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2018.07.10

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助かる命を見つけるために

西日本豪雨「応援してな!救犬ジャパン!」

西日本を襲った、平成最悪となってしまった豪雨災害。民間ゆえにいろいろなハンディを抱えながらも、ただひたすらに自分の最高のバディ(相棒)の力を信じ、現場に駆けつけたハンドラーが、今日も安否不明者が多いとされる広島県安芸区熊野町で頑張っている。私たちにできることで応援しよう。

#Lifestyle

Author :写真=一般社団法人 救犬ジャパン 文=白石かえ

平成最悪の集中豪雨が、西日本を襲った

「西日本豪雨」(正式名:平成30年7月豪雨)。6月28日から7月9日にかけて、梅雨前線に加えて台風7号が九州に接近し、西日本を中心に広いエリアを襲った集中豪雨。本日7月10日になっても、午前11時すぎに広島県府中町(安芸区熊野町に隣接した自治体)の榎川が氾濫し、避難指示が出され地元小学校や幼稚園の子どもたちが避難している。今日は晴れているのに、これまでの大雨で流された流木や土砂が橋や橋脚にせき止められていたところに、たっぷり山に染み込んでいた雨水が流れ出て、川が溢れてしまった。現地は32℃を超す真夏日で、熱中症の危険があるほどに晴れていても災害はまだ現在進行形。予断を許さない状況にある。広島県以外の被災地でも同じような不安を抱えているのではなかろうか。

 国土交通省によると、今回の豪雨でがけ崩れなどの土砂災害は、29の道府県合わせて346か所で発生している(10日午前5時時点)。また、NHKの報道によると全国で149人が死亡し、59人の安否が不明(10日 15時37分時点)。広島県、岡山県、愛媛県での被災者が多い。まさかここまで被害が拡大するとは。

 今なお大量の土砂や倒木などが道路を覆い「山津波」に襲われたかのような惨状は、筆舌に尽くしがたい。ご遺族や、行方不明の方を思うと......悪夢としか言いようがない。

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人命救助できる犬はたくさんいる。しかし実情は

 そんな中、我々と同じく犬を愛し、相棒として大切に訓育するとともに、犬の嗅覚の素晴らしい能力を信じて泥だらけの現地に自費で駆けつけている有志がいる。災害救助犬(以下、救助犬)は、警察、海上自衛隊などの公的機関が所有しているものもいるが、このような広域に及ぶ大災害のときは、民間の力も必ず必要だ。

 災害時における人命救助は「72時間の壁」という言葉がある。生きていてほしい、命を助けたい。そのためには災害発生時からの時間が勝負。公的であろうが、民間であろうが、救助犬とハンドラーの想いは変わらない。

 しかし、世界大会に出場したような、どんなに優秀な犬とハンドラーがいても、現場に到着するのは非常に困難。出動準備をしていつでも出られるように待機していても、警察や自治体などの公的機関からの要請がないと、民間は現場には入れない(それでも近年はだいぶ理解されてきて、要請してくれる機会が増えつつあるという)。

 またいざ出発しても、土砂崩れで通行止めになった道や高速道路も多く、かろうじて走れる下道は大渋滞。一刻も早く現場に駆けつけたい災害救助犬を乗せたクルマも、一般車両と同じ扱いにならざるをえないので、その渋滞に足止めをくらう。人命救助できるレベルの犬はたくさんいる。なのに現場にたどりつけない。これが今の日本の現状である。

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手弁当で頑張っているハンドラーとシェパードの金蔵

 そんな中、今年5月に法人になったばかり(実際の活動開始は2016年)の一般社団法人救犬ジャパン(大阪府岸和田市)からも、松林ハンドラーとジャーマン・シェパード・ドッグの金蔵が、今まさに、広島県安芸区熊野町で捜索活動に出動している。

 救犬ジャパンの理事長は、docdog(ドックドッグ) MAGAZINEでも何度か取材させてもらっているノーズワークの第一人者の細野直美さん。彼女は、災害救助犬活動20年の大ベテランで、我が国の災害救助犬の歴史を作ってきた人と言っても過言ではない。救犬ジャパンには、大阪界隈を拠点とした7人のトレーナーが現在在籍。本業は、みな家庭犬のトレーナーである。

 ちなみに、出動時にかかる資金はすべて各トレーナーの自腹。ガソリン代、高速道路代、現地での非常食対応の食費など(自分用の携帯トイレも持っていくそう)。現地では誰にも迷惑をかけないように、最大限配慮をしている。宿泊は基本的にクルマで犬と一緒に休む(何日間も滞在するときは、かなり体力も消耗するに違いない)。そのほか、安全に配慮したヘルメットやユニフォーム、靴なども揃えねばならない。もちろん犬の靴も大事な装備品のひとつだ。泥や瓦礫などの地面の状況に応じて靴を使うこともある(大事な相棒の足の裏をいちばんケガさせたくないのはハンドラーさんなのよ)。またこの季節は、肉球の火傷を防ぐために靴を使用することもあるという。

 平常時にもお金はかかる。救助犬を訓育するために、瓦礫施設など訓練場所を借りる費用やそこへ向かう各自の交通費、訓練道具、合宿費、遠征費(海外の大会に出場することも)、そして山捜索に備えて、家庭犬より多めの種類のワクチンを打っておくなどの健康管理費もかかる。

 救助犬が活躍する姿をニュースで見る機会が増えてきたが、民間の救助犬とハンドラーに公的な援助はない。しかも、出動中は、本来の自分の仕事を断って災害現場に行くので、その間の収入もなくなる。命を助けたいという一心ではあるのだろうが、そんな個人の奉仕精神にすべて甘えるのはいかがなものか。人命、公益に関わる活動なので、日本もほかの先進国同様に、国や自治体から災害救助活動に助成金が出ればよいのに、と思う。ちなみに救犬ジャパンでは、認知症の老人などが徘徊したり、山に入って迷子になったときに捜索する「マン・トレーリング」活動(trailinng:痕跡、通った跡)にも取り組み始めている。

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と、いうわけで、「応援してな!!」

 犬が好き。犬にしかできない素晴らしい能力も好き。その犬の力を借りて、助かる命があるのなら1秒でも早く見つけたい。それが救犬ジャパンの希望であり、使命。だけど......無念にも絶命されていたとしても、いつまでも泥の中ではなく、家族のもとへ戻れるように......。悲しいことだが、でも最終的には自分の家族をきちんと弔ってあげたいと、誰もがそう願うのではないだろうか。

 人命救助を一緒に行う相棒(救助犬)を誇りに思い、頑張っている救犬ジャパンの若きハンドラーたち。まだできたばかりの団体でお金はないけど、志は高い! 大ベテランの細野さんの経験を教えてもらいながら、これからの日本の災害救助犬活動を次なる段階へ持ち上げてくれる予感がする。

 犬が大好きな私たちだが、現地に行ってお手伝いすることはなかなかできない。だからせめて、寄付で応援。現地で頑張っている金蔵、頑張れ! 松林ハンドラー、頑張れ! だけど熱中症やケガには気をつけて!と祈りつつ、みんなで応援したい。そして、忘れてはならない、今なお被災して避難されている方、過酷な環境に置かれている方たちの無事と健康と、1日も早い復興をともに願おう。

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  • 一般社団法人 救犬ジャパン
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    口座名:一般社団法人救犬ジャパン

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    口座名:一般社団法人救犬ジャパン

  • ●認定NPO法人 日本レスキュー協会
    https://www.japan-rescue.com/
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