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2018.04.23

「いたずら」は飼い主の対応次第<後編>

「無視」だけではいたずらは解決しない

荒田明香 東京大学 大学院農学生命科学研究科

いたずらをなくすには、愛犬がいたずらをしても「無視」すること。確かにそれも大切ですが、それだけでいたずらが解決するわけではありません。前編では、犬がいたずらを繰り返すメカニズムと、いたずらが起きやすい状況について解説しました。後編では、愛犬のいたずらに対する具体的かつ根本的な対策を、引き続き東京大学の特任助教・荒田明香先生に聞きます。

写真=大浦真吾 文=山賀沙耶

#しつけ

いたずら防止に必要な3つの対策とは

 愛犬がいたずらを繰り返す場合、具体的にはどんな対策をすればいいのだろうか。前編で紹介した、犬がいたずらを繰り返すメカニズムを見ながら、考えてみよう。

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 愛犬のいたずらの原因は①②④であるため、その対策としては、3つのアプローチが同時に必要になる。

 まず1つ目に、いちばん手っ取り早くできる対策としては、②の「きっかけ」をなくすこと。愛犬がいたずらしそうなスリッパやリモコンなどは、愛犬の目の届かない場所に片付ける。食べ物のゴミを捨てることの多いキッチンのゴミ箱は、ふた付きにしたり、棚の中にしまったりする。クッションやカーペットなどの布製品は、愛犬のいたずらが落ち着くまでは使用しない。かじられやすい木製品の下のほうにはカバーをする、などだ。

 ただし、これだけでは、飼い主の隙を見ていたずらする可能性が高いため、さらに根本的な解決が必要になってくる。

オモチャをくわえたときにこそ反応してあげよう

 2つ目には、④の「報酬」をなくすこと。具体的には、よく言われる、愛犬がいたずらをしても反応しないで「無視」をすることだ。

「無視しなければいけないとわかっていても、朝や夕方のバタバタしているときにいたずらをされると、ついつい反応してしまう人が多いのではないでしょうか。また、大切なバッグをかじられても、無視し続けられる人は少ないと思います。その場合、諦めるか、そのバッグは二度と出しっ放しにしておかないという覚悟するかのどちらかしかありません。そうでなければ、同じいたずらは繰り返される可能性が高いですね」
 と、荒田先生は話す。

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 特に、飼い主に注目してほしい気持ちが強いコの場合、いたずらされたくないモノをくわえても無視すると同時に、逆にオモチャをくわえたときにかまってあげるといい。「それ、いいね〜」と声をかけたり、ちょっと邪魔してみたり、取る振りをしたりすると、愛犬はオモチャをくわえたときのほうが注目してもらえると学習する。そもそも好きな素材のオモチャを用意したり、オモチャの中にオヤツを入れたりして、オモチャの魅力を上げることも有効だ。

 また、もし愛犬がモノをくわえたり壊したりした結果、それを飲み込んでしまう危険性があるのなら、無視するのではなく、そのモノを回収する必要がある。その場合の対処法は、誤飲の記事を参考にしてほしい。

抑制するだけでなく、発散させてあげることが大切

 ここまで紹介してきた1つ目と2つ目の対策だけでは、アニマルウェルフェアの国際的な基準として知られる「5つの自由」の、「(4)正常行動を発現する自由」を奪っただけになってしまう。これでは、たとえスリッパはくわえなくなったとしても、他のモノをくわえるようになるかもしれない。そこで、3つ目の対策として、①の「背景」の部分をできるだけ改善してあげることが重要だ。

 ここでも、オモチャの使い方が大切になってくる。発散不足のコの場合、ボール投げやフリスビー、引っ張りっこなど、カラダを動かして遊ぶオモチャを使うのがおすすめだ。オモチャにはあまり興味がないというコの場合は、宝探しゲームなど、嗅覚を使ってオヤツを探す遊びをするのも、ストレス発散になる。そもそも、飼い主の気を引くためにいたずらすることが多いのを考えると、飼い主も遊びに参加し、コミュニケーションを取りながら行うことが重要だろう。

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「遊んであげるベストなタイミングは、いたずらされそうな状況になる前。愛犬はどんな時間帯やシーンでいたずらすることが多いのかをリストアップして、その前にオモチャなどで遊んであげるのがおすすめです。逆に、いたずらした後に遊んであげると、それがいたずらの報酬になってしまうので、いたずらの解決という点ではNGです」

 また、興奮した勢いでモノをくわえてしまう場合は、興奮したタイミングでオモチャなど飼い主が困らないものを渡してくわえてもらう方法もあるそうだ。

 2回にわたって、愛犬がいたずらする気持ちやメカニズム、いたずらしやすい状況、そしてその対策について見てきた。そもそもいたずらをするというのは、発散不足やコミュニケーション不足など、アニマルウェルフェアが侵されかけているサインなのかもしれない。これをきっかけに、いたずらへの対策だけでなく、愛犬との日常生活全般を見直してみるといいだろう。

(2018年3月取材記事)

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