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2018.03.26

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犬の飼い主に求められること vol.14

犬を飼うのは楽じゃない!?

犬と暮らすことは楽しいが、決して楽ではない。飼い主である私たちは犬との暮らしやコミュニケーション方法に日々悩み、努力をすることが普通だと思う。なんてことを、ここ最近担当編集の前島氏と恋人以上に頻繁にメッセージのやり取りをしている。いやいやマジメな話、けっこう重要なキーワードが頻出しているし、その履歴を再編集して記事にしてみたいと思う。

#lifestyle

Author :写真=sarii、五十嵐廣幸 文=五十嵐廣幸

犬って楽に飼えますか?

五十嵐(以下、五): テレビや雑誌、Webなどのメディアでは、犬に関する情報が毎日溢れかえっています。悲惨な事故や事件といったニュース記事も多い一方、「犬との楽しい暮らし」や「お洒落ドッグライフ」といった明るいものも少なくないですよね。

docdog前島(以下、d): たしかに、ある意味そんな両極の情報ばかりが、目につく気はします。

五: でもその両極のことって実は密接に関係していて、「憧れの犬との暮らし」の裏側には飼い主の努力や苦労が伴うはずなのだけど、そのあたりが抜けてしまっていることによる事故や事件が多いように思います。犬と楽しく暮らすこと、犬を飼うことは「誰でもできること」でもなければ、「良いことばかり」でもないでしょ。現実は。

d: 犬を飼うということは命を預かるわけで、思い描く幸せそうな犬との暮しは、お金出せば手に入れられるようなものではないですからね。

五: 例えばですけど、人と人は、同じ言葉を持ち、コミュニケーションに必要な基本的な教育を受けています。そんな人間同士であってもお互いが仲良くできなかったり、争ったりするのが現実です。種そのものが異なり、共通の習性や言語を持たない犬との暮らしにおいて、「犬を知る努力」や「犬のために必要な行動」は、本来当たり前のことなんですけどね。にもかかわらず、残念ながらそうじゃない人も多いように思うんです。

d: 安易に、衝動的に犬を飼い始め、そんな当たり前のことを自覚することなく「こんなはずじゃなかった......」と。

五: そう、だから、犬を飼うということは、けっして楽なことではないということを、きちんと認識したうえで飼い始めてほしいんです。そのための情報発信を、僕らは坦々と出し続けていかないといけないなぁと。

「天気の良い日、愛犬と緑の芝生の上を散歩する」
「浜辺で犬と楽しそうに戯れる子どもたち」
「仕事から帰ると、玄関先で尻尾を振って出迎えてくれる犬」

そんなことだけを印象付けてしまうと、人も犬も不幸になってしまいますよね。

d: なんだか、犬から与えてもらうものばかりですね。もちろん、そんな生活を思い描いて飼い始めることは間違ってはいないし、犬はそれ以上に素晴らしい価値を家庭にもたらしてくれるとは思いますが、それと同時に、引き受けなければいけない責任があることを理解しているのといないのとで、大きく違いますね。実際犬たちとしっかりと寄り添い、深く関係を築いていけば、それこそまさに家族になれる。

五: いざ飼い始めると、雨だろうが雪だろうが、天候に関係なく、そしてカラダの大きさに関わらず、犬には毎日の散歩が必要です。それに長時間の留守番も、おとなしく待っているとも限りません。帰宅したら室内は荒らされてぐちゃぐちゃ、気に入っている靴が齧られている。そんなことも珍しくないですよね。イタズラされないようにサークルに入れておけばいいってものでもないですし。

d: 結局、犬を飼うって人間の子どもを育てるのと、とても近いと思うんです。しかも、約15年という短い犬生を、生涯「子ども」のまま飼い主の元を巣立つことなく終えていくわけです。まぁ、最近は自分がお腹を痛めて産んだ実の子どもであっても、平気で虐待する親がいますけど。寝不足だろうがなんだろうが、乳児であれば授乳が必要だし汚れたおむつも換えてあげなければいけない。うーん、なんだか、こういったことを「しなければいけない」とか「必要なこと」として、改めて言っていかなければいけないって、なんだか悲しいですね。

五: そう、本来当たり前のことなんです。「犬の飼い主になること」は、あえて苦労を選ぶこととも言えます。それは、自分だけの時間が少なくなるし、飼わなければかからなかったしつけ教室や治療費、グルーミング代、犬のデイケア(託児所)の費用や予防接種などのお金も必要になる。想像もしてなかった犬の行動に冷や汗をかいたり、謝ったり、思い通りにいかないことで悩むこともあります。多くの飼い主は、そんなことを経験しながら、犬との暮らしを楽しむ努力をしているんです。

d: そういった、いわゆる保護者側の努力や行動を、僕は「苦労」と表現したくないのですが、全部ひっくるめて犬たちとの生活の素晴らしさを上手に伝えていきたいですね。

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夢を現実にするために

五: 子犬を見たとき、ブリーダーに行ったとき、保護施設を訪れて犬と遊んだとき、犬を飼いたい、飼おうと決めたときに、一度起こり得る「大変なこと」を可能な限り想像めぐらせてみるといいと思うんです。

d: それでもなお、飼いたい気持ち、飼おうという決心に揺らぎがないのであれば、飼えばいいと。

五: そうですね。それに、犬を飼い始めたら、飼い主は多いに悩むべきです。その悩みは、その犬の飼い主になった者にしか得られない特別なものです。「毛むくじゃらの命」と、悩みなくスムーズに暮らそうと思うことがそもそも間違い。たくさん悩みながら、犬と一緒に克服することを楽しめばいいんです。「犬と飼い主が、お互いに成長すること」が犬と暮らすことであり、犬との楽しい生活だと私は思うんだけどな。

d: 本当に子育てと共通することが多いのですが、決定的に違うのは、当たり前だけど犬は犬であり、それ以上でも以下でもないということ。どんな家庭で飼われようと、どんな犬種を飼おうと、飼い主なら誰しもこのことを踏まえて犬という生き物について正しい知識を得る義務があります。よく、犬は家族であると表現しますが、それはその通りでしょう。でも、人ではない。行き過ぎた擬人化や、知ったつもりで本質を理解していないのは危険ですね。

五: それに、家族の一員であるならば、自分の大切な家族のために「この犬種はどういう行動が得意なのか?」、「犬にとって地面の匂いを嗅ぐことってどういうことなのか?」、「散歩の重要性、外で排泄することの大切さ」や「愛犬と飼い主が共通してできるアクティビティを探すこと」などを、手軽に入手できる情報からだけでなく、飼い主自身が存分に悩み、たくさん調べ、愛犬目線でじっくり行動を共にすることが必要でしょう。

d: 五十嵐さんがおっしゃった、「存分に悩み」というのは、とても大切だと思いますね。僕もモーフを迎えて半年は、ほんとに育犬ノイローゼ状態でしたけど、その間に経験し、学んだ多くのことが今の生活すべてのベースです。

五: そういう時間があってこその、「ハッピー・ドッグ・ライフ」ですよね。逆に言うと、楽して飼おうとすることは、飼い主自らが、「犬を飼う喜び」を減らしているようにも思えますね。犬を飼うのであれば、愛犬との楽しい暮らしのために、犬とたくさんの時間を過ごすこと、悩みながらも、目の前の犬という家族と一緒に前向きにその寿命が終わるまで過ごすことが、私たち飼い主に求められる行動なはずです。

d: 思うように行動してくれない、問題行動が直らない......。そりゃそうですよね、犬だもの。このあたりも、考え方なのだと思うのですが、人にとって困った行動も、犬にとっては本能に従っただけの当たり前の行動で、何も飼い主を困らせるためにわざとやっているわけではないはずです。なぜ思うように行動しないのか、何が問題なのか、その行動が問題にならない環境を作れないのか、などなど、視点を切り替えてみると一気に解決してしまうことも少なくないのではないでしょうか。

五: それって、繰り返しになりますが人の子どもに対してと同じだと思うんです。結局、理解しようとする想いも犬のためのさまざまな行動も、その原動力というかコアになるものって「愛」なんだろうなと。彼ら犬はあっという間に年老いてしまいます。たった10年から15年しか生きられない命を、たくさん愛してあげてください。犬たちがたくさん褒められ、喜び、安心してあなたと暮らせるように、飼い主は楽ではなく、たっぷりの愛情を持って犬という動物と一緒に楽しむことを選んでほしいですね。

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◎プロフィール

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五十嵐廣幸

オーストラリア在住。元dog actuallyライター。週末は愛犬と一緒にSheep Herding(羊追い)をして過ごす。サザンオールスターズ、クレイジーケンバンド、そして動物を愛す。犬との生活で一番大切にしているのは、犬が犬として生きるためのクオリティ・オブ・ライフ。

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