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2018.06.08

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順風満帆?!あおとの暮らし【柴犬生活航海記 vol.6】

あおとカート

2015年・秋から「あお」と名付けた柴の仔犬と暮らし始めた「犬の新人飼育員」の「僕」と「もうひとり」。おでかけ大好きなあおをいろんな所に連れていきたい飼育員だったが、現実はなかなか厳しく......。

#Lifestyle

Author :写真・文=舘川範雄 協力=(株)浅井企画

抱っこキツイ

 前回(vol.5)、雨続きでシッポも下がり気味だったあおに気分転換させようと連れ出したお台場のショッピングモール「ヴィーナスフォート」の話。続きがある。

 ペットグッズの店なども入っている1階はリードをつけていれば自由に歩けるのだが、2階、3階は抱きかかえるか、キャリーバッグ等でないとNG。

 人混み大好き、知らない所大好きのあおは「上の階にも行きたい!」とテンションが上がっている。あおを抱きかかえ、エレベーターで上がった。しかし、体重8.6kgのあお、けっこう重い。数分は耐えられた。十数分は耐えた。けれど数十分は耐えられなかった。床に降ろしてはいけないのだろうと思い、休憩スペースを見つけては座って休み、また気合を入れて歩く、を繰り返した。

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「カートがあったらラクだよね」

 休憩しながら"もうひとりの飼育員"が言った。抱っこ移動の限界、確かにある......。でも我々には犬がカートに乗ることに「?」という感覚があった。だって犬だよ、歩こうよと。だけど今の時代、もしかしたらカートは必要かもと思い始めてもいた......。が、「カート買おう!」とまではならなかった。
「だって犬だよ〜、柴だよ〜......」がまだ消えていなかったからである。

 以前、あおと初めて行ったイベント「インターペット2017」。

 驚いたのは、出店数と来場者の数。最初のうちはあおを歩かせていたのだが、大混雑の中、危ないので途中から抱きかかえて歩いた。その時、混雑する会場内を颯爽と移動していたのが、カートに乗った犬たちだった。安全でラクそう。カートいいなぁ......。ふと見るとペットカートのブースにあった「試乗できます」の看板。

「乗せてみる?」

 もうひとりの飼育員と話し合って、あおとカートの相性を見てみることにした。嫌がるかな〜と思っていたら、なんとあっさり乗った。

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 あおをカートに乗せ、会場を回った。ラク〜!あおも高い位置から景色を楽める。でもカート導入までには至らなかった。

 カートに乗せる機会が年に何回あるのか? 我々の結論は「いらないかなぁ......」だった。

 春のインターペットから半年。

 ヴィーナスフォートで我々は再びカートの必要性について話し合った。

「もう一度試しに乗せてみる?」

 そんなわけでまた試乗。1階にあるカート販売店に寄った。「嫌がるかな〜」と思ったら、全然いやがらない。

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 取り扱いの説明を受け、押してみる。やっぱりラク〜。あおもなんだか楽しそう。検討に入った。

「やっぱりあるとこういうところでは便利だよね」

 確かに。でもこういうところに来ることって年に何回ある? 我々の結論は「やっぱりいらないかなぁ」だった。

 けれどこの時、もうひとりの飼育員の方が僕より少しだけ"カートが必要"だと思っていた。それには理由があった。

『漂流記』の最終話(vol.26)に、あおと新幹線移動した時の話を記した。あの時は飼育員ふたり体制、僕がクレートを持った。あおとクレート、合わせて10kg。自分の荷物を背負ってホームを移動して新幹線に乗り込む......僕でもキツかった。女性にはもっとキツい......。なのだが、もうひとりの飼育員が単身、あおと一緒に新幹線での帰省に挑戦したことがあった。帰ってきた彼女の第一声は

「ひとりでクレート持つのツラい!」

 しかしそれから数ヵ月後、彼女は再び親戚の集まりに参加するため、単身あおを連れて帰省することになった。

 そこで彼女は「キャスター付きキャリーバッグ」を購入したいと言い出した。あおが使っているクレート(バリケンネル)は車輪なし。でもキャスター付きなら、あおを乗せたままホームをラクに移動し、そのまま新幹線に乗ればいい。まずはどんなものか実際に見てみようと、なんでもありそうな東急ハンズ、ペットグッズコーナーに行ってみた。

 さすが東急ハンズ、キャスター付きキャリーバッグがあった。しかし残念ながら、あおにはちょっと小さかった。入れなくはないが、この狭さで1時間以上じっとしているのはつらそうだ。そこで思いついた。

「バリケンをキャリーカートに固定するのはどう?」

 我々は別のフロアに移動して、キャリーカート売り場に向かった。

 店員さんに事情を説明し、事前に測っていたクレートの寸法を伝えて乗せられそうなモノを探してもらった。しかし幅がギリギリ足りずに固定するのが難しい。

「これだと不安定ですね」

 店員さんも残念そうである。惜しい!良い作戦だと思ったのに......。そこでまた思いついた。

「キャリーカートじゃなくて、台車はどう?」

「え〜台車〜?大きすぎるよ」

 もうひとりの飼育員が否定的に言った。

「今、小さくておしゃれな台車もあるんだって!」

 我々は台車売り場に移動した。

 なんでもある東急ハンズ、台車もあった! しかも、イメージしていたカラフルでコンパクトなモノまでも。その台車の名は「こまわり君」。サイズを測るとあおのクレート、バリケンネルP-100がぴったり乗る!

「いいじゃんこれ!軽いし、折りたためるし」

「でも台車だよ......」

 彼女は台車を押してホームを移動するという、大げさな感じに抵抗があるようだった。

「色は?何色がいい?」

「もし選ぶとしたら......白......」

 彼女も徐々に台車を受け入れようとしていた。

「じゃあ白にしよう!」

 しかし残念ながらハンズに白の在庫はなかった。

「他の色にする?」

「いや、どうせ買うんだったら白がいい」

"新幹線のホームを犬を乗せた台車を押しながら歩く"
 はっきり言ってカッコ悪い。だからせめて色ぐらいは好きなものを選びたい......台車が白いということだけが、もうひとりの飼育員にとって、唯一の救いのようだった。

 ネットストアを調べると、幸運にも明日届くものがあった。

「じゃあこれはネットで買おう」と小声で相談し、台車にクレートを固定する物は何がいいかアイデアを出し合った。

「スーツケースを固定するバンドは?」

 もうひとりの飼育員のアイデア。さすが元バックパッカー。ベルトまでネットで買ってしまうのはさすがに東急ハンズに失礼だ。キャリーカートを見た旅行用品売り場に戻り、相談した店員さんを探した。

「台車に乗せることにしました」

 合いそうなバンドを教えてもらった。当初、台車に難色を示していた もうひとりの飼育員も、「あおだからブルーにしようかな。台車が白だから、白いラインが入ってるコレかな」と段々前向きになってきた。

 バンドはハンズで2本購入。台車(こまわり君)はネットで購入。送料込みで3,667円!(※当時) こうして総工費(?)1万円以内で、バリケンネルが車輪付きになった!

バリケンと台車のサイズぴったり!あお号(まあまあカッコイイ)

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 こうしてもうひとりの飼育員は、新兵器を使ってあおとの旅へと出発することになった。

 ふたりをクルマに乗せ、品川駅までは同行した。駅近くの駐車場にクルマを入れ、まずあおがクレートイン(夏だったのでクレートの中には念のために保冷剤をタオルに包んで入れた)。続いて台車(こまわり君)にあお入りクレートを乗せ、ベルトで固定。押してみると......ラク〜!スムーズ〜。これまでの苦労が嘘のようである。軽やかな気持ちであお号を押しながら駅の改札に到着した。

「それじゃ行ってきます」

 もうひとりの飼育員は台車押しながら改札を......通れなかったーーー。

「あの、すみません......」

 改札にいた男性&女性の駅員さんに呼び止められた。

「はい?」

「台車での入場はお断りをお願いしているのですが......」

「え?なんでですか?」

ご協力をお願い致します」

「ベビーカーは大丈夫ですよね?」

「はい、でも台車での入場はおやめいただけますよう......ご協力をお願いしております」

 え〜〜〜〜!!うそでしょ〜!あお号入れないの?!!え〜〜!!もしかしてこのまま乗せると思われたかも!?説明した。

「乗る時はもちろん折り畳みます」

しかし争点はそこではなかった。

「台車を押しての入場はお断りを......ご協力をお願いしております

 やたらと「ご協力」を押してくる。禁止ではないが、やめてくれということなのか?なんにしても、そりゃないよ〜〜だ。

「折り畳んでこちらのビニール袋に入れて頂ければ持ち込めますので」

 渡されたのは大きな透明のビニール袋。これに台車入れて、カバン持って、クレート持って......、台車持てない!荷物増えちゃった!もうひとりの飼育員の顔が引きつる。

「ひとりじゃ無理」

 おっしゃる通り。でも"ご協力"しないと中に入れてもらえない。ベルトを外し、台車からクレートを降ろし、台車を畳んでビニール袋に入れた。
(ギリギリ入った)

 改札で見送るつもりだったので入場券は買っていなかった。急いで券売機に走る。

 重いので台車はひとまず改札に預け、僕がクレート、彼女は自分の荷物を持ってホームに降り、そのあと台車を取りに戻ることにした。

 8月、真夏のホーム......。暑い〜クレート重い〜乗車位置まで遠〜い〜......すぐに汗だくである。なんとか乗車位置までたどり着き、預けてある台車を取りに戻ろうとしたところで、もうひとりの飼育員が言った。

「向こうに着いても同じことしなきゃならないんだよね?ひとりで」

 おっしゃる通り。向こうに僕はいない。

「わたし、クレート手で持つよ」

 え?じゃあ台車は?

「いらない」

 いらないよね〜そうだよね〜だってジャマだもんね〜(ToT)

 新幹線が到着。あお入りクレートを車内に運び、ホームに戻ってふたりを見送った......。

 ひとり蒸し暑いホームを改札に戻りながら、ここ数日のことを思い返した。台車が届いた時のあの胸の高鳴り、クレートを乗せ、サイズがぴったりだった時のあの感動、青いベルトで固定してあお号が完成した時のあの喜び......。なのに、あお号の実働時間、約3分......。全てが水の泡。今日までの行動はすべて無駄だったのだ。

 打ちひしがれながら、台車を受け取るため、さっきの女性駅員さんに声をかけた。

「さっき台車を預けた者ですが」

「こちらです」

 透明のビニール袋に入れられた白い台車。さっきまで輝いて見えていたのに、今はビニール袋に入ったゴミに見えてくる......。僕は受け取ったビニール袋から台車を出し......と思ったら、固く結んで持ち手を作っていたのでほどけない......汗がまた出る。もう破る!ビニールを破って台車を出した。

「すみません、この袋捨ててもらえますか?」

"袋を持ち帰らずに捨ててもらう"
 せめてもの抵抗だった。
 女性駅員さんは「ご協力ありがとうございました」と言い残し、仕事に戻って行った......。

 僕は折り畳んでいた台車を元の形に戻し、何も乗せていないのに、さも乗せているような顔をしながら台車を押して駐車場まで行くことにした。せっかく持ってきたのに、車輪もついているのに、手で持って運ぶなんてもったいない! だが、持って歩く方が早かったのですぐ折り畳んで手で持った......。クルマの荷室に台車を乗せながら、(これ家で使うことある?)と自分に尋ね、(ないね)と答え、無用の長物とはこういう物を言うのだろうと、ひとり暗い気持ちになった......。

向こうに着いて送られてきたあおの写真

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 そして台車(こまわり君)は今のところ活躍することもなく、家の片隅で出番が来る時を待っている。
(今のところ特に予定なし)

「新幹線にも乗れるタイプのカートがある」

「カートがあれば入れる場所がある」

 我々の「カートいるかも......」は、さらに強くなっていった。

(つづく)

◎プロフィール

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舘川範雄 (たてかわ のりお)
1966年9月19日生まれ。1987年4月から作家活動に入る。
「コサキン」「SMAPxSMAP」「ポンキッキーズ」「スクール革命!」「THEカラオケ☆バトル」などテレビ、ラジオで多数の番組構成を担当。また関根勤主宰「カンコンキンシアター」の他、オリジナルコメディーやミュージカルの作・演出など、活動は多岐にわたる。
*本連載の1stシーズン【柴犬生活漂流記】は、こちら
*インスタグラム(ao20150721)で白柴「あお」が毎日、犬の目線で日々の出来事を投稿中! 

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