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2018.01.11

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犬の飼い主に求められること vol.10

犬を迷子にさせないために

「迷子の犬見つけました」「犬が行方不明です」迷子犬に共通しているのは、「連絡先を持っていない」ことである。犬は自分で「私の家は5丁目2番地です」と言うことができない。だから、迷ってしまった愛犬がなるべく早く自宅に戻れるように「3つの名札」が必要なのだ。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真=sarii、五十嵐廣幸 文=五十嵐廣幸

迷子犬の共通事項

 Facebookなどのソーシャルメディアの普及で「迷子犬探し」や「飼い主の捜索」は、「張り紙」よりも断然早く、広範囲になった。またその反応のよさは飼い主だけでなく、周りの人たちの行動力や安心にも繋がる。「動物の自由と守ることの意味」でも書いたように、ある地域の猫の交通事故数は、殺処分の3倍もあるという事実を知れば、迷子になるのを防ぎ、毎日を安全に過ごさせることは飼い主がすべき行動といえる。

「迷子の犬見つけました」「犬が行方不明です」の写真や情報で共通して言えるのは、その犬が「連絡先を持っていない」ことである。実際の迷子犬の中には、ドッグタグどころか首輪もしていない犬もいる。これら迷子犬の手がかりは、

1. 首輪に付けられたドッグタグ
2. 自治体が発行する鑑札
3. マイクロチップ

この3つで、これらがなければ、迷子になった犬は、飼い主の元に戻れる確率がグッと低くなってしまう。

ドッグタグ選びのポイント

 ドッグタグ、つまり犬の名札のメリットは

・ 安価で簡単に作れること
・ 連絡先が一目瞭然なこと

といえる。

 下記は私のドッグタグである。これには犬の名前と私の携帯電話番号が記されている。これらドッグタグはデザインによって、表と裏の両面に刻印されているもの、片側だけに記入してあるもの、また写真右のように「私を見つけたら電話して!」というメッセージを添えられるものもある。私は合計6本の首輪を持っているが、それぞれにドッグタグが付いている。価格は300円から600円ぐらいだ。

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写真左の赤いドッグタグはアルミ製で軽いが、首輪に付けるリングによってタグの穴は磨耗しているのが分かる

 ドッグタグで大事なのは、次の2つのポインだ。

1. 誰にでもはっきり読み取れる文字であること

 文字の可愛らしさや、デザイン重視ではなく、ドッグタグと文字とのコントラストがはっきりしているものがよい。また、どの年齢層の人間でも(つまり子どもでも、老眼の方でも)読みやすい書体と文字の大きさが良いだろう。小さい文字の場合、見知らぬ人の顔が、犬の顔に近づいたりするので「読みやすいこと」は人と犬のどちらの負担も減らすことにもなる。

2. 壊れづらいこと

 私のドッグタグの多くはステンレス製のものを愛用している。また首輪に繋ぐリングも同様にステンレス製だ。アルミ製のドッグタグは比較的柔らかく、首輪とタグを繋いでいる部分が擦り切れてしまうこと、擦れて文字が見えづらくなることもある。しかし小型犬の場合、ドッグタグが重たそう、大きくて邪魔そうと感じる方は軽いアルミ製を選び、壊れた時に備えて予備を用意すればいいだろう。

 ドッグタグに刻印した電話番号の情報漏洩を気にする人もいるが、私は自分の愛犬が迷子になった時に「おたくの犬、うちにいますよ!」と電話があるほうがありがたい。愛犬を守りたいなら電話番号を記しておく必要があるし、連絡先がないドッグタグは意味がない。仮に嫌がらせ電話があれば、「番号はいつでも変えてしまえ」と思っている。

鑑札に願うこと

 オーストラリアの鑑札も日本と同様に一頭につき、一つの番号が割り当てられる。しかしこの鑑札が壊れやすかったり、散歩中に外れてしまったりすることが多い。例えば、森の中を走って遊び、その帰りに犬の首輪を見ると、鑑札がどこかに落ちて失くなっていたりする。だから自治体には外れづらく、壊れづらい鑑札を作ってもらいたい。そして可能であれば、何個かの続き番号、もしくは複数の同一番号の鑑札を安価で買えるようにしてほしい。

 つまり123番だけでなく、その次の124番、125番 という3つの鑑札を田中タロウで登録することができれば、鑑札が一つ無くなってもすぐに予備が使える。多くの自治体の鑑札の再発行は平日であり、仕事を持っていると再発行になかなか行けない。そんな理由から「失くしたら困るからつけない」という飼い主もいるのが現状だ。

マイクロチップ

 オーストラリアでは、犬猫共に自治体の登録にはマイクロチップの番号記入が必須となっている。マイクロチップは名札や鑑札と異なり紛失することはないし、番号も変わることがない。しかしマイクロチップにも弱点がある。それは私たち一般人がマイクロチップを容易に読み取れないことだ。つまり、チップリーダーを持っている獣医や最寄りの保健所などに迷った犬を連れて行くしか、飼い主に連絡する方法がない。

 また、このマイクロチップの情報を登録している先の、動物ID普及推進会議(AIPO)へ「飼い主の連絡先の更新」がされていない場合、飼い主へ連絡はつかず、その犬は「迷い犬」のままとなってしまう。

 環境省によると、日本の飼い主でマイクロチップをすることに反対している理由は以下の通りだ。

  • ・埋め込みが痛そうでかわいそうだから......53.8%
  • ・動物の健康に悪そうだから......43.2%
  • ・名札や鑑札をしっかりつければ必要ないから......41.4%
  • ・費用が高そうだから......16.9%
  • ・マイクロチップの信頼性が低いから......9.0%
  • ・その他......7.2%
  • (※記載文言は、環境省のHPの表記を引用しています)

 私の個人的な意見は、マイクロチップの不安の多くが不要なものだと思っている。埋め込みが痛いか?といえば、私の愛犬は痛そうなそぶりは一切していない。また「健康に悪そう」という考えよりも、「首輪がないまま迷子になったら.......」「飼い主が見つからず殺処分」とイメージすれば、マイクロチップをつけない理由はない。また装着の費用においても防災イベントなどで無料で埋め込んでくれるチャンスもあるし、動物病院でも5,000円程度だ(病院によって多少異なります)。また、AIPOへの登録費用は1000円で、住所などの変更費用は無料。

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 2018年1月4日のオーストラリアのニュースでは、1カ月前にキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが盗まれた。その犬の新しい飼い主が、犬を獣医に連れていったところ「この犬の持ち主は他にいます」と判明し、犬は無事に元の飼い主の家に戻ることができた。「犬が迷子になる」だけでなく、「犬が盗まれた場合」は首輪や鑑札は簡単に人間が外せるので、マイクロチップが最後の砦とも言える。1年に1度の予防接種の時にでも、マイクロチップが正常に動作するかの確認をしてもよいだろう。

ハーネスあっても首輪付けるべし

 散歩時にハーネスを使用していても、犬に首輪を付ける方が良いだろう。それはハーネスにドッグタグ、鑑札を付けていることは稀であるし、犬のカラダがハーネスからすり抜けてしまった場合を考えると、首輪に付けたドッグタグと鑑札の重要性は大きいからだ。

 雨の日の散歩の後や、水遊びの後に「濡れた首輪を付けたくない」と首輪を外す飼い主も多い。そんな時はスペアの首輪を使うことをオススメする。また自宅で首輪を付けたくないのであれば、犬が庭から逃げ出さないこと、すべての出入り口は施錠されていること、ガスや水道メーターを読み取る人、宅配便の人などが、敷地のドアを開けることができないようにすることも必要だろう。しかしどんな状況でも、飼い主が家を留守にする場合にはドッグタグと鑑札を付けた首輪をするべきだ。

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迷子にさせないために「呼び戻し」

 私の愛犬にはドッグタグ、鑑札、マイクロチップが装着してあるが、私の犬は私と一緒のときなら、迷子にならない自信がある。それは呼び戻しができるからだ。

 呼び戻しについては「なぜあなたの犬は戻ってこないのか?」で詳しく書いたので、練習方法についてはそちらを読んでもらいたいが、首輪が抜けた時でも飼い主の「COME」の一言で、犬があなたの足元に戻ってくれば、「迷子」を未然に防ぐことができる。

 犬は怖いもの、苦手なものから逃げようとする動物だ。また、家の前を通った犬が気になり、庭から脱走する場合もあるし(あるオーストラリアン・ケルピーは高さ2.95メートル壁を登った記録もある)、散歩に夢中になってしまい戻れない犬もいる。「迷子」は不測の事態に起こるものだからこそ、迷ってしまった愛犬がなるべく早く自宅に戻れるように準備しなければならない。飼い主がそれらをしないのは、犬を見捨てる行為に近いとも思える。

 犬は「私の家は5丁目2番地です」と言うことができない。だから私は、ドッグタグは読みやすいか?鑑札は取れかけていないか?首輪の装着はきつすぎず、ゆるすぎないか?と毎日、愛犬の安全を願いながら確認をする。「迷わないための準備」のほうが、広い世界で迷子になった一頭を探すよりずっとずっと簡単なのだ。

(編集部注:ドッグトレーニングインストラクター三井 惇さんの「首輪の話し」も合わせてお読みいただくと、より理解が深まると思います)

◎プロフィール

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五十嵐廣幸

オーストラリア在住。元dog actuallyライター。週末は愛犬と一緒にSheep Herding(羊追い)をして過ごす。サザンオールスターズ、クレイジーケンバンド、そして動物を愛す。犬との生活で一番大切にしているのは、犬が犬として生きるためのクオリティ・オブ・ライフ。

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