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2018.02.19

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トレーナー直伝!愛犬との暮らしに役立つワンポイントアドバイス vol.10

知っているとストレスが溜まらない飼い主の常識・非常識

こんにちは。ドッグトレーニングインストラクターの三井です。今回は、飼い主さんがそれぞれ当たり前だと思っていることが実はそうでないと言われたりする、言わば考え方や認識の違いが顕著に出るシーンについてお話してみようと思います。もともと人の考え方はそれぞれですが、これってどうなの?と思ったときに思い出していただければと書いてみました。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=三井 惇

常識と非常識は時代とともに変わる

 犬と暮らし始めると、いつの間にか彼らは「ただの犬」ではなく「かけがえのない家族の一員」だったり、「大事なパートナー」になっていきます。当然ですね。ただ、私の母の世代より前の年代、つまり80代以上の人たちは、「犬は外で飼うものだ。」という意識が強く、家族と言うより番犬という考え方が主流だったようです。私は幼いころから海外のファミリードラマが大好きだったこともあり、犬が家の中で自由にしていたり、ベッドに乗っていたりする生活にずっと憧れ続けてきました。海外事情に詳しい人や、海外生活を経験した人は、犬が家の中にいることに違和感を持ちませんが、私の家族を含め、一般の人々にとって、犬を家の中で飼うことは非常識と言われていました。畳の部屋や、靴を脱いで家に上がる日本の生活様式が、土足同様の犬の入室に違和感を持っていたのかもしれません。

 しかし、秋田犬や柴犬、シェパードやコリー、といった犬たちが多かった当時と比較すると、今は小型犬が格段と増え、犬を外で飼おうと思う人は都会ではほとんどいなくなったのではないでしょうか。もちろん、敷地が広く、自由にさせられるスペースがある家庭では、今でも外で中型犬以上の犬を飼う習慣を続けている人もいますが、ブリーダーによっては犬のサイズと関係なく、外飼い前提の方には犬を譲らないと言う人もいます。

 犬を外で飼育するのか、室内で飼育するのか。犬種による違いもあると思いますが、少なくても近隣に迷惑をかけないという観点からも、室内飼育の方が常識になりつつあるように思います。また家庭犬であれば、一緒に暮らす人とのコミュニケーションが取りやすいというメリットもあるので、室内飼育を勧める人が多いことも事実です。犬に関する「常識」も、時代と共に変わっていくのは当然でしょうね。

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夜は当たり前のようにベッドに乗る犬たち

本当にかわいそう?

 室内飼育が多くなると、当然のことながらいつも目の前にいる犬たちとの関係は密接となり、いつの間にか家族の一員となります。特に子犬の頃から一緒に生活している犬たちは、まさに「子どものような存在」と言ってもいいでしょう。

 家族になった犬たちは、ときに擬人化されます。思いやる気持ちが募り、いつしか人間と同じように思ってしまうと、ついつい「かわいそうだから」という気持ちが生まれます。もちろん、犬たちの気持ちを思いやることはとてもいいことなのですが、人間の尺度で気持ちが推し測られると犬にとっては迷惑なことも起こってきます。

 例えば、「私たちだけが美味しいものを食べているのを傍で見ているのはかわいそうだから」と、ついつい人間と同じものを食べさせてしまったり、「欲しそうにしていてかわいそうだから」と、ついついたくさんオヤツをあげてしまったり、自分の気持ちを反映させてしまうことがよくあります。確かに、犬の傍で一人だけ何か食べていれば、何か後ろめたい気持ちが芽生え、ついつい「あなたにもあげるわ」という気持ちになってしまうかもしれません。でもそこで犬に何かあげてしまうことは犬のためになることでしょうか。もちろんそのときの犬は幸せでしょうが、単純に「家族が何か食べているときは自分も一緒に食べられる」ことを学習しただけなのではないでしょうか。賢い犬たちは、次回誰かが食べていれば必ず傍にやってきておねだりをするようになります。もらえない場合の犬のストレスや、そのとき取る犬の行動を考えると、最初の一回を人間が我慢することで、犬たちに余計な期待をさせずに済むのではないでしょうか。一人でさりげなく食べてしまうのと、犬にあげたりあげなかったりして、余計なストレスを与えるのとどちらがかわいそうでしょうか。人間の子どもであれば、「オヤツの時間だから食べてもいい」とか、「もうすぐ夕食だから間食はダメよ」とか、言葉で説明することができますが、犬には難しいものです。

 そんな人間の目から見た「かわいそう」というシーンは、以下のような場面でよく聞きます。

・クレートに入れるのはかわいそうだから、部屋で自由にさせておく
・1頭での留守番はかわいそうだから、同居犬を増やす
・濡れるとかわいそうだから、レインコートを着せる
・寒くてかわいそうだから、洋服を着せる
・歩くのがかわいそうだから、抱っこする
・友達がいないとかわいそうだから、ドッグランに連れていく

「かわいそう」はどちらかと言うと人間目線ですが、一方的に決めつけてしまっていいのでしょうか。確かに高齢になって、散歩の帰り道は疲れて歩かないのであれば、抱っこやカートは犬のことを考えた配慮になりますが、「小型犬だからたくさん歩けない」や「抱っこをせがむのは疲れているから」という話を聞くと、犬本来の姿はどこにいってしまったのかと思うことがあります。

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出先でも、クレートに入ると安心して寝る犬

 狭い場所に押し込めるのはかわいそうだという思いから、クレートを使わないというケース。しかし、犬たちが実際安心して寝られる場所は、周囲を囲まれた巣穴のような場所ではないでしょうか。特に家族と一緒にお出かけする機会が増えた犬たちにとって、自分の場所として安心して落ち着けるのはクレート(周りを囲まれたケージ)ではないでしょうか。そんなクレートに愛着を持たせる練習を含め、自宅でも使うことで犬は安心して中に入っていられるようになります。そのような場所を提供しないで、人や犬が多く集まる場所に連れ出して沢山の刺激にさらしておく方が、犬にとってはストレスが大きいはずです。

 犬種によっては寒がりな犬もいます。明らかにブルブル震えている犬に洋服を着せるのは仕方がないことでしょうが、毛量がある犬種にお洒落感覚で洋服を着せると、自由な動きを阻害してしまうこともあります。

 小さくて歩くのがかわいそうと歩かせないでいれば当然筋肉はつかず、運動能力は落ちていきます。これは人間と同じですね。健康を維持できる体力をつけさせておくのも、飼い主さんの大事な役目です。

「かわいそう」と人間が感じる部分を、今一度犬目線で考えてみませんか。

一般社会の中での常識・非常識

 犬を飼うことに特化しなくても、人の考え方はそれぞれです。どこに基準を置いているかは個人差があるので、ふり幅は大きいと思いますが、基本的には周りの人に迷惑をかけずに愛犬との生活を楽しむことができればいいのではないでしょうか。ただ、ここで言う「迷惑」というのが曲者です。

 例えば犬が跳びついても、気にならない人もいれば、洋服が汚れると感じる人もいます。自分の犬ならいいけど、他の犬は......と思う人もいます。もちろん、跳びつかれたことで、小さい子どもや高齢者は転倒する危険性もあります。そんなことを考えてみると、かわいい自分の犬が自分に跳びつくのは許しても、他の人には跳びつかせないようにしておくことで迷惑をかけずに済むはずです。

 また、ドッグカフェに連れていく場合、家の中で普段やっているからと、椅子の上に直接犬を座らせている人がいます。最近ではカフェマットを知らない人はいなくなりましたが、飲食する場所で犬が直接人の座る場所に乗っているというのは、犬を飼っている人であっても衛生上の問題を気にする人は少なくないのではないでしょうか。ドッグカフェといっても、当然犬を連れていないお客様も利用することを忘れてはいけませんね。

 逆に、ドッグカフェと大きく宣伝しながら、犬連れの人は犬に洋服を着せるようにとサインを出しているところがあるそうです。おそらく抜け毛を気にするのでしょうが、洋服を着せたところで、外に出ている顔や足からも毛は抜けるので、そこまで神経質になるのであれば、「犬お断り」にされてはどうかなと感じるお店もあります。アニマルセラピーでホームや学校を訪問することもありましたが、おそらく病院であれば少しでも衛生的にという観点から洋服を着せて下さいという指示があるのはわかりますが、そうでない場所においては、特にそういった指示がない団体もあります。連れて行く側が配慮して洋服を着せるのはかまいませんが、店側から強制されるというのはどうでしょう。

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犬同伴OKの飲食店も増えています

 また基本的なマナー違反という部分においては、街中での排泄物の放置などが挙げられます。これについては犬を飼っているいないにかかわらず、少なくとも日本においては拾って帰るのが常識です。歩きスマホをしていて、犬の排泄に気づかない人がいますが、それは完全にアウトでしょうと感じてしまいます。愛犬家であれば、愛犬の排泄物は健康のバロメーターですから、しっかり確認しなくてはいけません。

おわりに

 犬を飼っている人、飼っていない人。それぞれの生活は全く違うので、飼っていない人には飼っている人のことを想像するのは難しいかもしれませんが、飼っている人は飼っていない人のことを想像できるはずです。もちろん、小さい頃から犬がいない生活をしたことが無い人もいらっしゃるでしょうが。

 同じ犬飼い仲間であっても、大型犬や小型犬では多くのことが違います。何かことが起これば、さっと抱き上げてしまえば済む小型犬の飼い主と、犬が自分で歩いてくれない時は途方に暮れてしまうような大型犬の飼い主では、こだわる部分も違うでしょう。

 しかし、たとえ飼っている環境などが違ったとしても、少し想像を働かせることで、多くの気づきがあるかもしれません。

 犬飼いの世界が狭くならないように、自戒の念も含めお互い気を付けたいものですね。

◎プロフィール

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三井 惇
CPDT-KA(国際資格)ドッグトレーニングインストラクター。1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけに、犬の行動学や学習理論を学ぶ。2004年にドッグダンスをと出会ってその奥の深さに魅了され、愛犬家に広めたいと2006年からインストラクターとしてドッグダンスを教え始める。自身も一競技者として、オビディエンスやドッグダンスの競技会に参加。

●ブログ: Dance with Dogs
●HP:http://wanbywan.com/
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●主な著書:『ニコルとドッグダンス』/エー・ディー・サマーズ

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