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2018.01.12

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コントみたいな犬との暮らし【柴犬生活漂流記 vol.11】

あお初登園

2015年・秋。「あお」と名付けた柴の仔犬を迎え入れ、生まれて初めて「犬の飼育員」となった「僕」と「もうひとり」。生後4カ月を迎える頃、人との共生のためあおを「しつけ教室」に通わせることにした。その経験を通して学んだのは、実は飼育員の方だったのかもしれない。

#Lifestyle

Author :写真・文=舘川範雄 協力=(株)浅井企画

二度とない「初めての飼い主体験」

 今思えば、もっと飼い主の「初めて」を楽しめばよかったのかもしれない。でも我々は、あおを"犬のしつけ教室"に通わせた。

 時々浮かんでくるのは、自分たちだけの力であおを育てなかったことは"逃げ"だったのではないか?という考え。

 例えはおかしいかもしれないが、うまく作れないからと、手に入れたプラモデルをプロモデラーにお金を払って組立ててもらい、色まで塗ってもらって「コレ自分で作りました」と言っているような、後ろめたい気持ち......。

 コマンドを一つひとつ教え、人との暮らし方のルールを教え、その成功も失敗も全て受け止めて......。

 でも、そんな悠長なことを思えるのは、今こうして無事に柴犬との漂流のような日々から帰還できたからだ。あの頃の我々には、あおをうまく育てる力も知識も不足していた。ひとつ間違えれば、一生、"漂流"していたかもしれない。

 フセ、マテ、オイデなどの基本コマンドには反応せずやりたい放題、家具や電気コードをかじりまくり、未だに部屋で大や小を失敗、他の犬に吠えかかり、通りすがりの人には噛み付いて、さらにはフードを差し出した我々飼育員の手もガブリで流血の日々......。

 ないとは言えない。そうなっていたかもしれない。

 そこまで想像したところでもうひとりの自分が言う。

「人間だって、子どもを学校に通わせているんだから、いいじゃん!」
「どの世界にも教えのプロはいるんだから......」

 世の中には、「犬の教室?」とハテナマークを出す人もいる。僕も昔はそう思っていた。でも今は、人間と一緒に生きるために必要な事を教えてやった方が、犬は幸せな時間をより多く過ごせるのは間違いないとわかる(もしかしたら、人に嫌われがちなカラスだって、教えのプロが人間との共存ルールをしっかり教えてやれば、ゴミ袋をあさらなくなるかもしれないとさえも思えてしまう)。

 教育の大切さは、人も犬も同じ(あと、カラスも)。愛情と技術を持って、正しい道を示してくれる者がいなければ、人も犬も(あと、カラスも)間違った方向に進んでしまうのだ。

あお、初登園

 と、前置きが長くなったが、そんなわけであおは、我々にとっての救世主(詳しくはVol.6をご覧ください)、"教えのプロフェッショナル"である、ドッグトレーナー川野輪さんの「愛犬のしつけ教室・ドギーステップ」に通う事となった。

 2015年11月16日(月)あお、もうすぐ4か月の頃である。

初日、入り口で張り紙を眺める「もうひとりの飼育員」とそれを眺めるあお

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 僕があおを川野輪さんに託したいと思ったのは、トレーナーとしての知識や技術はもちろん、川野輪さんの、犬との暮らし方の考え方がステキだと思ったところが大きい。

 初めて川野輪さんに会った時、犬の問題行動についての本に書いてあった「犬をソファーにあげてはいけない」というのを、「~なんですよね?」と、確認の意味で聞いてみた。

 川野輪さんの答えは「当然です」だと思っていたのだが、返ってきたのは違う言葉だった。
「でも、犬がソファーで寝ているっていうのも、いいものですよ」

 え?いいの?ソファーOK?嬉しい驚き!

 一辺倒じゃない、フレキシブルな考えに惹かれた。

※その後、我が家はこうなりました......

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 頼りになるのに、ガチガチのお堅いトレーナーさんじゃない。それに会話も面白い。なんてステキなんだろう。

『川野輪さん、あなたについていきます!』

 そう口に出すと「は?」と言われるのがオチなので、心の中で、心を込めてそう言った。

教室初日の様子。まずは場に慣れるタイム

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 教室の外から、窓越しにここまで見届け、我々飼育員はあおを残して帰宅した。あおが来てから初めての別行動。近くの店で少し早い昼食をとりながら
「あおは楽しくやってるかな?」
「あおはどんなトレーニングを受けるのかな?」などと話していた。

 犬の気が散るので、基本的には教室の様子を見学することはできないが、ドギーステップのホームページでは、その日の様子を写真で見ることができた。

 これがその日のドギーステップのブログにアップされていた写真である。

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 数日後には、ホームページに動画もアップされ、あおがどんなトレーニングを受けているのか、見ることができるのもありがたかった。
(なんだか家にいるあおと別人!!)

 

 川野輪さんのブログは教室の様子だけでなく、犬との生活においてためになることがたくさん書かれているので今も見逃せない。

 教室初日。あおは川野輪さんの「帰ってきたら熟睡ですよ」の予言通り、頭をフル回転させ、緊張感もある中で10時から17時半を過ごし、帰宅したとたん、フードを食べることも忘れて熟睡していた。

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教室での様子などが記されたドギーステップの連絡ノート

 初日のページにはクレートでおとなしくできたこと、トイレトレーで「小」をちゃんとできたことなどを「優秀です!」と褒めてもらえた。そこまで読んでニマニマしていると、最後の方に飼育員である我々へのアドバイスが書かれていた。

「犬が主導権を持つとご家族と自分を守る立場になり、外部(人、犬etc)に対する警戒心が強くなります。柴は元々番犬気質で警戒心が強い犬種ですので、最も気を付けていただきたいところです。今はパピーでついつい赤ちゃんの様に思いがちで甘やかしがちになりますが、その間にご家族と自分の関係を築いています。人が信頼できる存在として、あおちゃんを安心させてあげられるようにしていきましょう」

 この一文の大切さを、その頃の我々は理解できていなかったと思う。なぜならその頃の我々は、また例えてしまうが、
『高速道路に乗ってから「あ!クルマの乗り方知らなかったーーー!!」と慌てている無免許ドライバー』のようなものだったのだ。

 あおと暮らしはじめて何度も思った。

「飼い主教習所に通っておけばよかった」

 誰かに言って欲しかった。

『仮免試験に受かってから路上教習を受けたあと、本試験に合格しなければ、犬を飼うことはできません』

 でも僕らは教習所も、試験場もスルーしてしまっていた。

 あおが教室に通い始めて、実はトレーニングが必要なのは無免許飼育員である我々の方だということを、痛いほど思い知らされることになるとは、この時まだ、思ってもみなかった......。

(つづく)

◎プロフィール

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舘川範雄 (たてかわ のりお)
1966年9月19日生まれ。1987年4月から作家活動に入る。
「コサキン」「SMAPxSMAP」「ポンキッキーズ」「スクール革命!」などテレビ、ラジオで多数の番組構成を担当。また関根勤主宰「カンコンキンシアター」の他、オリジナルコメディーやミュージカルの作・演出など、活動は多岐にわたる。
インスタグラム(ao20150721)で白柴「あお」が毎日、犬の目線で日々の出来事を投稿中! 

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