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2018.03.15

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クパメル隔週レポート「笑う犬には福てんこ盛り」vol.17

3.11に祈りを込めて。明日は我が身かもしれない

今年も3.11の日がやってきた。2011年3月11日に発生した、宮城県牡鹿半島の東南東沖を震源とする大地震と巨大津波、そしてメルトダウン(炉心溶融)など一連の放射性物質の放出をともなった福島第一原子力発電所事故。丸7年経った今なお、地元の人の被災は終わっていないという。人間だけでなく、犬猫などのペット、ウシ、ブタなどの家畜、イノシシやシカなどの野生動物、昆虫、植物も、あの日を境に平穏な営みが破壊された。被災地以外に住む私たちにも何かできることはないのか。今一度思い出したい。そして自分の愛犬をいざというときに守るためにはどうすればいいのか、命をかけて残してくれた教訓を忘れないようにしたい。

#activity / #lifestyle

Author :写真・文=白石かえ

風化させない、忘れない。自分ができることをする

 昨年7月、アメリカから帰国した犬友達のお手伝いで、東京→岩手へ、超大型犬4頭をクルマに乗せて移動した。そのとき訪れた先で合流した奥州市在住の知人に頼み、津波被害のあった陸前高田と大船渡に連れて行ってもらった。

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2017年7月、陸前高田にて撮影。4階までが波にのまれ、5階のベランダは残っている。巨大津波の凄まじさを痛感し、恐ろしくなった。しかも、6年以上経っているのに、当時のまま残っているのにも驚いた

 あのときの衝撃は忘れない。

 テレビで見るより、衝撃的だった。6年半近く経つのに未だ津波の爪痕が生々しく残るマンションの残骸。巨大な砂の盛り土でつくられている造成地、区画整理されたばかりの更地、真新しい戸建て住宅。今まで活気があったであろう港町なのに、今は生活感があまり感じられない。あの日、この地で、何もかもが押し流され、多くの人命が奪われ、人々の日常生活が一瞬にして破壊されたかと思うと、苦しく、切なくなった。

 飼い主の生活が破壊されると、犬猫たちの人生(犬生)も一変する。どんなに過酷な日々だったろう。かろうじて生き残ったあとにも、動物たちには地獄が待っていた。原発事故で置き去りにされ、飢え死にした犬。野犬化して、悪者扱いもされることもあった(今もか)。また同伴避難したとしても、仮設住宅などで肩身の狭い思いをしている飼い主も少なくない。......そんなことを取材で知れば知るほど、被災地から遠い東京にいて(でも福島原発はそもそも東京周辺の電力を供給していた存在だったのに)、私は他人事みたいにのほほんとしている場合じゃないと反省する。風化させないように、忘れないように、応援をする気持ちを持ち続けるようにしなくちゃ。それと、家族旅行で東北を訪れたい、って思った。行くだけでも応援になるかもしれない。もれなくクパメルも連れて、東北旅行したい(宮城県東松島の「おのくん」のところにも行きたい!)

 また、犬猫の同行避難についても、明日は我が身と思って、常に備えることを忘れないようにもしなくちゃと、心に喝を入れた。天災(および原発は天災を引き金とした人災)の多い我が日本。いざというとき愛犬を守れるかどうかは飼い主次第だ。

 そうだ、それでね、今度の土曜日、僭越ながら、こんなシンポジウムのパネルディスカッションに、パネラーとして参加することになりました。

 東京都行政書士会の「行政書士ADRセンター東京」主催のシンポジウム。ひゃー、なんで一介の犬好きに過ぎない私がパネラーに任命されたのかしら!?と、ビビっていますが、そもそも去年、ペットのトラブルを調停で解決するというADRセンターについて取材したのがきっかけです。ああ、どうしよう、どうしよう(まだ準備してないしっ!)。だけど、ちょっとでも犬の市民権向上の一助になるのなら頑張るしかない!! 頑張れ、頑張れ、自分!(自己暗示っ)

 一般の方の参加ももちろんOKです。関心のある方、ぜひ遊びに来てくださいね(頑張るから!←自己暗示っ)。

 ああ、そんなこんなでまだ確定申告も終わってない(よい子のみなさんはもう提出完了されたことでしょう)、焦りまくりの3月上旬のクパメルレポート、いってみましょう。

【3月3日(土)】
 原稿終わってないのにー、お山行ってきたー。さらに陽気もいいので、気をよくして、今までよく眺めてはいたものの足を踏み入れたことがなかった、いつも行く山の向かい側にそびえる尾根の新しい森を開拓してみた。 あらーー、なかなか素敵〜。トレイルもない〜♪(普通の人が喜ぶのと逆)。東京都の保健保安林らしい。森林にもいろいろなカテゴリーがあるんだねぇ(保安林の種類)。ともかくここは獣道もわかりにくいほどの野趣溢れる林間。むしろうちにとっては最良のロケーション。道がなければ、ハイカーもいない。あるのはイノシシがほじくったような泥んこと、誰のものかわからぬ獣の糞くらい。クーパーは縦横無尽に藪の間を嬉しそうに、右へ左へ、上へ下へと駆け回っている。初めての場所ってのは、新鮮で嬉しいみたいね。尾根のてっぺんからの眺めもよかった。脳にも筋肉にも刺激いっぱいで、その夜はクパメルは、すっかり「疲れた子はいい子」になっていました。よかった、よかった。

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ヤッホーイ! 新しいお山開拓! 眺めよし! 自然がいちばん! クパ笑顔!

 しかし! 夕飯も終わり、まったりしていると、ニンゲンのムスメがメルの体の上を歩く小さいダニ発見!! マジか! まだ3月頭なのに! 先週まで雪が残っていたくせに! なんてこった。もう山にも急に春到来、虫活動。啓蟄(「冬籠りの虫が這い出る」が語源)とはよく言ったものだ。今年の啓蟄は3/6。昔の人は偉いなぁ。ああ、もうダニよけ薬かスプレーしなくちゃ。みなさまもお気をつけくださいね。もうダニーの季節の到来ですぞ。(シライシ家では、敵とはいえ、自然界の友達という敬意を込めて「ダニー」と愛称で呼んでいます)。

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2018初物のダニー。早すぎないか!? あまりダニ駆除剤を長期間使いたくないのに......。しかし山遊びをやめるわけにもいかないし......。困ったなぁ

【3月6日(火)】
 docdogで新しい記事を書いたのが公開された。
人と犬の幸福な関係を目指して ~こだわり人探訪 vol.5~
 新しいパターンだからちょいと試行錯誤しちゃって、先週から書いてて、いつもより時間がかかったんだけど、なかなかよい仕上がりになったんではないかなーと思っている。シャンプーやミツバチに興味ある人はぜひ読んでみてねー。

【3月8日(木)】
 1月から平日連日で出稼ぎをしていて、ようやく平日休みが来たーーーーッ! フリーランスの醍醐味ですよ、平日にゴロゴロできるのって(そのかわり土日祝も平常運転なことが多いけどさ)。でも本当は本日もゴロゴロしていてはダメで、原稿書くなり、確定申告の領収書整理するなり、やらねばならぬことは山積していたのに......クーパーと、ダラダラしちゃった♥ だって幸せな二度寝をしていたら、クーパーがべったり甘えたさんになり、私のベッドに入ってきて、私のおなかの上で、溶けたお餅みたいになって爆睡しているんだもの〜。起きられないよぅ、可愛すぎてーーーーっ(←親バカ重症患者)。

 たまにはこんな日があったっていいはずだ。クーパーのためにも、私のためにも。これが犬と暮らす醍醐味、ハッピーでピースフルな時間なんだい!

(でも、あとでオットに「そんなに甘やかすと、そのあとクパが挙動不審になるからやめなさい」とちょっと叱られました。へへへ)

【3月11日(日)】
 東日本大震災の日です。いろいろな想いが胸をよぎります。だから、こんな日に遊びに行くのは不謹慎かもしれない、とも思いましたが、来週末はシンポジウムがあるので、山に行けないから......クパメルの幸せを確保することも飼い主の大事な任務なので、午後からビューンとまた山に行ってきました。

 3月は頭から春の嵐が続き、大雨が降った日もあったせいか、今まで冬の間干上がっていた川が、いきなり清流になっていて、けっこう潤沢な水が流れていた。自然って不思議。雨が降ったのは3〜4日前なのに、どこからこんなにお水が湧いてくるのかしらねー。

 しかし、恵みの雨はありがたいけれど、急な気圧変化は神経痛が痛むものです(全国の神経痛持ちのみなさん、大丈夫ですかー!)。気温も日によって乱高下するから、体温調節が難しい。春の花が咲き始めるのは嬉しいけれど、意外とこの時期って体に負担があるかも。神経痛を持つ飼い主および老犬のみなさん、ご自愛くださいませ。

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先週までカラカラで何もなかったのに、急に山の水が増えていた。冷たくていい気持ち。それにしてもメルのブリンドル柄は、山の中だとわかりにくい被毛色

【3月15日(木)】
「笑う犬には福てんこ盛り」 vol.17公開。
 ううう、なんだかもーう。忙しいわね、春って! なんでー?(二度寝してるからー!?) 私は会社員じゃないから、年度末とか関係ないのにね。つまり会社勤めの飼い主さんは、私以上に3月は忙しいかもしれない。だけど犬には年度末は関係ないから、みんな頑張って毎日のぷらぷらご町内散歩、行こうね♪ これがまた、自分の心の平穏さを取り戻すのにも役立つもんよー。私は、ついうっかり1時間以上、ぷらぷら散歩に出ております。たぶん現実逃避です(爆)。

では、17日のシンポジウムの準備を頑張りまーす。遊びに来てね~。

◎新コーナー
「そうだ、かえさんに聞いてみよう!」

こんにちは、担当編集Mです。
毎度お便りありがとうございます♪ ありがたいことに、いただくコメント、メッセージも白石さんの熱量に呼応するかのように熱くなってきております。なもんだから、今回もがっつり返信いただきました(=長文ですw)。
次回あたりからコーナー分割しようかなぁ......。ということも踏まえて、メッセージいただく際は愛犬のお写真などもいただけるとありがたいでっす!

初めまして、愛知県に住んでおります。先日かえさんの猟犬に関する記事を拝読いたしました。私は今現在プロットハウンド・ミックスのオスとメスの2頭を飼って、6年目になります。

最初に迎えたのはメスの子で、6年前に岐阜の保健所に入っていたのを保護団体に引き出されて里親募集されていた子でした。引き取った時点ですでに成犬で、推定年齢が2歳くらいと言われました。幸いおとなしい子でしたので、大型犬初心者の私でもなんとかなりました。もちろんトレーナーさんにもついて指導は受けましたが......。

それから1年余り経って、滋賀で個人でプロットハウンド・ミックスの親子を保護した方から、生後3か月のオスの子を引き取りました。今5歳です。それなりに苦労しましたが、今はフライボールやエクストリームなどのドッグスポーツなどをやったりして暮らしています。ただ、この子たちと暮らして、たとえばラブラドールやシェパードみたいな子たちとは(訓練することは大前提ですが)離れる距離が全然違うことを常日頃感じています。それで質問させていただきたいのです。このメスの子は普段おとなしくてドッグランに入れても問題なく過ごせますし、人に対しても反抗したりすることもないのですが、ニオイを取り出すと人の声が一切耳に入らなくなり、呼び戻しがききません。たぶんですが、実猟経験があると思います。

「今後トレーニング次第で呼び戻しができるようになるのかどうか?」。今まで複数のトレーナーさんに聞いたりしたのですが、たぶんこういう子(実猟犬、セント・ハウンド)のトレーニング経験がない方ばかりだったのか、納得のいくような説明が受けられませんでした。呼び戻しのトレーニングは、かなりやっている方だと思っております。オスの子は私の勝手な考えかもしれませんが、実猟経験がないことと、もともとの性格がビビりなのでフリーにしても大丈夫です。ただやはり離れる距離は長くなりますが......。

このもやもやを解消しようと以前猟師さんにもメールで質問してみたことがあります。お一人は九州でプロットを使って猟をしてらっしゃる方で「呼び戻しのトレーニングをしますか?」と伺いましたら、そういったトレーニングはしないとのお答えでした。もうお一方、三重でイノシシ猟の犬をトレーニングしている方に伺いましたら、この犬種のコールドノーズと呼ばれる子たちは寝食忘れて三日三晩でも山でにおいを追うような子たちだから呼び戻しは難しいと言われました。かえさんの記事にもありましたが、猟の方法が鳥猟犬と違い、そもそも呼び戻しを必要としない形なので難しいのかなとも思っております。あるトレーナーさんからはショックカラーを使ってトレーニングしましょうと言われましたが、それは私が抵抗があったので止めました。

「メスの子の方は呼び戻しは難しいことを認めて、マネージメントして過ごすのがよいのでしょうか??」

今現在街中で暮らしていますが、運動量はそこそことれるように努力して、メスの子は「ランに連れて行ったり、山をハイキングするときはオンリードで散策する」。オスの子は「ときどき山に連れて行って発散させる」というのがベストな選択なのでしょうか? 長々とすみませんがアドバイスいただければ幸いです。

(愛知県在住 Oさん)

【お返事】
Oさん、苦しい胸のうちを教えてくれてありがとうございます。猟犬の保護犬を迎えて、いろいろ試行錯誤しながら、犬のためにどうすればベストなのかを真剣に模索されていて、素晴らしい飼い主さんだと思いました。

単刀直入に言いまして、メスの子は、呼び戻しは難しい、というか、ふたたび逸走する可能性があるので、私なら山や河川敷などではロングリード(さしずめ10mくらいのリード)で管理することを選ぶと思います。

猟犬種にとって、フェンスで囲まれたドッグランは(クーパーを見ているとよくわかるのですが)、たとえそこそこの広さがあったとしても平地や芝生の広場はしょせん人工的な場所に過ぎず、手つかずの自然のままの藪のあるような林間ではないし、イノシシやサルやアナグマなどの獣のニオイもしないでしょうから、心底満足できる場所ではないはずです。アニマル・ウェルフェアの「5つの自由」の大事な5つ目、「自由な行動をとる自由(正常な行動を表現する自由)」を十分に与えることにもならないとは思います。

しかし、そうは言っても、愛犬を行方不明にはしたくはありませんよね。なので、犬には申し訳ないけれど、呼び戻しが怪しいなら自然環境でオフリードにするのは私なら諦めます。もしかしてまた逸走してしまうと、前回はレスキューされ、よい団体さんが引き出しをしてくれたからよかったようなものの、次はどこのエリアでいなくなり、保護されるかわからないので、自治体によっては最悪短期間で殺処分される可能性があると思うと、やはりリードは放せません。ホントに命綱です。

たしかに、セント・ハウンドは、ニオイに集中すると、飼い主の声はたぶん聞こえなくなります。Oさんの調べた意見に私も賛同(よくそこまでいろいろな方に質問されましたね! 敬服します)。ポインターやセッターといったガンドッグとはそこが根本的に違うと私は感じています。またセント・ハウンドのレンジ(探索範囲)の広さは、鳥猟犬(ラブラドール・レトリーバー含む)や牧羊犬(ジャーマン・シェパード・ドッグ含む)の比ではありません。ニオイクンクン獣探索・追跡犬は、そういう犬だから存在価値があります。バカだとか、頭悪いわけでは断じてありません。

折しも先月、プロットハウンド・ミックスを使ったイノシシ猟を見学させてもらいましたが、やはり呼び戻し訓練はしておらず、「回収する」という言い方をしていました。呼び戻すのではなく、飼い主(猟師)が「回収」するんだーと私も少々びっくりしました。呼び戻しを常に頑張らねばと思っているジャーマン・ポインター飼い主としては新鮮でもありました。

もちろんプロットミックスでも、イノシシを見失い、諦めて「ごめん、見失っちゃった」と言わんばかりに、猟師の呼び声に応えてちゃんと戻ってくるときもあります。山中で待ち構えた猟師がイノシシを見失って途方に暮れている犬の様子を見て、そこで犬をつなぐ(回収する)こともあります。でも、イノシシのニオイをとり、懸命に追いかけてしまうと、もうなかなか誰にも止められないし、呼んでも無理。遠くに行ってしまい、戻ってこないときは普通にあるみたいです。だからそのために無線機をつけているし、首輪には大きな文字で猟師の名前、住所、電話番号が書いてありました(正しい猟師ならね)。

私が実際に見たときは、猟犬がどこへ行ったかわからなくなると、猟を中断し、イノシシを待ち伏せしている猟師たち(みんな無線で連絡を取り合える)同士で、犬がだいたいどの方向へ行ったか、どこらへんで声が聞こえなくなったかなどの情報交換をして、予測をつけて、若手の勢子係(犬とともにイノシシを追い込む係)に回収させに軽トラを向かわせました。結局そのときは2山くらい先の車道で、犬を見つけました。「回収したよー」と、猟仲間にまた無線で連絡を入れていました。いっとき行方不明になり、山を越えて、遠くに逸走するのは日常的なことで、猟師たちは全然動じていませんでした。でも、都会モノの私としては「交通事故にでもあったら大変」とか「こんな大型犬がぷらぷら1頭で離れてて通報されないの?」などと頭をよぎりましたが、その集落の人々は、イノシシ猟が暮らしに密着しているので、猟犬が単独で道を歩いていても、通り過ぎる住民も動じないし(電話をくれることも多いそう)、自動車も犬が通り過ぎるまで停止または減速していたので、こういう光景は日常茶飯事なのだろうと感じました。

つまりセント・ハウンド系の犬を使った獣猟というのは、そういうものなのかもしれません。もちろん、全国にはいろいろなやり方の猟師がいるでしょうし、セント・ハウンドの中でもさまざまな犬種やタイプ、猟芸があるので、呼び戻し訓練をしている犬もいるかもしれません。複数の犬を使うタイプの猟法で、その中の1頭に、ポインターをミックスしたような呼び戻しの得意な先導犬がいれば、群れを引き連れ戻ってくるということもあるかもしれません。しかし、犬種特性や猟法、そして迷子犬が多い現状などを総合して考えると、実猟犬が自主的に戻ってこないパターンは多いのではないかと思います。

Oさんちのオスは、生後3か月で迎えているから、確実に実猟の経験はないですよね。ニオイを追いかける喜び体験を学習していないので、そこまで執拗にニオイをとらず、スイッチも入らないで済んでいると推察できます。反対にメスは、やはり実猟経験があるのかもしれないです。2歳や3歳などまだ猟に不慣れなうえ、体力上り調子の元気すぎる年頃なので、よく迷子になっている年代でもあります。心ある猟師なら、そういう若造は単独では使わず、経験豊かな犬とセットで使い、先輩犬を見習って経験を積んでいくように育てるものですが、犬を複数持てない猟師は、1頭だけで山に入ることも多いようです。また無線やGPSをつけて、ちゃんと回収する意欲と倫理観があればいいのですが、すべての猟師がそういう装備と気持ちを持っていないと思われます。残念なことです。

Oさんちのメスにも、無線やGPSをつけて思う存分山を探索させる、という方法はなきにしもあらずです。でも、1人や2人体勢で深い山あいで回収するのはけっこう大変だし、リスクが高い。何十kmも先に行ってしまう可能性もあります。私だったら見つかるまでの時間、泣きじゃくってしまい、ちゃんと探せるかどうか自信がありません。

ショックカラーを使うトレーニングに関しては、Oさんと同じく私も賛同できません。微弱電流の場合は、痛いというより合図程度のこともあるそうなので全否定はしませんが、でもメスの子を実猟に使うわけではなく、家庭犬としての人生(犬生)を歩んでいるのなら、ショックカラーは必要ないと思います。ロングリードで遊ばせればよいのではないでしょうか。私ならそうします。

結局、どれが絶対に正解なのか、不正解なのか、算数みたいに答えはひとつではなく、個人的見解でしかお答えできませんが、Oさんの「犬たちを幸せにしてあげたい」という気持ちのまま、判断されればいいと思います。いろいろ相談し、手を尽くされ、(ここにも質問してくれるなんて)Oさんはとても真面目ないい飼い主さんだと思います。だから凹まずに、頑張ってください。

オスはもう5歳だから性成熟もしており、成犬として心も体も完成されているでしょうから、今から大きく行動が変わるとは思えないので、Oさんが観察した結果、選んだ遊ばせ方でよいのではないでしょうか。しかし、いつ何時、獣のニオイを感じてスイッチが入り、追跡本能が開花するかはわかりません。油断は禁物です。常に迷子札とマイクロチップはしっかり装着してあげてくださいね(もちろんメスもです。いつもロングリードをすることにしていても、何が起きるかはわかりませんから)。

メスは8〜10歳くらい、オスは5歳ですね。まだまだ元気炸裂だと思いますが、この子たちはこんなに飼い主さんに想ってもらえて幸せだなぁと思います。頑張ってください。私も負けないように、バカ体力のクパをを幸せにするよう日々研鑽します。

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サッとすぐに戻ってこなかったのに、悪びれずに愛想を振るメル。好奇心が強く、すぐ調子にのるので、何か気になるモノやヒトや風船やサッカーボールなどを発見すると、クーパーより戻りが悪い。ボクサーは訓練性能の高い使役犬種なのに。涙。飼い主の不徳の致すところでございます。メルも私も頑張らねば

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◎プロフィール

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白石かえ
犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパン。犬猫と暮らして30数年。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせる、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

●執筆サイト: dogplus.me 犬種図鑑 ほか多数
●ブログ: バドバドサーカス
●主な著書:
『東京犬散歩ガイド』、『東京犬散歩ガイド武蔵野編』、『うちの犬 あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』、『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』(構成・文)

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