
「ダブル高気圧で猛暑になる」「平年より気温が高く、猛暑の日が多くなる予想」今年の夏は昨年に増してもっともっと暑くなるそうだ。毎年5月頃から多くの犬が熱中症にかかり、動物病院に運び込まれ始める。本格的な夏になる前に、愛犬の暑さ対策を考えてみてはいかがだろうか?今回は、私五十嵐がRUFFWEAR『スワンプクーラー・クーリングベスト』を4年間使ったレビューを紹介しよう。
※メインの写真は、4年前購入の旧デザインのもの。最新デザインはこちらでご確認ください。
docdogでは、「クパメル隔週レポート」や「猟犬を知る」でお馴染みの、犬ライター白石かえさんからこんなメッセージがきた。
「ねえねえ、RUFFWEARのクーリングベストってどう?水はよく含む?涼しくなるの?実はね、去年の夏に弟の飼っているイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの福ちゃんが、熱中症気味になって病院に駆け込んだんだよぉ。今年の夏はもっと暑くなるっていうし......最善の予防をさせたいから、使い方も含めて教えてくれる?」
ちょうど公開された私の記事「夏の動物虐待防止法と私の夏の過ごし方」にあったベストの写真を見ての質問だった。
記事に載せた写真に写っているRUFFWEARのクーリングベストは、私が4年前に購入したものだ。目的はもちろん"愛犬を暑さから守るため"。そんなことを言うと「暑い日に散歩は行かないから必要ない」といった声も聞こえてきそうだ......。しかし、ちょっと考えてみてほしい。そもそも私たち「人間の暑い」と「犬の暑い」って、同じ基準でいいのだろうか?
気温27度、ピーカンと呼ばれるほどの快晴。人間にとって「快適な日」でも、私はクーリングベスト持ってシープハーディング(羊追い)に向かう。愛犬は10分ほどゆっくりと羊たちを囲いこむように動きながら、一つのグループにまとめあげる。
「Good girl! 上手にできたね!」
そんな風に喜びを分かち合い木陰で犬と休む。彼女は"苦しそうにハッハッハッ"と激しいパンティングでカラダを冷やそうとしている。たったの10分間、真夏日とはいえない気温、私は愛犬の熱くなったカラダに冷たいベストを着せる。
一般的には、気温が23度前後、湿度50%ぐらいが犬にとって過ごしやすいと言われている。これは犬種、被毛の長さや色(黒毛はやはり暑い)、個体によって違うことはもちろんだが、犬が過ごす場所、つまりそこが日陰であったり、風の通りがよかったりなどの条件によって体感温度が違うのは言うまでもない。気温27度は、じっと寝ている犬ならともかく、アクティビティ後の犬にとっては「酷暑」ともいえる。
2018年4月22日、東京都渋谷区の気温は28度を記録。白石さんは「一気に暑くなって愛犬クーパーがハアハアしていて心配」と言っていた。また同年4月30日、北海道女満別の最高気温は30.2度と平年差を15.9度も上回った。
日本の犬は、5月~6月が熱中症で病院へ担ぎ込まれることが最も多い時期といわれる。それは犬自身のカラダが暑さに慣れていないこと、そして飼い主自身が「まだ夏ではない」「大丈夫だろう」と油断するためだという。今年の暑い夏は、ぜひRUFFWEAR『スワンプクーラー・クーリングベスト』を使って楽しく乗り切ってもらいたい。経験上、この商品は自信を持ってオススメできる。
『スワンプクーラー・クーリングベスト』は"気化熱冷却"を利用して犬のカラダの熱を奪う構造である。つまり、濡らしたベストの水が蒸発する際に犬の体温を下げるという仕組み。もっと簡単に例えるならば"雨で濡れたTシャツを着ていると体が冷える"そのものだ。
このクーリングベストは3層のレイヤーからできている。一番外側の生地は直射日光や紫外線を防ぐ役目をし、あとの2層が犬のカラダの熱を吸収しながら冷却してくれる構造になっている。他メーカーにあるポリマーを使った冷却ベストでは、水分を含んで膨らんだり、重くなったりして犬に負担をかけてしまうこともあるが、このRUFFWEARのベストは膨らむことはないし、ベストに含ませる水分調整も簡単。また、中には食料品用の保冷剤を使って犬のカラダを冷やす人もいるが、万が一犬が噛んだり、袋から保冷材が漏れたりすることを考えると使わない方が安心だろう。
さて、クーリングベストが含んだ水分は、太陽光線の強さ、気温、そして湿度に関係して蒸発するので、特に暑く乾燥した日は45分ほどで乾き始めることもある。飼い主は犬の様子を見ながら水分の補給や犬のケアをしてほしい。
このベストを使う場所は、犬とのアクティビティで向かったピクニックエリアや、山の中なども予想される。そんな時、ベストが乾く度に水道の蛇口のある場所まで行くのは、正直手間がかかって面倒くさい。参考までに私流の使い方を紹介してみたい。
写真のクーリングベストは、4年前に購入した旧デザインのもの
私は使用当初、1.5リットルのペットボトルに入れた水を直接ベストにかけて水を含ませていたが、このやり方だとベストが含む水より、こぼれる水のほうが多く、ペットボトルが何本も必要になってしまい水がもったいない。しかし、クーラーボックスに水を入れれば、この水は繰り返し使えて無駄がないことに気付いた。
また「クーラーボックス」を使うことは、バケツと違い蓋を閉められるので、水が溢れることも防ぎながら、凍らせたボトルの冷たさも長持ちさせられる。気をつけるべき点は、クーラーボックスのサイズが大きすぎると、入れた水などが重たすぎて持ち運びが厄介になること。私はこの小型のクーラーボックスを犬専用にして使っている。それは、犬が着たベストには、抜けた被毛、泥や小石などが付着するので、人が飲むジュースやビールなどを入れた容器と共用することは衛生的にも良くないからだ。
このクーラーボックスは、600mlのペットボトルがちょうど横に入るサイズだ
そして、暑くても楽しい一日が終わったら、クーラーボックス内の水は自宅の花壇などに使えば草木も喜ぶ。また凍らせた冷却用のボトルは、出先での犬の飲み水にも使えるし、次回のためにまた凍らせておくこともできる。このやり方ならばクーリングベストとクーラーボックスさえあれば、それほど多くの水を使わずに犬を暑さから守れるだろう。
こんな私のベストの使い方を白石さんにチャットで伝えていると「ベスト福ちゃんのために今買ったよーん」と返事が来た。白石さんも「クパメル隔週レポート」でこのベストについて触れているので、こちらもぜひ読んでもらいたい。またこの『スワンプクーラー・クーリングベスト』は新デザインとなり、上記のクーラーボックスと写っているものと見た目が異なるので、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの福ちゃんが着ているベストのデザインで確認してほしい。
新デザインのRUFFWEAR『スワンプクーラー・クーリングベスト』を着る福ちゃん
エアコンの室外機から出される温風、アスファルトで固めてしまった地面、さまざまな理由で日本の夏はどんどん暑くなり、毎年多くの人が熱中症にかかっている。人間以上に暑さや熱に弱い毛むくじゃらの家族を、RUFFWEARの『スワンプクーラー・クーリングベスト』を正しく使って楽しい夏にしてほしい。
五十嵐廣幸
オーストラリア在住。ドッグライター、オーストラリアでのドッグトレーニングインストラクター資格取得。週末は愛犬と一緒にsheep Herding(羊追い)をして過ごす。サザンオールスターズ、クレイジーケンバンド、動物を愛する。犬との生活で一番大切にしているのは、犬が犬として生きるためのクオリティ・オブ・ライフ。
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