態かもしれないです。

     そうならないうちに、早く手を打って、ストレスをできるかぎり取り除いて、必要なら薬も飲ませてトレーニングの援護射撃に役立て、早く治して、犬の心に平穏を与えてあげたいですよね。症状を緩和してあげることは、犬のQOLの向上につながります。犬の心がハッピーになれば、飼い主の心にも平和が訪れますしね! だから負けないで頑張ってください。またその後の経過も教えていただければ、次のコたちの役に立つと思います。応援しています!

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    君はまだ若い! 今からすぐ行動を見直せば(犬も飼い主もね)克服できるよ! 頑張ってね


    引き続き、素朴な疑問やお悩みなど、気軽にお送りください♪
    質問・相談の送り先は、こちらのアドレスまで。できればお写真も何枚かお送りいただけるとうれしいです!
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    docdog_media@delightcreation.co.jp

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    ◎プロフィール

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    白石かえ
    犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパン。犬猫と暮らして30数年。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせる、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

    ●執筆サイト: dogplus.me 犬種図鑑 ほか多数
    ●ブログ: バドバドサーカス
    ●主な著書:
    『東京犬散歩ガイド』、『東京犬散歩ガイド武蔵野編』、『うちの犬 あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』、『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』(構成・文)

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