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2018.04.05

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オーストラリアの犬事情 vol.6

夏の動物虐待防止法と私の夏の過ごし方

これから本格的な行楽シーズン!夏休みにはクルマで愛犬と一緒に移動する方も多いだろう。しかし、残念ながらサービスエリアなどでは、暑い中、犬がクルマの中で待つ姿も頻繁に見かける。夏が終わったばかりのオーストラリアから「暑さに関連した法律」と私の夏の過ごし方を紹介したい。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=五十嵐廣幸

動物虐待防止法<夏編>

 オーストラリア・ビクトリア州(州都メルボルン)には「暑い日の車内に動物を置き去りにしてはいけない」という法律がある。これは2017年1月にビクトリア州農務省大臣のJaala Pulfordさんが「自分の動物のケアをするのは飼い主の責任であり、暑い日などは、特に沢山の水と十分な食べ物、そして日陰などを提供して、動物が過ごしやすい環境を作る必要があること。また動物を車内に置き去りにした場合、最大で77,730ドルの罰金、もしくは2年の懲役に処する」また「飼い主以外も、暑い日の車内で動物が閉じ込められているのを発見した場合は、すぐに警察に連絡すること。警察官は暑さやその熱から動物を救うために、クルマの窓などを壊してそのクルマに入る権限がある」と会見で発表した。

 犬(動物)を車内に置き去りにした場合の罰金77,730ドル、日本円で約636万円(*)は、同州で子供を車内に置き去りにした罰金の20倍以上の金額になっている。多くの人がこの罰金額に驚き、一部の人は犬の命は人間より重いのか?と異議を唱えることをした。しかし、ここオーストラリアでは、暑い車内に子どもが残されていれば、それに気がついた人がためらわずに警察に連絡することや、発見者自身が窓ガラスを割るなどのアクションを起こす人がいる。また、そこにはしっかりとした罪の意識があるために、子供を置き去りにすることは滅多に起こらないが、これが犬などの動物になると「大丈夫だろう」と思い込んだり、飼い主自身がその行為を動物虐待と考えていなかったりする人もいるのが現実ともいえる。この「20倍以上の罰金」の設定は、動物たちが暑さで苦しむということ、動物虐待について考えること、そして虐待防止に繋がってほしいという願いの設定でもあるように私は感じている。
(*オーストラリアドル81円で計算)

 そして、この法律は犬や猫などの、いわゆるペットだけに適用されるのではなく、食用のために運搬される牛や羊などの動物全般に当てはまるのだ。

 例えばこんなことも、動物虐待防止法にある。

  • ■暑い日の家畜の運搬や受け渡しは止めること。それが不可能であれば頻繁に水を与え、日陰などで動物を休憩させながら、暑くなる時間帯を避けて運ばなければならないこと
  • ■馬には冷たい水やタオルを使って暑さから守ること
  • ■動物の運動は涼しい日に行うこと、暑い日の熱せられた道での犬の散歩は行わないこと

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馬や犬も暑い夏には、十分な日陰を確保し、冷却ヴェストなどで強い日差しから守ってやることも必要

気温23度でも車内は高温になる

「今日の最高気温は23度」そう聞くと、多くの人は「過ごしやすい」と思うことだろう。しかし天気予報でいう「気温」は当然ながら、日なたでの空気の温度を測ったわけではない。気象庁のwebサイトによると、「気温の観測は芝生の上1.5mの高さの位置で観測し、電気式温度計を直射日光に当たらないようにして、通風筒と呼ばれる中で、常に外気を取り入れながら計測される」とある。私たちが小学生のときに学校の片隅で見かけた、白い百葉箱を覚えている方もいることだろう。

 多くの犬が散歩で歩くコンクリートやアスファルトの上、また直射日光が当たる場所では「今日の気温」よりも、その温度は高くなっている場合が多い。ご存知のように、とくに夏場の車の中は気温の何倍もの温度になる。オーストラリアRSPCA(王立動物虐待防止協会)では Just Six Minutes(たったの6分間で)というキャッチコピーを使い「気温23度の天気の良い日、車内の温度は40度まで上がり、犬はたったの6分間で死んでしまう。犬を車内に置き去りしないでください」と飼い主に注意を促している。

  • ■クルマを日陰に置いたから
  • ■クルマの窓を少し開けたから大丈夫だろう
  • ■エアコンをつけているから涼しいはず
  • ■暑ければ犬は水を飲むはず
  • ■買い物はすぐに終わるから

 飼い主の中には、そんな風に考え犬を車内で待たせて、出掛けた「ついで」に買い物を済ませたい気持ちもあるだろう。しかし、犬を車内から出さないのであれば、「運転免許証を所持している人」が、必ず車内に残ってエアコンを調整するなどをして、愛犬の体調を管理する必要がある。当然、エアコンの効きは座席や荷室などの場所によって違うことも忘れないでほしい。

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幼児用の砂遊び用のアイテムも犬用のプールとして使える

 また、スペアキーなどを使って無人状態でエンジンをかけてエアコンを稼働させているクルマも見かけるが、日陰がない状況では車内の気温はほとんど下がることはないし、なんらかの原因でエアコンが切れることだって考えられる。2012年の夏に、あるテレビ番組で有名になった看板犬を含む7頭がエアコンをつけていたはずの車内で死んでしまった悲しい事故を覚えている読者もいるはずだ。

「すぐに戻るはずの買い物」も、思いのほかレジで並んでいる時間が長かったり、目当てのものが見つからなかったなどで「6分間」はあっという間に過ぎてしまうものだ。犬を連れている時の買い物などは、面倒がらずに「一度家に戻る」もしくは「誰かが犬と一緒に涼しい場所で待つ」などをして、ゆっくり買い物をするほうが、犬も飼い主も安心できるはずだ。たった6分間で愛犬が熱せられた車内で苦しみながら死んでしまう可能性があることを肝に銘じてほしい。

私と愛犬の暑い夏の過ごし方

 この夏、私は毎日のように愛犬と川遊びにいった。水辺で遊ばせる理由は、「犬は暑さに弱いから」というのが第一と言っていいだろう。私の愛犬の場合、気温や室温が26度を超えると舌を出して「暑いよー」と私に伝えてくれる。通常は1時間半から2時間ほどさまざまな運動を取り入れながら散歩で動き回っている犬でも、平均気温が高い夏の散歩は、たったの15分でゼーゼーと苦しそうな呼吸になってしまう。そんな時こそ、「運動」と「リフレッシュ」が同時にできる水辺での遊びは、犬にとっても最高の夏のプレゼントとも言えるだろう。

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犬の行動はさまざまである。飼い主は自分の犬の行動に責任をもつこと、常に犬を注意深く見ていることでトラブルや事故を未然に防げる

 私が犬を水辺で遊ばせる時に気をつけていることは、以下3点だ。

  • ①川の水は予想以上に冷たい時があるのでカラダの冷えすぎに注意すること、楽しそうに遊んでいてもカラダを震わせていれば、水遊びを中断して休ませることも必要
  • ②水の流れの強いところは避ける、もしくは特別に注意をすること。また泳ぎに自信がない犬は深さにも注意すること
  • ③水辺にボールを投げる際などは、犬が走る動線上に特に小さい子供や怪我に繋がる障害物がないことを確認する

 水辺での遊びは、犬が水流に負けることや、溺れる危険性もあるが、飼い主が注意を怠らなければ、「水遊び」は犬にとって最高の散歩になるだろう。ぜひ飼い主自身が愛犬と一緒に水遊びを楽しんでもらいたいと思う。これら散歩で注意するべきことは「散歩の重要性と夏の日の散歩について」でも触れているので、読んでいただければと思う。

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 日本はこれから夏に向かって気温や湿度がどんどんと上がる。行楽シーズン、夏休みと犬と一緒に出かけるチャンスもたくさんあることだろう。「水遊び楽しかったね。また行こうね!」というように、飼い主と愛犬がハッピーになれて、犬がぐっすり眠れるお出かけをしてほしいと思う。

※本記事は、ブログメディア『dog actually』に2017年4月25日に初出したものを、一部修正、加筆して公開しています。

◎プロフィール

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五十嵐廣幸

オーストラリア在住。元dog actuallyライター。週末は愛犬と一緒にSheep Herding(羊追い)をして過ごす。サザンオールスターズ、クレイジーケンバンド、そして動物を愛す。犬との生活で一番大切にしているのは、犬が犬として生きるためのクオリティ・オブ・ライフ。

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