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2018.05.18

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順風満帆?!あおとの暮らし【柴犬生活航海記 vol.3】

あおとゴールデンウイーク

2015年・秋から「あお」と名付けた柴の仔犬と暮らし始めた「犬の新人飼育員」の「僕」と「もうひとり」。2歳になったあおをすっかり信用していた飼育員は、久しぶりに、あおに痛い目に遭わされた......。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=舘川範雄 協力=(株)浅井企画

あお、はじめてのあれこれ

 2018年のゴールデンウィーク、前半はもうひとりの飼育員の実家で過ごした。今回はクルマ移動だったので、途中、あおと一緒にいくつかの「はじめて」を楽しむことにした。

 まずは"はじめての世界遺産"「三保の松原」へ。

「わたし子どもの頃に行ったことあるからわかる!」と言うもうひとりの飼育員の案内で着いた浜。石がゴロゴロしていてあまりキレイな場所とは言いにくい。富士山はまあ見えるが、人影はまばら。これが世界遺産?......富士山と抱き合わせだからなのかな?それともGW初日だから人が少ないのかな......などと思いながらあおと砂浜を歩き、走った。

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 けれど進めど進めど、テレビなどで見る松林は見えてこない。嫌な予感がして地図アプリで調べると、本当の「三保の松原」はもっと先の方。我々が案内されたのは、三保の松原でもなんでもない、ただの石が多い浜、いわば「ニセの松原」だったのだ。またもやもうひとりの飼育員トラップ炸裂である!(柴犬生活漂流記Vol22参照)やはり彼女には油断できない。同行した彼女の妹も「出たよお姉ちゃん」と呆れ顔である。そんな、なんでもないところで無駄に30分も過ごしてしまった我々は急いでクルマに戻り、カーナビを頼りに"本当の"三保の松原を目指し直した。

"正真正銘の"三保の松原は人もクルマも多かった。これぞ世界遺産である。危なく我々はニセの松原を世界遺産だと信じて一生を終えていたかもしれない。繰り返そう、もうひとりの飼育員には要注意だ。

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"本物の"三保の松原の次はこちらもはじめての「いちご狩り」。清水には犬と入れるいちご狩りができるところがけっこうあった。

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 そんなプチ静岡観光をしたあと、もうひとりの飼育員の実家へ。

 あおも何度か訪れていてすっかり実家の気分。とは言えやはり、よその家。換毛期真っ只中のあおには、抜け毛ができるだけ落ちないように、普段は着ない服を着用してもらった。
(最初ちょっと不満気だったが......)

ボーダーとチェックが勢揃い

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勝手にMYマットにするあお

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この家で生まれ育った感で家族とくつろぐあお
(ちなみにそばにいる父は犬を飼ったことなし)

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もうひとりの飼育員の父(犬との生活経験なし)とコンビのように居眠り

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散歩し放題!

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「におい嗅ぎ」もいつもより真剣

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田んぼに柴はよく似合う

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茶畑にもよく似合う

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ミニ流し台に浸かって足洗い

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散歩から戻った数分後に「また行きたい」アピール

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 もうひとりの飼育員の実家には洗面所から裏庭への勝手口があり、そこは洗濯物を干す動線になっていて、よく開けっ放しになっている。また玄関は網戸付きの引き戸で季節によっては網戸も開けっぱなしになることが多い、よく言えば開放的、悪く言えば不用心である。

 自分ち気分のあお、6回目の実家ステイでついに、この"不用心"をついて、勝手に外へ出た......。

あお、はじめての無断外出

 広い家。みんな、あおはどこかにいると思っていた。
 そして誰かが言った「ねえ、あおちゃんは?」
 誰も答えられなかった。

「まさか!!」

 僕の頭の中でドローンが空撮を始めた。広がる田園の中を激走し、家からどんどん離れていくあおの姿が見える!

「おいおいおい!!」

 もうひとりの飼育員の父は「あおちゃん庭に出ちゃっただかや〜?」とのんびり。みんながなんとなくあおを探し始める中、僕だけヘリも飛ばしての、大規模な捜索隊を出動させたい気分である。

 クルマはほとんど通らない場所ではある。だから「まさかクルマが来るとは思っていなかった」と、反応が遅くなる。以前、もうひとりの飼育員の家で飼っていた野良出身のネコは自由に家を出入りしていて、この"いきなり出現クルマ"に轢かれてこの世を去った悲しい過去もあった。勘弁して欲しい......あれだけ東京でクルマに注意して散歩しているというのに、めったにクルマが来ないところで轢かれるなんて悔やんでも悔やみきれない。ここまで大きく育ったのに、こんな形で失うなんて!急いで外へ出た。

「あおーー!」どこかにいるはずの(いてほしい)あおを呼んだ。

 普段は大声なんて恥ずかしくて出さないが、この時は思わず大きな声が出た。

「いた!」

 誰かの声が裏庭から聞こえた。

 あおはこれまた思い切り開け放たれていた、裏庭から外の畑に出られる扉を出て、完全に外にいた。

「あお!おいで!」

 一足先に現場に到着していたもうひとりの飼育員が慎重にあおを呼ぶ。マリン風ボーダー服を着たあお、その姿が畑とまったく合わない。あおはもうひとりの飼育員が近づこうとすると、嬉しそうに逃げた。

 思い出された。僕が砧公園でやられた時の事を。あの時のドS顔である。
(※こちらも柴犬生活漂流記Vol22を参照ください)

「なに焦ってんの?どこかに行くわけないじゃん」と言うように、あちこち逃げ回るあお。あの時と変わらない、ふざけモードに完全突入したあおの顔である。もうひとりの飼育員にとっては生まれ育った場所なので、ちょっと外に出てしまった感覚だったかもしれない。でも僕にとっては右も左もわからない土地、どこでどうなるか想像すらできない。このままどこかに走り去られたら、僕には探す術がない場所なのだ。あおは我々の方をじっと見てニヤニヤしている(ようにしか見えない嬉しそうな顔)。もうひとりの飼育員は屋外でノーリードあおを見るのは初めて、急に追うと逃げるからゆっくり......というセオリーに従って近づきながら「あお、おいで」と優しく声をかけている。少し離れたところから見ていた僕は、生き生きしているあおの姿を見て、いつもと違う厳しい声が出た。しかも大きめ。

「あお!マテ!」

 僕のビジョンはその一喝でピタっと動くのをやめ、僕にそっと抱き上げられる......。そんなカリスマドッグトレーナーのような展開だったのだが、そんなことあるはずがなかった。あおは近づく僕を見るとさらに「またそんな声出して〜笑える〜」という顔で走り出す。アッタマ来たー!

「あお、マテ!」

 するとあおは止まるのだ。なのに近づくと「な〜んてね!」とまた走り出す!どういうことだ!?簡単だ!僕をからかってやがるのだ!!!悔しいー!

 そこへ隣の家の人が現れ、「あら、あおちゃん出ちゃっただ〜?」と笑っている。こちらも地元の方、たいしたことだと思っていない様子。

「ほらあおちゃん、おいで〜」

 隣の家の人に呼ばれたあおは、「は〜い」という態度で近付いていく。おいなんだよそれ......真剣なのはこの地域では僕ひとり。さらに焦る。

「あおマテ!」⇒あお、待つ⇒あおを捕まえようとする⇒あお、逃げる。
 いつか見た無間地獄、再びである。

 どうしていいかわからなくなった。このままムキになって追って、興奮したあおがダッシュすることだってある。僕のせいであおが車道に飛び出して、そこへめったに来ないクルマが......!いや、多分平気だ......砧公園での逃げ回っていた頃よりオトナになっているはず......なのにあいつ呼んでも全然来やしない!あお!お前、あの時よりも調子に乗ってるな!!

 そんなことを思っているうちに、もうひとりの飼育員が、隣の家の人にかまってもらいたいと油断して近付いてきたあおを捕まえることに成功した。いや、よく思い出すとその時あおは何の抵抗していなかったから、「そろそろ飽きたし、もういいよ」だったと思う。

こんなカッコした犬が

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この景色の中にいちゃダメ!

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 もうひとりの飼育員を含む人たちにとって、「あおの屋外ノーリード」は今回が初めてだったが、僕には2度目。あれから1年以上経ち、僕とあおの信頼関係はより深まっていたはずだった。マテと言えば待つはずなのに、おとなしく抱き上げられるはずなのに、あっさり逃げられた。裏切られた気分だった。

「あお、お前さー、、、」と、気持ちをぶつけたかったが「あんたまだ引きずってんの?」とあおに思われるのがオチなのでやめた。

(もう、あおヤダ)僕はしばらくあおと距離を置くことにした。視線を感じてもあおを見ないようにして、別の部屋で姪っ子ふたりと遊んだ。あおが「ねえ、なにしてるの?」と近付いてきても無視した。あおなんてしらん......そんな気持ちになっていた。

こちらの様子を伺いに来てわざわざ近くで寝る。

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反省しているようにも見えるからズルい

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よく見たらベロ出してた!

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 2時間ぐらいたってから、あおを試したくなった。この態度次第であおとの付き合いを考えようと真剣に思った。

「あお、おいで」

 数メートル離れたところにいるあおを呼んだ。が、来ない。もう一度チャンスを与えた。

「あお、お・い・で」

 あおはしばらく考え......トコトコ歩いてきた。(こりゃ行かないとなんかマズいかも......)という態度である。過ぎたことをネチネチ叱れないので、心の中で「お前さっきはよくも」と言いながら、近付いてきたあおにコマンドを出す。

「オスワリ」

 座った。あおを普通のテンションで褒める。心の中では「できるのにやらね〜ってどういうことだ」である。コマンドをいくつかやったところで、こちらも気持ちを切り替えた。過ぎたことはもういいや。コマンドに従ったごほうびにオヤツを与えて仲直り。あおにだけ聞こえる小さな声で言った。

「頼むよ。二度とすんな」あおはじっと僕を見た。

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 ボーダーの服を着た犬が畑の中で「マテ!」と言われると止まり、人が近づくと笑顔で逃げ回る様子は、写真や動画に残しておけば、かなり笑えるものになっただろう。僕も一瞬「この場面を撮ったら面白いかも」と思い、持っていたスマホをポケットから出したが、もしこの後あおに何か起きたら、(そんなの撮らずに捕まえる事に集中すればよかった......)と絶対に後悔すると思ってやめた。こうして何もなかったと書けて本当によかった。何もなかった今だから思える。過去に戻ってあの時の様子を動画で撮り、それをみなさんにVRゴーグルで見てもらいたい。

 あの調子に乗ったあおの姿......思い出しても腹が立ちます(TT)

ずっとこんな顔してました......

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 そんな騒動があったのに、そのあとまた玄関が少し開いていた!
(ちょっと誰〜?頼むよう〜)

 僕がそれに気付いたのと同じタイミングで、あおも(あ、開いてる......)と気がついた。吸い寄せられるように玄関に向かうあお。
(こいつ、また同じ過ちを?!)

「あお!」と強く呼んで、その反動であおが外に出たらマズい。

「マテ!」と言って、待たずに外に出られたら、こちらのショックは倍増、きっと立ち直れない......。僕は"呼び戻し"するのをやめ、急いでリードを手にして、それを見せながらあおに言った。

「あお!一緒に行こう!ほら!」

"呼び戻し"の反対、"呼びこちらから行くからマッテ"だ。
(ダメ過ぎー)

 今にも外に出てしまいそうだったあお、僕がリードを持っているのを確認すると、急に笑顔になって僕の方へスタスタっと寄ってきた。その顔は(早くリードつけよ!行こうよ外!)だった......。

 ああ、あんたホントに外が好きなのね......。だけどひとりで行かないで。どうか僕も連れてってください(-_-;)

(つづく)

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◎プロフィール

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舘川範雄 (たてかわ のりお)
1966年9月19日生まれ。1987年4月から作家活動に入る。
「コサキン」「SMAPxSMAP」「ポンキッキーズ」「スクール革命!」などテレビ、ラジオで多数の番組構成を担当。また関根勤主宰「カンコンキンシアター」の他、オリジナルコメディーやミュージカルの作・演出など、活動は多岐にわたる。
*本連載の1stシーズン【柴犬生活漂流記】は、こちら
*インスタグラム(ao20150721)で白柴「あお」が毎日、犬の目線で日々の出来事を投稿中! 

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