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2018.04.03

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猟犬スペシャル in 宮崎 vol.2

いざ出陣! セント・ハウンドの高らかな声が野山に響き渡る

動物福祉のことなど習わなくても、大昔から猟犬を大事にして共に生きてきた宮崎県の小さな集落の暮らしぶりを前回記事で紹介した。第2回目は、それではいよいよ猟犬と出陣! これが本場のイノシシ猟だ。

#activity / #lifestyle

Author :写真・文=白石かえ

出猟前に作戦会議。獣と人の知恵比べ

 前回記事の続きだが、朝のイノシシの痕跡探しの下見が終わったら、その報告を受けて、猟師チームの隊長を中心に、猟師小屋でお茶を飲みながら軽く作戦会議を行うのがルーティン・ワークだ。

 一般的にイノシシは昼行性とも夜行性とも意見が分かれるが、昼間は寝床で休んでいることも多い。イノシシは賢く、環境適応能力があり、経験値で学習できる動物らしい。本来は昼行性なのだが、昨今では人間の活動時間帯や行動エリアを避けるために、まだ暗い明け方や夕方暗くなった後に行動するようになってきているという説が有力である。つまりイノシシだって、何も人間と対立したいわけではない。山の生態系が豊かで十分な食物が採れるのなら、昼間に山で活動しているはずだ。反対に山の食物が凶作なら、やむにやまれず人間の活動エリア、活動時間帯に行動せざるを得ないイノシシがいるのだろう。ちなみにイノシシは、人間が食べる野菜や果物はたいていなんでも食べる。ドングリや草木の地下茎もよく食べ、とくに大好物なのはタケノコらしい。そのほか季節に応じて、昆虫類、サワガニ、ミミズ、ネズミ、ヘビなども食べる雑食性だ。そうしたイノシシの習性、テリトリーなどのことをふまえて、隊長たちは、今朝の痕跡を元に、今日はどこの山に入ろうか、どういう作戦でいこうか考える。

 むろんイノシシの発見場所や逃げるルートなどは、現場でどんどん変わるから都度、臨機応変に対応することも必要で、それらを含めてイノシシの行動を予測し、作戦を練る。今朝の痕跡から想像して、イノシシはどの方向へ進んだのか、どこで寝ているか、犬が発見したらどの方向へ逃げるだろうかなどを予測して、それを元に待ち子(射手。待ち伏せしてイノシシを撃つ係)を配備し、勢子(犬とともに大きな声を出して、イノシシを追い立てる係)はその方向へ追い出すように計画を立てるのだ。もしやこの段階から、イノシシ猟の頭脳戦は始まっているのかもしれない。

 いずれにせよ安全確保のために、お互いの基本的なポジション(位置)の把握、イノシシのルートの予測などは非常に重要。誤射事故を回避するために欠かせないことだ。

 でも、Sさんのお父様を隊長(リーダー)とするこのベテラン猟師チームは、何十年も同じ仲間とこの猟をしているので、ツーカーの仲。お互いのことをよく理解しているから話は早い。またこの集落の山々、峰や谷間、畑の位置といった土地勘、さらには「その向こうは近辺のイノシシの縄張りの外だ」などという感覚や、イノシシの寝床の位置までだいたいわかっている(毎回同じ場所で寝るわけではなく、寝床は都度変わる)。

 猟師というのは、その土地の自然環境のことも、そしてイノシシの習性や行動範囲のことも本当によく知っている。ちなみにこの界隈のイノシシは、2月になると、そろそろ繁殖期になり、オスはメスを追いかけて食物も食べずに繁殖行動に夢中になるそうだ。そうなると痩せてしまい、あまり美味しくなくなる。またメスは次のこどもを宿す時期である。そうした時期と呼応するように猟期が終わる、というのは、昔から人間とイノシシがうまい具合に共生をしてきた証しのように思えた。ここでは人も生態系の一部、食物連鎖の一部のように思えてくる。

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右が、この猟師グループのリーダー的役割を長年しているSさんの義理の父上。左がSさん。しかしここでは義理の息子扱いというより猟師仲間(しかも40代後半でも最も若造扱い)。作戦会議で、厳しく指示されまくり

さぁ出動となると、ハウンドたちが大合唱!

 作戦会議をサクッとやったら、すぐ出動。決まると、みんな動きが速い。隊長は、今日はエースのポチ(10歳を超えたシニアなんだけれど、みんなから絶大な信頼を寄せられている)と、生後10か月くらいの次期エース候補として訓練中のはなちゃんを、軽トラに乗せた。

 犬たちも猟に行けるとわかっているから、すごい興奮度。ワオーッ、ワオーーッ!と、吠えまくりだ。出陣できない犬たちにも興奮がうつり、ワオーーッ、バオーーーーーッ!とみんなが鳴いている。都会ではすぐにでも通報されそうな、破壊力のある野太い声の大合唱である。

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エースのポチ。ウサギやタヌキなどほかの四つ足には反応せず、的確にイノシシを見つけるという敏腕。さっきまでおとなしかったのに、出猟となると、このやる気っぷり

 とはいえ、このイノシシ猟の盛んな集落でも、Sさんの奥様もお母様もご近所には気を遣っていて、だからイノシシが獲れたらお肉を近所の人にお裾分けしたり、有害鳥獣駆除の依頼が来たらお手伝いしているのではないかと思う。ニオイを探すのと吠えて追跡するのがセント・ハウンドの仕事ではあるが、彼らを育てるためには、現代社会においては田舎でもそれ相応の飼養環境と気配りが必要なのは間違いない。

 そんなことをぼんやり考えていると、ハッと気がつくと出遅れたっ。出動となると、古参の猟師たちの動きは速いのだ。もうとっくに軽トラで行っちゃった人もいる(向こう側の山に行く待ち子の場合は、勢子係よりクルマを走らせる時間が長くなるから、サッサと出発しているんだと思う)。ノロノロしていると怒鳴られそうな現場の緊張感。いよいよだ。Sさんから、無線のトランシーバーを渡された。猟師チームの爺様たちのみんなの話し声が聞こえる。そして教えてもらった数字に変えると、今度は犬のハアハアする息づかいが聞こえる。犬の首輪にも無線機が付いているのだ。

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編集Mさんと私にもトランシーバーが渡された。無線で、猟師たちや犬たちの動向がわかる。ライブ感バリバリ!

真打ち登場! 絶大な信頼を寄せるポチの出番

 ポチとはなを乗せた軽トラの助手席に乗せてもらう。そして今朝、見つけたイノシシがほじくった痕跡のある場所へ。クルマで5分も走れば、もう猟場だ。近い。集落の民家もわりと近い。山も低い。こんな里山でイノシシ猟をするんだーとちょっとびっくり。

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隊長がポチを抱き上げて荷台から下ろす。ポチを大事にしているなぁと思った

 本日の勢子役は、Sさんとポチとはな。待ち子たちは、この奥の山中でスタンバイしているのだろう。エリアが広い。地元の山を熟知してないとできないゲームだ。

 さあ、行くぞ! ポチたちの出番だ。

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朝見つけておいたイノシシがほじくった痕跡を、ポチに嗅がせる。ポチはすぐさま反応した

 イノシシが鼻先でほじくった泥んこの地面のニオイを嗅ぐ。すると、今まで穏和で、ちょっとボーッとしているくらい(もうシニアだしね)のんびりしていたポチの目が急に「キラリン!」と光った。そして、今まで全然リードを引っ張らなかったポチが、急にグイグイとリードを引っ張るようになった。ポチ、どうした、イノシシのニオイを発見したのか!

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急にポチが引っ張りだした!

「ここからは、犬に教えてもらうんだよ。ポチ先生、イノシシはどこですか、ってね」。Sさんは笑う。

 イノシシ猟って、やはり猟犬と猟師との共同作業なのだ。鳥猟のガンドッグとは共同作業の内容が全然異なるし、犬と人間は離れて作業するのだが、やはり犬なしにはこのハンティングは成り立たないものなのだと実感する。

 ポチは、しばらくクンクンしていて、ズンズンと道路より1段上にある畑の方に上がっていく。すると、畑のフカフカした地面の上に点々と続くイノシシの足跡発見! おおおおー、さすがポチ先生!

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これがイノシシの足跡! さすがポチ先生!

すべてのイノシシ猟犬が危険なわけではない

 しかしクルクル歩き回った後、どうにもその先でニオイを見失ったらしい。やはりイノシシとの知恵比べはそう簡単なものではないのであった。ニオイを見つけたときの「キラリン!」とした目の光りが消え、ポチはまた少しのんびりモードに戻っている。ここじゃないのか。もうここにはイノシシのニオイが残っていないんだな。ポチの行動を見ていたら、(にわか仕込みではあるが)だんだんと犬が言いたいことが伝わってくる。

 するとやはりSさんも同じように感じていたらしく、「軽トラを回してくるから、かえさん、ポチを持ってて」と言われ、ポチの綱を渡された。待っている間、出張中、自分の犬の散歩ができなかった寂しさもあり、ポチとぷらぷら歩いてみた。

 そのとき、ふと思ったのだが、こうしていると、ポチはただの可愛い、でっかめのビーグルのような感じだ。よく「獣猟犬は獰猛だ。イノシシ狩りをするんだから狂暴で危ない」という人もいるし、咬傷事故があるとそんな風に報道もされるが、少なくともSさんちの犬たちは全然そんなことはない。初めてリードを持つ私でも、普通に一緒に歩けた。

 イノシシに噛みつかせ、攻撃させる猟は、日本では法律で禁止されているから、本来ならこういうイノシシ猟犬が多くないといけないはずだ。ポチたちは、イノシシを襲わないし、噛まないし、そんなことを猟師に求められていないし、教わっていない。イノシシのニオイを発見し、追跡し、待ち子のいるところへ誘導するのが彼らの仕事。ライオンなど野生動物の狩りのように、直接相手を攻撃するスタイルではない。

 しかし残念ながら日本のどこかには、そういう直接襲撃型の(違法の)猟を猟犬にさせている人はいるし、実際に猟犬が里に下りてきて咬傷事件を起こすニュースは流れるので、日本全国の獣猟犬が穏和で安全とは言えない。もちろん興奮が高まりすぎて、我を忘れてしまうということも、犬なので(動物なので)ないとは言い切れず、「絶対大丈夫」とは言えないが(それは犬種に関係なくどの犬だって同じ)、しかし、すべてのイノシシ猟犬が危険だと思うのは誤った見識であると、今回確信した。

これが香鳴きか! 森のトランペッター降臨!

 ポチのお尻とゆらゆら揺れるしっぽを見ながらそんなことを考えていると、クンッと急に引っ張られ、ポチのしっぽがピンッと立った。そして急に小走りになった。どうした、どうした、どうした!!?

 まだSさんは戻ってこないけれど、もしかしてイノシシのニオイを見つけたのかもしれないぞ。ここで私がポチを引き留めたら、猟犬として正しい行動を取っているのにそれを止めてしまうことになる。せっかく犬が、人間にとって「正解」の行動をしてくれているのに、それは「不正解ですよ」というメッセージを送ってしまうことにならないか。

 そう思うと、ポチ先生の言うとおりに従うことが大事ではないかと思い、リードを緩めた。するとポチはやる気に満ちた足取りでズンズン進む。クンクンクンクンと、地面のニオイを執拗に嗅ぎまわり、ついに「ウォーー!」とひと声、上を向いて高らかに吠えた。これが以前の取材時に聞いた「香鳴き」(かなき)か! 「イノシシのニオイを見つけたぞ!」というときの吠え声だ。私までワクワクのボルテージが上がった。

 そして藪の中に向かって、すごい勢いで引っ張る。さっきまであんなにプラプラと歩いて、全然リードを引っ張らなかったくせに、今は別人(別犬)のようにめちゃくちゃ引っ張る。痩せた老犬とは思えない力強さ。バリバリの現役選手である。でもポチ先生、Sさんがまだ戻ってないし、私は素人だから今このタイミングであなたの綱をはずしていいか、判断できないから、もう少し待って〜っ!!

 そこへやっとSさんの軽トラが少しスピードをだして戻ってきた。きっとポチの香鳴きが走りながら聞こえたに違いない。

「ポチ、見つけたの!? 見つけたみたいだね!」
「うん、たぶん見つけたみたい」
「よしっ! ここから(山に)入れよう!」

 それからSさんは忙しく、無線で隊長たちに、犬を入れる場所、今ポチが行こうとしている方向(=イノシシが通ったであろう方向)などを伝えている。残念ながら、私が同行できるのはここまでだ。この先の山の中には道はない。藪漕ぎだ。本当は付いていきたかったが、足手まといになるし、誤射されてもマズイ(自分も撃たれるのは困るが、撃つ方だって誤射したくない)。神聖な猟師たちの真剣勝負の場に割って入る勇気はなかったので、おとなしく軽トラのそばで待つことにした。

 そして、ポチとはな、勢子役のSさんは藪の中に入っていき、すぐに見えなくなった。だけど、トランシーバーのおかげで、みんなの動きはだいたいわかる。ポチたちの威勢のいい香鳴きの声が、トランシーバーの中からと、そして実際の山の中から両方大ボリュームで聞こえる。ときどき山に反射してか、ポチがいるはずの方向でない方から、こだまのように吠え声が聞こえてきて、ポチの居場所の方向がわからなくなることもあり、やはり素人には判断が難しい。ともあれ現場はなんだかわからないが、すごい緊張感。

 近いぞ近いぞ!と追いかける追い鳴き。無線からリズミカルに鳴り続ける鈴の音。吠えてくれると、犬がいまどこにいるのか。何をしてるのか、何を感じているのか、だいたいわかる。獣臭を確実にキャッチし、追いかけているときのポチの声は、自信に満ちていて、生き生きとしていてなんとも素晴らしい。だんだん吠え声やハアハアする息づかいのテンポが速くなる。イノシシは近いのか!

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ニオイを発見すると、自信満々にピンッとしっぽが立つ。そして「ワオオオオーッ!」と高らかにトランペッターは叫び、藪の中に飛び込んでいった

無線の音が入らなくなる。ポチはどこへ

 しかし、そうこうしていると、無線がパタリと聞こえなくなった。隊長も「ポチはどこだ?」と聞いてくる。電波の悪い谷間に行ってしまったのか。それとも圏外まで行ってしまったのか。さっきまであんなに聞こえていた高らかな吠え声と荒い息づかいが無音になると、すごく心配になる(素人としては)。そうこうしていたら、ひょっこりはなちゃんだけが戻ってきた。ポチ先輩から遅れをとり、軽トラを下りた場所に自ら戻ってきたので、すばやくはなちゃんを回収。ちなみに「(犬を)捕まえた」と言うと、「(イノシシを)捕まえた」と勘違いするので、犬は「回収した」というスラングを使うそうだ。

 その後、しばらく隊長と隊員たちの情報のやりとりが無線で行われ、せめてポチの息づかいが聞こえてこないかとしばしみんなが待つ。イノシシを見失うと香鳴きはしなくなるが、電波が入るところに戻ればポチのハアハアする呼吸音は聞こえてくるはずだ。でも、なかなかポチの音が聞こえてこない。私が息を潜めてもどうしようもならないのに、思わず黙って、動かないで、じっと待ってしまう。これが「イノシシ猟は待ち時間が長いんだよ」と以前Sさんが言っていたことなのかと、ちょっと思った。

 日によっては、再び犬の無線が入り、追いかける声や息づかいが聞こえることもある。しかし、今回は待てどもなかなかポチの動きがわからない。30分以上待った頃だろうか。隊長たちがまた無線でボソボソと小さい声で話している。どうやらポチは待ち子のいる方向とは違うところへ追っていったのではないかという判断になったようだ。つまり、待ち子の猟師のいないところでどんなに犬がイノシシを追い立てても、猟にはならない。もしや、別のグループの猟師たちのいるエリアに入り込むと、イノシシと間違えられて撃たれる可能性だってあるかもしれない。どのくらい辛抱強く待った方がいいのか、待たない方がいいのか、そういう判断をするのも隊長の力量のように思える。

「ポチを探しにいけ。●△×◎の方じゃなかろうか」(宮崎弁でローカル地名のため聞き取れず) 隊長がSさんに指示をした。

「了解」。無線でSさんが応答する声が聞こえた。

 しばらくすると藪の中からSさんがガサガサと戻ってクルマに乗り込むので、私も急いで軽トラの助手席に乗り込んだ。Sさんは急発進してものすごい勢いでバックして、舗装道路に出て、クルマを走らせた。ああ、ポチはどこへ!?

無事にポチを回収!

 Sさんは、クルマで走りながらも、鋭い目でキョロキョロしながら周囲を見渡している。私も必死にポチを探す。すると「あ!」。先のT字路で、ポチが、右から左へテテテテと渡っているのが見えた!  「いたっ!! この先の交差点、左に行った!」

 急いで行き、Sさんが「ポチっ!」と大きな声で叫ぶと、高齢で若干耳も遠くなっていそうなポチだが、さっきの勇猛さとはうって変わって、可愛い普通の犬の顔をして「へ?」と振り向くと、「あ、迎えにきたの?」というような邪気のない顔をして、テテテテと小走りに戻ってきた(平常心のときなら、ポチの場合、呼び戻しができるようだ)。ああ、よかった、回収できて。小市民の飼い主としてはすごく安堵した。

 ポチを荷台に載せて、走り出すとすぐにSさんは無線で隊長たちに「ポチ、回収したよ」と連絡をとっていた。

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ポチ、回収しました

 その後、もう一度ポチだけを山に入れ、猟を再開した(はなちゃんはもう休憩。クルマで待機。集中力が切れているときに山に入れると、迷子になりやすいからかなと思った)。それから2時間ばかり粘ったが、本日はイノシシは獲れず(鉄砲の音も聞けず)。途中、再びポチの素晴らしい香鳴きの追跡劇を聞くことができ、森のトランペッターの猟のすごさを体感できたが、ポチと勢子はいい感じで待ち子のところにイノシシを追い込んだものの、隊長が撃つタイミングを逸して(イノシシは目視できたが)逃してしまったらしい。

 猟犬によるイノシシ猟は、朝の猟師の目視による痕跡探しも大変、犬の嗅覚による痕跡探しと追跡もそう簡単ではなく、さらには待ち子が仕留めることも大変。誰かが欠けると、猟は成立しない。犬の経験(訓育含む)、自然環境やイノシシのことを熟知する猟師の経験と体力、鉄砲の腕、そしてチームワーク。猟犬、勢子、待ち子、みんなが一丸となって山に入る。イノシシ肉を食することがもちろんわかりやすい報酬だが、それ以上にこの集落の男たちにとっては「猟犬や仲間と共に山に入り、共に緊張感や達成感を味わう」、このことに意味があるように思えた。だから文化的、民俗的な価値があるのではなかろうか。イノシシ猟って、奥が深い。

 2日間、山に入り、ポチたちの猟技を見たが、残念ながら猟犬による狩猟の成功を見ることはできなかった。しかし、同じ隊長のところの猟師グループが設置していた罠に、イノシシがかかったので、実際の山の恵みをいただくまでの行程を見せてもらうことができた。その体験と、このイノシシ猟の体験取材の総括を、次回の記事でまとめたいと思う。最終回に続く。

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後半戦は、クルマで待機するはなちゃん。

◎著者プロフィール

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白石かえ
犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパン。犬猫と暮らして30数年。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせる、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

●執筆サイト: dogplus.me 犬種図鑑 ほか多数
●ブログ: バドバドサーカス
●主な著書:
『東京犬散歩ガイド』、『東京犬散歩ガイド武蔵野編』、『うちの犬 あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』、『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』(構成・文)

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