magazine

  1. トップページ
  2. MAGAZINE
  3. 犬飼いのジレンマ。お金と時間、どっちが大事!?

2018.01.18

ブログ        

クパメル隔週レポート「笑う犬には福てんこ盛り」vol.13

犬飼いのジレンマ。お金と時間、どっちが大事!?

今月はなんだか忙しい。でも頑張って働く。だってお仕事があるのは、ありがたいことだもの。でもね、経済的に「うふふ♥」になると、時間的余裕がなくなる。時間的余裕があるときは、経済的余裕が怪しくなる(特に私のようなフリーライターは。涙)。背中合わせなのよねー。きっと多くの働く犬飼いのみなさんも、同じようなジレンマを抱えているのではないかしら。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=白石かえ

働きたい、働きたくない。どうすりゃいいんだ

 いつもなら正月休み呆けを引き摺って、毎年1月はスロースターターの私なのだが、今年は『猟犬スペシャル』(これはもうバカみたいに気合い入れて、調べて取材して書いてます。悦びです)もあるし、こんなときに限って別件の出稼ぎも始まってしまったため、例年になく真面目に働いている。

 でも、ただでさえうちの犬は、休暇明けには「ゴールデンウィーク病」とか「夏休み病」になりやすい。家族が毎日一緒にいる濃密だった休暇期間が幸せ過ぎて、休み明けに分離不安疑いの挙動不審な行動をしたり、原因不明の軟便になったりする。ダラダラしていた娘は大学が始まり、オットも会社が始まり、そのうえ今月は最後の砦の「専業留守番」(専業主婦にはとうてい及ばず、オットから「専業留守番」と呼ばれている)の私が、年明け早々から毎日朝から夕方まで外出しているので、クパメルに申し訳ない。じきに犬もこの生活に慣れてくれるはずなので、そうすれば罪悪感も減るのだが(犬が慣れた頃にふたたび私は専業留守番に戻っちゃうんだけども〜。フリーランスなんて浮き草暮らし。ドクターXには程遠いのである)。

 ともあれ、フルタイムで働く人、働く夫婦の増えた現代の日本において、このライフスタイルはもう特別なことではない。だから「フルタイムの人は、犬を飼うな」という極論は言いたくないし、現実的ではない(諸外国の愛犬家からは怒られちゃうかもしれないが、日本では日本のやり方を見つけていけたらいいなーと思う)。犬の養育費や獣医療費のため、「犬」の存在がモチベーションとなり、頑張って働く人もいると思うし(えへへ。私のことさ!)。

 だけど、犬の立場で考えると......やはり犬は群れの動物。群れのみんなに置いてきぼりにされて、ひとりぼっちで留守番というのは、けっこう精神衛生上よろしくないと思う。犬種にもよるけどさ。こういうときも、本来の犬種の歴史や仕事を思い起こすと、ヒントになる。ビーグルみたいにパック(団体戦)で狩猟をしている犬は、犬の同僚が複数いた方がよいのではないかとか、ニンゲンとチームで仕事をしていたバードドッグやHPR犬種はいつでも飼い主のそばにいたいはず(=留守番が苦手)とか。反対に、何日間もニンゲンと離れて羊の群れをオオカミや泥棒からガードする仕事をしている護羊犬チーム(グレート・ピレニーズとか)は、わりと留守番得意かもしれないとか(そのかわり、羊の群れがいた方がいいのかもしれないけどもー。これまたかなり難題だ)。いろいろ考えてしまう。

仕事から帰るたび、1年ぶりの再会かのよう

 ただ、誤解を怖れずに言うならば、そりゃ犬は、誰か家族がいつもいる家庭だとベストだと思うわ。おじいちゃま、おばあちゃまなど、誰かがおうちにいてくれるだけで、犬の精神的安定は保たれるように思う。娘が小学生や中学生のとき、あいつが家にいてくれるだけでも、犬は平常心を保っていた。おかげで私自身の心配や良心の呵責に苛まれる気持ちも薄まった。「犬だけの留守番じゃないだけでも助かるわー。犬もとりあえず寂しくないみたいだし」「犬の様子を監視してくれる係りがいるだけでも私としては安心」。大家族だと、誰かはおうちにいることが多いだろう。群れの動物である犬は、そういう環境で暮らせる方が、本来は精神的ストレスが少ないと思われる。

 でも、そうはいっても核家族化が進んでいる日本では、なかなかそうもいかない。しかし犬の精神構造は万国共通。日本で飼われていても、ヨーロッパで飼われていても、犬の求めていることは基本同じ。なるべくなら何か別のことでもいいから補填してあげたいものだ。

 今週、仕事から帰るたびに、クーパーが玄関ドアの内側で、バタバタと悦びを爆発させているのがわかった。まるで1年ぶりの再会かのような歓待ぶり(私は南極越冬隊ではないはずなのだが!)。ドアを開けると、毎回、緑色のワニのぬいぐるみを口にくわえて待ち構えている。飼い主がいちばん喜ぶことは獲物を回収してくることだと、DNAが叫んでいるのだろう。メルはその後ろでぴょんぴょん跳ね、全身で歓喜の舞いをしている。ついでに黒猫まめちゃんまで、柱の陰からヒョコッと顔をだしている。ああ、みんな、待たせたね(涙)。いやー、すまない、すまない、と私は心の中で言い(本物の声に出すと、よけいに犬を興奮させてしまうので、表向きは冷静を保っている)、そして内心、ほんとにみんな可愛いなぁ、私が帰ることをこんなに喜んでくれる者がいるって、なんて幸せなんだろうと思うわけです。

180113_02.jpg

おうちに帰宅すると、いつもクーパーがリトリーブしてくる緑のワニ。「オハヨー」も「オカエリナサイ」も最近はこのワニばかり

 でも反面、罪悪感もあり。
 君たちを養うため、いいお肉を買うため、高速道路に乗って遊びに行くため、母は頑張っているのではあるが、こんなに長く留守番させるのは申し訳なく思う。難しいよねぇ。働かざる者食うべからず、働かざる者犬を飼うべからずだし。だけど、お金があるときは、時間がない。時間があるときは、先立つものがない。特に私のようなフリーライターは。困ったもんでごぜえます。

 と、1月は(フリーランスなのに)社畜のごとく働いている私。でも。働く飼い主のみなさんも、いろいろご苦労と葛藤はあるかと思いますが、みんなできるかぎり愛する犬のために頑張ろうではありませんか。それでは、1月中旬のクパメルレポートです。

【1月5日(金)】
 宮崎県の"昭和の猟師"ん家から12月に届いたイノシシ肉。猟師が言うには「すき焼きと言えば、牛肉よりイノシシ肉!」らしい。ほんまでっか〜と半信半疑で、三が日に初イノシシすき焼きをいただく。すると、ほんとに美味しかった〜♥ イノシシの脂って、なんだか特別な味。すき焼きの残り汁すら捨てるなんてありえない美味さだったので、翌日は鍋焼きうどんに。最高だった。

 美味しさというのは、イノシシそのものの年齢や食べているものなどにもよるだろうけど、それ以上に、どう後処理するかが重要なのだそうだ。すぐ血抜きをするとか、その抜き方の技とか、さばき方とか。また今回、猟犬記事のために調べてみてわかったのは、鉄砲の弾が内臓に被弾して、内臓が破けてしまったらほかの部分を汚染してしまうからNGとか、何時間も罠にかかったまま苦しみもがいていると肉の味も悪くなるとか(そりゃそうだろうなぁ)、さまざまなことをクリアして安全で美味しい肉にありつける。また体重50kgを超える生き物を、人力で道のない山の中から里に下ろすというのもかなり重労働だ。牧場で肥育されたウシやブタならば、大量に流通させることができるけれど、野生動物の命をいただくというのは想像以上に大変なことなのだと、今回よくわかった。さすがに自分には、血抜きをしたり、さばいたりする勇気も技術もないけれど......でも「知る」ということは、やはり「理解する」第一歩だと感じている。

 さてさて、ニンゲンばかりが、この美味しくて、抗生物質など一切入っていない天然のごちそうを食べるわけにはいかない。ということで、クパメルにもディハイドレーター(シライシ家用語:ミイラマシン)でイノシシジャーキーを作ってみた。これがまた絶品! 犬用に味つけなしで乾燥させたのだが、めちゃ美味い! なんだ、これ!? 野生のアミノ酸の力? 乾燥させると、マズイ肉だとパサパサして味も食感も悪いのだが、美味い肉だと肉の味が凝縮され、本来の肉の味だけで十分旨味がでる。噛めば噛むほど味が染み出てくる感じ。いやはや、まいった〜っ。あまりに美味しくて、娘と私がバクバク食べてしまったため、クパメルの分がだいぶ減ってしまった。ごめんよぉ。母は、またイノシシ肉のために働くことを誓うのであった。

180113_03.jpg

イノシシジャーキーできたーっ♥ うんまーい! 犬も猫も私も娘も大絶賛(できあがる頃にオットは初仕事に出勤し、食いっぱぐれそうになった)

【1月6日(土)】
 この日は盛り沢山な1日。まず、いつもの奥多摩方面のお山で、クパメル2時間ほど走り初め。

180113_04.jpg

娘も大学生にもなると、なかなか親と遊んでくれなくなるが、「犬と山に行くよ−」と言うと行く前はいつも「めんどくさーい」と思うそうだが、山に着くと「めちゃめちゃ楽しい」と思ってしまうそうだ。メルの飼い主だしね♪(だからメルは、娘がいると、いつもにもましてはしゃぐんだよ)

 次に、1月2日にオープンしたばかりの「ピースワンコ・ジャパン東京あきる野譲渡センター」(東京都あきる野市上代継白岩600)に家族揃って行ってみた。東京サマーランドのもう少し先にある「わんダフルネイチャーヴィレッジ」(株式会社東京サマーランド運営)に併設した場所にある。「わんダフルネイチャーヴィレッジ」はドッグランはじめ犬と一緒に遊べる施設で、連日犬好きが集まるところだから、新しい出会いのチャンスも多そう。1頭でも多くの犬が、いい飼い主さんと巡り会えますように。

180113_05.jpg

東京サマーランドのすぐそばにオープンした「ピースワンコ・ジャパン東京あきる野譲渡センター」。ピースワンコのプロジェクトリーダー大西純子さん(左)とうちの娘

 そしてそのあと、さらに圏央道と関越道を走って、弟家族の住む群馬県高崎市へ。お正月恒例の親戚会を楽しんだ。久しぶりに会う兄弟はやっぱりいいものだ。クパメルも、準甥っ子、準姪っ子待遇で可愛がってもらえた。よかったねー。

【1月13日(土)】
 本日も、猟犬スペシャル『猟犬を知る』原稿を書いていたんだけれど、この週はクパメルに長く留守番ばかりさせてしまったので、午後3時くらいから急いでまたお山へ。もうじき日が暮れるってのに。着いたら、−2度! さっぶーーっ。ここ、東京だぞー。

180113_06.jpg

霜柱が何度も凍ったり溶けたりを繰り返しているうちに、けっこうな氷の塊に。足で蹴っても全然割れない。東京にもこんな自然がちゃんとある

 暗くなってきたが、懐中電灯をつけながら、広めのトレイルを選んで遭難しないように散策。すると、下の山の斜面をガサガサガサッと、何やら小型か中型の獣が走る音が。クーパーはどこまでも追いかけてしまうのではないかと焦り、すぐ呼び戻すと、あっさり、ポイントしたまま、固まっていた(えらいっ!)。しかし、メルがすっ飛んでいった。ガサガサガサッ!! その後、2,3回、メルの吠え声。必死に呼び戻すと、すぐ戻ってきた。よかったーーーー。そのあと、ケガした様子もなく、安堵。

 しかし帰宅後に、娘に念入りにチェックさせると、2か所ほど擦り傷と丸いかさぶた発見。うーん、あの獣はなんだったのかしら。と、思って、猟師の知人に、猟犬取材のついでに聞いてみると「タヌキか、キツネか、アナグマじゃないかな」とのこと。キツネは、奥多摩にいるのかなぁ(いてほしいけれど)。ともあれ、傷や火傷や肌荒れに効果がありそうな、最近気に入っているイノシシ脂クリームを塗っておいた(家庭内ドクターXごっこ)。翌日には、どこに傷があったのかほぼわからなくなっていたので、これにて一件落着。

180113_07.jpg

山遊びで、メルが小動物と遭遇。念のため母子で入念にケガチェックをすると、2か所傷発見。消毒したあとイノシシ脂クリームを塗布したら、翌日ほぼ完治

【1月18日(木)】
「笑う犬には福てんこ盛り」 vol.13公開。

 ふー。猟犬記事と取材と出稼ぎと山とで、てんてこ舞い。しかしどんなに忙しくても、山爆走は行ってやらねば。猟犬記事を書けば書くほど、つくづく猟犬種にとって、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターにとって、森は大事だと思う。お山に行くことは、我が家の犬の福利厚生。心身の健康を守るために欠かせない。だってクーパーは、愛すべきHPR犬種ですもの♥ それでは猟犬スペシャルも引き続きよろしくね〜♪

180113_08.jpg

☆質問・相談募集しまーす☆

こんにちは、担当編集Mです。
本連載でもディープなファンを獲得しつつある、白石さん。新春スペシャルとしてスタートした「猟犬を知る」シリーズでは、その豊富な知識と底知れぬ探究心、そして犬たちへの愛情をその行間から読み解いていただけるかと思います。
そんな白石さんに、愛犬のこと、犬のことについて質問・相談してみませんか?

「そうだ、かえさんに聞いてみよう!」

本連載内に、そんなちょっとしたプチコーナー作ってみようかと。素朴な疑問やお悩みなど、気軽にお送りください♪

質問・相談の送り先は、こちらのアドレスまで。
↓↓↓
docdog_media@delightcreation.co.jp

メールタイトルを「そうだ、かえさんに聞いてみよう!」と入れていただけると助かります。

◎プロフィール

shiraishi_pr.jpg

白石かえ
犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパン。犬猫と暮らして30数年。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせる、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

●執筆サイト: dogplus.me 犬種図鑑 ほか多数
●ブログ: バドバドサーカス
●主な著書:
『東京犬散歩ガイド』、『東京犬散歩ガイド武蔵野編』、『うちの犬 あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』、『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』(構成・文)




 この記事が気に入ったらいいねしよう!
 最新記事をお届けします。

あおのプレッシャー

サルーキ、グレーハウンド......目でロックオンする高速獣猟犬たち

サルーキ、グレーハウンド......目でロックオンする高速獣猟犬たち
あおのプレッシャー