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2018.09.14

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順風満帆?!あおとの暮らし【柴犬生活航海記 vol.20】

白柴・あおとの付き合い方......忘れていたあのこと

2015年・秋から「あお」と名付けた柴の仔犬と暮らし始めた「犬の新人飼育員」の「僕」と「もうひとり」。3歳になる少し前から知らない犬にガウガウやっていたあおに変化が。そこで始められたのは、"初対面犬との挨拶"修行......。そこで飼育員はあることに気がついた。

#Lifestyle

Author :写真・文=舘川範雄 協力=(株)浅井企画

あおの挨拶、その後......

 先日報告した、「あおのガウガウ卒業試験(自己流)」(※vol.18)。上手に挨拶する練習はその後も、三歩進んで二歩下がる、よりもう少しいい感じの、"三歩進んで一歩下がる"状態で進行中。

 人間だって、どうやっても相容れない相手はいるし、犬だってそう。あおがどうしてもダメだと思う相手もいるし、反対にあおのことが生理的にムリ!という犬もいる。だから全ての犬に挨拶させる必要は基本的にないとは思っている。ガウガウやるのもあおの個性のひとつ、ガウガウ相手に迷惑をかけないように、素通りさせたり、離れたところで「見てるだけ」と言ってみたりはしているが、うまく挨拶できて悪いことはないと思い、あおの性格と状況に合わせて、試しにやり始めた。遊びの延長に過ぎないが、実はそれなりに発見もあった。

 それまで僕は、初対面だからうまく挨拶できないと思い込んで、あおが前に行こうとすると、リードをピンと張ってしまっていた。そこでまず、リードを持つ僕がリラックス、あおに余計な緊張を与えないようにリードを「しの字」に垂らしながら、僕が先に飼い主さんに挨拶。そして「あお、がんばれよ」と声をかけながら近寄らせる。

 あおは表情の変化がわかりやすいので、見逃さないようにさり気なく観察、もし少しでも鼻にシワが寄ったら、恥ずかしいが「あお、がんばれ!あお、がんばれ!」と応援してあおの緊張をほぐす。すると鼻に寄せたシワをおさめることが多い。
(がんばれ!がんばれ!とうるさく言われて、いい意味で気が散っている?のかも)

 それでも時には「ガウっ!」と行く場合もある。が、あおの様子を察知して、行きそうになった瞬間、リードを瞬時に引いて衝突回避。

修行開始前・初対面犬との挨拶。まだ「あお、がんばれ!」は導入されていない。リードをゆるめているが内心ドキドキ。そこでいきなり苦手な顔にこられて......

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気持ちを止められず「ガウっ!」
(「止まれ」の文字が虚しい)

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最近のあおの挨拶は、「あお、がんばれ!」を使いながら。なんだか穏やか

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初対面犬3匹との同時挨拶も無事クリア

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 当然、相手の犬の性格によっても違うが、このチャレンジの中で、あおの"初対面犬との挨拶"のパターンが少し見えてきた。

【ドッグラン】......成功率100%
⇒誰とでも穏やかに挨拶を交わす。これは互いにノーリードでリラックスしているからだと思われる。

【ドッグランから出たあとの公園】......成功率ほぼ100%
⇒ドッグランの延長の感覚か、リラックス&フレンドリームード。

【初めて、または数回しか訪れたことのない公園】......成功率80%
⇒知り合い犬ゼロの完全アウェーな場所だと、"郷に入れば郷に従え"の精神か、「あお、がんばれ!」の応援があれば、ほぼ穏やかな挨拶ができるようになった。

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相手の飼い主さんも褒めてくれた。ありがたい......

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【よくいく公園(知り合い犬がいない場合)】......成功率80%
【よくいく公園(知り合い犬がいる場合)】......成功率50%
⇒知り合い犬がいると強気になるのだろうか?それともテリトリーを守ろうとしてしまうのかは不明......。
※(どうしてもダメな相手の場合)......成功率不明(近寄らせていない)

最近の失敗例(必死すぎてヤな顔)

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 とは言え、少しずつ変わってきたあお、自ら進んで挨拶を始めることも多くなってきた。駄目で元々、やってみよう! 成功の数が増えるにしたがって、僕も大胆になってきた。恐れず、油断せず、緊張せずに挑む......。

 あおから不穏な空気が少しでも漂い始めたら「あおがんばれ!」と声をかけ、うまくできているようなら「あおいいね!」「いいじゃんいいじゃん」と声援。

 どちらも最初は無意識だった。そしてうまく挨拶できたら、胸を撫でながら「あお、挨拶できたじゃん!さすがあお!やるな~!いい子~!」と褒めた。これも無意識。本当に嬉しかったから褒めたのだが、ある日、褒めながらあおの顔を見ると、なにやら晴れやかな表情。言い換えれば、まんざらでもない顔。どうやらあお、ベタ褒めされて嬉しいとみた!

 そこで気がついた。
(そういえばこの頃、あおを褒めることが減ったかも......)

 あおが小さい頃、何かできるようになると、嬉しくなって心から褒めていた。

「あお、おすわり!」⇒(あお座る)⇒「はい、いい子ぉ~~!」
「あお、おいで!」⇒(あお来る)⇒「はい、いい子ぉ~~!」

 それが今は......
「あお、オスワリ」⇒(あお座る)⇒「いい子」(あっさり)
「あお、オイデ」⇒(あお来ない)⇒「なんだよ!」(腹立つ)

"オイデ"は相変わらず気分次第だが、その他のことはほぼ伝わる。いつしかほとんどのことが『できて当たり前』になっていた。だから褒めるにしても、事務的というかなんというか、はっきり言って心がこもっていない!これはまずい。『慣れ』はまずい。

 付き合いはじめて3年ぐらいの彼氏と彼女。

彼女「ねえ、この服どう?」
彼 「(テレビを見ながら)ああいいんじゃない」
彼女「ねえ、わたしのこと好き?」
彼 「(スマホをいじりながら)ああ、好き」
彼女「......」

 慣れちゃった。これじゃあ破局が訪れても文句は言えない。
(もちろん彼女の方がおざなりパターンもある。知り合いに、ある日心から彼女に「好きだよ」と言ったら、「ああ、そりゃよかった」と言われた男もいる(ToT))

"(拾い食い撲滅)落ちているモノを口にするの全部禁止"......枝や松ぼっくりさえも咥えさせず、あんなに苦労したのに......。最近では枝・松ぼっくりをスルーするのが当たり前、最初からそうだったようすら思ってしまっていた。

 できて当たり前のことなんてない。できたらちゃんと褒めなきゃいけないことを、忘れていた。最近、あおに対して"褒める"より"注意"の方が増えていた。

「それダメ」「やめて」「やめろ!」「ダメだって!」「はい、ダメ」
 ダメ出しばかり......。

 舞台の演出を始めたばかりの頃、演者の中に稽古の合間や終わりに「何かありましたか?」「できてましたか?」と聞いてくる人がいて、"何かあったら言うのにな~""できてるから何も言わないのにな~"と不思議だった。

 僕はみんなが集まっているところでダメ出しをすることはなく、何かあったら、その人のところに行って個人的にダメ出し部分を伝えるようにしている。そうなると自動的に、何かある人だけに何か言って、何もない人には何も言わないということになる。
 もうひとりの飼育員も演じる仕事をしているので、そのへんのことを聞いてみると、
「演者は演出家に何か言ってもらいたい。良かったなら良かったと、それも言ってくれないとわからない」と言われた。へぇ~そうなんだ......。
(人間の心理、不勉強)
「今のよかったです!」とわざわざ言うのもな~ではなく、(ちょっとオーバーでも)「今のよかったです!」と言う方がいいのかも......と思った。

 日本人は褒めるのが下手な人が多いのかもしれない(僕も含めて)。
 確かに、脚本を送ってなんにも言われないと「なんだよ」と思うし、うそでも「面白かったですよ!」と言われれば書いた甲斐もある。
(そういえば昔、頼まれた舞台のプロット<あらすじ>を書き、プロデューサー<初対面>に見せたら、「悪くない」と言われ、<どういう意味?>と思っていると、「ぜひこれで行きましょう」となったことがあった。だったら最初から『いいですね』でいいじゃん!と思った)

 師匠である関根(勤)さん、小堺(一機)さんは、僕らを褒めて育ててくれた。書いたコントや出したアイデアに対して、一度もつまらないと言われた記憶がない。ふたりとも「いいねー」と笑ってくれるから、こちらもその気持ちに応えたいと思って続けてこられた。これがふたりとも、なんだよこれ!つまんねーな!やめちゃえよ!なんて言う人だったら、たぶん早々に職替えしていたと思う。ふたりに育てられた後輩のウド(鈴木)も飯尾(和樹)も、「いいですね~」が口癖のように出てくるぐらい、"肯定"が染み付いている。

☆合わせて読んでおきたい ~編集部オススメ記事~

あおのこと、もっと褒めよう!

 寄り道が長くなったが......
「思っているだけでは、相手に気持ちは伝わらない」
 人間同士だけでなく、犬との関係もそうであることをすっかり忘れていたー! それにあおが、全然疲れていないのに「疲れちゃった~歩けない~抱っこして~」などの名演でお馴染みの「劇団いぬ」の女優であることも忘れていた! 女優は常に褒めていかねばならないのだ。

 オスワリ、フセはできて当たり前じゃないのだ。抱っこだって最初はあんなに嫌がっていたのに、今では抱っこと言うとおとなしく身をゆだねる。
(これは抱っこがラクだと知ってしまったからだが)

 シャンプーだって、ホントはやめて! とサロンで暴れたいのにじっと洗われている! これって「いい子ぉ~」以外の何物でもない。

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ヒゲカットもこんな顔で耐えている

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 そこで「褒める」を生活の中で増やしてみようと思った。
 家では、『持ってきて遊び』をやりながら、隠したおもちゃを見つけ、くわえてくるあおを「いい子ぉ~!さすがあお~!」と褒めちぎり。外ではボール遊びで「ナイスキャッチ!やるな~あお!いいね~!」と爽やかに称賛。

 そっち行きたくない!と座り込むあおを説得し、こちらが行きたい方についてきたら「いい子~あお、いい子~」「散歩上手だね~」「今度"あお散歩"って番組やるか」などと言いながら歩く。
(時々すれ違う人に聞かれて恥ずかしい)

 その他、フードを残さず食べた!「いい子ぉ~!」。
 歯磨きできた!「いい子ぉ~!」。
 長い時間のブラッシングも耐えた!「いい子ぉ~!」。
 あおには申し訳ないが半分は演技。それでもあおの心には褒められたという事実が響いていると思う。やっぱり褒められるといい気分。

近所の美容院のみなさんに「いい子~」と褒めてもらってこの顔

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 気持ちが顔にはっきり出るあお、わかりやすい。

 この頃「また褒められるかな?」と自ら挨拶をしようとしているようにも見えるあお。やっぱり褒めるのって大事! あおは確実に、褒められて伸びるタイプのようである。

(つづく)



追記:とはいえ、どうしてもダメな相手には相変わらず「ムキッ!」「ガウガウガウ!」は止まりません......。

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◎プロフィール

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舘川範雄 (たてかわ のりお)
1966年9月19日生まれ。1987年4月から作家活動に入る。
「コサキン」「SMAPxSMAP」「ポンキッキーズ」「スクール革命!」「THEカラオケ☆バトル」などテレビ、ラジオで多数の番組構成を担当。また関根勤主宰「カンコンキンシアター」の他、オリジナルコメディーやミュージカルの作・演出など、活動は多岐にわたる。
*本連載の1stシーズン【柴犬生活漂流記】は、こちら
*インスタグラム(ao20150721)で白柴「あお」が毎日、犬の目線で日々の出来事を投稿中! 

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