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2018.06.28

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[Driving with Dogs]犬連れドライブの基礎知識<前編>

愛犬とクルマでドライブ。もっと広がるお出かけの世界

中型犬・大型犬はもちろん、小型犬であっても、クルマなら、電車などの公共交通機関の移動より、自由度が高く、重たくなく(笑)、気を遣わず、何かと量が増えるお出かけグッズも携行しやすくて、とにかく楽ちん。クルマ酔いしやすい子も諦めないで。クルマでお出かけできれば、行動範囲が一気に広がり、愛犬の社会化トレーニングにもなり、犬も飼い主にも二重丸なのです。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真=白石かえ、docdog編集部 文=白石かえ

クルマでのお出かけのいいところ

 中型犬・大型犬はクルマなしでは、動物病院、トレーニング、大きな公園、帰省、旅行などに行けないことが多いので、中型・大型犬オーナーさんならば、クルマの利便性はよくご存知だと思います。というか、クルマなしでの生活は、ほぼムリ!と言えるでしょう。

 抱っこできるサイズの小型犬であれば、電車やバスといった公共交通機関に乗ることも可能なことが多いですが、いくら体重の軽い小さなコでも、キャリーバッグに入れるとやたら重たく感じますよね。さらにお水やトイレシーツなどもろもろのお出かけグッズを持参せねばならないので、なんだか大荷物になりがちで、腕がちぎれそうになります。

 また高速バスは、同じ路線であってもバス会社によってペット(小型犬や猫)乗車OKとそうでないところが分かれるので要注意。うっかりバス会社を確認せずに予約してしまうと、犬は乗車拒否されて(飼い主だけOKと言われても困るよぅ)、泣く泣く予約のバスに乗れなくなるということもあります。

 そもそも乗車OKの公共交通機関でも、乗っている間、ずっと周囲に気を遣うもの。赤ちゃん連れのときと似ています。鳴き出さないかな、ウンチしたり吐いたりしてプ~ンと臭わないかな、隣の人が嫌がったらどうしよう......などと、ママ(パパ)は降車するまでヒヤヒヤしっぱなし。

 公共交通機関での移動は、乗れるかどうか詳細を確認しないといけないし、重たいし、気を遣うし、と何かを気苦労が絶えません。腕力も必要です。そういう煩わしさがなく、荷物も多頭も乗せ放題(もちろん車種にもよりますけど。笑)なのが、クルマのいいところです♪

 

 そして、行き先や時間が制限されないという、自由度の高さ。夜間に緊急で動物病院に行きたいときや、公共交通網が不便な土地に行きたいときは、やはりマイカーが最強だと思います。とかく郊外の、犬の施設(ドッグラン、犬と泊まれる宿など)やドッグイベント会場は、人里から少し離れた、近隣に迷惑がかからない辺鄙な場所にあることが多いので、クルマの方が断然有利です。

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シカやキジがいそうな山や河川敷で遊ぶのが大好きなガンドッグ(猟犬種)は、路線バスも通っていないようなところで遊ぶのが大好き。クルマは必需品です

車酔いさせないために

 でもせっかくマイカーはあるし、もっと愛犬とどんどんクルマでお出かけしたいのに「うちの犬はクルマが嫌いなんです」「車酔いがひどくて乗せられない」という飼い主さんの嘆きをよく聞きます。

 でも、それは犬のせいではなく、むしろ飼い主か、犬実家での体験が影響していることが大きいと思われます。たいていの場合、犬に、クルマに対して悪い第一印象を与えてしまったことが敗因でしょう。たとえば母犬から離されて(それだけでもすごい精神的ショックが大きいのに)、そのままクルマに長時間揺られて、どこか(オークション会場やペットショップや新しい飼い主宅)へ連れて行かれたとか。あるいは、新しいおうちから初めてクルマに乗った行き先は、ほかの犬や猫や薬品のニオイが充満している異様な場所で、そのうえ知らない人たちに体をいじられ、チクッと痛いことされた(つまり動物病院です)とか。

「クルマ=ヤバいもの」「クルマ=イヤなところに連れて行かれるもの」と、犬心にインプットされてしまったため、クルマに乗せられると不安と恐怖で具合が悪くなる、吐く、ヨダレが出る、騒ぐ(落ち着かない、関心を引こうとする)、吠える、震える、ハアハアと息が荒くなる(パンティング)、耳を後ろに倒し、しっぽを丸め込み、いかにも具合が悪そうといったクルマに対する拒否反応を起こしてしまうのです。

 なので、子犬のときの、最初の最初が肝心です。とくに子犬はまだ心も内臓も未成熟だし、三半規管も弱く、吐き戻しやすいものですが、それに加えて恐怖体験をさせると「クルマ=気持ちが悪くなるもの」と学習してしまい、成犬になってもう成熟していても、ほぼ自動的に(笑)クルマに乗ると酔うということになりやすいのです。

車酔いを克服するトレーニング

 でも「うちの犬は、もう成犬だからダメだー」と諦めないでください。すでに悪い思い出がインプットされているので、矯正するのは真っ新な子犬のときよりトレーニングに時間はかかると言われますが、犬は順応性のある生き物ですし、飼い主を信頼する気持ちは子犬のときより固くなっているはず。忍耐強く練習を繰り返せば、「クルマ=気持ち悪くなるもの」というトラウマをデリート(消去)し、新たに「クルマ=ハッピーなところに連れて行ってくれるもの」と上書きすることは、多くの犬で期待できます。トライしてみましょー!

 子犬も、再挑戦するおとなの犬も、基本やることは同じです。クルマはいいもんだ♪と、インプットさせればいいのです。ただし、急いではいけません。まずはエンジンをかけず、クルマに乗せるだけ(安心できるように飼い主も一緒に乗る)。おやつが食べられそうなら、おやつをあげたり、ゆっくり穏やかに車内で撫でてあげる。ハアハアしたり、ヨダレがでそうなら、もうそれは時間が長すぎ。具合が悪くなったらますますトラウマを強めてしまうので、そうなる前にすぐ撤収するのがポイント。最初はごく短時間(1分でも3分でもいい)から始め、少しずつ時間を延ばしていきます。

 それができるようになったら今度はエンジンをかけてみて、だけど発進はしないまま、その場で最初と同じ練習を繰り返す。それができるようになったら、いよいよクルマを動かしてみましょう。行き先は、クルマですぐ(3分とか5分とか)の、いつも散歩で行く公園など、すごい近所で、犬自身も馴染みの場所で、犬が好きな場所がいいです。そこで仲良しの犬に会ったり、犬友達におやつをもらったりすると「あれ? クルマに乗るといいことあるみたいじゃん?」と学習していきます。慣れてきたら、距離を延ばしていきましょう。近所の最寄りの駅まで、大好きな家族を迎えに行ってもいいですね。「クルマに乗ると、大好きなパパに会えた!」と嬉しい記憶に変わっていきます。そうして、いい記憶をどんどん上書きしていくうちに、クルマ嫌いが克服され、酔うこともなくなることが期待できます。

 ただし、どうしても個体差はあります。また、もしかすると精神的ではなく、肉体的になんらかの疾患があり、車酔いしやすいという可能性もあるので、練習にならないくらい拒否反応がひどいようなら、まずは獣医さんに健康上の問題がないかチェックしてもらうとよいと思います。また、獣医さんが、酔い止め薬として、精神安定剤のような薬や吐き気止め薬を処方してくれることもあります。クルマ慣れトレーニングと薬を併用することにより、不安が抑えられ、いい効果が早く得られるかもしれません。また近年、犬の耳のツボが、酔い止めによいという報告もあります。鍼治療などの東洋医学、ホリスティック医療を学ばれた獣医さんに相談するのもオススメします。

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docdog編集部の看板犬モーフも、パピーのころからひどい車酔いで移動には苦労したとか。移動時だけでなく、クルマの中で遊ぶ、オヤツがもらえるなど、酔わずに過ごせる時間を増やしながら、徐々に克服したそう

クルマに乗る前の準備

 さて、ではいよいよクルマで出かけるぞ!という当日。まず、乗る直前にはごはんはあげない方がいいです。満腹だと、クルマに揺られて吐き戻しやすくなります。食べた直後に吐かれると、車内の異臭騒ぎや掃除も大変になりますし、運転中に慌てると注意散漫にもなりますから、ごはんはあげない方が無難です。

 ただ、反対に空腹状態すぎて気持ちが悪くなるコもいます。一般に犬は食べたものは3時間ほどで消化され、胃が空っぽになると言われるので、クルマにすでに慣れているコであれば、少し早起きして、乗る2時間前などに、いつもの半分くらい与えるとよいかもしれません。

 とにかく酔いやすいコ、酔わないコ、胃酸を吐くコ、空腹が耐えられないコ、低血糖になるのが心配なコなど、個体差があるので、自分の犬の様子を見て、体調、出発時間とごはんの時間の間隔、次のごはんの時間までの間隔などを考えて調整してもよいと思います。ちなみに、我が家では、朝ごはんを抜きにする場合は、目的地に着いてから、軽く軽食を与えたりします。

 それからクルマに乗せるときは、いきなり乗せて出発しても大丈夫な慣れたコもいますが、できれば軽く散歩に行って、心と体のお出かけ準備運動をしてあげた方がいいと思います。排泄も済ませてスッキリさせて乗った方が、不安材料がひとつ減ります。ニンゲンの子どもも、出かける前にはトイレを済ませて行きますよね。擬人化はいけませんが、興奮している気持ちを落ち着かせるためにも有効だと思います。

正しい犬の乗せ方

 理想の乗せ方は、以下の2パターンだと考えます。犬の身の安全を守ること、そして、運転の妨げをしないこと。この2つが最も重要なことです。

①ベルトで固定した、IATA基準クリアをしたケージに入れて乗せる
②欧米だと犬のシートベルトにも安全テストがある。そのテストをクリアした頑丈な犬用シートベルトハーネスを着用し、それをヒト用シートベルト部分に装着し、リアシートに乗せる

 それぞれ正しい乗せ方(ケージの向き、固定方法など)や、テストに合格したケージやハーネスの商品選びが、非常に重要になってきます。

 たとえば、普通の首輪と、ヒトのシートベルトをつなぐグッズがありますが、実際の事故になると首を吊られるような状態になったり、頚椎を骨折したり、ギロチンのようになってしまうことがあります。あるいは、ちぎれてそのまま犬の体がフロントガラスをぶち破ることもあります。車内からの飛び出し防止としての利用価値はありますが、事故の際の安全を担保するものではありません。グッズ選びは命に関わることなので、次回、改めて特集で紹介したいと思います。

 いずれにせよ、いちばんやってはいけないのは、運転席や助手席でのお膝に抱っこです。ハンドル操作のミスを誘発したり、気を取られたりするような位置に、犬を乗せてはいけません。それは愛犬のためでもあるし、周囲のクルマやヒトを事故に巻き込まないためにも重要なことです。

 また、窓ガラスから、顔全部あるいは上半身全部だして、風を受けて乗り出しているのもNGです。たしかに嬉しそうな顔をしていて、つい可愛いなぁと思ってしまいたくもなりますが、絶対ダメ。走行中のクルマから落下する事故は、意外やよく起きています(海外での例)。日本の高速道路でも起きていて、停車やバッグもできないのでもはや助けに行くこともできません。無残な姿になっているのを見たことがあります。むろん一般道でも危険です。「今まで落ちたことはないから大丈夫」は通用しません。死んでしまってからでは遅いのです。

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左は、ドイツ製のシートベルトハーネス。EUの厳しい安全テストにクリアしたもので、ものすごく頑丈。胸の部分には薄い鉄板が入っていて、もしもの事故のときでも、ちぎれず、犬がフロントガラスに飛んでいかないようホールドしてくれる。しかもやたら目立つ反射板付き
右は、リアシートにシートベルトを使って固定した、IATA基準をクリアしたケージ。よくあるアメリカ製のケージのような出っぱりがなく、直線の長方形なので、クルマに積載しやすい。この黒柴は全然酔わないコなのでこの状態でも全く気にしないが、デリケートなコの場合はケージの下にクッションや折り畳んだタオルなどを敷いて、水平にしてあげてもいい

クルマからの犬の降ろし方に気をつけよう

 そしてもうひとつ。犬とドライブするときの重大な約束事があります。犬を降ろすとき、ドアを開けたら、パーッと飛び出さないように、念入りにトレーニングをし、かつ万が一に備えて、飼い主はリードをしっかり握ってから「OK、降りていいよ」を教えてください。

 近年、高速道路のパーキングエリアで、犬がクルマから飛び出して脱走し、本線まで走って行き、それを止めようとした飼い主さんは轢かれて重傷、犬は約1キロ先で死亡が確認されたという事故がありました。大変痛ましい事故です。でも反面、普通に走行していたクルマの運転手から見れば、高速道路の本線に、ヒトや犬が飛び出してきて、ものすごく驚いたことでしょう。それでハンドル操作を誤ったら、もっと大事故につながる恐れもありました。犬の命、自分の命だけでなく、他人の命を奪うことになります。責任が重大なのです。

 だから、クルマから犬を降ろすときは、万全の注意が必要。失敗は許されません。それくらい本気で考えてほしいと思います。

 そのほか、大型ショッピングモールの駐車場で、ノーリードで(飛び出したのか、確信犯なのか不明)チョコチョコ歩いている小型犬を見たこともあります。たくさんのクルマの行き交う駐車場で、とても危険だと思いました。

 クルマでお出かけで忘れてはならないことは、愛犬の安全もですが、他人の身の安全を侵してはならないこと。愛犬家一人ひとりが気を引き締めていかないといけません。高速道路で出かけるときだけでなく、普段のときから(自宅に帰ったときも)、つねに犬を降車させるときは「OK、降りていいよ」で降ろすように。犬にしてみれば高速道路のパーキングかどうかはわからないから、例外なく「勝手に降りない」練習を身につけておくことが必要です。

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クルマから降ろすときは、ドアを開ける前に「マテ!」。そして、しっかりリードを握り、周辺の安全を確認してから「OK、降りていいよ」と合図を与えます。自宅でも、出先でも、このルールは変更なし! 習慣づければできるようになります

そのほかのアドバイス

★犬を乗せているときは、とくにジェントルな運転を心がける
ドライブ中、ニンゲンのように外の景色を見るのが好きな好奇心の強いコもいますが、到着地までグウグウ寝るくらいの大物もいます。不安や緊張がない証しです。しかし急発進、急ブレーキ、急ハンドルは、犬の体にG(重力加速度)が強くかかり、体やケージごと揺さぶられ、気が休まりません。車酔いの原因にもなります。犬とドライブするときは、赤ちゃんを乗せているときと同じくらい、もの柔らかなな紳士的な運転をしましょう。

★2時間毎に休憩・水分補給タイムを
犬もヒトと同じく長時間の移動はくたびれます。途中トイレに行きたくなるかもしれないし、気分転換もしたくなるでしょう。ましてニンゲンは「あともうちょっとで着くはず」と予測ができますが、犬にはそれがわからないので、心配や不安が募る気がします。消耗したり、不安が強くなれば、これまた車酔いや、下痢などの体調不良につながります。でも「しばらく我慢すれば、いつもクルマから降ろしてもらえる」と犬もなんとなく学習すれば、よけいな不安も減るはずです。どちらにせよ運転手も2時間おきくらいに、クルマから降りてストレッチしたり、トイレに行ったり、コーヒー飲んだりして気分転換するとよいですから、同じタイミングで、犬もクルマから降ろし、ストレッチさせ(本当に多くの犬が伸びをして準備運動みたいなことをします)、少し歩かせて、排泄させ、「お水いかが?」と差し出してあげましょう。ただし、休憩時に降ろすときは前述のように、十分安全に配慮してください。運転手も疲れているから油断しそうになる気持ちもよくわかるのですが、常に気合いを入れて愛犬をコントロールしましょう。

★犬のことを気にして脇見運転しない
脇見運転してはいけないのは誰でも知っていることですが......意外と犬を乗せていると、正直やりたくなってしまう脇見。「酔ってないかな」「暑がってないかな」「落ち着いているかな、大丈夫かな」「窓を開けすぎていないかな」などと、つい親心で後部座席やラゲッジの犬が気になり、一瞬降り向いたり、バッグミラーでチラチラ見たりしたくなります。犬を気遣う気持ちは大事ですが、運転中は前方不注意にならぬように気を引き締めます。心配症の人は、同乗者に犬と隣にリアシートに乗ってもらうとか、いっそのこと自分の位置からは確認できないラゲッジにケージに入れて、そのかわりに休憩タイムを増やすようにした方が安全です。

 では、次回は、犬と安全に、気持ちよくドライブを楽しむためのグッズを厳選して紹介します!

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