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2018.07.19

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そろそろシニア!?老犬の夏の攻略法<知識編>

老犬との暮らしで知っておきたい、夏を上手に乗り切る方法

いつでも、いつまでたっても可愛い愛犬。そんなだから、うちの犬を「老犬」とか「シニア」とか言われたくないし、認めたくもない......その親心、わかる、すごくわかる。しかし! その愛ゆえに、愛犬の体力や免疫力を見誤ることもある(←私のこと。つい先日、9歳のクーパーを熱中症にさせてしまった大馬鹿野郎)。ニンゲン以上に犬は暑さや湿気に弱い動物だから、若犬や成犬(最も活力のある年代)であっても、日本の蒸し暑い夏はこたえる。高齢になってきたら、絶対もっとしんどい。よって、今まで以上に細かく観察し、配慮してあげることが不可欠だ。これからも達者に暮らし、長生きしてもらうために、夏の乗り切り方を一緒に考えてみましょー!

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=白石かえ

老化のスピードに犬種差があるのはなぜ?

 まず「何歳から老犬なのか?」という基本的なことから解説したい。獣医さんや書物により、書いてある年齢が違うので混乱してしまう飼い主さんもいるかもしれない。小型犬で7歳、大型犬で6歳、超大型犬で5歳からのシニアフードを用意してるメーカーもある。シニアと言われる年齢にばらつきがあるのだ。

 ニンゲンでも、60歳の還暦の人や70代の人で、やたらお肌が綺麗で、テニスや登山が趣味だという健脚な若々しい人もいるし、そうでない人もいる。それと同じで犬も「今日のお誕生日からこのコはシニア犬だ」と言えない。若いときの不摂生(犬はお酒やタバコをやらないけれど、運動不足による筋肉不足や、フードの善し悪しで栄養が悪いなどがあると思う)も関係するだろうし、体質(血統含む)によっても変わる。脳の刺激、心の幸せ度、QOL(クオリティ・オブ・ライフ。人生の質)によっても、老化のスピードは変わる気がする。

 さらに犬の場合は、ニンゲンと違って、犬種差がある。まずサイズ的に、大型犬の方が小型犬と比較すると寿命が短いとされ、すなわち老化が早く訪れる。それは何故なのだろう。

 これはある獣医さんから取材のときに雑談で聞いたのだが、大型犬や超大型犬が短命な理由のひとつに、心臓のサイズの比率が考えられるという。端的に言うと、もともと原種に近い「イヌ」は、これは私の推論も入るのだが、おそらく柴犬や甲斐犬、バセンジーくらいの10〜20kgくらいの大きさだったのではないか(もちろんマスティフ・タイプなどもともと大きい犬もヨーロッパにはいたけれど)。それをニンゲンが長い歴史をかけて、80kg級のグレート・デーンから1kg級のチワワまでに改良した。同じ1種の動物なのに、これほどまで大きさが違う生物種はそうそういないだろう。そして、当たり前だけど超大型犬でも超小型犬でも1頭につき1コの心臓がついている。だが心臓のサイズは、体重換算と同比率ではないそうだ。体格のわりに大型犬の心臓は小さく、小型犬の心臓は大きめなのだと言う。にもかかわらず大型犬は、大きな体のすみずみまで血が行き渡るようにポンプを勢いよく動かし続けないといけない。大きい犬の方が、心臓を酷使しているので、寿命が早く尽きるという説である。なるほど、一理あるなぁと思った(しかし反対に、小型犬や超小型犬は、自然の摂理から反するほど矮小化、強引にミニチュア化させたために、心臓や頭蓋骨などが一種の奇形になり、機能不全を起こしたり、虚弱になることもあるけれど。そう考えると、犬種改良というのは、ニンゲンによる神をも怖れぬ行為なのかもしれない)。

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老化のスピードは、犬種差、体格差、血統差、飼育環境差などで違う。一般に、ポインター種(左)はわりと長生きな犬、ボクサー(右)はわりと短命な犬種である(だけどうちのメルちゃんは、常識を超えて長生きしてほしい!)

老犬って、何歳から? 老化のチェックポイント

 なのでサイズ差、血統差(ガンのある家系や心臓に遺伝性疾患がある家系など、同じ犬種でも違う)、そして後天的な飼養環境要因(運動、栄養、ストレスの有無)などによる個体差もあるから、いつから老犬と呼べるのか、明確に言えないのはおわかりいただけるだろう。だが、総合的に見て、一般論として大型犬は7〜8歳くらい、小型犬は10歳前後から、シニア期に入るという通説に私も賛成だ。

 ただし、もっと細かく言うと、サイズだけでなく犬種差もある。超大型犬のアイリッシュ・ウルフハウンドは、アメリカではだいたい6歳が寿命だと言われる(やだ!早すぎる!)。反対に犬種改良をほとんどされていない地犬のような犬種が、その風土にあった原産地でのびのびとストレスフリーに暮らしたら、もっと長生きするかもしれない(日本にすんでいる柴犬はご長寿さんが多く、20歳超えるコも少なくない)。

 なので、犬の寿命は、血統のみならず、飼育環境や栄養状態なども複雑に絡み合うので、それに伴い老化の進行度も各犬で違う。が、ザックリ言って、どの犬でも8歳過ぎたら、そろそろシニアステージに入ったかな〜と考えてよいと思う。

 マズルまわりやアゴの下、眉のあたりに、白髪が増えてきたなと気づいたら、そういうお年頃だろう(白系やクリーム系、灰色系の被毛の犬はわかりにくいけど)。そのほか、今まで散歩であれほど引っ張っていたのに、なんだか最近引っ張らないでいいコになってきたなど、意欲や体力がマイルドになってきたという行動面でも、シニアステージへの移行を感じることができるかもしれない。

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昨年の夏に比べて、暑さへの耐性が衰えている6月に9歳になったクーパー。木陰の渓谷散歩でも、ベロだらりん。そこで昨年の夏と今年の写真を見比べると、やっぱりアゴの下やマズルの白髪が増えてきたなぁと気づく。みんなの愛犬も、白髪チェックしてみて

シニア期に入ると何が変わる? 夏は何を気を付ける?

 では、老犬になったら、何が変わるのか、そのため何を気を付けないといけないのか。

 まず、基本的に夏でも冬でも要注意なのが「体温調節機能の低下」である。足先が冷たくなったり、反対に体の熱っぽいのがなかなか下がらなかったりする。それは若いときより血流が悪くなることや、循環器のパワーが落ちること、自律神経の働きが鈍るなどの要因が複雑に絡み合ってのことだろう。そのため、たとえば夏は、ハアハアとパンティング(荒い呼吸。熱い息を外に出して、体温を冷やそうとする)しても、若いときのようになかなかすぐには回復しない。いわゆる「暑さに対する抵抗力が下がる」状態と言える。

 だから老犬は、熱中症になりやすい(ニンゲンもそうだと思います)。水をちゃんと飲んだのに、いつまでたってもハアハアが止まらない場合は、それは熱中症の初期症状かもしれない。シニア枠に入っているなら決して楽観せず、早急に(屋外にいるなら)風の通る木陰などに移動し、体に水をぶっかけるとか、脇の下や鼠径部(太い血管のある部位)に氷や保冷剤をくっつけるとか、室内や車内ならハイパワーで冷房をつけるなどして、1分1秒でも早く体温を下げるための処置をしよう。熱中症は本当に急に発症する。最悪、30分後、1時間後には死ぬかもしれない。老犬は若犬よりよけい危険だ。脅すようで申し訳ないが、それくらい怖いものだと認識してほしい(経験者は語る)。

 体を冷やすよう試みても、まだハアハアが止まらない、よだれや泡が出ている、行動がおかしい(ふらつく、意識が混濁している)などがあったら、もう迷わずにダッシュで動物病院に駆け込んでほしい。これは老犬には限らずどの犬でもそうしてほしいが、老犬の場合は暑さに対する耐性が以前より弱くなっているし、回復力も衰えているから、重症化するリスクが高い。「去年は平気だったから」はもう通用しない。今年からシニア枠に入っているのかもしれないので、油断しないで、愛犬の異変を見逃さないようにしよう。そして緊急事態かどうかをすぐ判断できるように、老犬の飼い主は日頃から知識を蓄えておくことも大事だ。

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ハアハアしていなくても、暑い日に庭で遊ぶなら、最初から水シャワーをぶっかけて、気化熱利用で体温が少しでも上がらないように予防線を張ろう。そして、意外とすぐ乾くので、ちょくちょく体に触り、まだ濡れているか、体温が高くなってないか、よく観察

 また、これは単なるいち飼い主としての感覚で、獣医さんに言われたわけではないから科学的根拠はないのだが「犬も暑いと認識する能力が落ちる」のではないかと感じることがある。ニンゲンのご老人も「それほど暑いと感じず」に、窓を開けず、冷房もつけずに過ごして救急搬送されてしまう例が跡を絶たないが、それと似ている。犬は電気代を気にするわけはないが、同じ哺乳類として想定してもいいと思う。飼い犬(伴侶動物)としての歴史が長くなると、野生の勘が鈍ってきているかもしれない(野生動物だったら、それは死につながる)。

 認知症になった15歳くらいの犬はむろんその(自分の体温上昇を認知しない)可能性は高いと思うが、まだ8歳くらいで本人(本犬)もまだ若いつもり(?)で自覚や危機意識が足りないのか、それとも本当に体温の感覚が鈍くなり始めているのか、それとも体力が少しずつ衰えてきていて「面倒くさいから、動きたくなーい」なのか、それは犬に聞けないからわからないのだが、なんとなくそんな気がするのである。

 真夏に直射日光を浴びながら長く寝転がっていたり、28℃以上の暑いはずの冷房なしの無風の部屋でずっと休んでいたり(リビングは冷房が効いているのに)、すでにかなり舌がべろりと垂れてハアハアしているのにまだ散歩で遠回りしたがったり。もちろん、ほかの理由が絡んでいることもあると思うが(関節炎があるからあんまり移動したくないとか、リビングは子どもの声などがうるさくて落ち着かないとか、毎日散歩に連れ出してくれないでたまの散歩だから嬉しくて仕方がないとか)、体温上昇を自分で認識できずに無茶している可能性があるので、そこは飼い主がよく犬のことを観察し「そんなことしていたら熱中症になるから、もうやめときなさーい」「お水飲む?」などと、適切な環境下に移動させたり、水分補給を促すことも必要ではないかと思う。

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散歩中、お水を欲しがらない素振りをしても、少々強引にでも「お水飲みなよ。ちゃんと飲んでおかないと熱中症になるぞ」と、お水を飲ませるように仕向けよう。そうすると意外と飲み出したりする

 またシニア期になってくると、これまたニンゲンと同様に体にガタがきはじめる。心臓などの循環器はじめ、骨関節などの病気がでやすくなり、しかも完治できる病気ではなく、投薬管理などをしながら死ぬまでお付き合いするような病気(心臓の僧帽弁不全症や老齢性の脊椎症など)もじょじょに増えてくる。持病があれば、それだけ暑さに対する耐性が弱まったり、免疫力が下がったりして、ますます熱中症やそのほかの体調不良を誘発しやすくなるだろう。

 いつまでも若い、と思っていると、うっかり愛犬を苦しめてしまうことになりかねない。過保護はいけないのだが、飼い主が犬以上に保護者としてよく愛犬の老化について自覚し、観察し、無理をさせないように見張ることが大切だと思う。

夏場の老犬生活、そのほかのアドバイス

 では、具体的に気を付けてほしいことをいくつかあげてみたい。

★自宅ではエアコンをつけて。すやすや寝られる環境を

ニンゲンがちょっと寒いくらいの温度と湿度が、犬にはいちばん快適(犬種にもよるけれど)。暑さに弱い短頭種(パグ、フレンチ・ブルドッグ、ボクサーなど)のシニアや、心臓などに持病のあるコはよけいに配慮が必要。愛犬が、前肢・後肢をめいっぱい伸ばして大の字(コの字)になっているような幸せな寝姿で、すやすやとお昼寝しているなら、快適な状態と思ってよい。反対にハアハアしながら落ち着かないで、うろうろしているときは「暑くて寝られませんっ」という状態だと思われる。犬の表情、行動をよく観察するクセをつけよう。
ただし、外気温との差がありすぎると、散歩に行くときに、よけいダメージを受けてしまう恐れがあるから、冷やしすぎもよくない。また犬も「冷房病」に似た症状があり、下痢をしたり、体調不良を起こすことがある。とくに犬は、私たちよりも体高が低い。冷気は床にたまるので、思った以上に冷えすぎのこともある。犬が自分自身で、快適温度の位置に移動できるように(冷房のついている部屋、ついていない別の部屋、廊下、玄関などを自由に行けるように)行動範囲を制限しないことが重要。ケージやサークルの中に入れっぱなしはよくない。

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冷房の効いた部屋で、コの字(前肢と後肢を真っ直ぐ伸ばしている体位)などリラックスした姿勢ですやすや昼寝しているときは、快適な環境である証し

★ハイテクエアコンや雷雨の停電などに注意

最新のエアコンには「人感センサー」付きのものがある。しかし犬はニンゲンより小さいので存在を感知せず、エアコンがオフになることがあるというから要注意だ。また夏場は雷雨も多く、一時的に停電するときがあるが、それも曲者。すぐに復旧し、停電は解除されても、電気が来なかったタイミングでエアコンが切れてしまうらしい。そのせいで、飼い主が帰宅すると、室内で熱中症で死亡していたという痛ましい事故例も何度か聞いた。「エアコンをつけてきたから大丈夫」と安心せず、新しいエアコンを買ったときは何度か事前に予行練習をしたり、人感センサーそのものをオフ設定にできないか確認したり、雷雨のときは万が一の停電に備えて、家人ができるかぎり早く帰宅した方がいい。

★雷やゲリラ豪雨のときは、なるべく一緒にいて心をサポート

老犬になると、不安が強くなる傾向にある。自分の体調変化などで気弱になるのか、あるいは聴覚や視覚が衰え始めているから敵を確認しにくいとか、筋力が落ちたり、関節痛でとっさに逃げられない緊張感とか、いろいろな要因が絡み合っているように思う。シニアじゃなくても雷嫌いの犬はけっこういるが、若いときは全然平気だったのに、ある夏から急に異常なまでに怖がる反応をするようになった犬もいる。雷だからと抱っこしたりして過保護に振る舞うとよけいに「雷ってママ(パパ)も怖いものなんだ!」と学習してしまうから、大声をだしたりせず、とにかく平常心を保ち、同じ部屋に一緒にいて「大丈夫だよ、ママがここにいるよ」オーラ(声かけもしなくていい。穏やかな空気感だけ)をだして安心させてあげよう。いずれにせよ雷予報がでたら、早めに帰ってあげよう。

★熱中症対策のため、散歩は涼しい時間に

熱中症が心配だからと散歩に行かないのもダメだが、日没後もしばらくはアスファルト舗装道路は蓄熱していて熱い。小型犬や足の短い犬は体高が低く、腹部が地面に近いため、アスファルトの輻射熱を受けやすいからとくに気を付けて。できれば土の公園、草の道などを探して歩こう。時間帯も太陽を避けた早朝と夜がいい。朝5時などに早起きして散歩に行く、愛情深い飼い主さんも増えてきている(えらい!)。日の出の頃はまだ夜の涼しい空気に包まれているし、路面も冷たくて、犬の足の裏にも心臓にもやさしい。

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木陰の土の地面は、輻射熱がなく、肉球も火傷しない。風の通る森の小径は、夏でも涼しい。こんな散歩道があれば理想的(都会では難しいけどねー)。土や草の地面や木陰の散歩コースを頑張って開拓しよう!

★食欲が落ちたら、少量で栄養価の高い、水分のあるものを

犬も夏バテをするかのかどうか、獣医さんによって意見が分かれるが、飼い主の目から見て、愛犬の体調が思わしくなかったら、とにかく元気を取り戻すように最善の努力をしたい。食が落ちると心配だし、水分やミネラルが足らずに脱水症状になるのも怖い。そんなときは、滋養のある鶏ガラやミネラル豊富な昆布で出汁をとった温かいスープを、普段のフードにかけて、お茶漬けごはんにするのもオススメ。温かいスープは香りがたつので食欲が増すし、水分補給もできる。
ただし、同時になぜ食欲がないのか、原因を探ることもすごく重要。冷房病のような感じでだるいのなら冷房の温度を上げたり、冷風が犬の体に当たらない位置にベッドを移動してあげたりする必要があると思う。散歩に行ってないために運動不足で、カロリーを必要としていない可能性もある。活動していないから、おなかがすかないのかもしれない。夏でもちゃんと散歩をして、外の空気を吸わせてあげることも不可欠。それでも食欲不振が続いたり、改善しないようなら、ほかの要因(病気)が隠されていることも考えられる。単純に「夏バテかも」のひと言で片付けず、獣医さんの診断を仰ごう。

 次回は、寝たきりにならず、死ぬ数時間前も外へ散歩に行きたいと言い、ヨロヨロしながらも自分の足でちゃんと歩いた大型犬のワイマラナー(享年16歳8か月)と暮らすことができた飼い主として、その経験をもとに、そろそろシニアになりかかっている(あるいはすでにしっかりシニア♥)の老犬たちのために、少しでも夏を楽に過ごせるグッズを紹介したい。乞うご期待。

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