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2018.03.20

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トレーナー直伝!愛犬との暮らしに役立つワンポイントアドバイス vol.12

あなたにとって愛犬とは

こんにちは。ドッグトレーニングインストラクターの三井です。今日は飼い主と愛犬との関わり方について考えてみようと思います。

#activity / #lifestyle

Author :写真・文=三井 惇

犬に対する考え方の変化

 半世紀ぐらい前であれば、犬は屋外の犬小屋で繋がれて飼われ、散歩に連れ出してもらえる家もあれば、日がな一日繋がれたまま、朝一回のご飯の食器がそのまま翌朝まで置きっぱなしにされている家もありました。もちろん排泄も自分のスペースで済ませ、気付いた時に飼い主が片付けに行くぐらいです。

 暑い夏であろうと寒い冬であろうと、犬の住まいに特に変化はなく、出したご飯が残っているときは、調子でも悪いのかなぁという感じで、特に獣医に連れて行くこともなく、犬の寿命も今と比べればかなり短いものでした。

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1970年代、我が家の愛犬の居場所は庭でした

 時代が変わり、欧米からさまざまな情報が入ってきて、犬という動物に対する考え方や接し方に変化が現れてきました。もちろんずっと以前から、犬だけでなく、生き物に全般に対する正しい認識を持っていた人はいましたが、「犬のご飯は人間の残り物」的な考え方が主流だったのではないでしょうか。だからと言って、犬たちのことをかわいがっていなかったわけではありませんが、最近のように我が子のような家族の一員としての存在と感じていた家庭は少なかったように思います。例えば「引っ越すことになったから人にやる」。自分の子どもだったら考えられないことですね。

 20年ほど前、我が家の向いに転勤でやってきた一人暮らしのイギリス人の男性は、母国から愛犬と一緒に引っ越してきました。海外赴任先から犬と一緒に帰ってきた家族は知っていますが、いずれ戻ってくる海外転勤先に連れて行くというのは、当時の日本では珍しかったのではないでしょうか。しかし、今では日本でも海外転勤に犬を同伴する家庭は珍しくなくなっています。

「犬は3日飼えば恩を忘れない」と、犬の忠誠心を美化しているかと思えば、簡単に置いていってしまうという矛盾。「忠犬ハチ公」の逸話を知らない人のいないこの国で、まだまだ物扱いされている犬たちがいる一方、一般家庭における犬たちへの待遇は、ずいぶん良くなってきたと言えるでしょう。喜ばしい限りですね。

愛犬のことわかっていますか?

 純血種の場合、それぞれ目的に合せて改良されてきたという歴史もあるので、犬種による違いは明確に存在しています。だからこそ各犬種のブリーダーは、その犬種のスタンダードを守るために努力を惜しまず、愛犬家たちも、その犬種が好きでその犬種と共に暮らすことを長年続けている人たちがいます。

 シェパードを選ぶなら、トレーニングをして競技会に出してみようとか、警察犬も夢ではないと思う人がいるように、ボーダーコリーを飼えば、一度は羊を追わせてみたいとか、レトリーブ犬種であれば、ガンドッグトレーニングを受けさせたいとか、ハスキー犬であれば、雪の中で橇を引かせてみたいなどと思うのは自然なことではないでしょうか。しかし、彼らの秀でた才能はときとして、一般家庭では弊害をもたらすことも覚えておかなくてはなりません。

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ボーダーコリーを飼ったなら、一度は羊に会わせてみたくなったりしませんか?

 例えば、レトリーバーは水が好きです。河川敷で開催される訓練競技会で、川に飛び込んでしまったというエピソードもあります。また追いかけて回り込みたい衝動を持つボーダーコリーは、クルマや自転車などの前にとび出し、命を危険にさらしてしまうということもあります。ハスキー犬は引っ張ることが好きなので、リードであろうとハーネスであろうと、ぐいぐい前に引っ張っていくことをいといません。つまり犬種によっては、他の犬種と比較して、特に注意して危機管理をしなくてはいけないケースがあるということです。

 さらに同じ犬種であっても個体差があるのはご存知のとおりです。大人しいタイプもいれば活発なコもいるわけです。人間と同じですね。ついつい先住犬と比べてしまうこともあるでしょうが、親子であっても、兄弟であっても、多少似ることはあっても、当然のことながら全く同じではありません。「前のコはこの方法でうまくいったのに、今のコは全然ダメ」ということがあったり、食餌も片方はあっという間に平らげて、同居犬の食器を覗きにいく余裕があるのに、もう一頭はマイペースで、取られそうになっても気にしないなどそれぞれだったりします。

犬とどう関わるか

 初めて犬を飼うとすべてが新鮮で驚きの毎日です。予備知識があったとしても、実際自分の目で見てみないと理解できないようなこともあります。甘噛みひとつとっても、手を執拗に噛んでくるコと、甘えるように口の中に手を入れながらおしゃぶりをするようなタイプなど、実際経験してみないと、放っておいていいのか、「痛いよ」と伝えた方がいいのか本を読んだだけではわからないものです。「ウチのコよく甘噛みするんです」とニコニコ話していらっしゃる奥様の腕に青いあざや歯型がいくつもあったりすると、それは甘噛みではないかもと心配になったりします。

 特に成長過程の子犬たちは日々変化していきます。昨日できなかったことが急にできるようになっていたり、もう覚えたはずだと思っていたことを全然やってくれなかったり、飼い主は日々翻弄されると言っても過言ではありません。しかし、毎日の変化をしっかり観察していくことで、愛犬の性格や個性がだんだん見えてくるはずです。どこまでなら嫌がらずに我慢できるか。どんなことが苦手なのか。何が一番のご褒美なのか。そんなことがわかってくると、無理強いせずに、お互いのストレスを軽減することができます。

 例えば洋服を着るのを嫌がる犬。歯ブラシを嫌がる犬。手足に触れるのを嫌がる犬。他の犬が近づいてくるのを嫌がる犬などなど、犬が嫌がることはたくさんあります。当然のことながら、嫌がることをしなければお互い平和を保つことができますが、嫌がってもどうしてもやらなければいけないことも出てきます。そんな時にどうしたらいいのか。

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シャンプー嫌いの犬は意外と多いのではないでしょうか

 嫌がる以前に、呼んでも戻ってこない、ご飯のときそばに寄ると唸る、ソファに乗っている犬の横に座ろうとすると唸るなど、犬が嫌がることをされまいとガードする場合もあります。そんなときはどうすればいいのでしょうか。

 普段人間が当たり前のようにやっていることも、犬にとっては当たり前ではないことが多いものです。一つひとつ丁寧に手順を踏んで慣れさせることから始めなければ状況は悪化していきます。例えば散歩から帰ってきたときの足拭き。乾いたタオルでさっさと済ませるのか、濡れたタオルでゴシゴシ拭くのか、バスルームに連れて行ってシャワーで洗うのか。それぞれのご家庭によってルールは違いますが、最初からシャワーのお湯をかけて動じない犬もいれば、不快感を示す犬もいます。しかし、基本は最初から喜ぶ犬はいないと考えて実行しましょう。人間にとって気持ちがいいシャワーでも、犬にとってザーザーという音をたてて、お湯が一気に体にあたることは好ましくないものです。多少怖がっていても、そのうち慣れて大丈夫になる場合と、ますますひどくなって嫌がる場合があることを知っていれば、愛犬の様子を見ながら愛犬のペースに合わせて慣れさせていくこともできます。一生のうち一度も獣医を経験することが無い犬はいないので、手や足、体を触ることは早くから慣らしておいてあげることが飼い主の大事な役目の一つとも言えるでしょう。

 どうしても慣れずに嫌がる場合、それが生死に関わらないことであれば、人間が折り合うことも必要です。一度身に付いてしまったトラウマを消すことはとても時間がかかるからです。

おわりに

 誰もが愛犬との楽しい日々を想像しながら、ドッグライフを始めたはずです。日々の苦悩など想像だにしなかったでしょう。しかし、初めからきちんと愛犬と向き合わないと、後になってこんなはずじゃなかったとなりかねません。何しろ相手も生き物で感情があるのですから、すべてこちらの思い通りにはいかないのです。

 どこで折り合いを付けるのか、話し合える関係になれるといいですね。

◎プロフィール

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三井 惇
CPDT-KA(国際資格)ドッグトレーニングインストラクター。1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけに、犬の行動学や学習理論を学ぶ。2004年にドッグダンスをと出会ってその奥の深さに魅了され、愛犬家に広めたいと2006年からインストラクターとしてドッグダンスを教え始める。自身も一競技者として、オビディエンスやドッグダンスの競技会に参加。

●ブログ: Dance with Dogs
●HP:http://wanbywan.com/
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●主な著書:『ニコルとドッグダンス』/エー・ディー・サマーズ

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