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2018.04.17

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トレーナー直伝!愛犬との暮らしに役立つワンポイントアドバイス vol.14

ラリーオビディエンスにチャレンジしてみませんか?

こんにちは。ドッグトレーニングインストラクターの三井です。今日は日本でも少しずつ浸透してきているラリーオビディエンスについてお話しましょう。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=三井 惇

ラリーオビディエンスとは

「オビディエンス」を日本語にすると「服従・従順」といった意味になります。そのため日本ではずっと以前から、犬がハンドラーの左側について歩いたり、名前を呼ばれたらハンドラーのすぐそばに走って戻ってきたりすることや、停座(オスワリ)や伏臥(フセ)、立止(タッテ)などの行動を教えるトレーニングを「服従訓練」と呼んでいます。これは、トイレトレーニングや人に跳びつかせないといった、日常のマナートレーニング(しつけ)とは別ものです。25年ほど前からドッグトレーニングの世界に足を突っ込むようになった私は、この「服従訓練」という言い方に対してなんの違和感も持たず普通に使っていましたが、犬の福祉について考えるようになっている昨今、「服従」という言葉に拒否反応を示す人がいるかもしれません。

 犬のトレーニング方法も、人間の力で圧する「強制訓練」から、犬の行動学をベースに、犬にやって欲しい行動を引き出し強化していくという「陽性強化トレーニング」に変わってきました。現在、「服従」という言葉はふさわしくないかもしれませんが、長年使ってきた言葉なのでこの際違和感は気にせず、固有名詞のように捉えていただければと思います。

 さてラリーオビディエンスとは「服従訓練」で学ぶようなことを、さまざまな課目を組み合わせて、アジリティ(犬の障害物競技)のコースのように順番に回ってクリアしていく競技です。

 現在日本で開催されている主な競技は、アメリカのAPDT(Association of Pet Dog Trainers)が考案したものを2012年にWCRL(World Cynosport Rally Limited)、2013年にUSDAA (United States Dog Agility Association, Inc.)がそれぞれ競技の運営権利を移譲されたものを、アニマルファンスィアーズクラブ(AFC)オプデスという団体が開催しています。数年前にJKC(ジャパンケネルクラブ)がアメリカのAKC(American Kennel Club)が採用しているラリーオビディエンスのデモンストレーションを訓練競技の会場で行いましたが、まだ正式競技とはなっていないようです。そのため今回書いているラリーオビディエンスは、WCRL規定の競技に関するお話です。

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ラリーオビディエンスは番号順に課題をクリアしていくゲーム感覚の競技です

 先日私はAFCで開催された競技会に参加してきましたが、参加ペア数は70組以上の盛況な競技会でした。70組と聞いて少ないと思われるかもしれませんが、ラリーオビディエンスは競技の制限時間が3分から4分。しかも審査時間(点数計算)が必要となります。更に各レベルのコース設定や、コース見分時間を考えると、当然一日に参加できるペアの数は限られてくるので、70組はかなり多めと言っていいでしょう。もちろん、開催リングの数が複数になりジャッジの数も増えれば、エントリー数が更に増える可能性は出てくるはずです。

■参考;昨年(2017年)AFCで開催された公式競技会の様子を収めた動画です。こちらからご覧ください。

ラリーオビディエンスの魅力

 では、なぜ今ラリーオビディエンスに目が向けられているのでしょうか。

 犬を飼いはじめ、訓練士さんにお願いしながら犬のトレーニングをやったことがある人は、「訓練競技会」という言葉を聞いたことがあると思います。国内で一般の飼い主さんが参加できる訓練競技会はJKCやオプデス、全日本訓練士連合協会などが主催しているものがありますが、基本的に訓練競技会の競技中はトリーツ(おやつ)やおもちゃなど、犬にとってモチベーターとなるものは一切使用できません。つまり10分から30分ほどかかる競技時間中、犬はご褒美なしで頑張らなければいけないということです。

 モチベーターが無ければ犬は何もやってくれないのか?という素朴な疑問を持たれる方がいらっしゃるかもしれませんが、答えはNOです。犬はモチベーターが無くても日常的にはハンドラー(飼い主)に付き合っていろいろやってくれます。ただ、競技会場という特殊な環境で、各作業を1回の声符(言葉の合図)でミスなくこなしていくにはそれなりに集中力が必要になり、ハンドラーにも犬にもかなり負荷がかかります。しかし、作業中に励ましの言葉をかけたり、うまくできた時にご褒美があげられたりすれば犬のストレスはかなり軽減され、ハンドラーの緊張感も減らすことができます。

 ラリーオビディエンス競技においては、競技中に犬と会話をしたり、途中でトリーツ(おやつ)をあげたりすることができます。もちろん規定では作業のキュー(指示)は1回ですが、作業中の犬に対して、「そうそう」や「いい子ね」などの励ましや褒めの言葉をかけることが許されていますし、課目の間にトリーツをあげてもいいポイントがあるので、犬にご褒美をあげることもできます。

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課目の途中で声をかけて褒めてあげられるので犬も楽しく作業ができます

 JKC主催のCD(コンパニオンドッグ)競技では脚側行進(ヒールウォーク)が初級者レベルでも最低60メートル歩かなければならないので、脚側が苦手というハンドラーや集中が持続しにくい犬にとっては、出だしからかなりのストレスになることもあります。しかし、ラリーオビディエンスは一つひとつの課目が短いので、集中がとりづらい若い犬やシニア犬でも参加しやすい競技と言っていいでしょう。

 また多くの競技が毎回同じ規定で始まるため、長年やっていると犬が飽きてしまうことがありますが、ラリーオビディエンスでは毎回コースが変わります。レベルによって10枚から20枚のサインカードに書かれた課目を番号順にクリアしていくというボードゲームのような楽しさがあります。

 レベルが上がれば課目の数が増えたり、遠隔の作業が入ったりと難度が上がっていきますが、一つひとつ確実にクリアしていかないと次のレベルに上がれないので、一つのレベルをクリアする頃には、ハンドラーが競技自体に慣れて、犬に指示を伝えるタイミングや褒めるタイミングがスムースになってきます。

 ハンドラーと犬の動きがスムースになってくれば、速度を上げることで同点の競技者より順位を上げることも可能です。一つひとつの作業の正確性は不可欠ですが、速さも評価基準の一つになっているのです。ゲーム性がさらに高くなっていると言ってもいいでしょう。

ラリーオビディエンスの内容

 さて、ここまでラリーオビディエンスの概略や魅力についてお話してきましたが、実際どんなことをやるのか想像がつかない方もいるでしょうから、簡単に内容を説明しましょう。

 まず、血統書のあるなしに関わらず、生後6か月以上の健康な犬であれば参加できます。課目で必須になるのは以下のようなことです。

  • ①ハンドラーの左側をハンドラーと並んで歩く
  • ②停座(オスワリ)、伏臥(フセ)、立止(タッテ)ができる
  • ③マテができる

 これらのことはドッグトレーニングの基本とも言われることなので、多くの犬たちに参加の可能性があります。

 もちろん、これらのことをハンドラーに言われたときにすぐできるようにするという練習は必要になりますし、レベルが上がってくれば、課題の難度もあがっていきます。ただ、通常の訓練競技会では禁止されている、視符(ハンドシグナル)や体符(ボディシグナル)も言葉の合図と同時に使うのであれば許されているのがラリーオビディエンスです。

 また、一つの課目を失敗してしまった場合でも、「リトライ」という方法でやり直すことができます。大きなペナルティが付いた課目もリトライで成功すれば、「リトライペナルティ」だけの減点(-3)に抑えることができます。

 競技開始前にはアジリティ競技のように、コースの見分(下見)ができます。犬にどこで指示のキューを出したらいいのか、どこでトリーツをあげるのか、ハンドラーはどう動けば犬を混乱させられずに済むのか、そんなことを考えながら本番と同じコースを歩くことができるのです。

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練習会でのコース見分の様子

 イントロクラスやレベル1のクラスにおいては、このような課目をベースに、方向転換をしたり、歩く速度を変えたりとバリエーションが加わってコースが作られます。目の前のサインカードに書かれた課題を一つひとつ順番にクリアして最後のFINISHラインを越えれば終了です。

 ミスに関しては1点、2点、3点、5点という減点が持ち点200点の中から引かれていきますが、170点以上取れれば合格です。コース上の課題を見落としてしまったり、トリーツをあげてはいけない場所であげてしまったりすると失格になってしまうので要注意です。

おわりに

 昨年まではAFCだけで開催されていたWCRL規定のラリーオビディエンスが今年からオプデスでも開催されることになり、競技会の数も例年より増えることが確実になってきました。

 特に必要な道具もないので、愛犬(パートナー)との共同作業を経験したことのない飼い主さんが初めてチャレンジするには、とても手軽な競技とも言えるでしょう。

 体験会もあちこちで開催されているので、ぜひ一度覗いてみることをおすすめします。

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◎プロフィール

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三井 惇
CPDT-KA(国際資格)ドッグトレーニングインストラクター。1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけに、犬の行動学や学習理論を学ぶ。2004年にドッグダンスをと出会ってその奥の深さに魅了され、愛犬家に広めたいと2006年からインストラクターとしてドッグダンスを教え始める。自身も一競技者として、オビディエンスやドッグダンスの競技会に参加。

●ブログ: Dance with Dogs
●HP:http://wanbywan.com/
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●主な著書:『ニコルとドッグダンス』/エー・ディー・サマーズ

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