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2018.01.26

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コントみたいな犬との暮らし【柴犬生活漂流記 vol.13】

果てしないトイレ問題

2015年・秋。「あお」と名付けた柴の仔犬を迎え入れ、生まれて初めて「犬の飼育員」となった「僕」と「もうひとり」。『一難去ってまた一難』なのが犬との暮らし。すっかり解決したように思えた問題が形を変えて、飼育員の前に立ちはだかった......。

#Lifestyle

Author :写真・文=舘川範雄 協力=(株)浅井企画

あおの実力行使

 我々の救世主、ドッグトレーナー・川野輪さん(愛犬のしつけ教室「ドギーステップ」代表)のアドバイスで部屋での失敗がほぼなくなってきたあお、当時3カ月。トイレシートで「小」も「大」もする、優秀な仔犬として我々飼育員の間で高評価だった。なによりもトイレシート「だけ」を置いておけばその上でするというところが凄い!と感心していた。

 あおが家に来ることが決まった時、我々は「トイレトレー」(トイレシートを噛んだりするイタズラ防止のための、メッシュ状のものでトイレシートを挟み込んでガードするもの)を手に入れていた。が、横幅が設置したサークルの幅にはまらなったので、トイレシートをいたずらし始めるまで使わずにいたのだが、はじめからあおはトイレシート=トイレとして認識してくれたようで、いたずらすることもなく「3カ月でシートだけでできるのは立派ですね」と川野輪さんにも言われ、「このまま立派な犬でいこう!」と、結局トイレトレーは一度も登場させなかった。

 しかしまもなく、あおはトイレシートをかじるようになった。

 それはあきらかに、我々が実践していた、川野輪さんに教わった『犬に対して必要なのはメリハリのある接し方。しっかり遊んだら、サークルに入れてあとは構わない』に対する不満の表現だった。

 サークルから出たい、かまって欲しいなど、何かを要求する時、以下の行動が順に行われた。

①「こちらをじっと見つめてくる」
②「サークルの柵を噛んだまま恨めしそうな視線を送る」
③「敷いてあるマットをガリガリ掘って気を引く」

こんなイメージ

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「犬の要求を通さないのがルール」と教わっていたので、我々は何があってもそれらを無視した(これがなかなか辛かったが)。

 自分なりに考え出したアピールが完全に無視されるとわかったあおは、いつからか最後にやり始めたのが「トイレシートをかじって破る」だった。

 初めてかじったのを見た時はてっきり「食べた!」と思った。毎度のパターンでネット検索。

『トイレシートを食べてしまうと、水分を吸収して胃の中で膨れて大変なことになる!』というような内容が書かれていて、またも青くなったが、よく見ると、シートの破片はあちこちにあり、つなぎ合わせてみると、どうやら食べているのではなく、かじり、破り、吐き散らかすという完全な乱暴者のストレス発散、もしくは嫌がらせだった。

この時はさらに水の容器もひっくり返すという暴挙

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 トイレシート、けっこういい値段だ。それを、しかも使用前にゴミにされると、さすがに腹がたった。

 現行犯で「ダメ!」と注意して、教えていくしかなかったが、それでもなかなかやめなかった。その時、トイレトレーを投入すればよかったのかもしれない。でも、どこかにあったのだ......『トレーなしで、シートだけ敷いておけばその上でちゃんとする優秀犬の称号を守りたい』という気持ちが。

新トイレ問題勃発

 何度も注意していくうちに、シートをかじり壊すことはなくなった。ホッとしていると、次に始まったのが、「大」または「小」をする前に、なぜかトイレシートを咥えて、場所移動させてしまう行動だった。

 ムズムズするからなのか、そのまま上に乗ってすればいいものを、3回に1回、咥えて、移動させて、でもちゃんとトイレシートの上でするという謎の行動。我々飼育員がその場にいれば、シートを戻すことができるのだが、我々がいない時は大惨事となる。

 移動させたシートは大抵、半分裏返し、またはオール裏返しとなるからだ。その状態であおの「シートの上でちゃんとする才能」が発揮される。

 人ならひっくり返ってしまったシートを戻してするが、あおは「シートの上でする」だけが身についてしまっているので、吸収面が上だろうが下だろうがおかまいなく、する。と、どうなるか?

 出された液体モノは裏面に吸収される事なく流れ落ち、固形物はくしゃくしゃになったシートからこぼれ落ちる......。

「持っていくのはダメ!」と叱っても、本人は「は?」みたいな顔。

 さらに持っていくことを叱られていることが理解できず、どうやら、家の中でトイレをしてはいけないのかも......と思ってしまったのか、その時は2カ月ほど、家の中では一切「大」も「小」もしない犬になってしまった。あお、9カ月から10カ月の頃の話である。

 室内犬の多くは、いつしか外でしか排泄をしないようになるようで、散歩に出始めた頃、公園で会った小さな犬を連れたおばさまに、「うちの犬は外でしかしなくなった。雨の日だろうとなんだろうと連れ出さなくてはならないから本当に大変、家の中でできるようにしておいた方がいいわよ」と、説得力ある話を聞かされ、あおは絶対に家での排泄を継続させようと決めた。

 あれほど室内での排泄物処理を恐れていた人間が、室内でしっかりさせようと思うようになるのだから、我ながら不思議。

 なので、外でしかしなくなった時は困った。

 梅雨に入る前だったのでなんとか戻そうと、あえて散歩に出ないようにして、室内排泄を待ったが、その頃は忍耐力というか、仔犬時代に比べて、「大」も「小」も我慢できる時間が伸びていたので、そのこと自体は成長を感じて嬉しかったが、これがきっかけであおの中に「たっぷり溜めてからするブーム」が到来した。

 10時間以上しないのはザラ。溜めて溜めて、散歩の時に、公園の隅の草むら(あおは路上などでは小をしない。必ず草むら。しかも隅っこ)に向かい、着くやいなや、しゃがみ込んで、シャー。

 思わず「人?」と聞きたくなるぐらいの豪快な放水。ある朝の散歩で会った、黒柴を連れた、はじめましてのおばさまに「まだ10カ月~?小っちゃくてかわいいわね~」と、目を細めて言ってもらった直後、この大量放水を見られ、ポソッと「......けっこうするのね」と言われて、なんだかちょっと恥ずかしかった。

『我慢ができなくなる前に散歩に連れ出しているから、家の中でしなくなる』と川野輪さんに指摘されて、一日あおといられる日には、散歩の時間になっても行かず、我慢の限界を越えさせたり、散歩の時間をバラバラにしたりして、室内のトイレシートでする、家トイレに戻そうとした。

 シートの上でできた時は、かなりのオーバー演技で「いい子~いい子~」と褒めまくり、オヤツを与え、ある時は「家でできたからご褒美だ!お出かけだ!」と、こちらのテンションも上がってお台場に連れ出して遊ばせたこともあった。

 あおに「家の中ですると、こんなに良いことがあるんだぞ!キャンペーン」。必死だった。それでもあおが室内で排泄することは稀だった。

 そんな日々をしばらく送っていたが、季節の変わり目に弱いあお、梅雨に入る前に急に(気圧の変化で?)お腹をこわし、結果としてこれが"家トイレ・ふたたび"のきっかけとなった。

 我慢できなくなったあおは、どんなに離れたところにいてもトイレシートのところへトコトコやってきて、その上でした。あおはシートの上ですることを忘れていなかった!これでひと安心......。しかし、歴史は繰り返す。"家トイレでしない・ふたたび"である。

 以前と違っていたのは、「小」は我々がいる前でもするが、「大」は誰かが見ているとしなくなったところである。

 部屋に誰もいなくなったその隙に「大」。例えば僕がシャワーを浴びて戻ってくると、いつの間にか「大」。夜中、我々が寝室で寝ている間に「大」、という具合だ。あおが家で「大」をする瞬間に立ち会える者は誰もいなくなっていた。

 まあ、それはそれでもいい。しかし問題は、トイレシートを噛んでどこかに移動させるクセも再発していたことである。

 ムズムズする、シートのところへ行く、シートを咥えて少し離れたところへ持っていく。その時、シートはひっくり返って、いざトイレとして使おうとするとひっくり返ったただの防水シート。またも大惨事である。

 困った時の川野輪さん。相談すると「あおちゃんからしてみると、『だれ?裏返しにしたの~!?』と、自分でやったことを忘れている可能性もありますよ」と言われた。

 そう言われてしまったら、叱ってどうなるわけでもない......。仕方なく「夜中3時のトイレパトロール」を復活させることにした。だが、もうひとりの飼育員の「私はごめんなさい。だって私、寝るのが仕事みたいなものだから」発言も復活し、結果パトロールに出るのは僕ひとり、そして真夜中、惨劇は起こり、それ(主に「大」)を一人、片付けるという試練に耐える日々が戻ってきた。

「そうだよ!ひっくり返されなければいいんだよ!」と、トイレシートを床に直接貼り付けてみたこともあった。でもテープの接着剤でフローリングがベタベタになってしまってやめた。

「そうか!シートを持って行かれても、その下にもう1枚残っていればいいんだ!」と、シート2枚重ねを試したこともあった。しかし、なぜかあおは、ことごとく、持っていったシートの上で用を足し、あえなく失敗した。
(シートを横に2枚並べる作戦も結果は同じ)

これは3枚作戦の時のもの。動かした形跡アリアリ

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こちらはバレバレ

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 もうこれはアレを使うしかない!と、あおがまだ体重1.5kgの頃から用意だけはしてあった、「トイレトレー」を出動させる時がやってきた!

 トレーにシートをセットし、いつものトイレの位置に置く。当然、あおはシートを持って行くことはできない。トレーを洗う手間は増えるだろうが、ひっくり返されたトイレシートが吸わなかった「小」や、シートからこぼれた落ちた「大」をひとり片付ける夜中のパトロールからはついに開放だ。

 トレーが置かれた瞬間、あおは近づき、そして、いきなりトレーのフレームをかじり始めたーーー!おい、それはトイレだ!かじるなー!しかしあおはひたすらかじり続ける。

 初めて見るトイレトレーは、あおにとっては「トイレ」ではなく、ただの「何これ?」だった。

 トレーは歯型だけつけられ、再び倉庫へと戻って行った......。

 どうすればいい?夜中の単身トイレパトロールから戻り、横になりながら考えた。

「裏返しにならなければ、ちゃんとシートの上でできるから大丈夫なんだよな~あおがひっくり返さないでくれたなら......」

 そこでパッとひらめいた!

「裏返しになっても吸収できればいいんだ!そうだ、トイレシートをリバーシブルにしよう!」

 我ながら名案である!!両面テープで2枚のトイレシートを両面が表になるように張り合わせた!あお対策の新兵器「リバーシブルシート」果たしてその成果は!!??

【後日談】

 あおはいつしか家での排泄を全くしなくなり、トイレシートは緊急時(お腹を壊した時のみ)使用したっきり。

 現在では部屋の片隅に念のため置かれているだけで、それを噛むことも持ち出すこともまったくしなくなった。リバーシブルシートの活躍は今のところなく、その効果も定かではない......。

「え?家でトイレ?そんなのしないよ」

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(つづく)

◎プロフィール

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舘川範雄 (たてかわ のりお)
1966年9月19日生まれ。1987年4月から作家活動に入る。
「コサキン」「SMAPxSMAP」「ポンキッキーズ」「スクール革命!」などテレビ、ラジオで多数の番組構成を担当。また関根勤主宰「カンコンキンシアター」の他、オリジナルコメディーやミュージカルの作・演出など、活動は多岐にわたる。
インスタグラム(ao20150721)で白柴「あお」が毎日、犬の目線で日々の出来事を投稿中! 

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