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2018.05.25

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順風満帆?!あおとの暮らし【柴犬生活航海記 vol.4】

抱っこきらいじゃない

2015年・秋から「あお」と名付けた柴の仔犬と暮らし始めた「犬の新人飼育員」の「僕」と「もうひとり」。2歳になった今は、どこをどう触られても我慢できるあお。でも小さい頃は......。

#Lifestyle

Author :写真・文=舘川範雄 協力=(株)浅井企画

大騒ぎの足洗い

 あおは「抱っこ嫌いじゃないタイプ」。体重も9kgないので、我々もなんとか抱き上げて移動できる。あおにとって抱っこは今や日常的なことなのだが、9カ月ぐらいの頃だったか、抱き上げられることにやたら抵抗する時期があった。

 抱き上げられることがイヤ、ひっくり返し(カラダを拭いたり歯磨きをしたりする時、我々の膝の上に仰向けにされる状態)されるのもイヤ、我々の手がカラダに伸びてくると、ひたすら逃げまくっていた。

イヤがっていた頃のあお

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ちょっとオトナになってもこんな感じだった

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 捕まえれられるとガウガウと抵抗、決して本気噛みではないが攻撃してくるので、あまりにそれがしつこいとこちらもイラっときて「ウガー!!!」と獣吠え返しをして羽交い締めした。そこまでされると、ハッとした様子で(本当にハッとしていた)ペロペロと、さっきまで噛んでいた僕の手を舐めてごまかしていた。
 面倒なのは散歩から帰ってきた時である。

 公園の土のゾーンをご機嫌になって走ると、あおの足の裏はなかなかの汚れとなり、ウエットティッシュや濡れタオルで拭くだけでは足りない。そこでシャワーの出番である(足だけシャワー)。この足だけシャワーをあおはイヤがった。今は水たまりでも平気で入っていけるあおだが、この頃は少しお湯がかかっただけでも、足を上げ、ついた水分を跳ね飛ばそうと、ビュンビュンと後ろ方向に全力で連続屈伸。全然落ち着かないのでシャワーはやめて、水を入れた洗面器にあおの足を入れて洗おうと思ったが、洗面器に足を入れようとした瞬間に「なにすんのよ!」と激しく拒否。ならば......と、湯船にあおを入れ、少しお湯をためて足湯のようにしようとしたが、浴槽をバックキックで連打して嫌だとアピール。トリミングの時のように、少し高いところに乗せたらじっとしているのでは?と、洗面ボウルに水をため、そこに入れようとしたが、抱き上げられたところで大暴れ。落ちたらケガすると、諦めた。

 結局「足シャワー」しかないと、オヤツ(ジャーキー)で気をそらせながら足を洗い、カラダも拭いていた。初めの頃はこちらの術中にハマっていたが、元々食への興味が薄いのか、だんだん効果がなくなってきた。 浴室に入れられると、シャワーをかけられまいとしてぐるぐる逃げ回る。

"無理強いするとシャワーを嫌いになってしまう"と言われていたので、イヤがるあおに甘い言葉をかけながら、なだめすかして足洗いをしていた。

「もうひとりの飼育員」はこの足洗いが上手く、あおも、逃げはするがそれほど嫌がらずに洗われていた。なのに僕が洗う時はとにかく逃げた。そして最後はガウガウ!と抵抗。それに僕がウガー!と返して、最後はなんとか洗うという、お互い楽しくもなんともない時間となっていた。

 足洗い......とてつもなく面倒。散歩まで嫌いになりそうだったので、足洗いだけはもうひとりの飼育員に任せていた。僕の時とは違って、けっこうおとなしくシャワーをかけられているあおを見ながら、これは僕の洗い方が雑だからなのか、それとも女子同士の方がシャワートークは盛り上がるからなのか......などと思っていたのだが、任せてばかりもいられない。月齢10カ月の終わりの頃から、あおのイヤイヤはそれまでが120%だとすると(※それぐらい抵抗していた)、半分の60%ぐらいになっていた。
(でも結局、イヤなものはイヤ)

 足を洗い終わると、浴室から出て、洗面台の前に置いた小さな椅子に腰掛けてあおを引っくり返し、濡れた足を拭きはじめるのだが、あおは仰向けはどうしてもイヤなようで頭を横にして「ふぅーーーー」と、ものすごく深く息を吐く。

目で助けを求める

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ひたすら耐える

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「ああ、俺が悪かったよ」と思わず言いたくなるぐらいのため息だ。目を閉じ、完全に現実逃避である。早く終わってよというあおの心の声が伝わってくる。

深い溜息をつきながら目を閉じ現実逃避

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 足を拭いて終わりにはならない......。プロの技で洗われて帰ってきたあおの足裏は元のピンクなのに、うちで洗うとまだ黒い。走るの大好きなあおは土を思い切り踏みしめて走るので、爪の間(へこんでいるところ)にぎっしりと土が......。何度タオルで拭いても取れない。ああ、いっそ我が家を欧米式にして靴での生活にしてしまいたいと思ったほど、この足汚れを取るのに苦労した。

※ここに土が詰まっている

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 その頃シャンプーしてもらっていたプロに「どうやったらあんなに綺麗になるんですか?」と聞いたが、普通にやっているだけなので......と答えられ、さらに困った記憶がある。

 爪の間に入った土、そのうち取れるさ気にするな、とはなかなかならない。あおの白い抜け毛が目立たないように、クリーム色を採用したカーペットも段々黒ずんできたような気がするし......(あおの白い抜け毛が目立たないようにクリーム色を採用)どうにかせねば。自分の爪であおの爪の間に入った土をかき出そうとしたがムリ。何か細い物があったら......そこで思いついたのが「爪楊枝」。

 爪楊枝であおの爪の間に入った土をチマチマほじると、まあ取れることは取れるが、取り残しもあるし、なにより親指と人差し指でそっと爪楊枝をつまみ、あおが痛がらないように少しずつ土を掘り出している自分が、考古学の発掘でもないのに何をそんなに慎重にやっているんだ?と滑稽に思えてきた。

 さらにこの細かな作業は、あおが爪楊枝を気にしてやたら動くのでなかなか難しく、ひとりの時はうまくできなかった。そこで思いついたが「一本磨き用歯ブラシ」の導入である。

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 それまで使い古した一本磨き用歯ブラシは細かいところの掃除用に再利用していたのだが、これならあおの足を傷つけずにしっかり汚れをかき出せるのではないか?やってみると、大成功!歯ブラシだからゴシゴシやっても平気。それに爪楊枝でやるより断然早い!採用。
(ちなみに"もうひとりの飼育員"は「わたしはふつうの歯ブラシでやる。その方がもっと早い」と、一本磨き歯ブラシを拒否し、シャワーで流しながら普通歯ブラシを使ってあおの足裏の汚れを落としている。そんな大雑把なやり方で爪の間までキレイにならないだろ......と心の中で言っていたが、見るとしっかりキレイになっているので早いし上手いのでちょっと悔しい)

ちなみに......あおの散歩後お手入れ用品がこれ

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 そんな風に2歳になった今はもう慣れたものだが、そうなるまでが大変だった。ひとりがオヤツを持ち、もうひとりが抱っこ、またはカラダを押さえて手入れをする。そのたびに、柴犬は本当にカラダに触られるのが嫌いなんだなと実感した。
(とはいえ、しつけ教室では黙ってお手入れされているのだから、人を見てとしか言いようがない)

 人と距離を取りたがると言われる柴犬。本には"スキンシップがストレスになることもある"と書いてあった。でも我々はあおに、触られるのが好きになって欲しかったし、もうひとりの飼育員はやたらと子どもの頃に飼育していた猫に接するようにベタベタとあおに接していたが、あおは迷惑そうにはするものの、ストレスを感じるほどでもないようで、その成果もあってか、あおは子犬の頃から(今も)猫のようになでられることは嫌いじゃなかった。そんなあおでも、当時は抱っこ嫌いだったのだ。

☆合わせて読んでおきたい ~編集部オススメ記事~

あお、抱っこの良さに気がつく

 しかしある時からあおの中で何かが変わった。きっかけのひとつは、ベランダから見る景色だ。あおは朝起きると必ず外の景色を見る。

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 いつも手すりの隙間に頭を入れて外を見ているのだが、もっと遠くが見たいようなので、ある時試しに「あお、外見るか?抱っこするか?」と声をかけながら何度か抱き上げてみた。最初は抵抗したり逃げたりしていたが、抱き上げられるといい景色が見えると覚えたようで、しばらくするとおとなしく抱き上げられるようになった。ベランダの手すりに前足を置き、外の景色を眺めるのが、あおの好きなスタイルだ。
(「ねえ、抱っこしてよ」と、一日に何度も要求されるので面倒な時もある)

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 もうひとつのきっかけは、1歳になって初めて経験した夏の暑い日の散歩だった。夏生まれとは言ってもやっぱり暑いのは苦手。1歳になる前、秋から始めた散歩では絶対にしなかった、自分から止まる、座る、伏せるなどが、初めての夏散歩でみられるようになってきた。

 声をかけても引っ張っても、お尻を押しても動こうとしない。なにより、口を開けて短い呼吸で「カッ、カッ、カッ......」。その声は「暑ッ、暑ッ、死にそう、死にそう......」と聞こえてくる。動き出すまでひたすら待ったこともあったが、せっかちな性格なので、ついあおを抱き上げて移動することも多かった。

あまりの暑さに、もうひとりの飼育員に抱かれて公園退場

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 蒸し暑い、ある日の夕方散歩。15分もしないうちにあおは公園で寝転び、動こうとしない。たまには待ってやるか......と、しばらく様子を見ていた。

 確かに蒸し暑かった。たまに起きてトコトコ歩くが、すぐにまた寝転ぶ。これはダメだな、帰ろう......と、あおを抱きかかえると、あおはカラダをねじって僕の顔をペロ、ペロッとふた舐め。それはまるで「抱っこ助かる、サンキュー」と言っているようだった。

7.5kgになっていたあおを抱っこし続けるのはなかなかきつく(※現在は8.7kg)、一度下ろして歩かせたがすぐに止まった。なのに、この頃ハマっていたコテツごっこはしたがった。
(【コテツごっこ】しつけ教室で仲のよかった黒柴(3歳上の♂)のコテツと柴同士でよくやる、ガウガウ&ボディアタックのアクティブな遊びのこと(通称、ワンプロとも言う)。初めて会う犬に仕掛けるとたいてい引かれる)

 歩きたくないけどカラダは動かしたいのだろうか?発散させてやらないといけないかな......と一応相手をした。ある程度やり合って「あお、おしまい」と言うとあおはピタリとやめるのだが、やめるとまた座り込み。でも、こちらがコテツごっこを仕掛けるとそれには乗ってガウガウやり出す。コテツごっこする体力はあるのに歩くチカラはないらしい。
(そんなわけないが)

「その元気があるなら歩けるだろ〜!」と、ちょっかいを出すとあおも乗ってきて、再びコテツごっこ。こいつ!あお!とか言いながらこちらも本気になってやっていると、通りがかりの人がこちらを見て呆れていた。 (なにこの人?フンフン言いながら犬と格闘しちゃって......)という顔で。恥ずかしい!あおを抱き上げその場を立ち去った。するとあおはまたカラダをひねって僕の顔をふたペロ。意味は多分、「ありがと、やっぱり楽だわ」

 帰宅して、マンション入り口のドアガラスに、抱きかかえられている猫のようなあおの姿が映った。その満足気な顔は「抱っこ嫌いじゃない」と言っているようだった。

 ちなみにあおの"抱っこ嫌いじゃない"は、今も続いている。

 散歩の帰り。「疲れてもう歩けないよ」と座り込むあお。もう2年以上も付き合っているので、今はそれが芝居だとわかる(我々は『劇団いぬ』と呼んでいる)。本当は疲れてなどいない。本音は「もう帰るだけでしょ?だったら抱っこ」。つまり歩くモチベーションがないのだ。

最近の『劇団いぬ』の公演より。あお迫真の演技。
「わたし、もう歩けないわ」

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 立たせてリードを引けばある程度は歩く。なのだが、またすぐに座り込む。この繰り返しに付き合う時間がもったいないので、つい抱っこ移動してしまう。そして家まで残り100m、となったあたりで突然「歩く!」ともがき、降ろしたとたんにスタスタとマンションの玄関に向かって歩き出す。つまり、我々はいいように利用されているのだ。

散歩が終わって抱っこ移動中のあお

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(つづく)

☆合わせて読んでおきたい ~編集部オススメ記事~

◎プロフィール

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舘川範雄 (たてかわ のりお)
1966年9月19日生まれ。1987年4月から作家活動に入る。
「コサキン」「SMAPxSMAP」「ポンキッキーズ」「スクール革命!」などテレビ、ラジオで多数の番組構成を担当。また関根勤主宰「カンコンキンシアター」の他、オリジナルコメディーやミュージカルの作・演出など、活動は多岐にわたる。
*本連載の1stシーズン【柴犬生活漂流記】は、こちら
*インスタグラム(ao20150721)で白柴「あお」が毎日、犬の目線で日々の出来事を投稿中! 

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